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狼狽
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らうばい
ふりがな文庫
“
狼狽
(
らうばい
)” の例文
お住はまづ
狼狽
(
らうばい
)
した。孫さへ学校の先生などにそんな大譃を教へられてゐる、——実際お住にはこの位意外な出来事はないのだつた。
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夜間
(
やかん
)
客
(
きやく
)
に
襲
(
おそ
)
はれ
付
(
つ
)
けない
夫婦
(
ふうふ
)
は、
輕微
(
けいび
)
の
狼狽
(
らうばい
)
を
感
(
かん
)
じた
位
(
くらゐ
)
驚
(
おど
)
ろかされたが、
座敷
(
ざしき
)
へ
上
(
あ
)
げて
話
(
はな
)
して
見
(
み
)
ると、
坂井
(
さかゐ
)
は
丁寧
(
ていねい
)
に
先日
(
せんじつ
)
の
禮
(
れい
)
を
述
(
の
)
べた
後
(
のち
)
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
口より身体までを両断せしに、
他
(
た
)
の
狼児
(
らうじ
)
は
狼狽
(
らうばい
)
して
悉
(
ことごと
)
く
遁失
(
にげう
)
せ、又或時は幼時
嘗
(
かつ
)
て講読したりし、十八
史略
(
しりやく
)
中
(
ちゆう
)
の事実、即ち
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
〔譯〕今日の
貧賤
(
ひんせん
)
に
素行
(
そかう
)
する能はずば、乃ち他日の
富貴
(
ふうき
)
に、必ず
驕泰
(
けうたい
)
ならん。今日の
富貴
(
ふうき
)
に
素行
(
そかう
)
する能はずんば、乃ち他日の
患難
(
くわんなん
)
に、必ず
狼狽
(
らうばい
)
せん。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
間
(
ま
)
もなく、K
夫人
(
ふじん
)
は
間
(
あひだ
)
の
襖
(
うすま
)
を
開
(
あ
)
けて
吃驚
(
びつくり
)
した。
瞬間
(
しゆんかん
)
、
自殺
(
じさつ
)
かと
狼狽
(
らうばい
)
した
程
(
ほど
)
、
彼女
(
かのぢよ
)
は
多量
(
たりやう
)
の
咯血
(
かくけつ
)
の
中
(
なか
)
にのめつてゐた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
▼ もっと見る
僕は毎朝買つて見て居るんです——九州炭山の坑夫間に
愈々
(
いよ/\
)
同盟が出来上がらんとして、会社の方で鎮圧策に
狼狽
(
らうばい
)
してると云ふ通信が
載
(
の
)
つてたのです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そんなにも永い間、子供部屋へ
拘束
(
こうそく
)
されてゐたので、朝食堂や食堂や客間は、そこへ侵入することが私を
狼狽
(
らうばい
)
させるほど、私にとつて恐ろしい場處となつてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
他の部屋に要事があつて入る時も、ノックなしにドアを突然あけるし、鍵のこはれてゐる便所なぞも平気で扉を押し開いて、先に入つてうづくまつてゐるものを
狼狽
(
らうばい
)
させたりする。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
その時になつて
狼狽
(
らうばい
)
するといけないから、今のうちから用意に放して置いてやらうかとも思ふ。……大丈夫火事になどはならないとも思ふ。何しろ早く夜が明ければいいとも思ふ。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
仲裁に入つた男の
睾丸
(
こうぐわん
)
を
蹴上
(
けあ
)
げて気絶さしたとか、
云々
(
うんぬん
)
の通信なんだがそれに間違ひはありませんか、一応お
訊
(
たづ
)
ねする次第です——と云つたやうな話を聞き、ひどく
狼狽
(
らうばい
)
した訳です。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
お杉の荷物——
行李
(
かうり
)
が一つと、一抱の着物の中から、ひどく血に汚れた
袷
(
あはせ
)
が一枚出た時は、見て居る限りの者は色を失ひました。わけても當のお杉の
狼狽
(
らうばい
)
振りは目もあてられません。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌年
(
よくねん
)
一月
(
いちぐわつ
)
、
親類見舞
(
しんるゐみまひ
)
に、
夫人
(
ふじん
)
が
上京
(
じやうきやう
)
する。ついでに、
茅屋
(
ばうをく
)
に
立寄
(
たちよ
)
るといふ
音信
(
たより
)
をうけた。ところで、いま
更
(
さら
)
狼狽
(
らうばい
)
したのは、その
時
(
とき
)
の
厚意
(
こうい
)
の
萬分
(
まんぶん
)
の
一
(
いち
)
に
報
(
むく
)
ゆるのに
手段
(
しゆだん
)
がなかつたためである。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「そんぢやまあよかつた。
何
(
なに
)
しても
蒲團
(
ふとん
)
へ
寢
(
ね
)
かせた
方
(
はう
)
がえゝな、
暖
(
ぬくと
)
まりせえすりや
段々
(
だん/\
)
よくなつぺから」
南
(
みなみ
)
の
亭主
(
ていしゆ
)
は
數分時
(
すうふんじ
)
の
前
(
まへ
)
から
二人
(
ふたり
)
を
衷心
(
ちうしん
)
より
狼狽
(
らうばい
)
せしめた
事件
(
じけん
)
の
簡單
(
かんたん
)
な
説明
(
せつめい
)
を
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
いつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
エルアフイは
狼狽
(
らうばい
)
し、タオルを腰に巻きつけながら怒鳴つた。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
狼疾
(
らうしつ
)
といひ○
狼藉
(
ろうぜき
)
○
狼戻
(
らうれい
)
○
狼狽
(
らうばい
)
など
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
狼狽
(
らうばい
)
の
銅羅声
(
どらごゑ
)
擾
(
みだ
)
し
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
不幸
(
ふかう
)
にも、
此
(
この
)
心配
(
しんぱい
)
が
暮
(
くれ
)
の
二十日過
(
はつかすぎ
)
になつて、
突然
(
とつぜん
)
事實
(
じじつ
)
になりかけたので、
宗助
(
そうすけ
)
は
豫期
(
よき
)
の
恐怖
(
きようふ
)
に
火
(
ひ
)
が
點
(
つ
)
いた
樣
(
やう
)
に、いたく
狼狽
(
らうばい
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私たちは皆、それを見ては、互に、軽蔑の眼を交してゐました。ふだん精神修養の何のと云ふ癖に、あの
狼狽
(
らうばい
)
のしかたはどうだと云ふ、腹があつたのです。
猿
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
狼疾
(
らうしつ
)
といひ○
狼藉
(
ろうぜき
)
○
狼戻
(
らうれい
)
○
狼狽
(
らうばい
)
など
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼は或る
狼狽
(
らうばい
)
をもつて
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
しかし新公は
狼狽
(
らうばい
)
したやうに、妙な
瞬
(
またた
)
きを一つしながら、いきなり又猫へ短銃を向けた。
お富の貞操
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
令嬢に近い芸者が
一人
(
ひとり
)
、僕の五六歩前に立ち止まると、いきなり挙手の礼をした。僕はちよつと
狼狽
(
らうばい
)
した。が、
後
(
うし
)
ろを振り返つたら、同じ年頃の芸者が一人、やはりちやんと挙手の礼をしてゐた。
都会で
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五位は、
狼狽
(
らうばい
)
した。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“狼狽”の意味
《名詞》
狼 狽(ろうばい)
思わぬ出来事に遭い、慌てること。
(出典:Wiktionary)
狼
漢検準1級
部首:⽝
10画
狽
漢検準1級
部首:⽝
10画
“狼狽”で始まる語句
狼狽者
狼狽方
狼狽気味
狼狽敷
狼狽眼
狼狽居士
狼狽驚愕