“夫人”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おくさん22.0%
ふじん20.5%
おくさま14.4%
おく12.9%
マダム8.3%
おくがた6.8%
ひと3.8%
ぶにん3.0%
つま2.3%
あなた1.5%
セニョラ0.8%
うちかた0.8%
おおとじ0.8%
おとじ0.8%
だいこく0.8%
ダアム0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「郡長の夫人おくさんはあれでなかなか分ってるぞ。」とか、「君は明日役場に行って、も一度愛国婦人会の名簿を借りて名をうつしたまえ。」
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
あるときは、隣室りんしつてゐるKの夫人ふじんゆすおこされてましたが、彼女かのぢよにはそれがたんゆめとばかり、すことができなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
鼻からおとがいまで、馬づらにだぶだぶした、口の長い、顔の大きな、せいは四尺にも足りぬ小さな神官かんぬしでござりましたそうな。ええ、夫人おくさま
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「実は、夫人おくもこの縁談には乗り気で、非常な歓びだものだから……つい其方にも計らぬうち、袁術の使者へ、承諾の旨を答えてしまった」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でも、ここへ来て、夫人マダムといえばおていさいはいいけれど、しょッ中、異人のお相手ですもの。——まるでチャブ屋の女将おかみだわ」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへの悲報じゃ、夫人おくがたのお驚き、又、百姓町人共のいかり方、この暁方あけがたへかけての騒ぎは、貴様たちに、見せてやりたいくらいなものじゃ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、」と飛んだ顔をして、斜めに取って見透みすかした風情は、この夫人ひとえんなるだけ、中指なかざし鼈甲べっこうを、日影に透かした趣だったが
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
祖師堂は典正なのが同一棟ひとつむねに別にあって、幽厳なる夫人ぶにんびょうよりその御堂みどうへ、細長い古畳が欄間の黒いにじを引いて続いている。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「わが夫人つま蔡氏の父蔡大臣の誕生祝いの品を護って、東京とうけいまでつつがなく送り届けてほしいのじゃ。もちろん、軍兵ぐんぴょうは望み次第に付けてやる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つも解らぬことを対手あいて丸呑まるのみにして、承知之助、照子は呆れて、「夫人あなたどこへ、そうして何が、あの何でございますの。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それを月と夫人セニョラが上から青白く冷たく見物していた——というので、これがひどく有名になり、それからこの通りを主馬頭町カイ・デ・モンテイロと呼ぶにいたった。
薄 夫人うちかたも、お待兼ねでございます。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
百済くだらわたりの螺鈿らでんの大づくゑに肘をもたせて、鏡ノ夫人おおとじはさつきから、うつらうつらと物思ひにふけつてゐる。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
陽春三月のただでさへ永い日を、ふた昼ほど思ひあぐねた鏡ノ夫人おとじは、あとになつて考へれば余計な取越し苦労をしたといふものだつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
手習いがいやなのではなく、寺院おてら夫人だいこくさんが、針ばかりもたせようとするのが嫌だったのだ。もっとも、近松ちかまつ西鶴さいかくの生ていた時代に遠くなく、もっとも義太夫ぶし膾炙かいしゃしていた京阪けいはん地方である。
令嬢ドモアゼルぢやない。夫人ダアムだ」
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)