“却”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かえ55.1%
かへ20.4%
かえっ11.5%
かへつ5.6%
しりぞ5.3%
けえ0.4%
かえつ0.3%
カエ0.3%
カヘツ0.1%
おびや0.1%
けえつ0.1%
けへ0.1%
こう0.1%
にげ0.1%
はた0.1%
シリゾ0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その嬉しそうな容子ようすと云ったら、母はむっつり屋で滅多に笑顔を見せるような事が無いので、かえって無鬼魅ぶきみに思えたくらいでした。
母の変死 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「素性の知れないものの乳を遣るのは、どんなものでしょう。それに病気なぞあったりすると、牛乳で育てるよりかえって悪くならないでしょうか。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「旦那、氣が付きなすつたかい。父子主從しゆじう三人一緒に死ぬのも因縁事いんねんごとだ。へツ/\、かへつてあきらめが付いてようがせう」
かれは一ねんぶりにさかんなみやこ炎熱えんねつ煤煙ばいえん呼吸こきふするのをかへつてうれしくかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
アハヽヽと笑いころげて其儘そのまま坐敷ざしきをすべりいでしが、跡はかえっいやさびしく、今の話にいとゞ恋しさまさりて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
樺太虎杖の花は内地で見るようなほのぼのとした淡紅ときいろを含めていないが、その緑がかった薄黄はかえっつつましくてあわれであった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
それはためあひした念慮ねんりよむしかへつさかん永續えいぞくすることすらりながら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さるが故に、私は永代橋えいたいばしの鉄橋をばかへつてかの吾妻橋あづまばし両国橋りやうごくばしの如くにみにくいとは思はない。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
自分ではひどく不満足に思っているが、率直な、一切の修飾をしりぞけた秀麿の記述は、これまでの卒業論文には余り類がないと云うことであった。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ローマ法族の法神パピニアーヌスは誣妄ふぼうの詔を草せずして節に死し、回々法族の法神ハネフィヤは栄職をしりぞけて一死その志を貫いた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
藤「なアにそんな事はねえ、貴方あんたは始めてのことだから親父さまがくよりけえって大事でいじにするだんべいよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
村落むらあんさ、何處どこつちつたつて場所ばしよはねえんですから、なあにひとりでせえありやけえつてふところはえゝんでがすから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
然し、今日私が、過去の錯乱を去つたのは、実に私が、謂はば、自力的に求めたればこそで、かえつて今日はじめて、花の美しさをも感じられるやうになつた次第である。
詩壇への抱負 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
わたくしはそれがかえつってみょう御殿ごてん構造つくりにしっくりとてはまって
官兵衛は見ていた。もちろんその書簡は読み得ないが、彼の顔色に映し取ってそれを読むに難くないとしていた。——智者ハカエッテ智ニ溺ル——。後に思えば、官兵衛生涯の不覚は実にこのときの読み違いにあった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然ルニ 賄賂ワイロニ毒セラレタル官コレヲ捕エテ カエッテ淫婦奸夫ヲ殺サズ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乳母があわてゝ探すだらう、と言ふ心が起つて来ても、カヘツてほのかな、こみあげ笑ひを誘ふ位の事になつてゐる。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ソレカヘツて、あるいてゐる道のホトリスゴさを照し出した。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
『石田軍記』三、加賀野江弥八が平らげた伊吹の山賊鬼装して近郷をおびやかした話などを参ずるに
ひどやすくなつちやつたな、さむつちや保存もちがえゝのにけえつやすいつちうんだからまる反對あべこべになつちやつたんだな」勘次かんじ青菜あをなをけならべつゝいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この病氣びやうきあがりの細君さいくんこゝろやすめるためには、けへつてそれを冗談じようだんにしてわらつて仕舞しまはうからうとかんがへたので、
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「聴きしに優ると来たか、お前の学もいよいよこうを積んで、近頃は俺にもわからねえことがあるよ」
「抜いたな」と馬琴は感付いたが、にげも走りもしなかった。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『不空羂索陀羅尼経』に、緊羯羅こんがら童子を使うて、世間の新聞一切報告せしむる方を載せ、この童子用なき日は、一百金銭を持ち来り、持呪者に与う、しかしその銭は仏法僧のためにつかはた
唯副産物の量を少くして、殆ど皆無と見ゆるに至るまでにするのが従来の作家の理想ではあるが、又一方に、この副産物をタクミに利用するといふことも、詩としてはあながちにシリゾくべきことではないと思ふ。
和歌批判の範疇 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)