桜間中庸
1911.07.06 〜 1934.04.18
著者としての作品一覧
青い窓(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
へちま 垂れてる 青い窓—— ピアノの 音してた 青い窓—— だれだか 知らない 住んでゐた—— どこだか 知らない 越してつた—— いつも 通つてく 學校道—— へちま 搖れてる …
読書目安時間:約1分
へちま 垂れてる 青い窓—— ピアノの 音してた 青い窓—— だれだか 知らない 住んでゐた—— どこだか 知らない 越してつた—— いつも 通つてく 學校道—— へちま 搖れてる …
赤い電車(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
東京の街から出てゐる二本のレールは原つぱをつききつて青い空の下を、ずつとあちらまでつゞいてゐます。そのレールの上を青電車がシンシンと音をたてて走りました。 じゆん一くんのお家は、そ …
読書目安時間:約3分
東京の街から出てゐる二本のレールは原つぱをつききつて青い空の下を、ずつとあちらまでつゞいてゐます。そのレールの上を青電車がシンシンと音をたてて走りました。 じゆん一くんのお家は、そ …
アカシヤと桑(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
かそかなる音して落つるアカシヤの花の香をひとりたのしむ 幼子が拾ひあつめて手に持てるアカシヤの花に夕日させるも 集ひきて桑の實とると見上げ居る子等の面わに夕日照りそふ …
読書目安時間:約1分
かそかなる音して落つるアカシヤの花の香をひとりたのしむ 幼子が拾ひあつめて手に持てるアカシヤの花に夕日させるも 集ひきて桑の實とると見上げ居る子等の面わに夕日照りそふ …
赤穂御崎詠草集(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
岳の上はひたに靜もり妹は合歡の木の下にカムバスを立つ 妹は默して立てりひたすらに海を描かむ心一つに 帆の形面白しなど語らひつ雜草の丘にデツサンをする やゝ沖に貨物船はとまりたりデツ …
読書目安時間:約1分
岳の上はひたに靜もり妹は合歡の木の下にカムバスを立つ 妹は默して立てりひたすらに海を描かむ心一つに 帆の形面白しなど語らひつ雜草の丘にデツサンをする やゝ沖に貨物船はとまりたりデツ …
朝の山道(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
朝ぎり流れる 山のみち ほのぼの—— 草つぱふんで 足のつゆ しつとり—— 蝶々はねてる ねむの葉に ひつそり—— 匂ふよほうら 栗のはな ほんのり—— ほういと呼んでる 誰だろか …
読書目安時間:約1分
朝ぎり流れる 山のみち ほのぼの—— 草つぱふんで 足のつゆ しつとり—— 蝶々はねてる ねむの葉に ひつそり—— 匂ふよほうら 栗のはな ほんのり—— ほういと呼んでる 誰だろか …
一番幌馬車(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
駈けて行きます霧の街 一番幌馬車カポカポと 駈けてゆきます霧の街 柳並木のアスフアルト ランタンゆれます霧のなか ぬれてほのかなあかりです 駈けてゆきます霧の街 古いみやこのはやい …
読書目安時間:約1分
駈けて行きます霧の街 一番幌馬車カポカポと 駈けてゆきます霧の街 柳並木のアスフアルト ランタンゆれます霧のなか ぬれてほのかなあかりです 駈けてゆきます霧の街 古いみやこのはやい …
お空の川(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
お空を流れる白い川 ミルクの色の遠い川 あれは鷺でせう白い鳥 ほつかりほわりと渡ります 笹の葉に吹く風の音 さらさら流れる音のやう 鷺のお使ひ二つ星 ほつかりほわりと渡ります …
読書目安時間:約1分
お空を流れる白い川 ミルクの色の遠い川 あれは鷺でせう白い鳥 ほつかりほわりと渡ります 笹の葉に吹く風の音 さらさら流れる音のやう 鷺のお使ひ二つ星 ほつかりほわりと渡ります …
お月さまとお星さま:――童話風景――(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
黄金のお皿へ 兎がとびこみました バアラリと黄金色の金平糖が 紫色のびろうどに散りました 兎も お皿の中で 黄金になりました …
読書目安時間:約1分
黄金のお皿へ 兎がとびこみました バアラリと黄金色の金平糖が 紫色のびろうどに散りました 兎も お皿の中で 黄金になりました …
お巡さん(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
朝の八時は鈴懸に ほうやり霧が吸はれてる 警察署まへの停留所 お巡りさんが降りてくる 降りますつゞいてお巡りさん みんな鈴懸くぐります 襟立てマントは短かくて チカチカサーベル光り …
読書目安時間:約1分
朝の八時は鈴懸に ほうやり霧が吸はれてる 警察署まへの停留所 お巡りさんが降りてくる 降りますつゞいてお巡りさん みんな鈴懸くぐります 襟立てマントは短かくて チカチカサーベル光り …
開通祝ひ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
明治通りのアスフアルト 開通祝ひのいゝ日です 銀バス並んで通ります 黒いおひげの市長さん 今日は視察の燕尾服 銀バスは今通ります ぽぽんと花火があがります お祝する音いゝひゞき お …
読書目安時間:約1分
明治通りのアスフアルト 開通祝ひのいゝ日です 銀バス並んで通ります 黒いおひげの市長さん 今日は視察の燕尾服 銀バスは今通ります ぽぽんと花火があがります お祝する音いゝひゞき お …
影絵師(旧字旧仮名)
読書目安時間:約8分
俊坊はをぢさんの手にぶら下りながら、夜の街通りをゆきました。 海岸へつゞいてゐる通りはアスフアルトの上に打ち水がしてあつて海から吹いてくる風がそのまゝ街の灯にぬれながら凉しく通つて …
読書目安時間:約8分
俊坊はをぢさんの手にぶら下りながら、夜の街通りをゆきました。 海岸へつゞいてゐる通りはアスフアルトの上に打ち水がしてあつて海から吹いてくる風がそのまゝ街の灯にぬれながら凉しく通つて …
草の実(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
知らないか 知らないか 子牛は草の實知らないか 子牛のしつぽの草の實を 知らないよ 知らないよ 子牛は草の實知らないよ 子牛のしつぽの草の實を きつとだろ きつとだろ 草の實ぽいと …
読書目安時間:約1分
知らないか 知らないか 子牛は草の實知らないか 子牛のしつぽの草の實を 知らないよ 知らないよ 子牛は草の實知らないよ 子牛のしつぽの草の實を きつとだろ きつとだろ 草の實ぽいと …
蝙蝠(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ひつそり 蝙蝠を待つてた 草の葉は 夜露にぬれてた そつと高く 投げた草履 蝙蝠が 落ちたやうだぞ まがきの向の 細い音 まがきを つんとのぞいたら 酸つぱい 花の香が泌みた …
読書目安時間:約1分
ひつそり 蝙蝠を待つてた 草の葉は 夜露にぬれてた そつと高く 投げた草履 蝙蝠が 落ちたやうだぞ まがきの向の 細い音 まがきを つんとのぞいたら 酸つぱい 花の香が泌みた …
コスモスとお母さま(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
コスモスの咲いてるお庭 お母さまはせんたくなさる コスモスの花より高く お母さまは竿をあげなさる コスモスとお母さまと せいくらべせいくらべ コスモスはとても咲いてる ミルクの色の …
読書目安時間:約1分
コスモスの咲いてるお庭 お母さまはせんたくなさる コスモスの花より高く お母さまは竿をあげなさる コスモスとお母さまと せいくらべせいくらべ コスモスはとても咲いてる ミルクの色の …
ゴムフウセン(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ボクカケテツタカケテツタ。 セエタアノポケツトカラキヤラメルガトビダシサウデトビダシサウデボクカケテツタカケテツタ。 タカヲチヤンノウチハクルリトカラタチノカキヲマハツタアソコダ。 …
読書目安時間:約1分
ボクカケテツタカケテツタ。 セエタアノポケツトカラキヤラメルガトビダシサウデトビダシサウデボクカケテツタカケテツタ。 タカヲチヤンノウチハクルリトカラタチノカキヲマハツタアソコダ。 …
ごわごわごむ靴(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
山と山との間に小さい川があります。川には、澄みきつた水が流れてゐます。川の底には白くて丸い石が卵のやうに重なり合つてゐて、水が小石にぶつつかつて、こぽり、こぽりと音をたててゐます。 …
読書目安時間:約3分
山と山との間に小さい川があります。川には、澄みきつた水が流れてゐます。川の底には白くて丸い石が卵のやうに重なり合つてゐて、水が小石にぶつつかつて、こぽり、こぽりと音をたててゐます。 …
散髪屋の夜(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
さんぱつやの窓の月は くさい髮のにほひがする みゝずが細々と泪の音をたてゝゐる そんなに月がかなしいのかい 痩せきつた俺のからだに 夏が夏が しんみりと重たい …
読書目安時間:約1分
さんぱつやの窓の月は くさい髮のにほひがする みゝずが細々と泪の音をたてゝゐる そんなに月がかなしいのかい 痩せきつた俺のからだに 夏が夏が しんみりと重たい …
日光浴室(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
日光浴室 蔦がここまでのびました らるらる光がもつれます 日光浴室 鳩が影してとびました ガラスの外のあをい空 日光浴室 母さん毛糸をほぐします 冬が近くにきてませう 日光浴室 ぼ …
読書目安時間:約1分
日光浴室 蔦がここまでのびました らるらる光がもつれます 日光浴室 鳩が影してとびました ガラスの外のあをい空 日光浴室 母さん毛糸をほぐします 冬が近くにきてませう 日光浴室 ぼ …
白ホテル(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
港の風の吹いて來る 海岸通りの白ホテル 異人の子供がつきました テリヤもおともでつきました ホテルのポーチのボウイさん 英語で案内いたします グツドモーニングマイデア グツドモーニ …
読書目安時間:約1分
港の風の吹いて來る 海岸通りの白ホテル 異人の子供がつきました テリヤもおともでつきました ホテルのポーチのボウイさん 英語で案内いたします グツドモーニングマイデア グツドモーニ …
城山城趾にて(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
頬にしぶく氷雨忘れて一時を敗軍の士の心しのびぬ かなしさは落城のあと冬たけて御所ヶ丸山さびしくそびゆ 武士の魂とむらふや音たてゝ枯草山にひたしぶくあめ とけ殘る雪まだらなる谷あひに …
読書目安時間:約1分
頬にしぶく氷雨忘れて一時を敗軍の士の心しのびぬ かなしさは落城のあと冬たけて御所ヶ丸山さびしくそびゆ 武士の魂とむらふや音たてゝ枯草山にひたしぶくあめ とけ殘る雪まだらなる谷あひに …
城山のことなど(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
城山は冬がいゝ。 あの峰の城趾の熊笹原の中に立つて、笹の葉裏を白くかへし、老松の幹をゆるがせて音高く吹き過ぎてゆく風の聲を聞くのはたまらなくいゝものだ。冷たい、身を切るやうな風だ。 …
読書目安時間:約2分
城山は冬がいゝ。 あの峰の城趾の熊笹原の中に立つて、笹の葉裏を白くかへし、老松の幹をゆるがせて音高く吹き過ぎてゆく風の聲を聞くのはたまらなくいゝものだ。冷たい、身を切るやうな風だ。 …
水兵さん(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
水兵さんのまちを 水兵さんがとほる タツプタツプタツプ 水兵さんだ水兵さん 水兵さんと水兵さん タツプタツプタツプ セイラアパンツ パンツとパンツ タツプタツプタツプ どこまでつゞ …
読書目安時間:約1分
水兵さんのまちを 水兵さんがとほる タツプタツプタツプ 水兵さんだ水兵さん 水兵さんと水兵さん タツプタツプタツプ セイラアパンツ パンツとパンツ タツプタツプタツプ どこまでつゞ …
すかんぽ原(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
すかんぽ原は 夕やけしてた 赤ん坊おぶつて 探していつた すかんぽ原は つくしのにほひ どこかで子供の うたごゑしてた すかんぽ原は トンネルつづき こもつたおとで 汽笛がしてた …
読書目安時間:約1分
すかんぽ原は 夕やけしてた 赤ん坊おぶつて 探していつた すかんぽ原は つくしのにほひ どこかで子供の うたごゑしてた すかんぽ原は トンネルつづき こもつたおとで 汽笛がしてた …
逗子(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
濱に出て砂にころべは夕さりて町に歸ればしみじみと、思ひ出ぬるふるさとのこと。 夕燒がまつ赤だ故郷の臺山の夕やけを思ひ出す。いつもは見えない富士の頂の鋸齒が一つ一つくつきりとまつかな …
読書目安時間:約1分
濱に出て砂にころべは夕さりて町に歸ればしみじみと、思ひ出ぬるふるさとのこと。 夕燒がまつ赤だ故郷の臺山の夕やけを思ひ出す。いつもは見えない富士の頂の鋸齒が一つ一つくつきりとまつかな …
石碑(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
あをい木あをい草 思ひ出をひめて 石碑は靜もりて立てり かなしみもよろこびも みなながらふくめて 石碑はさびれて立てり たそがるれば 思ひ出はわがむねにかへり 石碑は夕日に更生れり …
読書目安時間:約1分
あをい木あをい草 思ひ出をひめて 石碑は靜もりて立てり かなしみもよろこびも みなながらふくめて 石碑はさびれて立てり たそがるれば 思ひ出はわがむねにかへり 石碑は夕日に更生れり …
短索(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
生を享けた喜びを感じなければならない。 健全な兩親を持つ幸福を知らなければならない。 教育を與へられる幸ひを思はねばならない。 そして最もよく自己を活かす道を選び、それに邁進しなく …
読書目安時間:約2分
生を享けた喜びを感じなければならない。 健全な兩親を持つ幸福を知らなければならない。 教育を與へられる幸ひを思はねばならない。 そして最もよく自己を活かす道を選び、それに邁進しなく …
月夜(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
月夜はみんな青いでせう 山羊の髭も青いでせう 白熊の背も青いでせう 月夜はみんな青いでせう チユウリツプ畑も原つぱも 野菜畑も青いでせう 月夜はみんな青いでせう ピアノの鍵盤の音ま …
読書目安時間:約1分
月夜はみんな青いでせう 山羊の髭も青いでせう 白熊の背も青いでせう 月夜はみんな青いでせう チユウリツプ畑も原つぱも 野菜畑も青いでせう 月夜はみんな青いでせう ピアノの鍵盤の音ま …
月夜のバルコン(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
バラのお家のバルコンは 蟻さん月見のお客樣 「ほうら月だ」と手をあげる バラのお家のバルコンは 蝶さん月見のお客樣 「とてもいゝね」とうたつてる バラのお家のバルコンは 風さん月か …
読書目安時間:約1分
バラのお家のバルコンは 蟻さん月見のお客樣 「ほうら月だ」と手をあげる バラのお家のバルコンは 蝶さん月見のお客樣 「とてもいゝね」とうたつてる バラのお家のバルコンは 風さん月か …
天体現象(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
月に迫る金星—— 月に迫る金星—— 瞬間—— 雲はカーテンをおろす—— あゝ—— 雲はカーテンをひく—— 金星は月をはなれてゐる—— 金星は月をはなれてゐる—— …
読書目安時間:約1分
月に迫る金星—— 月に迫る金星—— 瞬間—— 雲はカーテンをおろす—— あゝ—— 雲はカーテンをひく—— 金星は月をはなれてゐる—— 金星は月をはなれてゐる—— …
東京(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
鈴かけの街路樹。葉の落ちつくした梢を空つ風がうなつて通る十二月です。自動車と電車の音のみが、いやにやかましい所、此處は内務省大藏省復興局などの門を並べたいかめしい?丸の内です、バラ …
読書目安時間:約1分
鈴かけの街路樹。葉の落ちつくした梢を空つ風がうなつて通る十二月です。自動車と電車の音のみが、いやにやかましい所、此處は内務省大藏省復興局などの門を並べたいかめしい?丸の内です、バラ …
峠(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
とて馬車 とろとろ 峠の眞晝よ ひらひら 蝶々よ 青い空だよ とろとろ かげろふ 白い道だよ ゐねむり とろとろ 馬車屋の爺さよ とろとろ お馬も 足並おそいよ お客も とろとろ …
読書目安時間:約1分
とて馬車 とろとろ 峠の眞晝よ ひらひら 蝶々よ 青い空だよ とろとろ かげろふ 白い道だよ ゐねむり とろとろ 馬車屋の爺さよ とろとろ お馬も 足並おそいよ お客も とろとろ …
冬至(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
あをいタイルの浴槽にひたつてゐる。 外は武藏野の風であらうにこの落ちついた心はふるさとを想つてゐる。 ぷち——ぷち ゆぶねのあちこちに月のやうに浮んでゐる橙の實をそつと下から押へる …
読書目安時間:約1分
あをいタイルの浴槽にひたつてゐる。 外は武藏野の風であらうにこの落ちついた心はふるさとを想つてゐる。 ぷち——ぷち ゆぶねのあちこちに月のやうに浮んでゐる橙の實をそつと下から押へる …
動物列車(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
空は美しく澄みわたつてゐて、青い西洋皿をさかさにしたやうに山と山との間にかゝつてゐました。 少年は山の中腹の芝の上に寢ころんで空の色に見入つてゐました。この山には煉瓦工場があります …
読書目安時間:約2分
空は美しく澄みわたつてゐて、青い西洋皿をさかさにしたやうに山と山との間にかゝつてゐました。 少年は山の中腹の芝の上に寢ころんで空の色に見入つてゐました。この山には煉瓦工場があります …
波とかもめ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
藻はゆれ藻はゆれ波はゆれ かもめツイツイ波をする ホラツツイとさ あをいお空にあをいうみ かもめフワリとびたつた ホラフワリとさ 翼がぬれるにしよつぱいに もいちどツイツイ波をする …
読書目安時間:約1分
藻はゆれ藻はゆれ波はゆれ かもめツイツイ波をする ホラツツイとさ あをいお空にあをいうみ かもめフワリとびたつた ホラフワリとさ 翼がぬれるにしよつぱいに もいちどツイツイ波をする …
獏(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
獏——私はたまらなくこの字が好きでありこの音が好きである。 バク。ばく。BAKU。 私はいつも斯う口すさんで見る。夢を食ふけもの——これがバクの内容である。このロマンチックな内容を …
読書目安時間:約2分
獏——私はたまらなくこの字が好きでありこの音が好きである。 バク。ばく。BAKU。 私はいつも斯う口すさんで見る。夢を食ふけもの——これがバクの内容である。このロマンチックな内容を …
〔花園から月かげが〕(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
花園から月かげが 帷をほのかな紫にけぶらせて マダムの室を訪れるとき 絢爛な裝釘を衣た私の詩集は その腕の中で 指輪の役をするだらう 詩集から私は生れ出る 花園を月影にくたくたにぬ …
読書目安時間:約1分
花園から月かげが 帷をほのかな紫にけぶらせて マダムの室を訪れるとき 絢爛な裝釘を衣た私の詩集は その腕の中で 指輪の役をするだらう 詩集から私は生れ出る 花園を月影にくたくたにぬ …
花とお馬(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
お馬がたれた なあがいおくび 菜の花たべようと そうろりたれた 花がゆれた 黄色い花だよ お鼻のところで ゆうらりゆれた お馬はたべぬ お花をたべぬ お耳をたれて にほひをかいでる …
読書目安時間:約1分
お馬がたれた なあがいおくび 菜の花たべようと そうろりたれた 花がゆれた 黄色い花だよ お鼻のところで ゆうらりゆれた お馬はたべぬ お花をたべぬ お耳をたれて にほひをかいでる …
冬の逗子(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
わびしさのつもれば獨り訪ね來て悲しき海の冬を聞くなり 水面擦り飛ぶおほ鳥の眞白なる翼に疲れ見えて哀しも うら枯れし濱晝顏のながながと此處別莊の裏につゞけり 半島の岩に碎くる波見えて …
読書目安時間:約1分
わびしさのつもれば獨り訪ね來て悲しき海の冬を聞くなり 水面擦り飛ぶおほ鳥の眞白なる翼に疲れ見えて哀しも うら枯れし濱晝顏のながながと此處別莊の裏につゞけり 半島の岩に碎くる波見えて …
〔ペーブメントからアスフアルトへ〕(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ペーブメントからアスフアルトへ アスフアルトからペーブメントへ 風が新聞紙を運ぶのか 新聞紙が風を運ぶのか 風と新聞紙はほいと 柳の若い葉の下をぬけて お堀にすべりこんだ …
読書目安時間:約1分
ペーブメントからアスフアルトへ アスフアルトからペーブメントへ 風が新聞紙を運ぶのか 新聞紙が風を運ぶのか 風と新聞紙はほいと 柳の若い葉の下をぬけて お堀にすべりこんだ …
墓地(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
郷里につくと、その日の中にか翌日の朝かには、きつと、家の墓地に鎌と笹掃木を手にして出かける。 それに義務を感じるといふのでもない。ただその墓地が村を南から北へ大膽に見下せる高さにあ …
読書目安時間:約2分
郷里につくと、その日の中にか翌日の朝かには、きつと、家の墓地に鎌と笹掃木を手にして出かける。 それに義務を感じるといふのでもない。ただその墓地が村を南から北へ大膽に見下せる高さにあ …
ほろほろほろりん(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ほろほろほろりん 垣のそとを どこのねえやだか ゆきました ほろほろほろりん 細いこゑで 赤ん坊あやして ゆきました ほろほろほろりん 月夜でせう 椿の花だか おちました …
読書目安時間:約1分
ほろほろほろりん 垣のそとを どこのねえやだか ゆきました ほろほろほろりん 細いこゑで 赤ん坊あやして ゆきました ほろほろほろりん 月夜でせう 椿の花だか おちました …
街(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
賣店の女の顏の明るさはアスフアルト敷くこの街の顏 行ずりに見し外人の瞳かも土曜の夕のそゞろ歩きに 客を呼ぶ馬車屋の笛のあわれさや逗子驛頭の冬のたそがれ たたき賣るバナナ屋の聲寒寒と …
読書目安時間:約1分
賣店の女の顏の明るさはアスフアルト敷くこの街の顏 行ずりに見し外人の瞳かも土曜の夕のそゞろ歩きに 客を呼ぶ馬車屋の笛のあわれさや逗子驛頭の冬のたそがれ たたき賣るバナナ屋の聲寒寒と …
街の灯(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
見てたよ 窓からじつと 遠い街の灯 ほらね お星樣の下の空 ぼーつと明かつたよ そしてね お星樣うすかつた 死んでるのあつたよ 知つてる あの遠い街に いゝことうんとあるんだ …
読書目安時間:約1分
見てたよ 窓からじつと 遠い街の灯 ほらね お星樣の下の空 ぼーつと明かつたよ そしてね お星樣うすかつた 死んでるのあつたよ 知つてる あの遠い街に いゝことうんとあるんだ …
窓を開く(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
これが十二月の空であらうか。風は北極に流れて行つたらしい。 この空のあをさはどうだ。 みの虫みの虫。みの虫だと思つたのはアカシヤの實の莢であつた。 みの虫みの虫、風に吹かれてみのを …
読書目安時間:約1分
これが十二月の空であらうか。風は北極に流れて行つたらしい。 この空のあをさはどうだ。 みの虫みの虫。みの虫だと思つたのはアカシヤの實の莢であつた。 みの虫みの虫、風に吹かれてみのを …
港(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
波止場近くの白い船 波が寄せます タポタポン ホラタポタポン 甲板に並んだ白い服 海をみてます トロトロリ ホラトロトロリ お空にのびてるメーンマスト 鴎が飛びます サツサラリ ホ …
読書目安時間:約1分
波止場近くの白い船 波が寄せます タポタポン ホラタポタポン 甲板に並んだ白い服 海をみてます トロトロリ ホラトロトロリ お空にのびてるメーンマスト 鴎が飛びます サツサラリ ホ …
港にはいる汽船(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
みなとの海は みどりのびろうど テーブル掛のやうな 白い船がはいる 汽笛はふくれて みなとにあふれる みんなデツキで こちらをみてる 空からひらりと ハンケチ落ちた ちがふあれだよ …
読書目安時間:約1分
みなとの海は みどりのびろうど テーブル掛のやうな 白い船がはいる 汽笛はふくれて みなとにあふれる みんなデツキで こちらをみてる 空からひらりと ハンケチ落ちた ちがふあれだよ …
港のあいさつ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
お船とお船で 笛がなる笛がなる 汽笛であいさつ ぽうお天氣さん ぽうお天氣さん お船とお船で 手をあげる手をあげる 右手であいさつ ほういごきげんさん ほういごきげんさん …
読書目安時間:約1分
お船とお船で 笛がなる笛がなる 汽笛であいさつ ぽうお天氣さん ぽうお天氣さん お船とお船で 手をあげる手をあげる 右手であいさつ ほういごきげんさん ほういごきげんさん …
むぐらと月:――童話風景――(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
むぐらの子供が 散歩に出かけます 月はミルクをかけたやうに ほんのりしてゐます むぐらの子供はいひませう 「蟲けらよりうんとおいしいだらう」つて …
読書目安時間:約1分
むぐらの子供が 散歩に出かけます 月はミルクをかけたやうに ほんのりしてゐます むぐらの子供はいひませう 「蟲けらよりうんとおいしいだらう」つて …
椰子と黒ん坊:――童話風景――(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
黒ん坊たちは椰子の實を落します 青い湖水に月が降りてゐます 椰子の實が湖水に落ちて 月がこはれます 花粉になつて散ります 黒ん坊は月から生れたでせう 青い光をきてゐます 黒ん坊たち …
読書目安時間:約1分
黒ん坊たちは椰子の實を落します 青い湖水に月が降りてゐます 椰子の實が湖水に落ちて 月がこはれます 花粉になつて散ります 黒ん坊は月から生れたでせう 青い光をきてゐます 黒ん坊たち …
山の駅(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
汽車がきてます山の驛 驛長さんと機關手と お話してます立つたまゝ 生れたお國のことなどを 馬もきてます馬車の馬 プラツトホームは山つづき 月見草など咲いてゐて 虫がこもつて鳴いてま …
読書目安時間:約1分
汽車がきてます山の驛 驛長さんと機關手と お話してます立つたまゝ 生れたお國のことなどを 馬もきてます馬車の馬 プラツトホームは山つづき 月見草など咲いてゐて 虫がこもつて鳴いてま …
夢(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
美しい夢を見た。 清流にかゝつた白い橋の上に私は妹たちと居た。さゞれ石の上をチロチロと流れて行く碧玉の水。私は嵐山かどこかの繪葉書を想つてゐた。 美しい夢であつた。山路にかゝつてゐ …
読書目安時間:約1分
美しい夢を見た。 清流にかゝつた白い橋の上に私は妹たちと居た。さゞれ石の上をチロチロと流れて行く碧玉の水。私は嵐山かどこかの繪葉書を想つてゐた。 美しい夢であつた。山路にかゝつてゐ …
夢の国:――童話風景――(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
お目目のおへやの小ちやいドアーを そつと誰だかしめてゆく おめめのおへやの小ちやいドアーは しまつたままではひらかない おめめのおへやの小ちやいドアーを ゆめはトン/\入つてくる …
読書目安時間:約1分
お目目のおへやの小ちやいドアーを そつと誰だかしめてゆく おめめのおへやの小ちやいドアーは しまつたままではひらかない おめめのおへやの小ちやいドアーを ゆめはトン/\入つてくる …
リズム(詩の)に就いての再考察(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
永い間「影のリズム」といふ言葉を私は獨り考へて來た。「影のリズム」といふ言葉は私が獨自の私の意圖する童謠の世界に雄飛させようと務めて來たものであつたが今やつとそれの一端にはつきりし …
読書目安時間:約3分
永い間「影のリズム」といふ言葉を私は獨り考へて來た。「影のリズム」といふ言葉は私が獨自の私の意圖する童謠の世界に雄飛させようと務めて來たものであつたが今やつとそれの一端にはつきりし …
レインコートを着たてんと虫(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
春の雨は絹の雨 レインコートのてんと虫 ペンペン草のてつぺんで 明日も雨だと知らせてる 春の風はそより風 レインコートのてんと虫 ペンペン草のてつぺんで 南の風だと知らせてる …
読書目安時間:約1分
春の雨は絹の雨 レインコートのてんと虫 ペンペン草のてつぺんで 明日も雨だと知らせてる 春の風はそより風 レインコートのてんと虫 ペンペン草のてつぺんで 南の風だと知らせてる …
わがあけくれのうた(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
寢がへりを打てばかなしもザラザラと腦のくづるゝうつろなる音 日毎夜毎吾が悲しみの多くなる如く思ひて今日も亦寢る 思へども思へども心まとまらず濱に出て來て身を横ふる 葉山ゆく馬車高々 …
読書目安時間:約2分
寢がへりを打てばかなしもザラザラと腦のくづるゝうつろなる音 日毎夜毎吾が悲しみの多くなる如く思ひて今日も亦寢る 思へども思へども心まとまらず濱に出て來て身を横ふる 葉山ゆく馬車高々 …
“桜間中庸”と年代が近い著者
今月で生誕X十年
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)