“きつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
35.3%
23.7%
7.0%
3.7%
3.7%
3.7%
3.3%
2.8%
2.3%
2.3%
1.9%
1.4%
0.9%
着附0.9%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
斷然0.5%
気付0.5%
気強0.5%
着付0.5%
0.5%
辛労0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしは、しもねむりをさました劍士けんしのやうに、ちついてきすまして、「大丈夫だいぢやうぶだ。ちかければ、あのおときつとみだれる。」
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きつく云う、お蔦の声がきっとしたので、きょとんとして立つ処を、横合からお源の手が、ちょろりとその執心の茶碗を掻攫かっさらって
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なおこの番頭を相手にして話をしていたらりもあるまい。折角なので、茶を一きつするとすぐ武蔵はそこを出て、先へと急いだ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
純粋外国だねだつてきつと俺達より勝れてるわけでは無い。「テリヤー」や「ターンスピツト」や「プードル」のやうな奴は何所が好いんだか俺達には解らぬ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
この頃になってようやく叔孫にも、この近臣に対する疑いがいて来た。なんじの言葉は真実か? ときつとして聞き返したのはそのためである。
牛人 (新字新仮名) / 中島敦(著)
平民殿様はすっかり下々のことを呑込のみこんでおります。「不義は御家のきつ法度はっと」などは、この御殿では通用しません。
それからその巻きようがゆるくなったり、きつくなったりした。兄の顔色は青大将の熱度の変ずるたびに、それからその絡みつく強さの変ずるたびに、変った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ヂュリ いきれてはれぬとやるほどなら、いきれてゐぬはずぢゃ。なんのかのと言譯いひわけしてゐやるのが肝腎かんじん一言ひとことよりながいわいの。これ、きつか、きょうか? はやや。
勝次郎は、中肉、寧ろノッポの方で、眼付きはきついが、鼻の高い、浅黒いかおの、女好きのする顔だった。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
さしなべに湯沸かせ子ども櫟津いちひづ檜橋ひばしより來むきつむさむ
春宵戯語 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
以前、仲之町なかのちょう声妓うれっこで、お若と云ったなまめかしい中年増が、新川の酒問屋に旦那が出来たため色を売るのはきつい法度の、その頃のくるわには居られない義理になって場所を替えた檜物町ひものちょう
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『小川さん!』と、女はきつと顔をあげた。其顔は眉毛一本動かなかつた。『私の様なもののことを然う言つて下さるのはそれや有難う御座いますけれど。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あの青いカササギみたいなとり着附きつけを氣どるだらう。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
カピ妻 さいの、其時分そのじぶんにはきつ鼠捕ねずみとりであったさうな。したが、わたしが不寢ねずばんをするゆゑ、いま其樣そのやうねずみをばらすことぢゃない。
でもな、眞實ほんたう小額こびたひところ雛鷄ひよっこのお睾丸程きんたまほどおほきな腫瘤こぶ出來できましたぞや、あぶないことよの、それできつ啼入なきいらッしゃった。
乳母 はれま、結構けっこうなお教訓けうくんぢゃ、すがら此處こゝ居殘ゐのこっても、聽聞ちゃうもんがしたいわいの。てもま、學問がくもんきついものぢゃな! 殿とのさん、貴方こなたさしますことをひいさまにまうしましょ。
ロミオ てもきつ射手いてぢゃの! そしてそのおんなれがにも美人びじん
暫しは恍然うつとりとして氣を失へる如く、いづこともなくきつ凝視みつめ居しが、星の如き眼のうちにはあふるゝばかりの涙をたゝへ、珠の如き頬にはら/\と振りかゝるをば拭はんともせず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
きつと御顏を見上げ居たりしが、『久しく御前にとほざかりたれば、餘りの御懷おんなつかししさに病餘の身をも顧みず、先刻遠侍とほざむらひに伺候致せしが、幸にして御拜顏の折を得て、時頼身にとりて恐悦の至りに候』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
蒲田はきつひざすすめて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
級長は卓子テーブルの前に進んだ。校長も、文平も、きつと鋭い眸をこの生徒の顔面おもてに注いだ。省吾なぞから見ると、ずつと夙慧ませた少年で、言ふことは了然はつきり好く解る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「おや、それは、おきついことはおあんなさらないのでございますか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
平次、御奉行朝倉石見守あさくらいはみのかみ樣からきつい御達しだ、——近頃府内を騷がす盜賊、盜んだ品を返せば罪はないやうなものではあるが、あまりと言へばお上の御威光をないがしろにする仕打だ。
利刃一閃浮世をきつて真ッ二ツ
凡神的唯心的傾向に就て (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
さめ而して後に前段の落着らくちやくの場を見たまはゞ宛然さながら越前守を目前にみるが如きの思ひある可し然れども編者がふでにぶき上緒數ちよすう毎回まいくわいかぎりあれば其情そのじやう充分じうぶんうつす事がたし恐らくはつのきつて牛を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いづれにせよ胸のうちには斷然きつとせし决定さだまりもなく、何が何やら五里の霧中にさまよふやうにて、月も花もはるかの彼方におぼめきながら、ならべ得がたき處に悶はおこりて人しれぬ苦勞この間にあり
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「さあ、そでば、気付きつけないがた。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
武「此奴こいつ気強きつい」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
番士達も源助町も、こういうからくりはすこしも知らないのだし、それに、顔形かおかたちは勿論、表情から着付きつけから、刀まで同じなのだから、とっさに喬之助が、身をひる返して
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「武男さん、わたしもきつかった!」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
あの声は今日こんにちまで自分わし臓腑はらわたの腐り止めになっている。貧乏というものは辛労きついもので、妻子が飢え死によるのを見ると気に入らん奴の世話にでもなりとうなるものじゃ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)