“吝”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
けち32.6%
おし18.6%
しみ10.4%
やぶさか9.5%
をし6.8%
やぶさ5.9%
しわ5.4%
3.6%
しは2.3%
0.9%
0.9%
きたの0.5%
しはき0.5%
しぶ0.5%
しま0.5%
しみた0.5%
しみった0.5%
つま0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの品の好い紳士は、あれで心は残酷で、けちくさいのだろう。あの百姓は単純そうに見えて、本当に嫌にしつこくて貪欲どんよくなのだろう。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
その頃の西洋地理書から訳出したものらしいが、欧州の博識連へ聞き合したるも今に所拠が知れぬ。御存知の方は教示をおしむなかれ。
お蔦 食べる物をあげたいけど、ここの家はしみれで話にならない。あたしの身上ありッたけやるから、どこかで何か食べてお行き。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
それゆえ彼の行為が、ある程度を越えない限りに於ては、彼の好意を、単なる友人としての好意を、受けるにやぶさかでなかったのである。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
否、塵芥は至粋をとゞむるのちからなきなり、漁郎天人の至美を悟らずして、いたづらに天衣の燦爛さんらんたるををしむ、こゝに於てか天人に五衰の悲痛あり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
平中は、なおいろ/\とその人のことを根掘り葉掘り問われるまゝに、知っている限りは知らしてやるのにやぶさかでなかった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
土肥のしわぼうが、藩では、いちばんの金持ちだといわれておる。吾々の親父も、みんな、貴公の親父から、利息金を借りているんだ。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、又、他の一口のミルクをさがしに行くのです。けれども、木虱は乳をしみます。何時もその管から流し出しはしないのです。
その代りしはき事も二とは下らねど、よき事には大旦那が甘い方ゆゑ、少しのほまちは無き事も有るまじ、厭やに成つたら私のとこまで端書一枚、こまかき事は入らず
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取ったがいいぞ。氏の長者なんていう奴ほど、肚はみッたれだから、よこせと、押しづよく、いわねばだめだ。おぬしは、気が弱い。強くなれ、強く
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕等は勿論動物園の麒麟に驚嘆の声をしむものではない。が、僕等の家にゐる猫にもやはり愛着あいぢやくを感ずるのである。
「いろいろに、小細工をしよっていかん。薩摩隼人の極く悪いところじゃ。金にきたのうて、小刀細工が上手で、すぐ徒党を作って——」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
つくせし段かみにも定めて御滿足まんぞくに思召ならん依て御褒美はうびとして銀五枚取せつかはすと申渡され諏訪町家主組合長屋の者一同に下られ又彌吉粂事は現在げんざい母姑女の續き合に在ながら其身のしはきより困窮こんきう難儀なんぎの場所も見返らずあまつさへ老母自害致し候證據しようこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこにはあまりさはられないので身動きをしながらジツと赤ン坊を心ゆく計り洗つて乾いた手拭で拭いて、六平さんの出ししぶつた赤ン坊の最も善い着物をきさせて、棺——蜜柑箱に納めることにした。
下谷の旦那はなかなかしまっていらっしゃる方で、月々の極めた物のほかには一文も余計に下さらないもんですから、この寒空にむかってほんとうに困ってしまうと
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しみたれだなあ。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実際情ないは小屋ばかりでなく、協会と取的とのゴタゴタ、賦金がどうの、親方がこうのと、宵越しの銭を持たねえ江戸ッ児が見るものにそんなしみったれたものは大嫌い、よして貰いてえものだ。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
大概お総菜そうざいなど、朝は、しばのお汁、中飯にはちハイ豆腐か、晩は鹿尾菜ひじきに油揚げの煮物のようなものでそれはつましいものであった(朔日ついたち、十五日、二十八日の三日には魚を付けるのが通例です)