“こわ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
19.8%
16.0%
15.2%
15.1%
12.1%
3.4%
3.0%
2.7%
2.7%
可恐2.6%
破壊0.9%
恐怖0.8%
0.7%
可怖0.7%
0.5%
可怕0.4%
0.4%
可畏0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
強飯0.2%
破損0.1%
赤飯0.1%
一番怖0.1%
人声0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
小分0.1%
小別0.1%
小割0.1%
少々怖0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
毀損0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こわがって——あばれて——われとわが身をずたずたに引き裂いて——死んでしまうか——どんな悪いことになるかわからないからでさ。
兜の鉢はすべて張子でした。概して玩具に、鉄葉ブリキを用いることなく、すべて張子か土か木ですから、玩具のこわやすいこと不思議でした。
我楽多玩具 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こわい、と思いだしたら居たたまれぬようなものがある。ここは名からして羅刹谷であり、多くの死者が眠っている鳥部野とりべのもほど近い。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
皇室と徳川霊廟れいびょうとを結びつけるはずの使者が、公武合体の役には立たないで、あべこべにそれをぶちこわして歩くのもあの一行だった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
予ハ糊ノこわイゴワ/\シタ単衣ヲ着セラレルノガ嫌イデアッタガ、寝間着ニハイツモ甘ッタルイ腐リカヽッタヨウナ糊ノ匂イガシタ。
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
此時このときいへいて、おほきなさら歩兵ほへいあたまうへ眞直まつすぐに、それからはなさきかすつて、背後うしろにあつた一ぽんあたつて粉々こな/″\こわれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、痛みでどこもかしこもこわばっている体ではどうしてもベッドから車椅子に乗りうつる一つ二つの身ごなしがままにならなかった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
こわいことはない。念のためにきくのじゃ。遠慮のう言うてみい。さだめし咽喉のどから手が出おったろうに、なにゆえ拾わざったぞ」
そこらの草は、みじかかったのですがあらくてこわくて度々たびたび足を切りそうでしたので、私たちは河原に下りて石をわたって行きました。
鳥をとるやなぎ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
自分いろいろ可恐こわい気がした。これだけ所謂筆は立って、三ヵ月近くも実地を知っていて、これのようなつくりごとしかかかないということについて。
何ほど風の強ければとて頼みきったる上人様までが、この十兵衛の一心かけて建てたものをもろくも破壊こわるるかのように思し召されたか口惜しい
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一個ひとつから二個ふたつ、三個という順序に、矢つぎ早に打つのが得意でそれが敵をして一番恐怖こわがらせるのであった。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
少将のこの返歌はよろしくもないが、低く忍んで言うこわづかいなどを優美に感じる夕霧であった。宮へいろいろとお取り次ぎもさせたが
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ところが所天つれあいくなってからというものは、その男の怨霊おんりょう如何どうかすると現われて、可怖こわい顔をして私をにらみ、今にも私を取殺とりころそうとするのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それを見ると福太郎も真似をするかのように唾液つばを飲み込みかけたが、下顎が石のようにこわばっていて、舌の尖端さきを動かすことすら出来なかった。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このときの父の様子は余程狼狽ろうばいして居るようでした。それで声さえ平時いつもと変り、僕は可怕こわくなりましたから、しく/\泣き出すと、父は益々ますます狼狽うろた
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
のものか、夕寺ゆふでらふかこわぶりの
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
するとお勢はきっと振向いて、可畏こわらしい眼付をして文三をめ出した。その容子ようすが常で無いから、お鍋はふと笑いんでもッけな顔をする。文三は色を失ッた……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
強迫である。自分はあまりのことだと制止せんとする時、水野、そんな軽石はこわくないが読まないと変に思うだろうから読む、自分で読むと、かれは激昂げっこうして突っ立った。
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
時間はと思ったが、腕時計は無論めちゃめちゃにこわれて、針が折れてるから遭難の時刻も、大凡おおよそ三時半ぐらいとは思われるが、本当のことはわからない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
泣いたり、えたり、気を失ったり、テーブルを転覆ひっくりかえしたり、御丁寧にランプまでこわして騒ぎを入れるには当らない事だ。お春さんは衣服きものを少しやぶき、お歌さんは手を火傷した。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この船がこわれましてから、鹽を燒き、その燒け殘つた木を取つて琴に作りましたところ、その音が七郷に聞えました。それで歌に
「与八さん、お団子を食べてしまったら、あたいのお強飯こわを食べて頂戴な……」
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そうでしたか、私は少しも気がつきませんでしたよ。錠が破損こわれたままで、まだ修繕もせずに抛ってあるんですよ。尤もあんなところが開いていたって格別の事はありません」
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「まだ、お赤飯こわは喰べていないだろ。飲んでばかりいて」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あっちにもこっちにも客あしらいがしてあって——江木の権力ちからと自分の美貌からだと思っていたから。だから顔が汚なくなるということが一番怖こわい、それと権力も金力も失いたくない。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ゑらゑらにうたぐるばかり酔へる人声こわづくりして首のみぞ振る
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
お父さんのその鏨で、どうしたらいでしょう、私こわいわ。何ですか、震えて来た。ぞくぞくして。
森先生に呼ばれて、葉子ようこはそのノートを先生の前へ出した。先生はすこしこわい顔をしてノートを開けて御覧になった。するとそこには、先生の顔がいてあった。
先生の顔 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
一回におよそどの位食べるんですか、と先生が言うから、そうです、まあ十銭から二十銭位食いますって言うと、それはエラい、そんなに食ってよく胃をこわさないものだと言われる。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを小分こわけして見ると、三等室の患者は役員やまかなひまでに馬鹿にされることもそれだ。ほかの人は二枚も三枚も立派な着がへを持つて來てゐるのに、自分はいつも一枚しかないこともそれだ。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
七夕祭りの内容を小別こわけしてみると、鎮花祭の後すぐに続く卯月うづき八日の花祭り、五月に入っての端午の節供せっくや田植えから、御霊ごりょう・祇園の両祭会・夏神楽までも籠めて
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
こんなにしてもらいましたが、自分はまた三毛猫につかえて、毎日まき小割こわりにしなければなりませんでした。この仕事をするのに、ハンスは銀の斧をうけとりました。
高柳君はこんなところになるとすこぶる勇気にとぼしい。謝罪かたがた尋ねはしたが、いよいよと云う段になると少々怖こわくて罪滅つみほろぼしが出来かねる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
救護隊の叫び廻る声を聞いて元三ウォンサミはもぞもぞ出て来た。土城にはもう誰もいない、何だかこわくなって爺は上の方へのそりのそり這い上ってみた。そしてその一角に固く口を結んで突立った。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
口の中へ一ぱいに大福餅だいふくもちを押込まれたり、あの肥った体で踏んまたがれて、青坊主にりたてられるのがこわいのだった。
「その子は水生だね。五番目かえ。みんなうぶだからこわがるのは当前あたりまえだよ。宏兒がちょうどいい相手だ。さあお前さん達は向うへ行ってお遊び」
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「もう一度夫人おくさま御執成おとりなし遊ばして、お許されまするよう、恐入りますが、貴老あなたから。」「まかり成らぬ。別に何を毀損こわしたというではなし、ただ御家風にあわぬじゃで、御詫おわびの仕様も無いさ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「うん。母ちゃんが、姉ちゃんに負けん気だして、こわえの無理しんなって、よ。けえりたかったらいつでもけえって来って」
三月の第四日曜 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あだかもかの厳島いつくしまの社の廻廊が満つる潮に洗われておるかのように見える、もっと驚いたのは、この澄んでいる水面から、深い水底みなそこを見下すと、土蔵の白堊はくあのまだこわれないのが
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)