夫人おく)” の例文
「実は、夫人おくもこの縁談には乗り気で、非常な歓びだものだから……つい其方にも計らぬうち、袁術の使者へ、承諾の旨を答えてしまった」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近衛さんは夫人おくさま同伴で広島へ慰問に行くという見せかけで、高崎の飛行場から旅客機に乗り、そのまま一気にモスクワまで飛ぶつもりだった。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
(——夫人おくさん——)
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夫人おく。わしはそなたをめとる初めから、そなたを末長くちぎる妻とは思い得なかった。父久政も、浅井の嫁とはゆるさなかった」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはともかく、十月二日の「死者の日」には、いつも亡くなられた夫人おくさんの写真に菊の花を飾るが、お盆に墓まいりとはきいたこともなかった。
黄泉から (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
岡崎には、わたくしのほかにも、夫人おくとお呼びなされている者があるのだという噂も聞いて知っております。……なぜそれをお隠しなさいますか。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うちの馬鹿どもとちがって、剛子つよこはほんとうにりっぱな娘です。あたしゃ、ほんとうに日本一だくらいに思っているんだ。夫人おくさん、あなたの前だけど……」
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「三名して、夫人おく幼児おさなごたちの身をまもり、木下藤吉郎を案内として、く、城外へ落ちのびよ。すぐ行けッ」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いのちがなんでしょう! ……夫人おくさん、あなたは愛情というものを、たいへん低く見ていらっしゃる」
如何いかがなものでございましょうか? これはまあ夫人おくさまさっそくご承知くださいまして有難う存じまス。
ついたら、斬りすててもよろしい。……夫人おくにも、その由はよく申しておこうわい
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんなにまで、水上嬢に肩を入れているのか。そういえば、死んだ、夫人おくさんの若いころによく似ているよ、こちらは……邪推だったら、ゆるしてもらうが……」
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夫人おくやら、子達と、この世のわかれをしたい。すでに、死を期して、生き葬式までした身ではあるが……生別は死別より辛いとか……。信長どののお使い、それはおゆるしあろうな」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死んだ夫人おくさんの古い恋文で愛一郎をおどしつけて、なんとか、ネダリ取ろうと思ったわけなのね
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「限りのないことを! ……。彼女あれの物ずきにも困ったものだ。夫人おくを呼べ」
そのジュヌヴィヴ伯爵の夫人おくさまは、まことにお優しい方で、編物針をくださるときには毛糸を一束くださるとか、粉石鹸をくださるときには下着を一枚そえてくださるとか
「——何を泣く。やがて一城のあるじ夫人おくともなる者が、はははは」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そばにいらした旦那さまは、急に髪の毛の中まで真赤になっておしまいになるし、わたくしとても、このうえどうしてのめのめと、お優しい夫人おくさまに毎日顔を合せることができましょう。
『よい湯加減。夫人おく——もう一ぷく』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫人おくはどうしたと訊ねたが、存じませぬというばかりで埓があかない。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夫人おく、一ぷく、たてて貰おうか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死んだ夫人おくさんの若いときにあまりによく似ている。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夫人おくのことは、噂もならぬぞ」
「かしこまりました、夫人おくさま」
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夫人おく。……夫人……」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「かしこまりました。夫人おくさま」
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)