“おく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オク
語句割合
27.4%
16.3%
15.4%
8.4%
5.8%
4.3%
3.6%
2.7%
2.1%
夫人1.4%
1.2%
1.1%
0.9%
0.9%
奥方0.7%
0.7%
0.7%
0.6%
0.5%
0.5%
0.4%
見送0.4%
0.3%
0.3%
邑久0.3%
御呉0.2%
0.2%
0.2%
奥所0.2%
尾久0.2%
御奥0.2%
秘密0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
奥州0.1%
寄贈0.1%
0.1%
後遅0.1%
晩種0.1%
晩稻0.1%
0.1%
気臆0.1%
0.1%
0.1%
祕密0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
遅疑0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼女は黙ってあるきながら横眼に覗くと、娘の島田はむごたらしいように崩れかかって、そのおくれ毛が蒼白い頬の上にふるえていた。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ところこのアルゼリヤこくうちでブリダアといふ市府まちひとわけても怠惰なまけることがき、道樂だうらくをしておくることが好きといふ次第である。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そして、その郡の大領(郡長)のおくさんであった。あるとき、主人の郡長のために、あさの布を織って、それを着物に仕立てて着せた。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
また勢いがいいのでとうとうおくしてしまって一郎も嘉助も口の中でお早うというかわりに、もにゃもにゃっと言ってしまったのでした。
風の又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おくさんのこゑにはもうなんとなくりがなかつた。そして、そのままひざに視線しせんおとすと、おもひ出したやうにまたはりうごかしはじめた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
お婆さんがこの部屋までくるのには、なんどもなんども、ちょっとしたおくものをしたり、言葉をつくしてたのみこんだりしたのでした。
すると、ほかのものもひとしくまって、みんなからおくれがちになって、とぼとぼとあるいていた年寄としよりをつのでありました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とは云っても覚えが有るものでございますから、其所そこは相手が女ながらも心におくれが来て段々後へ下る。すると段々見物の人がたかって
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おくの周囲を半ぶんほど巡って行くと、二つの建物をつないでいる高廊下が見え、そこの中坪らしい辺りで、ふと妻戸を開ける音がした。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近衛さんは夫人おくさま同伴で広島へ慰問に行くという見せかけで、高崎の飛行場から旅客機に乗り、そのまま一気にモスクワまで飛ぶつもりだった。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そも/\天上のつるぎたるや、斬るに當りていそがずおくれじ、たゞ望みつゝまたは恐れつゝそを待つ者にかゝる事ありと見ゆるのみ 一六—一八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
其の為めに女房をも貰ひおくれてしまつて今では毎日工場へ出て働くよりほかに仕方のない男だつた。別に楽しみもなかつた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
それのみか然様そういう恐ろしいところではあるが、しかし沈香じんこうを産するの地に流された因縁で、天香伝一篇を著わして、めぐみを後人におくった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
李が別に臨んで、衣食に窮せぬだけの財をおくったので、玄機は安んじて観内で暮らすことが出来た。趙が道書を授けると、玄機は喜んでこれを読んだ。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
奥方おくっ。奥方おくっ」と徐寧は俄かに妻を呼んで——「いま隆さんから聞くと、かくかくの次第だ。すぐ旅仕度をそろえてくれ。隆さんも一しょに行ってくれるだろうな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さきにいはれしごとく二人ふたり勇士ますらをおくりて己が新婦はなよめたすけ給へり、かれらのことばおこなひとにより迷へる人々道に歸りき 四三—四五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あけの日二八八大倭やまとさとにいきて、翁が二八九めぐみかへし、かつ二九〇美濃絹みのぎぬ三疋みむら二九一筑紫綿つくしわた二屯ふたつみおくり来り、なほ此の妖災もののけ二九二身禊みそぎし給へとつつしみて願ふ。
しておく女がくれの十三日に百兩の金を貰ひて種々いろ/\品物しなものを求めたりと申すではないか其の百兩の金子は如何いかゞして所持しよぢせしや主人の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おれ先達せんだつ先祖せんぞ計算けいさんをして、四十代前だいまへおれ先祖せんぞすうが、一まん九百九十五おく二千一百六十二まん五千七百七十六にんだといふ莫大ばくだい數字すうじ發表はつぺうしたときには
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
卑しい俳優わざおぎと、さげすまれてはいるものの、魂では、いかなるもののふにも、おくれは取らじと思うているわたし、いつ逢うても、汚らわしいことばかり口にするそなたの言葉を聴いて
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
また西北原及び北原からインドへおくり出す羊毛及びヤクの尾等は皆此市ここへ持って来まして、単に此市ここ継場つぎばとしてパーリーの方へおくり出すものもあれば
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
少年しょうねんは、かえって、あいさつしながら、ていくと、うし姿すがた少女しょうじょとおじいさんが見送おくっていて
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と勢い烈しくむかいましたから、丹三たんざはこれにおくしてあとしさると、おえいは嫁入姿の儘で駆出し、可愛い丹三さんに怪我をさせてはならないと思い
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おくれを取るのは知れているので、気負う精神こころを押し沈め、谷を睨んで突っ立った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かかる名蹟を畑として米の四、五俵得たりとて何の穫利ぞ。木戸銭取って見世物にしても、そんな口銭こうせんは上がるなり。また備前国邑久おく郡朝日村の飯盛いいもり神社は、旧藩主の崇敬厚かりし大なる塚を祭る。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
アルマンが「何か本でも読みませうか」と云ふと「いや、書物はよしませう。其れよりカトリヌにひつけて、あの幾つかの箱からわたしの衣類きるゐを出して其処そこ等へならべて御呉おくれ」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
□三月上巳の節句とて往来し、艾糕くさもちを作ておくる、石竹・薔薇ろうさばら罌粟けしともに花咲く、紫蘇生じ、麦みのにじ始て見ゆ。
康子薬をおくる。拝して之を受けしも、丘未ださとらずといいて、敢えてめたまわず。(郷党、三)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
奥所おく——」妻をよんで
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光映は明治元年五月十五日上野戦争の際輪王寺りんのうじの宮に供奉ぐぶして上野をのが三河島みかわしま尾久おく村に潜み、十七日市ヶ谷富久町いちがやとみひさちょうの自証院にいたっていとまを賜った。以上は森鴎外もりおうがい先生の「能久親王よしひさしんのう事蹟」に見えている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから「御奥おくさんは」とたずねた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今日此頃けふこのごろ全盛ぜんせい父母ふぼへの孝養こうよううらやましく、おしよくとほあねの、いのらいのかずらねば、まちびとふるねづみなき格子かうし呪文じゆもんわかれの背中せな手加减てかげん秘密おくまで、たゞおもしろくきゝなされて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
白糸はびんおくれをき上げて、いくぶんの赧羞はずかしさを紛らわさんとせり。馭者は月に向かえる美人の姿の輝くばかりなるを打ちまもりつつ、固唾かたずみてその語るを待てり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しみじみと身に染みるもの、油、香水、痒ゆきところに手のとどく人が梳櫛すきぐし。こぼれ落ちるものは頭垢ふけと涙。湧きいづるものは、泉、乳、虱、接吻くちつけのあとのおくび、紅き薔薇さうびの虫、白蟻。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
顎十郎はおくびをしながら
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
王は庚娘をれて自分の家へ帰って、おくへ入って母親に逢った。母親は王の細君がもとの女でないのを不審がった。王はいった。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
の時は手前てめえのためにばけの皮を現わされ、立端たちばを失ったから、悪事を止めて辛抱するとは云ったが、実は手前てめえを遺恨に思って附けていたのだが、忙がしい身の上だから奥州おく小隠こがくれをしていた所が
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十分にされていて袴着の贈り物などここから持たせてやる必要は何もなさそうに思われたので、姫君づきの女房たちに、乳母をはじめ新しい一重ねずつの華美な衣裳を寄贈おくるだけのことにした。
源氏物語:19 薄雲 (新字新仮名) / 紫式部(著)
陽貨ようか、孔子を見んと欲す。孔子まみえず。孔子にいのこおくる。孔子其の亡きを時として、往きて之を拝す。これみちに遇う。孔子に謂いて曰く、来れ、われなんじと言わんと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
だから、私たちが城塞の下についたころには、私たち二人をのぞいたあとの一行全部は、後遅おくれてしまったのであった。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「早いどころか、これは晩種おくでございます。早種わせは正月から出始めます。寒の中でもあの通り石垣に日が当りますから苺は石の温気うんきを夏だと思って途轍とてつもない時に熟します」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
杉山のせまきはざまの晩稻おく刈ると夕をはやみ冷たかるらむ
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうして扇屋の前を通つたことなどはおくびにも出さず、縫物の殘りの袖をつけてしまつて其夜は自分の部屋に引込んで机の前に坐つて讀書をした。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
会いたくないのか、そんな筈はない、突然なので気臆おくれがしたのかも知れぬ、ありそうなことだ、だが自分はどうだ。
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
いやもっと、深い、松本から七里もおくへ入った、飛騨ひだの山中——心細い処で……それでも小学校もありゃ、郵便局もありましたっけが、それなんぞも焼けていたんでございましてね。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おくに入り行く小舟ありき
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
まち人戀ふる鼠なき格子の咒文、別れの背中に手加減の祕密おくまで、唯おもしろく聞なされて、廓ことばを町にいふまで去りとは恥かしからず思へるも哀なり、年はやう/\數への十四
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その国の徳衰えたくきて、内憂外患こも/″\せまり、滅亡になりなんとする世には、崩じておくられざるみかどのおわすためしもあれど、明のの後なお二百五十年も続きて、この時太祖の盛徳偉業、炎々えんえんの威を揚げ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのものゝ父はかの笑はしめしものを公に訟へければ、一座に連りしものより金をあつめておくり、某甲を葬りて、事解けぬとなむ。(新古文林 第一巻第五号 明治三十八年八月)
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
この稿は彼が米艦にとうじて去らんとするに際し、これを高原君におくりて紀念となしたるものなりという。松陰が横井小楠しょうなん翁に送りたるは、横井時雄氏の所蔵に拠る。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
と云うのは自殺した運河会社社長の従弟いとこであるジェルミノーさんが肺病で死ぬる間際に、警視総監に手紙をおくって、実はあの連判状は自分のしつの金庫内に保管してあるから
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
ひと生血いきちをしぼりたるむくひか、五十にもらで急病きうびやう腦充血のうじうけつ、一あさ此世このよぜいをさめて、よしや葬儀さうぎ造花つくりばな派手はで美事みごとおくりはするとも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
新九郎は、途中でふと千浪ではないかしらと遅疑おくしたが、音無瀬川おとなせがわへりへ出た時、川面の水明りでいよいよ彼女に間違いないことを知った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
離室はなれの書院のおくに読める雄揮な文字を指差して娘は、わらひ
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)