“厳”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方(ふりがな)割合
いか25.5%
おごそ23.5%
きび12.2%
いかめ11.3%
おごそか4.8%
げん4.8%
やか2.5%
やかま2.0%
いつく1.8%
いつ1.6%
(他:55)10.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
型のくずれた中折を冠り少しひよわな感じのするくびから少しいかった肩のあたり、自分は見ているうちにだんだんこちらの自分を失って行った。
泥濘 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
と言って頬冠りを取った馬子のかおは日に焼けてひげだらけであるけれども、いかめしい面で、眼つきが尋常の馬子とは違うように見えます。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
久世氏は、それを取りあげて、だまって読んでいましたが、間もなく投げ出すようにそれをテーブルの上に置くと、いかめしい咳払いをしながら、
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「そこに、わたしいてきたくるまがありますから、ひとついてごらんなさい。」と、おとうとは、おごそかにいいました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
流れの彼方かなたには、ルーヴル美術館のおごそかな正面が広げられていて、その退屈そうな小窓には、夕陽ゆうひが生々とした残照を投げていた。
治修はるながはちょっとまゆをひそめた。が、目は不相変あいかわらずおごそかに三右衛門の顔に注がれている。三右衛門はさらに言葉を続けた。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
眞弓 差出た申分かは知りませぬが、この喧嘩はわたしに預けてはくださりませぬか。播磨はあとできびしう叱ります。まあ堪忍して引いてくだされ。
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
お前の外部と内部との溶け合った一つの全体の中に、お前がお前の存在をっているように、私もまたその全体の中できびしく働く力の総和なのだ。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
と、間もなく、その近江之介の首がたまりへ投げ込まれて、喬之助は、それ以来、きびしい詮議の眼をかすめて、今に姿を現さぬのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その上を静かに歩いてゆきながら、傍の扉の上に懸っている黒い漆塗りの名札を読むと「市長室」などと、いかめしい達者な白い文字で記してあった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼等はあのいかめしい赤い煉瓦壁体の中には、古ぼけた事務室と部厚い壁と幅の広い階段と長い廊下のほかに、なにものも予想していないであろう。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その外には詰襟つめえりの制服にいかめしい制帽を被った巨大漢きょだいかんと、もう一人背広を着た雑誌記者らしいのとが肩を並べて立っていた。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は櫛名田姫の前に足を止めた。と同時に一瞬間、おごそかな権威のひらめきが彼のみにくい眉目の間に磅礴ぼうはくしたように思われた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
に彼は火の如何いかえ、如何にくや、とおごそかるが如くまなじりを裂きて、その立てる処を一歩も移さず
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と緒を手首に、可恐おそろしい顔は俯向うつむけに、ぶらりと膝に飜ったが、鉄で鋳たらしいそのおごそかさ。逞ましいおのこの手にもずしりとする。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もし久兵衛がまぐろの選択をさらにさらにげんにし、切り方を大様おおように現在の倍くらいに切ったとしたら、それこそ天下無敵であろう。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
二人は、まるで舷門げんもんから上って来た司令官を迎えるように、きわめてげんたる礼をもって金博士に敬意をひょうした。
「一箇の荷ぐらいは、どうにでもなる。それよりは全体の士気をげんに保って行くほうが肝腎かんじんだ。老人は、黙ッていなさい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恩師の食道楽に感化された乎、天禀てんぴんの食癖であった乎、二葉亭は食通ではなかったが食物くいもの穿議せんぎがかなりやかましかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
殿「富彌、余りやかましく云わんがい、窮屈にさせるとかえって話が出来ん、成程立派じゃなア、昔の勇士のようであるな」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早「うん、それはうだね、七日の間は陰服いんぷくと云って田舎などではえらやかましくって、蜻蛉一つ鳥一つ捕ることが出来ねえ訳だから、然ういう事がある」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女「あの大屋さんに知れると悪うございます、橋のきわ瓦斯がすが消えますと宿屋の女が座敷つぼへ参るはやかましゅうございます」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見えすいた広告法だが、やかましい師匠にやらなければ、いけないと思っている、無学町人の親たちには、それが大層評判がよかった。
「こう云う落着のない子ですから、お骨も折れましょうが、やかましくおっしゃって、どうか駆使こきつかってやって下さい」母親はじろりとお島を見ながら言った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いつくしき門のいしずえは、霊ある大魚の、左右さうに浪を立てて白く、御堂みどうを護るのを、もうずるものの、浮足に行潜ゆきくぐると、玉敷く床の奥深く
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
髪黒く、色雪のごとく、いつくしく正しくえんに気高き貴女きじょの、繕わぬ姿したのが、すらりと入った。月をうなじに掛けつと見えたは、真白まっしろ涼傘ひがさであった。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
髪黒く、色雪の如く、いつくしく正しくえんに気高き貴女きじょの、つくろはぬ姿したのが、すらりと入つた。月をうなじけつと見えたは、真白ましろ涼傘ひがさであつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いつかしき昔の父、おもかげに今し立ち、いさぎよしわが父やげに、昭和八年一月元旦、父の子は我は、ころばえて涙しながる。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼アイヌ、眉毛かがやき、白き髯胸にかき垂り、家屋チセに萱畳敷き、さやさやと敷き、いつかしきアツシシ、マキリ持ち、研ぎ、あぐらゐ、ふかぶかとその眼れり。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一万遍唱へつづけて、真正まただしくひと日もおちず、国のため、祖先みおやのため、その子らがため、わけても子らの子がため、ただ唱へ南無妙法蓮華経、いとほしと口にはらね、いつかしさまたただならね
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「御免。」と掛けた声が可恐おそろしいかつい蛮音。薩摩訛さつまなまりに、あれえ、と云うと、飛上るやら、くるくる舞うやら、ぺたんと坐って動けぬやら。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ドニメ」と私はいかつい声で「少しお前に訊きたいものだ。今から丁度二十日程前だ、ボヘミアの奴等が来ただろう? 其奴そいつ何方どっちへ突っ走った?」
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
紳士の態度には、何処となくいかついところがあって、はなむのにもおそろしく大きな音をたてる。
平民殿様はすっかり下々のことを呑込のみこんでおります。「不義は御家のきつ法度はっと」などは、この御殿では通用しません。
と、私はきつく言った。なぜなら、この位な皮切りをした方が、彼女をお道楽芸にしておこうとするものへの、決戦的な——といおうか、大切にしているはれものへの大手術だと思ったからだった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その翌日は非常にきつい坂で三途さんずのがれ坂というのをえねばならん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それから宮中の大広間に出て、大勢の尊い役人や、この国の四方を守る四人の王様や、その家来達から、一々御祝いの言葉を受けた時のおごそかだった事。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
それだけに、おごそかな天の荒ら息吹いぶきを真向にうけるのだから、弱虫やなまけ者、卑劣漢や臆病ばらには、とうてい辛抱しきれるものではあるまい。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
——と、六尺の足を止めさせていた殿の駕内から、何か低い合図があったと見えて、一人の家来がおごそかに膝まずいてお駕の覗窓戸のぞきどをスーと開けた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わし師匠ししやうきびしかつたし、きやう身体からだぢや、はださへいだことはついぞおぼえぬ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一斉に彼のおもてを注視せし風早と蒲田とのまなこは、更に相合うていかれるを、再び彼方あなたに差向けて、いとどきびし打目戍うちまもれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それは或時宗右衛門が家庭のチランとして大いに安を虐待して、五百のきびしい忠告を受け、涙を流して罪を謝したことがあって、それからのちは五百の前にうなじを屈したのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その折松風氏は卓子テーブルに頬杖をついてこくり/\居睡ゐねむりをしてゐたが、店員が入つて来たのを見ると、急にしかつべらしい顔をして相手を見た。
巡査はくだんの露西亜人を警察署に連れ込むだ。暫くすると、さつき手を拭いたばかしの米国国旗が、その前に持ち出された。巡査はしかつべらしく言ひ渡した。
和尚は、それを一堂に集めて、しかつべらしい顔をして言つた。夏分の修養は、何よりも涼しく、おまけに手軽でなくてはならない、それには各自に放屁するに限る、と。
茶話:12 初出未詳 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
市内で相応に名を売つてゐる或る鶏肉かしは屋の主人あるじ鶏肉かしはの味はとりおと瞬間ほんのまにあります。」と言つてしかつべらしく語り出す。
しかつべらしく言つてその儘口を閉ぢた事がある。しばらくして文豪はまた口を開いた。
森田氏はしかつべらしい口をして訊いた。
竜に対するおかみ、罔象に当るみつはのめの呪水の神と考えられた証拠は、神武紀に「水神をイツ罔象女ミツハノメとなす」とあるのでもわかる。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
龍に対するおかみ、罔象に当るみつはのめの呪水の神と考へられた証拠は、神武紀に「水神をイツ罔象女ミツハノメとなす」とあるのでも訣る。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
だから土を盗みに行くに先つて、神の訓へた言には、「宜しく天の香具山の社の中の土を取りて、アメ平瓫ヒラカ八十枚ヤソヒラを造り、并せて厳瓫イツベを造りて、天神・地祇を敬祭し、亦イツ呪咀カシリをせよ。此の如くせば則、虜自ら平伏せむ」とある亦の字の用法が
岩壁かめしい赭色あかいろの農鳥は、いつ、いかなる時でも、おそらく山が存在する限りは
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
前穂高のかつい岩壁を仰いで、沢を登ると、残雪に近くなるかして、渓水がちょろちょろ糸のように乱れはじめ、大岩のっ立てたところから、滝となって落ちている、もう沢を行かれないので、草を踏み分けて、左岸の森林の中に迷い込む
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
甘糟と呼れたるは、茶柳条ちやじま仙台平せんだいひらの袴を着けたる、この中にてひと頬鬚ほほひげいかめしきをたくはふる紳士なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
晩餐の際には、いかめしい口髯を生やした主人の信之も出た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いわおの上のヨハネは、断崖だんがいの上のスフィンクスである。
或いはこの獣が荒血の香を好むというがごとき、怪しい博物学の資料にもなっているようだが実事としてはあまりに似通うた例のみ多く、しかもその故跡には大木やいわおがあって、しばしばたたりを説き亡霊を伝えているのを見ると
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おばこ此のぢよめえね(このごろ見えぬの意)風でも引いたかやと案じられ、コバエテ/\、風も引かねど親んちやんびしぐで(東北方面には濁音が多い)籠の鳥、コバエテ/\。
春雪の出羽路の三日 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「へえ、格別、変ったこともござりませなんだが。……朝の四ツごろ使屋つかいやが封じ文を持って来まして、唐木屋はんはそれを読むと、急にこうつウい顔付にならはりまして、間もなくそそくさとお出かけになられましたが……」
其処そこへ、支那宮廷の宴遊の方式と共に、カザり立てた園池・帝徳頌讃の文辞が入りこんで来たのだ。
阿礼其他の立て物の竿頭のだし(郷土研究三の九)として、榊葉・木綿が括られたと見るか、竿の神聖を示す為に、其根方を樒の葉と葛蔓クズカヅラカザ野間ノマ権現の神霊を移す木(三国神社伝記)と同じ意味あひに使はれた物か
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
月い照るかかるかぐろいつかしき地表のしゆんを我がはなくに
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その舟のともにはいはほのやうに、黙々と今日けふかいを取つた、おお、お前! 寂しいシヤアロン!
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
五百は優善やすよしを呼んでおこそかに会議の始末を言い渡した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
仕方のなくなった守衛は、屋上からの狭い出口をかためて、そこから一人ずつ通して首実験をしようとしたが、そんなことをしていたら一時間経っても仕事が出来ない。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
森先生に呼ばれて、葉子ようこはそのノートを先生の前へ出した。先生はすこしこわい顔をしてノートを開けて御覧になった。するとそこには、先生の顔がいてあった。
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
雪は谷では二千メートル、尾根では二千三、四百メートルあたりを境にして、まず七分の山体をごん飾する。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
『名の意はイカなり。は例のに通ふ助辞、は美称なり』(古事記伝)とあるごとく、厳之神、厳之霊といふ意に落付く語原であつた。
雷談義 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)