新美南吉
1913.07.30 〜 1943.03.22
“新美南吉”に特徴的な語句
中
何
村
子供
顔
来
来
人
小
方
手
大
見
行
帰
思
出
心
門
爺
上
家
今
仕事
持
立
鳴
下
音
昨日
何
知
窓
花
答
老人
出
靴
向
通
坐
声
牛
町
喰
人
三河
草鞋
長
葉
著者としての作品一覧
赤い蝋燭(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
山から里の方へ遊びにいった猿が一本の赤い蝋燭を拾いました。赤い蝋燭は沢山あるものではありません。それで猿は赤い蝋燭を花火だと思い込んでしまいました。 猿は拾った赤い蝋燭を大事に山へ …
読書目安時間:約3分
山から里の方へ遊びにいった猿が一本の赤い蝋燭を拾いました。赤い蝋燭は沢山あるものではありません。それで猿は赤い蝋燭を花火だと思い込んでしまいました。 猿は拾った赤い蝋燭を大事に山へ …
赤とんぼ(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
赤とんぼは、三回ほど空をまわって、いつも休む一本の垣根の竹の上に、チョイととまりました。 山里の昼は静かです。 そして、初夏の山里は、真実に緑につつまれています。 赤とんぼは、クル …
読書目安時間:約7分
赤とんぼは、三回ほど空をまわって、いつも休む一本の垣根の竹の上に、チョイととまりました。 山里の昼は静かです。 そして、初夏の山里は、真実に緑につつまれています。 赤とんぼは、クル …
あし(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。 すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。 ところが、あとあしがいっぽんしびれてい …
読書目安時間:約2分
二ひきの馬が、まどのところでぐうるぐうるとひるねをしていました。 すると、すずしい風がでてきたので、一ぴきがくしゃめをしてめをさましました。 ところが、あとあしがいっぽんしびれてい …
明日(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
花園みたいにまつてゐる。 祭みたいにまつてゐる。 明日がみんなをまつてゐる。 草の芽 あめ牛、てんと虫。 明日はみんなをまつてゐる。 明日はさなぎが蝶になる。 明日はつぼみが花にな …
読書目安時間:約1分
花園みたいにまつてゐる。 祭みたいにまつてゐる。 明日がみんなをまつてゐる。 草の芽 あめ牛、てんと虫。 明日はみんなをまつてゐる。 明日はさなぎが蝶になる。 明日はつぼみが花にな …
あとがき:――『おぢいさんのランプ』後書――(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
はじめて世に出る童話集なので、心のなかでひやひやしてゐます。昨年、良寛さんの伝記物語「手毬と鉢の子」を出すときにも、それは私がはじめて書いた本なので、ひやひやしました。しかし、こん …
読書目安時間:約3分
はじめて世に出る童話集なので、心のなかでひやひやしてゐます。昨年、良寛さんの伝記物語「手毬と鉢の子」を出すときにも、それは私がはじめて書いた本なので、ひやひやしました。しかし、こん …
飴だま(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
春のあたたかい日のこと、わたし舟にふたりの小さな子どもをつれた女の旅人がのりました。 舟が出ようとすると、 「おオい、ちょっとまってくれ。」 と、どての向こうから手をふりながら、さ …
読書目安時間:約3分
春のあたたかい日のこと、わたし舟にふたりの小さな子どもをつれた女の旅人がのりました。 舟が出ようとすると、 「おオい、ちょっとまってくれ。」 と、どての向こうから手をふりながら、さ …
一年生たちとひよめ(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
学校へいくとちゅうに、大きな池がありました。 一年生たちが、朝そこを通りかかりました。 池の中にはひよめが五六っぱ、黒くうかんでおりました。 それをみると一年生たちは、いつものよう …
読書目安時間:約2分
学校へいくとちゅうに、大きな池がありました。 一年生たちが、朝そこを通りかかりました。 池の中にはひよめが五六っぱ、黒くうかんでおりました。 それをみると一年生たちは、いつものよう …
一れつ(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
一れつ一れつならんでる、 土人が浜べにならんでる。 一れつ一れつならんでる、 カヌーがなぎさにならんでる。 一れつ一れつならんでる、 わにの卵がならんでる。 一れつ一れつならんでる …
読書目安時間:約1分
一れつ一れつならんでる、 土人が浜べにならんでる。 一れつ一れつならんでる、 カヌーがなぎさにならんでる。 一れつ一れつならんでる、 わにの卵がならんでる。 一れつ一れつならんでる …
井戸(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
カヤナの村の 朝の井戸、 おほぜい子供が来てました。 カヤナの村の 井戸のそば、 はだしの子供も来てました。 ああ湧いてゐる、 すんでゐる、 みんなが覗いてをりました。 みんなの顔 …
読書目安時間:約1分
カヤナの村の 朝の井戸、 おほぜい子供が来てました。 カヤナの村の 井戸のそば、 はだしの子供も来てました。 ああ湧いてゐる、 すんでゐる、 みんなが覗いてをりました。 みんなの顔 …
疣(新字旧仮名)
読書目安時間:約21分
兄さんの松吉と、弟の杉作と、年も一つ違ひでしたが、たいへんよく似てゐました。おでこの頭が顔の割に大きく、笑ふと、ひたひに猿のやうにしわがよるところ、走るとき両方の手を開いてしまふと …
読書目安時間:約21分
兄さんの松吉と、弟の杉作と、年も一つ違ひでしたが、たいへんよく似てゐました。おでこの頭が顔の割に大きく、笑ふと、ひたひに猿のやうにしわがよるところ、走るとき両方の手を開いてしまふと …
いぼ(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
にいさんの松吉と、弟の杉作と、年もひとつちがいでしたが、たいへんよくにていました。おでこの頭が顔のわりに大きく、わらうと、ひたいにさるのようにしわがよるところ、走るとき、両方の手を …
読書目安時間:約22分
にいさんの松吉と、弟の杉作と、年もひとつちがいでしたが、たいへんよくにていました。おでこの頭が顔のわりに大きく、わらうと、ひたいにさるのようにしわがよるところ、走るとき、両方の手を …
ウグヒスブエヲ フケバ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ムラノコドモタチガウグヒスブエヲフキマシタ。 ミンナデイツシヨニニギヤカニフキマシタ。 「ケキヨケキヨケキヨ、ヨ、 ケキヨケキヨ、ヨ」 ミンナハアタタカクナツテクルトハヲリヲヌイデ …
読書目安時間:約2分
ムラノコドモタチガウグヒスブエヲフキマシタ。 ミンナデイツシヨニニギヤカニフキマシタ。 「ケキヨケキヨケキヨ、ヨ、 ケキヨケキヨ、ヨ」 ミンナハアタタカクナツテクルトハヲリヲヌイデ …
ウサギ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ヒトリノアキナヒガヤツテキマシタ。 ウサギノハイツタカゴヲモツテヲリマシタ。 ソノクセ、 「ロバノコハイリマセンカ、ロバノコ」 トヨンデアルキマシタ。 チヤウサンハチヨウド、ロバガ …
読書目安時間:約2分
ヒトリノアキナヒガヤツテキマシタ。 ウサギノハイツタカゴヲモツテヲリマシタ。 ソノクセ、 「ロバノコハイリマセンカ、ロバノコ」 トヨンデアルキマシタ。 チヤウサンハチヨウド、ロバガ …
牛をつないだ椿の木(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
山の中の道のかたわらに、椿の若木がありました。牛曳きの利助さんは、それに牛をつなぎました。 人力曳きの海蔵さんも、椿の根本へ人力車をおきました。人力車は牛ではないから、つないでおか …
読書目安時間:約19分
山の中の道のかたわらに、椿の若木がありました。牛曳きの利助さんは、それに牛をつなぎました。 人力曳きの海蔵さんも、椿の根本へ人力車をおきました。人力車は牛ではないから、つないでおか …
嘘(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
久助君はおたふくかぜにかかって、五日間学校を休んだ。 六日めの朝、みんなに顔を見られるのははずかしいなと思いながら、学校にいくと、もう授業がはじまっていた。 教室では、案のじょう、 …
読書目安時間:約29分
久助君はおたふくかぜにかかって、五日間学校を休んだ。 六日めの朝、みんなに顔を見られるのははずかしいなと思いながら、学校にいくと、もう授業がはじまっていた。 教室では、案のじょう、 …
うた時計(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
二月のある日、野中のさびしい道を、十二、三の少年と、皮のかばんをかかえた三十四、五の男の人とが、同じ方へ歩いていった。 風がすこしもないあたたかい日で、もう霜がとけて道はぬれていた …
読書目安時間:約10分
二月のある日、野中のさびしい道を、十二、三の少年と、皮のかばんをかかえた三十四、五の男の人とが、同じ方へ歩いていった。 風がすこしもないあたたかい日で、もう霜がとけて道はぬれていた …
乳母車(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
坊やがせがむと 乳母車、 つばきの花をつけられる。 そしてくる/\ くる/\と、 ご門のとこまでひかれてく。 坊やがねないと 乳母車、 ねんねこようをきかされる。 そしてゆら/\ …
読書目安時間:約1分
坊やがせがむと 乳母車、 つばきの花をつけられる。 そしてくる/\ くる/\と、 ご門のとこまでひかれてく。 坊やがねないと 乳母車、 ねんねこようをきかされる。 そしてゆら/\ …
ウマヤノ ソバノ ナタネ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約6分
ウマヤノマドノソトニナタネガハエテヲリマシタ。 マダ花ハサイテヲリマセン。ケレドツボミガタクサンツイテヲリマシタ。 モウヂキハルガクルノデス。ウマヤノマエノヒザシガヒニヒニアタタカ …
読書目安時間:約6分
ウマヤノマドノソトニナタネガハエテヲリマシタ。 マダ花ハサイテヲリマセン。ケレドツボミガタクサンツイテヲリマシタ。 モウヂキハルガクルノデス。ウマヤノマエノヒザシガヒニヒニアタタカ …
うまれて 来る 雀達(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
その雀はびつこでした。まだやつと飛べるやうになつたばかりの頃、いたづらな少年にとらへられて片足をひもで固く縛られましたためか弱い足はきづついてしまつたのでした。 そのびつこの雀が麥 …
読書目安時間:約2分
その雀はびつこでした。まだやつと飛べるやうになつたばかりの頃、いたづらな少年にとらへられて片足をひもで固く縛られましたためか弱い足はきづついてしまつたのでした。 そのびつこの雀が麥 …
海から帰る日(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
五年間に通過して來た道、それは今考へたつてわからない。たゞわかるものは今の心だ。五年の最後に到達した心だ。人の心ではない。自分の心だ。雲はビルデイングになつてくれない。風鈴草はいく …
読書目安時間:約4分
五年間に通過して來た道、それは今考へたつてわからない。たゞわかるものは今の心だ。五年の最後に到達した心だ。人の心ではない。自分の心だ。雲はビルデイングになつてくれない。風鈴草はいく …
売られていった靴(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
靴屋のこぞう、兵助が、はじめていっそくの靴をつくりました。 するとひとりの旅人がやってきて、その靴を買いました。 兵助は、じぶんのつくった靴がはじめて売れたので、うれしくてうれしく …
読書目安時間:約2分
靴屋のこぞう、兵助が、はじめていっそくの靴をつくりました。 するとひとりの旅人がやってきて、その靴を買いました。 兵助は、じぶんのつくった靴がはじめて売れたので、うれしくてうれしく …
王さまと靴屋(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。 町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。 王さまは靴屋の店にはいっ …
読書目安時間:約3分
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。 町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。 王さまは靴屋の店にはいっ …
巨男の話(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
巨男とお母さんの住んでいたところはここからたいへん遠くのある森の中でした。 巨男のお母さんはおそろしい魔女でした。ほら鷲のような高い鼻や、蛇のような鋭い眼を持ったあのおそろしい魔女 …
読書目安時間:約8分
巨男とお母さんの住んでいたところはここからたいへん遠くのある森の中でした。 巨男のお母さんはおそろしい魔女でした。ほら鷲のような高い鼻や、蛇のような鋭い眼を持ったあのおそろしい魔女 …
お母さん達(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
お母さんになつた小鳥が木の上の巣の中で卵をあたためてをりました。するとまた今日も牝牛がその下へやつて來ました。 「小鳥さん、今日は。」と牝牛がいひました。 「まだ卵は孵りませんか。 …
読書目安時間:約3分
お母さんになつた小鳥が木の上の巣の中で卵をあたためてをりました。するとまた今日も牝牛がその下へやつて來ました。 「小鳥さん、今日は。」と牝牛がいひました。 「まだ卵は孵りませんか。 …
丘の銅像(新字新仮名)
読書目安時間:約17分
丘のふもとの、うつくしい平和な村に、ハンスという、詩人が住んでいました。 丘の上に立って、うつくしい村をながめては、歌にうたい、牧場にいって、やさしいひつじのむれをながめては、詩を …
読書目安時間:約17分
丘のふもとの、うつくしい平和な村に、ハンスという、詩人が住んでいました。 丘の上に立って、うつくしい村をながめては、歌にうたい、牧場にいって、やさしいひつじのむれをながめては、詩を …
おじいさんのランプ(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
かくれんぼで、倉の隅にもぐりこんだ東一君がランプを持って出て来た。 それは珍らしい形のランプであった。八十糎ぐらいの太い竹の筒が台になっていて、その上にちょっぴり火のともる部分がく …
読書目安時間:約25分
かくれんぼで、倉の隅にもぐりこんだ東一君がランプを持って出て来た。 それは珍らしい形のランプであった。八十糎ぐらいの太い竹の筒が台になっていて、その上にちょっぴり火のともる部分がく …
おしどり(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
林泉のほとりに今日も若者はひとりうっそりしゃがんでいた。冠はほころびくつには穴があき、あごにははらはらとぶしょうひげがみられ、頬骨の下にはのみでえぐったようなくぼみがあった。そして …
読書目安時間:約12分
林泉のほとりに今日も若者はひとりうっそりしゃがんでいた。冠はほころびくつには穴があき、あごにははらはらとぶしょうひげがみられ、頬骨の下にはのみでえぐったようなくぼみがあった。そして …
お月さまを(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
お月さまを みいあげた。 マストにのぼつた ふなのりが。 何だか青いと、さういつた。 お月さまを みいあげた。 わたしが窓から 一人きり。 母さん静かね、さういつた。 …
読書目安時間:約1分
お月さまを みいあげた。 マストにのぼつた ふなのりが。 何だか青いと、さういつた。 お月さまを みいあげた。 わたしが窓から 一人きり。 母さん静かね、さういつた。 …
落とした一銭銅貨(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
雀が一銭銅貨をひろいました。 雀はうれしくてうれしくてたまりません。 ほかの雀をみると、 「ぼくおかねをもってるよ。」 といって、くわえていた一銭銅貨を砂の上においてみせてやりまし …
読書目安時間:約2分
雀が一銭銅貨をひろいました。 雀はうれしくてうれしくてたまりません。 ほかの雀をみると、 「ぼくおかねをもってるよ。」 といって、くわえていた一銭銅貨を砂の上においてみせてやりまし …
カゴカキ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ツキヨノマツナミキノミチデ一リノサムライガ、ウシロカラハシツテキタカラノカゴニノセテモラヒマシタ。 カゴハ、 「ヨイシヨヨイシヨ。」トシロイミチヲヒトスジニハシリマシタ。シバラクス …
読書目安時間:約2分
ツキヨノマツナミキノミチデ一リノサムライガ、ウシロカラハシツテキタカラノカゴニノセテモラヒマシタ。 カゴハ、 「ヨイシヨヨイシヨ。」トシロイミチヲヒトスジニハシリマシタ。シバラクス …
鍛冶屋の子(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
何時まで経つてもちつとも開けて行かない、海岸から遠い傾いた町なんだ。 ——街路はせまい、いつでも黒くきたない、両側にぎつしり家が並んでゐる、ひさしに白いほこりが、にぶい太陽の光にさ …
読書目安時間:約6分
何時まで経つてもちつとも開けて行かない、海岸から遠い傾いた町なんだ。 ——街路はせまい、いつでも黒くきたない、両側にぎつしり家が並んでゐる、ひさしに白いほこりが、にぶい太陽の光にさ …
カタツムリノ ウタ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
アルアサ王サマハ、石ノカベニ一ピキノカタツムリヲミツケマシタ。カタツムリガツノヲフツテルノヲミテヰルト、王サマハ、子ドモノジブン、何ダカ、カタツムリノウタヲヨクウタツタコトヲオモヒ …
読書目安時間:約1分
アルアサ王サマハ、石ノカベニ一ピキノカタツムリヲミツケマシタ。カタツムリガツノヲフツテルノヲミテヰルト、王サマハ、子ドモノジブン、何ダカ、カタツムリノウタヲヨクウタツタコトヲオモヒ …
がちょうの たんじょうび(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
あるおひゃくしょうやのうらにわにあひるや、がちょうや、もるもっとや、うさぎや、いたちなどがすんでおりました。 さて、あるひのことがちょうのたんじょうびというので、みんなはがちょうの …
読書目安時間:約2分
あるおひゃくしょうやのうらにわにあひるや、がちょうや、もるもっとや、うさぎや、いたちなどがすんでおりました。 さて、あるひのことがちょうのたんじょうびというので、みんなはがちょうの …
ガチヨウノ タンジヨウビ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
アルオヒヤクシヨウヤノウラニハニアヒルヤ、ガチヨウヤ、モルモツトヤ、ウサギヤ、イタチナドガスンデヲリマシタ。 サテ、アルヒノコトガチヨウノタンジヨウビトイフノデ、ミンナハガチヨウノ …
読書目安時間:約2分
アルオヒヤクシヨウヤノウラニハニアヒルヤ、ガチヨウヤ、モルモツトヤ、ウサギヤ、イタチナドガスンデヲリマシタ。 サテ、アルヒノコトガチヨウノタンジヨウビトイフノデ、ミンナハガチヨウノ …
カナヅチ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ヒトリノフエフキガアリマシタ。フエヲ一ポンモツテイエイエノトグチニタツテ、ヒロヒロヒートカナシイオトヲフルハセ、一セン二センヲモラツテタビヲシマシタ。アルヒミチバタデカナヅチヲ一ツ …
読書目安時間:約2分
ヒトリノフエフキガアリマシタ。フエヲ一ポンモツテイエイエノトグチニタツテ、ヒロヒロヒートカナシイオトヲフルハセ、一セン二センヲモラツテタビヲシマシタ。アルヒミチバタデカナヅチヲ一ツ …
蟹のしょうばい(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
蟹がいろいろ考えたあげく、とこやをはじめました。蟹の考えとしてはおおできでありました。 ところで、蟹は、 「とこやというしょうばいは、たいへんひまなものだな。」 と思いました。と申 …
読書目安時間:約2分
蟹がいろいろ考えたあげく、とこやをはじめました。蟹の考えとしてはおおできでありました。 ところで、蟹は、 「とこやというしょうばいは、たいへんひまなものだな。」 と思いました。と申 …
かぶと虫(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
お花畑から、大きな虫がいつぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。 からだが重いのか、ゆつくりのぼりはじめました。 地面から一メートルぐらゐのぼると、横にとびはじめました。 やはり、 …
読書目安時間:約7分
お花畑から、大きな虫がいつぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。 からだが重いのか、ゆつくりのぼりはじめました。 地面から一メートルぐらゐのぼると、横にとびはじめました。 やはり、 …
かぶと虫(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
お花畑から、大きな虫が一ぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。 からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。 地面から一メートルぐらいのぼると、横に飛びはじめました。 やはり、か …
読書目安時間:約8分
お花畑から、大きな虫が一ぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。 からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。 地面から一メートルぐらいのぼると、横に飛びはじめました。 やはり、か …
川(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
四人が川のふちまできたとき、いままでだまってついてくるようなふうだった薬屋の子の音次郎君が、ポケットから大きなかきをひとつとり出して、こういった。 「川の中にいちばん長くはいってい …
読書目安時間:約18分
四人が川のふちまできたとき、いままでだまってついてくるようなふうだった薬屋の子の音次郎君が、ポケットから大きなかきをひとつとり出して、こういった。 「川の中にいちばん長くはいってい …
カンザシ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ヲンナノコガイケノフチカラミズノナカヲノゾイテヲリマシタ。 ミズノナカニハイツピキノサカナガシヅンデヲリマシタ。 「アツ」 トヲンナノコガサケビマシタ。カンザシガヲンナノコノアタマ …
読書目安時間:約2分
ヲンナノコガイケノフチカラミズノナカヲノゾイテヲリマシタ。 ミズノナカニハイツピキノサカナガシヅンデヲリマシタ。 「アツ」 トヲンナノコガサケビマシタ。カンザシガヲンナノコノアタマ …
カンテラ(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
カンテラ カンテラ 坑の奥、 坑夫の肩を てらしてる。 つるはし つるはし 坑の奥、 カーン/\と つかれてる。 トロツコ トロツコ 坑の奥、 一ぱい積んで よろけてる。 明日よ …
読書目安時間:約1分
カンテラ カンテラ 坑の奥、 坑夫の肩を てらしてる。 つるはし つるはし 坑の奥、 カーン/\と つかれてる。 トロツコ トロツコ 坑の奥、 一ぱい積んで よろけてる。 明日よ …
狐(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
月夜に七人の子供が歩いておりました。 大きい子供も小さい子供もまじっておりました。 月は、上から照らしておりました。子供たちの影は短かく地べたにうつりました。 子供たちはじぶんじぶ …
読書目安時間:約13分
月夜に七人の子供が歩いておりました。 大きい子供も小さい子供もまじっておりました。 月は、上から照らしておりました。子供たちの影は短かく地べたにうつりました。 子供たちはじぶんじぶ …
狐のつかい(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
山のなかに、猿や鹿や狼や狐などがいっしょにすんでおりました。 みんなはひとつのあんどんをもっていました。紙ではった四角な小さいあんどんでありました。 夜がくると、みんなはこのあんど …
読書目安時間:約2分
山のなかに、猿や鹿や狼や狐などがいっしょにすんでおりました。 みんなはひとつのあんどんをもっていました。紙ではった四角な小さいあんどんでありました。 夜がくると、みんなはこのあんど …
木の祭り(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
木に白い美しい花がいっぱいさきました。木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思 …
読書目安時間:約3分
木に白い美しい花がいっぱいさきました。木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思 …
久助君の話(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
久助君は、四年から五年になるとき、学術優等品行方正のほうびをもらってきた。 はじめて久助君がほうびをもらったので、電気会社の集金人であるおとうさんは、ひじょうにいきごんで、それから …
読書目安時間:約10分
久助君は、四年から五年になるとき、学術優等品行方正のほうびをもらってきた。 はじめて久助君がほうびをもらったので、電気会社の集金人であるおとうさんは、ひじょうにいきごんで、それから …
去年の木(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
いっぽんの木と、いちわの小鳥とはたいへんなかよしでした。小鳥はいちんちその木の枝で歌をうたい、木はいちんちじゅう小鳥の歌をきいていました。 けれど寒い冬がちかづいてきたので、小鳥は …
読書目安時間:約2分
いっぽんの木と、いちわの小鳥とはたいへんなかよしでした。小鳥はいちんちその木の枝で歌をうたい、木はいちんちじゅう小鳥の歌をきいていました。 けれど寒い冬がちかづいてきたので、小鳥は …
空気ポンプ(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
村にはみるものがいくらでもあった。鍛冶屋、仕立屋、水車小屋、せんべや、樽屋。それから自転車屋など。それらはなんというすばらしい見物だったことだろう。それらの一つ一つが、半日立ちつく …
読書目安時間:約15分
村にはみるものがいくらでもあった。鍛冶屋、仕立屋、水車小屋、せんべや、樽屋。それから自転車屋など。それらはなんというすばらしい見物だったことだろう。それらの一つ一つが、半日立ちつく …
草(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
八月八日のおひるすぎ、おとなたちがござをしいて昼寝をしているじぶん、心平君たちは、いつものように、土橋のところへあつまりました。それから、山の大池に向かって、しゅっぱつしました。 …
読書目安時間:約5分
八月八日のおひるすぎ、おとなたちがござをしいて昼寝をしているじぶん、心平君たちは、いつものように、土橋のところへあつまりました。それから、山の大池に向かって、しゅっぱつしました。 …
熊(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
熊は月夜に声きいた。 どこか遠くでよんでゐた。 熊はむくりと起きて来た。 檻の鉄棒ひえてゐた。 熊は耳をばすましてた。 アイヌのやうな声だつた。 熊は故郷を思つてた。 落葉松林を思 …
読書目安時間:約1分
熊は月夜に声きいた。 どこか遠くでよんでゐた。 熊はむくりと起きて来た。 檻の鉄棒ひえてゐた。 熊は耳をばすましてた。 アイヌのやうな声だつた。 熊は故郷を思つてた。 落葉松林を思 …
くまの こ(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
かりうどが、ゆきのつもったやまへ、りょうにいきました。うさぎを一ぴきみつけたので、きのあいだやこみちのうえを、おっかけまわって、やっとのことでうちとめました。うさぎをふくろにいれて …
読書目安時間:約2分
かりうどが、ゆきのつもったやまへ、りょうにいきました。うさぎを一ぴきみつけたので、きのあいだやこみちのうえを、おっかけまわって、やっとのことでうちとめました。うさぎをふくろにいれて …
ゲタニ バケル(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ムラガアリマシタ。ムラノソトヲヲガハガナガレテヰマシタ。カハノキシニハハンノキガシゲツテヰマシタ。 ハンノキノシタデオカアサンノタヌキガコドモノタヌキニバケルコトヲヲシヘテヰマシタ …
読書目安時間:約2分
ムラガアリマシタ。ムラノソトヲヲガハガナガレテヰマシタ。カハノキシニハハンノキガシゲツテヰマシタ。 ハンノキノシタデオカアサンノタヌキガコドモノタヌキニバケルコトヲヲシヘテヰマシタ …
決闘(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞい …
読書目安時間:約12分
「犬」という字が一字きり大きく黒板に書かれてあります。先生はその前を右へいったり左へいったり、ときにはそこから生徒たちの方へおりてきて、生徒たちがせっせと作文を書いているのをのぞい …
仔牛(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
仔牛がある日お父さん牛とお母さん牛のところへいつて、 「父ちやん母ちやん、あたい體の中がむぢゆむぢゆすんの。」といひました。お父さん牛もお母さん牛もすつかりよろこんでよだれをたらし …
読書目安時間:約2分
仔牛がある日お父さん牛とお母さん牛のところへいつて、 「父ちやん母ちやん、あたい體の中がむぢゆむぢゆすんの。」といひました。お父さん牛もお母さん牛もすつかりよろこんでよだれをたらし …
仔牛(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
仔牛は日向に たつてゐた 細い四足すつきり伸びて 小さいひづめは繁縷ふんで。 日永、半日 たつてゐた 青いお目々は牡丹をみつめ 黝いお鼻は匂ひにぬれて。 すると日暮にお角が生えた。 …
読書目安時間:約1分
仔牛は日向に たつてゐた 細い四足すつきり伸びて 小さいひづめは繁縷ふんで。 日永、半日 たつてゐた 青いお目々は牡丹をみつめ 黝いお鼻は匂ひにぬれて。 すると日暮にお角が生えた。 …
苔人形(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
苔人形は つくられた、 木の実や苔や 白樺で。 ランプのかげに つくられた、 シベリア樅の 森のかげ。 いろんな顔に ゑがかれた、 ほだの消えてく 寒い夜に。 こつこつこつと けづ …
読書目安時間:約1分
苔人形は つくられた、 木の実や苔や 白樺で。 ランプのかげに つくられた、 シベリア樅の 森のかげ。 いろんな顔に ゑがかれた、 ほだの消えてく 寒い夜に。 こつこつこつと けづ …
こぞうさんの おきょう(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
やまでらのおしょうさんがびょうきになりましたので、かわりにこぞうさんがだんかへおきょうをよみにいきました。 おきょうをわすれないように、こぞうさんはみちみちよんでいきました。 キミ …
読書目安時間:約2分
やまでらのおしょうさんがびょうきになりましたので、かわりにこぞうさんがだんかへおきょうをよみにいきました。 おきょうをわすれないように、こぞうさんはみちみちよんでいきました。 キミ …
子どものすきな神さま(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
子どものすきな小さい神さまがありました。いつもは森の中で、歌をうたったり笛をふいたりして、小鳥やけものと遊んでいましたが、ときどき人のすんでいる村へ出てきて、すきな子どもたちと遊ぶ …
読書目安時間:約3分
子どものすきな小さい神さまがありました。いつもは森の中で、歌をうたったり笛をふいたりして、小鳥やけものと遊んでいましたが、ときどき人のすんでいる村へ出てきて、すきな子どもたちと遊ぶ …
ごろぜみ(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ごろぜみ、ごつとん でろよ。 月夜に、つちから でろよ。 合歓の木、ねもとは にほふよ、 花だか、土だか にほふよ。 ごろぜみ、ころもを ぬげよ。 月夜は、つーいと なけよ。 …
読書目安時間:約1分
ごろぜみ、ごつとん でろよ。 月夜に、つちから でろよ。 合歓の木、ねもとは にほふよ、 花だか、土だか にほふよ。 ごろぜみ、ころもを ぬげよ。 月夜は、つーいと なけよ。 …
ごん狐(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。 むかしは、私たちの村のちかくの、中山というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそ …
読書目安時間:約10分
これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。 むかしは、私たちの村のちかくの、中山というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそ …
ごんごろ鐘(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
三月八日 お父さんが、夕方村会からかえって来て、こうおっしゃった。 「ごんごろ鐘を献納することにきまったよ。」 お母さんはじめ、うちじゅうのものがびっくりした。が、僕はあまり驚かな …
読書目安時間:約18分
三月八日 お父さんが、夕方村会からかえって来て、こうおっしゃった。 「ごんごろ鐘を献納することにきまったよ。」 お母さんはじめ、うちじゅうのものがびっくりした。が、僕はあまり驚かな …
最後の胡弓弾き(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
旧の正月が近くなると、竹藪の多いこの小さな村で、毎晩鼓の音と胡弓のすすりなくような声が聞えた。百姓の中で鼓と胡弓のうまい者が稽古をするのであった。 そしていよいよ旧正月がやって来る …
読書目安時間:約32分
旧の正月が近くなると、竹藪の多いこの小さな村で、毎晩鼓の音と胡弓のすすりなくような声が聞えた。百姓の中で鼓と胡弓のうまい者が稽古をするのであった。 そしていよいよ旧正月がやって来る …
坂道(旧字旧仮名)
読書目安時間:約9分
東京のさる專門學校の生徒である草野金太郎は、春休みで故郷の町に歸省してゐたが、春休みも終つたので、あと二時間もするとまた一人で東京にたつのである。 荷物はまとめて驛に出してしまひ、 …
読書目安時間:約9分
東京のさる專門學校の生徒である草野金太郎は、春休みで故郷の町に歸省してゐたが、春休みも終つたので、あと二時間もするとまた一人で東京にたつのである。 荷物はまとめて驛に出してしまひ、 …
里の春、山の春(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
野原にはもう春がきていました。 桜がさき、小鳥はないておりました。 けれども、山にはまだ春はきていませんでした。 山のいただきには、雪も白くのこっていました。 山のおくには、おやこ …
読書目安時間:約2分
野原にはもう春がきていました。 桜がさき、小鳥はないておりました。 けれども、山にはまだ春はきていませんでした。 山のいただきには、雪も白くのこっていました。 山のおくには、おやこ …
サルト サムライ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
五ニンノサムライガタビヲシテアルヒヤマミチヲトホリカヽルト、木ノ下ニ一ピキノサルガヰマシタ。 「アノサルヲキラウ。」 「サウダ、ワタシガキル。ワタシハモウ一ツキアマリカタナヲヌカナ …
読書目安時間:約2分
五ニンノサムライガタビヲシテアルヒヤマミチヲトホリカヽルト、木ノ下ニ一ピキノサルガヰマシタ。 「アノサルヲキラウ。」 「サウダ、ワタシガキル。ワタシハモウ一ツキアマリカタナヲヌカナ …
島(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
島で、或あさ、 鯨がとれた。 どこの家でも、 鯨を食べた。 鬚は、呻りに、 売られていつた。 りらら、鯨油は、 ランプで燃えた。 鯨の話が、 どこでもされた。 島は、小さな、 まづ …
読書目安時間:約1分
島で、或あさ、 鯨がとれた。 どこの家でも、 鯨を食べた。 鬚は、呻りに、 売られていつた。 りらら、鯨油は、 ランプで燃えた。 鯨の話が、 どこでもされた。 島は、小さな、 まづ …
島(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
おーい見えたと マストから、梟みたいに よんでゐる。 そーら島だと ケビンから羽蟻みたいに かけてでる。 ほーう小さいと 円窓に望遠鏡が つきでゝる。 ボーウ、ボーウと サイレンが …
読書目安時間:約1分
おーい見えたと マストから、梟みたいに よんでゐる。 そーら島だと ケビンから羽蟻みたいに かけてでる。 ほーう小さいと 円窓に望遠鏡が つきでゝる。 ボーウ、ボーウと サイレンが …
正坊とクロ(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
村むらを興行して歩くサーカス団がありました。十人そこそこの軽業師と、年をとった黒くまと馬二とうだけの小さな団です。馬は舞台に出るほかに、つぎの土地へうつっていくとき、赤いラシャの毛 …
読書目安時間:約9分
村むらを興行して歩くサーカス団がありました。十人そこそこの軽業師と、年をとった黒くまと馬二とうだけの小さな団です。馬は舞台に出るほかに、つぎの土地へうつっていくとき、赤いラシャの毛 …
深呼吸(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
クリームのやうににほふから、 ——朝の空気はにほふから、 通風筒は深呼吸。 とても一ぱいすひこんだ。 ソーダ水のよにひやいから、 ——朝の空気はひやいから、 煙突もする深呼吸。 と …
読書目安時間:約1分
クリームのやうににほふから、 ——朝の空気はにほふから、 通風筒は深呼吸。 とても一ぱいすひこんだ。 ソーダ水のよにひやいから、 ——朝の空気はひやいから、 煙突もする深呼吸。 と …
雀の歌(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
小さい卵のなかにゐる かあいゝ坊やよでゝおいで、 みんなはおまえを待つてゐる。 お空は青くはれてゐる、 坊やのお歌を待つてゐる。 梢の空気は澄んでゐる。 小麦は軒端にこぼれてる。 …
読書目安時間:約1分
小さい卵のなかにゐる かあいゝ坊やよでゝおいで、 みんなはおまえを待つてゐる。 お空は青くはれてゐる、 坊やのお歌を待つてゐる。 梢の空気は澄んでゐる。 小麦は軒端にこぼれてる。 …
センセイノ コ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
タキクンノオトウサンハ一ネンダンシノウケモチデシタ。オトウサンハハナノ下ニクロイヒゲヲツケテヰタノデ、コドモタチハ「ヒゲサン」トヨンデヰマシタガ、ヤガテタキクンノコトモ「ヒゲサン」 …
読書目安時間:約2分
タキクンノオトウサンハ一ネンダンシノウケモチデシタ。オトウサンハハナノ下ニクロイヒゲヲツケテヰタノデ、コドモタチハ「ヒゲサン」トヨンデヰマシタガ、ヤガテタキクンノコトモ「ヒゲサン」 …
そりとランターン(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ランタンともしたそりだから、 ひばなみたいにはしつてる。 ランタンほのかなそりだから、 そこだけ粉雪見えてゐる。 ランタンあをいそりだから、 馴鹿のしり光つてる。 ランタン消えそな …
読書目安時間:約1分
ランタンともしたそりだから、 ひばなみたいにはしつてる。 ランタンほのかなそりだから、 そこだけ粉雪見えてゐる。 ランタンあをいそりだから、 馴鹿のしり光つてる。 ランタン消えそな …
たけのこ(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
たけのこははじめじびたのしたにいて、あっちこっちへくぐっていくものであります。 そして、あめがふったあとなどにぽこぽことつちからあたまをだすのであります。 さて、このおはなしは、ま …
読書目安時間:約2分
たけのこははじめじびたのしたにいて、あっちこっちへくぐっていくものであります。 そして、あめがふったあとなどにぽこぽことつちからあたまをだすのであります。 さて、このおはなしは、ま …
タケノコ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
タケノコハハジメヂビタノシタニヰテ、アツチコツチヘクグツテイクモノデアリマス。 ソシテ、アメガフツタアトナドニポコポコトツチカラアタマヲダスノデアリマス。 サテ、コノオハナシハ、マ …
読書目安時間:約2分
タケノコハハジメヂビタノシタニヰテ、アツチコツチヘクグツテイクモノデアリマス。 ソシテ、アメガフツタアトナドニポコポコトツチカラアタマヲダスノデアリマス。 サテ、コノオハナシハ、マ …
タレノ カゲ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
マチノマンナカニヒロツパガアリマシタ。ヒロツパノマンナカニマルイカゲガヒトツオチテヰマシタ。ソコヲフタリノコドモガトホリカカリマシタ。 「コレハナンノカゲダラウ」 トヒトリガイヒマ …
読書目安時間:約2分
マチノマンナカニヒロツパガアリマシタ。ヒロツパノマンナカニマルイカゲガヒトツオチテヰマシタ。ソコヲフタリノコドモガトホリカカリマシタ。 「コレハナンノカゲダラウ」 トヒトリガイヒマ …
小さい太郎の悲しみ(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
お花畑から、大きな虫がいっぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。 からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。 地面から一メートルぐらいのぼると、横にとびはじめました。 やはり、 …
読書目安時間:約8分
お花畑から、大きな虫がいっぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。 からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。 地面から一メートルぐらいのぼると、横にとびはじめました。 やはり、 …
チユーリツプ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
學校の歸りに君子さんはお友達のノリ子さんにうちのチユーリツプの自慢をしました。 「うちで咲いたチユーリツプは、お花屋さんが賣りに來るのより五倍も綺麗なのよ。」 「あら、いゝわね。」 …
読書目安時間:約3分
學校の歸りに君子さんはお友達のノリ子さんにうちのチユーリツプの自慢をしました。 「うちで咲いたチユーリツプは、お花屋さんが賣りに來るのより五倍も綺麗なのよ。」 「あら、いゝわね。」 …
張紅倫(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
奉天(ほうてん)大戦争(一九〇五年)の数日まえの、ある夜中のことでした。わがある部隊の大隊長青木少佐は、畑の中に立っている歩哨(ほしょう)を見まわって歩きました。歩哨は、めいぜられ …
読書目安時間:約10分
奉天(ほうてん)大戦争(一九〇五年)の数日まえの、ある夜中のことでした。わがある部隊の大隊長青木少佐は、畑の中に立っている歩哨(ほしょう)を見まわって歩きました。歩哨は、めいぜられ …
ツイテ イツタ テフテフ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
マチカドデフウセンウリノヂイサンガフウセンヲウツテヰマシタ。アカヤアヲヤキイロヤムラサキヤ、イロイロナフウセンダマハホホヲスリヨセナガラカゼノフクハウヘナビイテヰマシタ。 イツピキ …
読書目安時間:約2分
マチカドデフウセンウリノヂイサンガフウセンヲウツテヰマシタ。アカヤアヲヤキイロヤムラサキヤ、イロイロナフウセンダマハホホヲスリヨセナガラカゼノフクハウヘナビイテヰマシタ。 イツピキ …
月から(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
月からきたねこ、 屋根にゐる。 屋根からしつぽをおつたてる。 月からきたとり、 うろにゐる。 うろからそちこちどなつてる。 月から来た人、 柵にゐる。 柵からナイフをぬいてゐる。 …
読書目安時間:約1分
月からきたねこ、 屋根にゐる。 屋根からしつぽをおつたてる。 月からきたとり、 うろにゐる。 うろからそちこちどなつてる。 月から来た人、 柵にゐる。 柵からナイフをぬいてゐる。 …
月の角笛(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
月が角笛 夜ふけにふいた ぽうぽうぽうよ、 ぽうぽうぽうよ。 犬が野原を めぐつてないた。 ぎりり、時計のねぢをばまいて 牧師が階段、ことことおりた。 月が角笛 とほくにふいた。 …
読書目安時間:約1分
月が角笛 夜ふけにふいた ぽうぽうぽうよ、 ぽうぽうぽうよ。 犬が野原を めぐつてないた。 ぎりり、時計のねぢをばまいて 牧師が階段、ことことおりた。 月が角笛 とほくにふいた。 …
デパートの窓(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
デパートの窓の、 カーテンがするりとあいた。 時計がカン/\六つなる。 デパートの窓から、 パンをやくにほひがながれた。 時計がカン/\八つなる。 デパートの窓に、 パラソルの花が …
読書目安時間:約1分
デパートの窓の、 カーテンがするりとあいた。 時計がカン/\六つなる。 デパートの窓から、 パンをやくにほひがながれた。 時計がカン/\八つなる。 デパートの窓に、 パラソルの花が …
手袋を買いに(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
寒い冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森へもやって来ました。 或朝洞穴から子供の狐が出ようとしましたが、 「あっ」と叫んで眼を抑えながら母さん狐のところへころげて来ました。 「母ち …
読書目安時間:約8分
寒い冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森へもやって来ました。 或朝洞穴から子供の狐が出ようとしましたが、 「あっ」と叫んで眼を抑えながら母さん狐のところへころげて来ました。 「母ち …
デンデンムシ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
大キナデンデン蟲ノセナカニウマレタバカリノ小サナデンデン蟲ガノツテヰマシタ。小サナ小サナスキトホルヤウナデンデン蟲デシタ。 「ボウヤボウヤ。モウ、アサダカラ、メヲダシナサイ。」ト、 …
読書目安時間:約2分
大キナデンデン蟲ノセナカニウマレタバカリノ小サナデンデン蟲ガノツテヰマシタ。小サナ小サナスキトホルヤウナデンデン蟲デシタ。 「ボウヤボウヤ。モウ、アサダカラ、メヲダシナサイ。」ト、 …
デンデンムシノ カナシミ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
イツピキノデンデンムシガアリマシタ。 アルヒソノデンデンムシハタイヘンナコトニキガツキマシタ。 「ワタシハイママデウツカリシテヰタケレド、ワタシノセナカノカラノナカニハカナシミガイ …
読書目安時間:約2分
イツピキノデンデンムシガアリマシタ。 アルヒソノデンデンムシハタイヘンナコトニキガツキマシタ。 「ワタシハイママデウツカリシテヰタケレド、ワタシノセナカノカラノナカニハカナシミガイ …
童話における物語性の喪失(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
放送局がラジオ小説を募集するとき次のような条件をつける。一、三十分で完結するもの。一、登場人物は×名位が好都合である。一、明朗健全にして、国民性をよく発揚しているものたること。そし …
読書目安時間:約6分
放送局がラジオ小説を募集するとき次のような条件をつける。一、三十分で完結するもの。一、登場人物は×名位が好都合である。一、明朗健全にして、国民性をよく発揚しているものたること。そし …
どらが鳴る(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
どらんどらん どらん どらが鳴る。 よふけの部落のひろつぱで。 どらんどらん どらん まどがあく。 あつちこつちで音がする。 どらんどらん どらん かけてくる。 ブーメラングや毒鎗 …
読書目安時間:約1分
どらんどらん どらん どらが鳴る。 よふけの部落のひろつぱで。 どらんどらん どらん まどがあく。 あつちこつちで音がする。 どらんどらん どらん かけてくる。 ブーメラングや毒鎗 …
鳥右ヱ門諸国をめぐる(新字旧仮名)
読書目安時間:約33分
鳥山鳥右ヱ門は、弓矢を抱へて、白い馬にまたがり、広い庭のまんなかに立つてゐました。しもべの平次が犬をひいてあらはれるのを待つてゐたのです。 その、しもべの平次を、主人の鳥右ヱ門はあ …
読書目安時間:約33分
鳥山鳥右ヱ門は、弓矢を抱へて、白い馬にまたがり、広い庭のまんなかに立つてゐました。しもべの平次が犬をひいてあらはれるのを待つてゐたのです。 その、しもべの平次を、主人の鳥右ヱ門はあ …
ナガレボシ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
フユノサムイサムイヨフケ、ヒユーンヒユーントコガラシノフクオソラノ上ノハウデ三ツナランダコドモノホシガ、ケンクワヲシマシタ。イツモハナカヨシダツタノデスケレド、アンマリマンナカノホ …
読書目安時間:約2分
フユノサムイサムイヨフケ、ヒユーンヒユーントコガラシノフクオソラノ上ノハウデ三ツナランダコドモノホシガ、ケンクワヲシマシタ。イツモハナカヨシダツタノデスケレド、アンマリマンナカノホ …
名なし指物語(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
南のほうのあたたかい町に、いつもむっつりと仕事をしている、ひとりの年とった木ぐつ屋がありました。目はぞうのように小さく、しょぼしょぼしていましたが、それにひきかえ、鼻とてのひらが、 …
読書目安時間:約21分
南のほうのあたたかい町に、いつもむっつりと仕事をしている、ひとりの年とった木ぐつ屋がありました。目はぞうのように小さく、しょぼしょぼしていましたが、それにひきかえ、鼻とてのひらが、 …
二ひきの蛙(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
緑の蛙と黄色の蛙が、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。 「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」 と緑の蛙がいいました。 「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているの …
読書目安時間:約2分
緑の蛙と黄色の蛙が、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。 「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」 と緑の蛙がいいました。 「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているの …
ヌスビトト コヒツヂ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ヤワラカイクサガミドリノモウフノヤウニハヱテヰルヒロツパニタクサンノヒツジガメイメイトナキナガラアソンデヰマシタ。 スルトソコヘヒトリノヌスビトガトホリカカリマシタ。オナカガスイテ …
読書目安時間:約2分
ヤワラカイクサガミドリノモウフノヤウニハヱテヰルヒロツパニタクサンノヒツジガメイメイトナキナガラアソンデヰマシタ。 スルトソコヘヒトリノヌスビトガトホリカカリマシタ。オナカガスイテ …
沼の家(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
母さんお窓をしめましよう、 もう郭公鳥は鳴きませぬ。 林の虹も消えました、 沼には靄がおりました。 母さんお窓をしめましよう、 風がひえひえいたします。 もうすぐ夜が来るのです。 …
読書目安時間:約1分
母さんお窓をしめましよう、 もう郭公鳥は鳴きませぬ。 林の虹も消えました、 沼には靄がおりました。 母さんお窓をしめましよう、 風がひえひえいたします。 もうすぐ夜が来るのです。 …
登つていつた少年(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
一年一回の学芸会が近づいて来た。小さい村の二百に充たない小さい魂は二月も前から小鳥が春を待つやうに待つてゐた。この頃になると少年少女達の眼は急に注意深くなつて先生のどんな小さな表情 …
読書目安時間:約7分
一年一回の学芸会が近づいて来た。小さい村の二百に充たない小さい魂は二月も前から小鳥が春を待つやうに待つてゐた。この頃になると少年少女達の眼は急に注意深くなつて先生のどんな小さな表情 …
のら犬(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
常念御坊は、碁がなによりもすきでした。きょうも、となり村の檀家へ法事でよばれてきて、お昼すぎから碁をうちつづけ、日がかげってきたので、びっくりしてこしをあげました。 「まあ、いいじ …
読書目安時間:約7分
常念御坊は、碁がなによりもすきでした。きょうも、となり村の檀家へ法事でよばれてきて、お昼すぎから碁をうちつづけ、日がかげってきたので、びっくりしてこしをあげました。 「まあ、いいじ …
花のき村と盗人たち(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。 それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いて …
読書目安時間:約20分
むかし、花のき村に、五人組の盗人がやって来ました。 それは、若竹が、あちこちの空に、かぼそく、ういういしい緑色の芽をのばしている初夏のひるで、松林では松蝉が、ジイジイジイイと鳴いて …
花をうめる(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
その遊びにどんな名がついているのか知らない。まだそんな遊びをいまの子どもたちがはたしてするのか、町を歩くとき私は注意してみるがこれまでみたためしがない。あのころつまり私たちがその遊 …
読書目安時間:約8分
その遊びにどんな名がついているのか知らない。まだそんな遊びをいまの子どもたちがはたしてするのか、町を歩くとき私は注意してみるがこれまでみたためしがない。あのころつまり私たちがその遊 …
光(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
畑の光のなかにゐる。 黒い土をば耕してる。 町の光の中にゐる。 馬をつないで売つてゐる。 窓の光のなかにゐる。 紡ぐるまをまはしてる。 くらい光のなかにゐる。 鎚で金鉱たゝいてる。 …
読書目安時間:約1分
畑の光のなかにゐる。 黒い土をば耕してる。 町の光の中にゐる。 馬をつないで売つてゐる。 窓の光のなかにゐる。 紡ぐるまをまはしてる。 くらい光のなかにゐる。 鎚で金鉱たゝいてる。 …
ひかる(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ひるはどこもがひかるんだ。 みてるとどこもがひかるんだ。 ぼうしのひさしがひかるんだ。 たれのひさしもひかるんだ。 フツトボールがひかるんだ。 たかいおそらがひかるんだ。 せんせい …
読書目安時間:約1分
ひるはどこもがひかるんだ。 みてるとどこもがひかるんだ。 ぼうしのひさしがひかるんだ。 たれのひさしもひかるんだ。 フツトボールがひかるんだ。 たかいおそらがひかるんだ。 せんせい …
ひとつの火(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。 わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。 ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家 …
読書目安時間:約2分
わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。 わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。 ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家 …
ひなた(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ひなたよ、ひなたよ、 まるいけむりよ。 ひなたよ、ひなたよ、 まるで兎よ。 ひなたよ、ひなたよ、 赤児をおろすよ。 ひなたよ、ひなたよ、 みんなぬくいよ。 …
読書目安時間:約1分
ひなたよ、ひなたよ、 まるいけむりよ。 ひなたよ、ひなたよ、 まるで兎よ。 ひなたよ、ひなたよ、 赤児をおろすよ。 ひなたよ、ひなたよ、 みんなぬくいよ。 …
百姓の足、坊さんの足(新字旧仮名)
読書目安時間:約30分
十二月十二日に貧しい百姓の菊次さんは、雲華寺の和尚さんが米初穂をあつめて廻るのにお供していきました。 米初穂といふのは、ことしの秋とれた新しいお米のことで、村の百姓達はそれを少しづ …
読書目安時間:約30分
十二月十二日に貧しい百姓の菊次さんは、雲華寺の和尚さんが米初穂をあつめて廻るのにお供していきました。 米初穂といふのは、ことしの秋とれた新しいお米のことで、村の百姓達はそれを少しづ …
ひよりげた(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
あめがはれました。ジョウフクインのうらのやぶのなかに、やぶっかがわんわんなきました。月がでるとぬれたたけのはがひかりました。 ジョウフクインのうらのやぶのなかにたぬきがすんでいまし …
読書目安時間:約5分
あめがはれました。ジョウフクインのうらのやぶのなかに、やぶっかがわんわんなきました。月がでるとぬれたたけのはがひかりました。 ジョウフクインのうらのやぶのなかにたぬきがすんでいまし …
ヒロツタ ラツパ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約5分
マヅシイヲトコノヒトガアリマシタ。マダワカイノニオトウサンモオカアサンモキヨウダイモナク、ホントウニヒトリボツチデアリマシタ。 コノヲトコノヒトハ、ナニカヒトノビツクリスルヤウナコ …
読書目安時間:約5分
マヅシイヲトコノヒトガアリマシタ。マダワカイノニオトウサンモオカアサンモキヨウダイモナク、ホントウニヒトリボツチデアリマシタ。 コノヲトコノヒトハ、ナニカヒトノビツクリスルヤウナコ …
フルイ バシヤ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ムラヤクバノマヘノヒロツパニフルボケタバシヤガアリマシタ。 ミドリイロノペンキハアメノタメニハゲテシマヒ、ワガネハアカクサビテヰマシタ。 コドモタチハコノバシヤノソバデヨクアソビマ …
読書目安時間:約2分
ムラヤクバノマヘノヒロツパニフルボケタバシヤガアリマシタ。 ミドリイロノペンキハアメノタメニハゲテシマヒ、ワガネハアカクサビテヰマシタ。 コドモタチハコノバシヤノソバデヨクアソビマ …
屁(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
石太郎が屁の名人であるのは、浄光院の是信さんに教えてもらうからだと、みんながいっていた。春吉君は、そうかもしれないと思った。石太郎の家は、浄光院のすぐ西にあったからである。 なにし …
読書目安時間:約22分
石太郎が屁の名人であるのは、浄光院の是信さんに教えてもらうからだと、みんながいっていた。春吉君は、そうかもしれないと思った。石太郎の家は、浄光院のすぐ西にあったからである。 なにし …
ミチコサン(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
ミチコサンガ、コトリヤノマヘマデクルト、シラナイオバサンガ、ウバグルマノナカノニモツヲナホシテヰマシタ。アカチヤンガノツテヰテ、カキマハシタノデシタ。 アカチヤンハ、ブウブウイヒナ …
読書目安時間:約2分
ミチコサンガ、コトリヤノマヘマデクルト、シラナイオバサンガ、ウバグルマノナカノニモツヲナホシテヰマシタ。アカチヤンガノツテヰテ、カキマハシタノデシタ。 アカチヤンハ、ブウブウイヒナ …
耳(新字旧仮名)
読書目安時間:約15分
ある晩、久助君は風呂にはいつてゐた。晩といつても、田舎で風呂にはいるのは暗くなつてからである。風呂といつても、田舎の風呂は、五右衛門風呂といふ、ひとりしかはいれない桶のやうな風呂で …
読書目安時間:約15分
ある晩、久助君は風呂にはいつてゐた。晩といつても、田舎で風呂にはいるのは暗くなつてからである。風呂といつても、田舎の風呂は、五右衛門風呂といふ、ひとりしかはいれない桶のやうな風呂で …
椋の実の思出(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
それは秋のこと——。丁度尋常五年の今頃だつた。いつもの樣に、背戸川の堤の上に青々と繁つて高く突き立つて居る椋の木に登つて、繁と、正彦と、勝次と、それから僕との四人は樂しく遊んで居た …
読書目安時間:約2分
それは秋のこと——。丁度尋常五年の今頃だつた。いつもの樣に、背戸川の堤の上に青々と繁つて高く突き立つて居る椋の木に登つて、繁と、正彦と、勝次と、それから僕との四人は樂しく遊んで居た …
病む子の祭(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
母 長男 長女 次男 三男(病気の子) 岡のふもとの竹やぶにかこまれた小さい家。 母親が子どもたちに祭の晴着をきせている。 花火の音。笛、太鼓のゆるやかな、かすかなはやし。 母よご …
読書目安時間:約19分
母 長男 長女 次男 三男(病気の子) 岡のふもとの竹やぶにかこまれた小さい家。 母親が子どもたちに祭の晴着をきせている。 花火の音。笛、太鼓のゆるやかな、かすかなはやし。 母よご …
よい家(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
イワノーイツチ 窓あけた。 こらいい窓だ、 いい窓だ。 トルコ煙草がおいしいぞ。 イワノーイツチ テラスみた。 こらいいテラス、 いいテラス。 朝の新聞よむとこだ。 イワノーイツチ …
読書目安時間:約1分
イワノーイツチ 窓あけた。 こらいい窓だ、 いい窓だ。 トルコ煙草がおいしいぞ。 イワノーイツチ テラスみた。 こらいいテラス、 いいテラス。 朝の新聞よむとこだ。 イワノーイツチ …
ラツパ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
オヂイサンハイナカニヒトリボツチデクラシテヰマシタ。ダンダンミミガトホクナツタノデ、ミヤコニヰルムスコノトコロヘ、「ミミガトホクナツタカラ、ヨクキコエルキカイヲカツテオクツテクレ。 …
読書目安時間:約1分
オヂイサンハイナカニヒトリボツチデクラシテヰマシタ。ダンダンミミガトホクナツタノデ、ミヤコニヰルムスコノトコロヘ、「ミミガトホクナツタカラ、ヨクキコエルキカイヲカツテオクツテクレ。 …
ラムプの夜:――学芸会のための一幕劇(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
人姉 妹 旅人 法螺吹きの泥棒 少年 所森の近くの一軒家。姉妹に あてがはれた小さい勉強室 時春になつたばかりの風の夜 (机を向ひあはせて姉と妹が、一つのスタンドの光で勉強してゐる …
読書目安時間:約13分
人姉 妹 旅人 法螺吹きの泥棒 少年 所森の近くの一軒家。姉妹に あてがはれた小さい勉強室 時春になつたばかりの風の夜 (机を向ひあはせて姉と妹が、一つのスタンドの光で勉強してゐる …
良寛物語 手毬と鉢の子(新字旧仮名)
読書目安時間:約3時間18分
良寛といふ名前の坊さんが、今から百五十年ぐらゐ前に住んでゐた。この本にはその坊さんのことが書いてある。 君達の中には、西郷隆盛や、乃木大将や、ナポレオンや、ジンギスカンなどの本を読 …
読書目安時間:約3時間18分
良寛といふ名前の坊さんが、今から百五十年ぐらゐ前に住んでゐた。この本にはその坊さんのことが書いてある。 君達の中には、西郷隆盛や、乃木大将や、ナポレオンや、ジンギスカンなどの本を読 …
りんごの車(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
りんごが三かご のつてる車、 ころころいつた。 子供が押した。 (りんごが一かご あちらで売れた。) りんごが二かご 木箱の車、 ころころいつた。 子供が押した。 (りんごが一かご …
読書目安時間:約1分
りんごが三かご のつてる車、 ころころいつた。 子供が押した。 (りんごが一かご あちらで売れた。) りんごが二かご 木箱の車、 ころころいつた。 子供が押した。 (りんごが一かご …
驢馬の びっこ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
張がかはいゝ驢馬を一匹買ひました。ところが歩かせて見るとその驢馬はびつこをひくのです。 「なぜびつこをひくのだらう。」と考へて見ましたがわかりません。ちようどとほりかゝつた物しりを …
読書目安時間:約3分
張がかはいゝ驢馬を一匹買ひました。ところが歩かせて見るとその驢馬はびつこをひくのです。 「なぜびつこをひくのだらう。」と考へて見ましたがわかりません。ちようどとほりかゝつた物しりを …
和太郎さんと牛(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
牛ひきの和太郎さんは、たいへんよい牛をもっていると、みんながいっていました。だが、それはよぼよぼの年とった牛で、おしりの肉がこけて落ちて、あばら骨も数えられるほどでした。そして、か …
読書目安時間:約29分
牛ひきの和太郎さんは、たいへんよい牛をもっていると、みんながいっていました。だが、それはよぼよぼの年とった牛で、おしりの肉がこけて落ちて、あばら骨も数えられるほどでした。そして、か …
輪まはし(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ついぢの 椿の花のした、 ここから 輪まはし かけてつた。 木ぎれで ひいた横の線、 ここから からから かけてつた。 帽子に 椿の花插して、 ぬくとい 垣根に そつてつた。 つい …
読書目安時間:約1分
ついぢの 椿の花のした、 ここから 輪まはし かけてつた。 木ぎれで ひいた横の線、 ここから からから かけてつた。 帽子に 椿の花插して、 ぬくとい 垣根に そつてつた。 つい …
翻訳者としての作品一覧
ゐろりの中の街(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ゐろりの中に街がある、 かすかな足音きこえてる。 ランプがともり、靄がある、 庭の木などに壁などに。 靄のなかから火がもえて てらし出される部屋がある。 屋根やご本も見えてゐる。 …
読書目安時間:約1分
ゐろりの中に街がある、 かすかな足音きこえてる。 ランプがともり、靄がある、 庭の木などに壁などに。 靄のなかから火がもえて てらし出される部屋がある。 屋根やご本も見えてゐる。 …
誰か(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
僕等が原にゐる時は、 誰かこつそりやつて来る。 僕等がたのしくゐる時は、 誰か森からやつて来る。 誰だかちつともわからない、 どんな姿かわからない。 けれどきつとよ、やつて来る、 …
読書目安時間:約1分
僕等が原にゐる時は、 誰かこつそりやつて来る。 僕等がたのしくゐる時は、 誰か森からやつて来る。 誰だかちつともわからない、 どんな姿かわからない。 けれどきつとよ、やつて来る、 …
ちらちら光れ小い星(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ちらちら光れ小い星、 あなたは何だろ小い星。 金剛石だおほ空の、 遠くて高いおほ空の。 真赤に燃えた陽が落ちて 光がみんな失くなると あなたは小さく光り出す、 そしてちらちら夜明け …
読書目安時間:約1分
ちらちら光れ小い星、 あなたは何だろ小い星。 金剛石だおほ空の、 遠くて高いおほ空の。 真赤に燃えた陽が落ちて 光がみんな失くなると あなたは小さく光り出す、 そしてちらちら夜明け …
積木の町(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
積木で何でも造られる。 お城や宮殿、寺、波止場。 外では雨が降つてても お家で私は積木する。 敷布は海でソファは山、 私はそこに町たてよう。 お寺や水車や宮殿や、 そして波止場や舩 …
読書目安時間:約1分
積木で何でも造られる。 お城や宮殿、寺、波止場。 外では雨が降つてても お家で私は積木する。 敷布は海でソファは山、 私はそこに町たてよう。 お寺や水車や宮殿や、 そして波止場や舩 …
僕の国(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
光つて泉の湧くそばに 僕の小さな窪がある。 僕の丈ほどふかくない。 はりえにしだなど生えてゐる。 夏には夏の花が咲く。 黄つぽい花や赤い花。 泉を僕は海と呼ぶ あたりの丘を山と呼ぶ …
読書目安時間:約1分
光つて泉の湧くそばに 僕の小さな窪がある。 僕の丈ほどふかくない。 はりえにしだなど生えてゐる。 夏には夏の花が咲く。 黄つぽい花や赤い花。 泉を僕は海と呼ぶ あたりの丘を山と呼ぶ …
“新美南吉”について
“新美南吉”と年代が近い著者
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細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)