“狼狽”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ろうばい60.9%
うろた19.5%
あわ5.8%
あわて4.6%
らうばい2.9%
うろたえ2.2%
うろたへ1.1%
まごつ0.8%
まごまご0.3%
あはて0.3%
あわたゞ0.3%
まご0.3%
とっち0.1%
どきまぎ0.1%
どぎまぎ0.1%
ふた0.1%
ふためき0.1%
まごつい0.1%
まご/\0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
不意に伊豆守が不思議なほどな狼狽ろうばいの色を見せて、右門の鋭い凝視をあわててさけながら、濁すともなくことばを濁されましたので
「助けてい!」と言いさまに、お雪は何を狼狽うろたえたか、たすけられた滝太郎の手を振放して、たおれかかって拓の袖を千切れよといた。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やや狼狽あわててわたしは引っ返して。——左へ曲れる道を発見して試しにそれをえらんだ——飽っ気なくわたしは昭和座の横へ出た。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
ところかほわりあたまうすくなりぎたふとつたをとこて、大變たいへん丁寧ていねい挨拶あいさつをしたので、宗助そうすけすこ椅子いすうへ狼狽あわてやうくびうごかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
お住はまづ狼狽らうばいした。孫さへ学校の先生などにそんな大譃を教へられてゐる、——実際お住にはこの位意外な出来事はないのだつた。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
スルト其奴そいつが矢庭にペタリ尻餠をいて、狼狽うろたえた眼を円くして、ウッとおれのかおを看た其口から血が滴々々たらたらたら……いや眼に見えるようだ。
云掛られ夫さへ心にさはらぬ樣云拔いひぬけて居しに今日隅田川すみだがは渡船わたしぶねにて誰かは知ず行違ゆきちがひに面を見合せしよりにはかに吾助が顏色變り狼狽うろたへたるてい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それで私はすっかり狼狽まごついてしまって、『もう夜が明けてしまったんですね。』と変なことを云ってしまいました。
田原氏の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
狼狽まごまごしている私の前へ据えた手先を見ると、華奢きゃしゃな蒼白い手で、薬指にきらと光っていたのは本物のゴールド、リングと見た。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
尤も決勝の鉄砲を打つかゝりの教授が鉄砲を打ちそくなつた。打つには打つたがおとがしなかつた。これが三四郎の狼狽あはてた源因である。それより以来三四郎は運動会へ近づかなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いたづらに狼狽あわたゞしく散漫な日常生活は、到底久保田君をして充分に創作の才能を發揮させなくなつた。
と不意に質問の矢が来たので、ちと、狼狽まごついたようだったが
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あんまり思懸けない方がお見えなさいましたもんですから、私は狼狽とっちてしまってさ。ほほほ、いうことも前後あとさきになるんですもの、まあ、御免なさいまし。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
図星をさゝれて狼狽どぎまぎして
百合子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
余はあわて狼狽ふためき、ふるう手に側の燈油を注ぎ入れて、辛くも火を消さずに済みたり、この火消えなば、余は実に暗中に煩悶して、暗中に死すべかりしなり。
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
はりかけるにぞ家主はあわ狼狽ふためき漸々やう/\と兩人をとゞめ今二人とも此處にて死なれては我一人の難儀なり何分なにぶん此儀このぎは我等にまかせ給へよしや無事にゆかず共せめては喜八が御慈悲願おじひねがひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
狼狽まごついて、地下じびたをひらひらと飛び廻わッていた,が、あわや「コロ」の爪にかかりそうになッた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
鈍痴漢とんちんかんの、薄鈍うすのろ奴等やつらくすり絲瓜へちまるものか、馬鹿ばかな、輕擧かるはずみな!』ハヾトフと郵便局長いうびんきよくちやうとは、權幕けんまく辟易へきえきして戸口とぐちはう狼狽まご/\く。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)