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遅
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おく
ふりがな文庫
“
遅
(
おく
)” の例文
旧字:
遲
「みんなはね、ずいぶん走ったけれども
遅
(
おく
)
れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども
追
(
お
)
いつかなかった」と
言
(
い
)
いました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
すると、ほかのものも
等
(
ひと
)
しく
立
(
た
)
ち
止
(
ど
)
まって、みんなから
遅
(
おく
)
れがちになって、とぼとぼと
歩
(
ある
)
いていた
年寄
(
としよ
)
りを
待
(
ま
)
つのでありました。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
兎
(
うさぎ
)
にたんぽぽをやっていると、
用吉君
(
ようきちくん
)
が、
今
(
いま
)
おろすところだよ、といって
来
(
き
)
たので、
遅
(
おく
)
れちゃたいへんと、
桑畑
(
くわばたけ
)
の
中
(
なか
)
の
近道
(
ちかみち
)
を
走
(
はし
)
っていった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
勿論些細な点に至るまで、ピッタリ符合しているんだ。法水君、昨日朔郎の室の時計が二分
遅
(
おく
)
んでいたのを憶えているだろう。
後光殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
返事が
遅
(
おく
)
れてすまなかったが、おたずねの人物については、いろいろ考えてみました。しかし、結局僕には見当がつきません。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
▼ もっと見る
龍太郎は、
黒鹿毛
(
くろかげ
)
にまたがって、
鞍壺
(
くらつぼ
)
のわきへ、梅雪をひッつるし、
一鞭
(
ひとむち
)
くれて走りだすと、山県蔦之助も、
遅
(
おく
)
れじものと、つづいていく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
凡ては忠相が一人で飲み込んで全事件を
揉
(
も
)
み消したのだった。二人は、忠相の情で姿を変え、
数刻
(
すうこく
)
遅
(
おく
)
れて、同じ東海道を
伊勢
(
いせ
)
へと
発足
(
ほっそく
)
する。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初夏とは云っても、
遅
(
おく
)
れた
梅雨
(
つゆ
)
の、
湿
(
しめ
)
りがトップリ、
長坂塀
(
ながいたべい
)
に
浸
(
し
)
みこんで、そこを毎日通っている工場街の人々の心を、いよいよ重くして行った。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その時もし
廉州
(
れんしゅう
)
先生が、
遅
(
おく
)
れ
馳
(
ば
)
せにでも来なかったなら、我々はさらに気まずい思いをさせられたに違いありません。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ネルチンスキイというのは一船
遅
(
おく
)
れて日本に
遠征
(
えんせい
)
に来る
筈
(
はず
)
の
芬蘭
(
フィンランド
)
の陸上選手
監督
(
かんとく
)
で、一足先きに事務上の
連絡旁々
(
れんらくかたがた
)
この船に乗った、中年の
好紳士
(
こうしんし
)
です。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
私の「美しい村」は予定よりだいぶ
遅
(
おく
)
れて、或る日のこと、
漸
(
や
)
っと
脱稿
(
だっこう
)
した。すでに七月も半ばを過ぎていた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
言い
遅
(
おく
)
れたが、——クリスマスのデコレーションを買いに来たというので、すでに読者は察せられたこととおもうけれど、そのときは十二月ももう半ばであった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
いつかも
申上
(
もうしあ
)
げた
通
(
とお
)
り、
私
(
わたくし
)
がこちらの
世界
(
せかい
)
へ
参
(
まい
)
りましたのは、
良人
(
おっと
)
よりも一
年
(
ねん
)
余
(
あま
)
り
遅
(
おく
)
れて
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
思いかけず期に
遅
(
おく
)
るることなどあらんも計られずと、
危
(
あや
)
ぶみおもいて、須坂に在りて
待
(
ま
)
たんといわれし丸山氏のもとへ人をやりて謝し、
急
(
いそ
)
ぎて豊野の方へいでたちぬ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
洗晒
(
あらひざら
)
しの
伊予絣
(
いよがすり
)
の
単衣
(
ひとへ
)
を着て、白い木綿の兵子帯を締めた貢さんは肩を並べて腰を掛けた。お濱さんは三つ
年上
(
としうへ
)
で十三に成るが、小学校は病気の為に
遅
(
おく
)
れて同じ
級
(
きふ
)
だ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
庭はまだ出来上っていない、あせればあせるほど、この植木屋さんの朝出の時間が
遅
(
おく
)
れ、彼自身が迎えにゆくと、やっと起きて出て来て、済みませんというだけであった。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
許
(
きょ
)
から
葉
(
しょう
)
へと出る途すがら、子路が独り孔子の一行に
遅
(
おく
)
れて畑中の
路
(
みち
)
を歩いて行くと、
蓧
(
あじか
)
を
荷
(
にな
)
うた一人の老人に会った。子路が気軽に
会釈
(
えしゃく
)
して、夫子を見ざりしや、と問う。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
山巓
(
さんてん
)
一
滴
(
てき
)
の
水
(
みづ
)
を
得
(
う
)
る能はざるを以て、
餅
(
もち
)
を
炙
(
あぶ
)
りて之を
食
(
くら
)
ふ、餅は今回の
旅行
(
りよこう
)
に就ては
実
(
じつ
)
に重宝なりき、此日や喜作なるもの
遅
(
おく
)
れて
到
(
いた
)
り、「いわな」魚二十三尾を
釣
(
つ
)
り来る、皆尺余なり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
可哀
(
かわい
)
そうなエチエンヌも、やっぱり自分の
脚
(
あし
)
相応
(
そうおう
)
に
歩
(
ある
)
いているのです。
調子
(
ちょうし
)
が
揃
(
そろ
)
う
筈
(
はず
)
がありません。エチエンヌは
走
(
はし
)
ります。
息
(
いき
)
を
切
(
き
)
らします。声を出します。それでも
遅
(
おく
)
れてしまいます。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
世の中に
遅
(
おく
)
れ、かかる会合のあることも何にも知らず、十三年から四年目に、初めて石川氏に
邂逅
(
かいこう
)
して、その
伝手
(
つて
)
によってようやく世間へ顔を出したような訳随分遅れていたといわねばなりません。
幕末維新懐古談:46 石川光明氏と心安くなったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
彼女がテナルディエへ送金を
遅
(
おく
)
らしはじめたのはこの時だった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
挙り立つなほし
遅
(
おく
)
れき何をしかい行きためらふおぞの父母
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
わたしは十五分ほど
遅
(
おく
)
れて、家に帰りついた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
よね 早うせんぎりや
遅
(
おく
)
るツぞ。
牛山ホテル(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
遅
(
おく
)
れ
馳
(
ば
)
せは、
武士
(
さむらい
)
の第一に
忌
(
い
)
むところである。左様な者は頼朝と事をするには足らぬ。目通りはならんっ、
疾
(
と
)
く帰れと云え!
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうしたのかなあ、ぼくには
一昨日
(
おととい
)
たいへん元気な
便
(
たよ
)
りがあったんだが。
今日
(
きょう
)
あたりもう
着
(
つ
)
くころなんだが。
船
(
ふね
)
が
遅
(
おく
)
れたんだな。ジョバンニさん。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
けれど、
季節
(
きせつ
)
に
遅
(
おく
)
れたたらは、
買
(
か
)
うと
悪
(
わる
)
いことがあるというので、
売
(
う
)
りにきても、けっして
買
(
か
)
わないのであります。
女の魚売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
暁の街をスピードを早めて追い掛けたが、こっちはボロ自動車であるから、ともすれば
遅
(
おく
)
れ
勝
(
がち
)
である。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頼
(
たの
)
むは、日本男児の
気概
(
きがい
)
のみ、
強豪
(
きょうごう
)
伊太利と英国を向うに廻し、スタアトからピッチを三十七に上げ、力漕、また力漕、しかも力
及
(
およ
)
ばず、千メエトルでは英国に
遅
(
おく
)
れること五艇身
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
こんな
事
(
こと
)
で、
敦子
(
あつこ
)
さまの
婚期
(
こんき
)
は
年
(
ねん
)
一年
(
いちねん
)
と
遅
(
おく
)
れて
行
(
ゆ
)
きました。
敦子
(
あつこ
)
さまは
後
(
のち
)
にはすっかり
棄鉢気味
(
やけきみ
)
になって、
自分
(
じぶん
)
は
生涯
(
しょうがい
)
嫁
(
よめ
)
には
行
(
い
)
かないなどと
言
(
い
)
い
張
(
は
)
って、ひどく
御両親
(
ごりょうしん
)
を
困
(
こま
)
らせました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
どうしても
仲間
(
なかま
)
について行けません。
遅
(
おく
)
れてしまいます。これはわかりきったことです。
哲学者
(
てつがくしゃ
)
といわれる人たちは、同じ
原因
(
げんいん
)
があればいつでも
同
(
おな
)
じ
結果
(
けっか
)
になるということを知っています。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
平八郎は格之助の
遅
(
おく
)
れ
勝
(
がち
)
になるのを叱り励まして、二十二日の午後に
大和
(
やまと
)
の
境
(
さかひ
)
に入つた。それから日暮に
南畑
(
みなみはた
)
で格之助に色々な物を買はせて、身なりを整へて、駅のはづれにある寺に
這入
(
はひ
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
護衛の子分をひとり連れて、
遅
(
おく
)
れてやってきた砂馬は
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
『いやもう止めい。乗り
遅
(
おく
)
れては一大事。殊に、殿の御書状を持っているのだし——それも何か、お急ぎの御用らしい』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「みんなはねずいぶん走ったけれども
遅
(
おく
)
れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども追いつかなかった。」
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
二郎
(
じろう
)
は、いつか、みんなから
遅
(
おく
)
れて、
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
して
歩
(
ある
)
いていったびっこの
馬
(
うま
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しました。また、
同時
(
どうじ
)
に、
足早
(
あしばや
)
に
歩
(
ある
)
いていった
健康
(
けんこう
)
な
馬
(
うま
)
の
姿
(
すがた
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しました。
びっこのお馬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
安心しきっていた一行は、急に壁につきあたりでもしたかのように、立ち
止
(
どま
)
りました。私も
遅
(
おく
)
れ
馳
(
ば
)
せに駈けつけてみましたが、
鳴呼
(
ああ
)
これは一体どうしたというのでしょう。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お
爺
(
じい
)
さんは
眉
(
まゆ
)
一
(
ひと
)
つ
動
(
うご
)
かされず、
済
(
す
)
まし
切
(
き
)
って
先
(
さ
)
きに
立
(
た
)
たれますので、
私
(
わたくし
)
も
黙
(
だま
)
ってその
後
(
あと
)
について
出掛
(
でか
)
けましたが、しかし
私
(
わたくし
)
の
胸
(
むね
)
の
裡
(
うち
)
は
千々
(
ちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
けて、
足
(
あし
)
の
運
(
はこ
)
びが
自然
(
しぜん
)
遅
(
おく
)
れ
勝
(
が
)
ちでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「ゴーシュさんはこの二番目の糸をひくときはきたいに
遅
(
おく
)
れるねえ。なんだかぼくがつまずくようになるよ。」
セロ弾きのゴーシュ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この日、明智の家中
進士
(
しんし
)
作左衛門は、一小隊の従者をつれて、
遅
(
おく
)
れ
走
(
ば
)
せに、
安土
(
あづち
)
から坂本城へ引き揚げて来た。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
待
(
ま
)
ってやって、
理屈
(
りくつ
)
をいわれるようじゃつまらない。さっさと
時間
(
じかん
)
がきたら、
仕事
(
しごと
)
を
始
(
はじ
)
めてしまうがいい。」と、
早
(
はや
)
い
時間
(
じかん
)
を
信
(
しん
)
ずる
組
(
くみ
)
は、
遅
(
おく
)
れた
時間
(
じかん
)
を
信
(
しん
)
ずるものにかまわずに
時計のない村
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、
遅
(
おく
)
れ
走
(
ば
)
せながら、前夜、
行宮
(
あんぐう
)
の下に帰り着き、そしてすぐ前線の配備へと廻されていたためだった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「蠍さん。もう私らは今夜は時間に
遅
(
おく
)
れました。きっと王様に
叱
(
しか
)
られます。事によったら流されるかも知れません。けれどもあなたがふだんの所に居なかったらそれこそ大変です。」
双子の星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『萩井十太夫殿の娘小夜は、十太夫殿の御病気のため、挙式は取り
遅
(
おく
)
れましたなれど、自分の云い交した妻に相違ございませぬ。——その小夜の許まで、
誰方
(
どなた
)
かお使を願いたいのです』
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうしたのかなあ。ぼくには
一昨日
(
おととい
)
大へん元気な便りがあったんだが。今日あたりもう着くころなんだが。船が
遅
(
おく
)
れたんだな。ジョバンニさん。あした放課後みなさんとうちへ遊びに来てくださいね。」
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
『それでは
却
(
かえ
)
って、残務の処理が
遅
(
おく
)
れて困るという大石殿の仰せだ。町名主に日限を示し、こちらから
督促
(
とくそく
)
しても、藩札の方は、両三日中に一切
極
(
きま
)
りをつけるようにというお言葉だった』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一日ほどは
遅
(
おく
)
れ申そう。あとの船坂峠に残って、念のため、
殿軍
(
しんがり
)
しておる」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見れば、いま
遅
(
おく
)
れ
走
(
ば
)
せに会場に入って来た
凛々
(
りり
)
しい若公卿がある。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少し、時刻に
遅
(
おく
)
れたので、賛五郎が八ツ山下へ来てみた時は、もう一同の姿はなかった。然し、足を迅めて行くうちに、品川宿と大井の間で、一行十名ほどの仲間のすがたを、並木の
彼方
(
かなた
)
に見出した。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唖然
(
あぜん
)
として気抜けしている所へ
遅
(
おく
)
れ
走
(
ば
)
せに加わった祇園藤次が
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遅
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
“遅”を含む語句
遅々
遅鈍
遅緩
遅疑
遅刻
遅蒔
遅速
大穴牟遅
鈍遅
大穴牟遅神
多遅比
多遅
遅桜
遅滞
遅疑逡巡
遅咲
遅日
遅延
手遅
阿遅須枳高日子
...