“けち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
39.0%
吝嗇23.8%
蹴散16.5%
希知2.4%
卑劣1.8%
1.8%
1.2%
狭隘1.2%
矮小1.2%
蹶散1.2%
(他:16)9.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この講堂にかくまでつめかけられた人数の景況からすと堺と云う所はけっしてけちな所ではない、えらい所に違いない。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お安さんという独身者ひとりもので、村一番のけちぼうの六十婆さんが、鎮守様のお祭りの晩に不思議な死にようをした。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私は卑屈で、しかも吝嗇けちであるから、こちらから名乗ってお礼を言う勇気もなく、お酒を一本呑んで、さっさと引き上げた。
俗天使 (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼は妙に落着きがなくなり、大抵の男鰥おとこやもめがそうであるように、だんだん疑い深くなり、吝嗇けちくさくなって行った。
いきなり石段を一股ひとまたに飛び下りて化銀杏ばけいちょうの落葉を蹴散けちらして寂光院の門を出てず左の方を見た。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
理不尽りふじんにも、土足のまま、小舟の中へおどり込んできた者たちは、たちまち、とまをはねて、川の中へ蹴散けちらかし、
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出て見ろったって、燕尾服えんびふくも何も持って来やしないから駄目だめだよと断ると、是公が希知けちやつだなと云った。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつのにやら松がなくなったら、板橋街道のような希知けち宿しゅくの入口に出て来た。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もとより此方こちで取るはずなればりもせぬ助太刀頼んで、一人の首を二人で切るような卑劣けちなことをするにも当らないではありませぬか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ええ業腹ごうはらな、十兵衛も大方我をそう視て居るべし、とく時機ときの来よこの源太が返報しかえし仕様を見せてくれん、清吉ごとき卑劣けちな野郎のしたことに何似るべきか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「巳は男好きだというけれど……」お絹はいささかけちをつけるように言って、からだを壁ぎわの方へ去らして横になった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
笹村はふと頭が曇って来ると、得意になって二人のしていることに、片端からけちをつけずにはいられなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小説家といふ奴はうぬけちな眼玉に写る世間を見て生悟なまざとりした厄介者だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
同商売の者は成るべくトラスト流に合同して大資本を作つて大きな商売をして貰ひたいのだが、日本人同志のなかではけちな利慾心が邪魔をするからとても相談が纏まらない。
青年実業家 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
清吉そなたは腑甲斐無い、意地も察しも無い男、何故私には打明けて過般こなひだの夜の始末をば今まで話して呉れ無かつた、私に聞かして気の毒とおつに遠慮をしたものか、余りといへば狭隘けちな根性
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
清吉そなた腑甲斐ふがいない、意地も察しもない男、なぜ私には打ち明けてこないだの夜の始末をば今まで話してくれなかった、私に聞かして気の毒とおつに遠慮をしたものか、あまりといえば狭隘けちな根性
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
矮小けち下草したぐさになつて枯れもせう大樹おほきを頼まば肥料こやしにもならうが、たゞ寄生木になつて高く止まる奴等を日頃いくらも見ては卑い奴めと心中で蔑視みさげて居たに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
矮小けちな下草になって枯れもしょう大樹おおきを頼まば肥料こやしにもなろうが、ただ寄生木になって高く止まる奴らを日ごろいくらも見ては卑しい奴めと心中で蔑視みさげていたに、今我が自然親方の情に甘えてそれになるのはどうあっても小恥かしゅうてなりきれぬわ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひづめで落葉を蹶散けちらす音、これは騎兵演習の斥候せっこうか、さなくば夫婦連れで遠乗りに出かけた外国人である。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
さうした場合、圭一郎は反撥的にわつと聲をあげたり、千登世をゆすぶり覺まして何かの話に假託かこつけて苦しみを蹶散けちらさうとするやうな卑怯な眞似をした。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
十兵衞といふ愚魯漢ばかものは自己が業の粗漏てぬかりより恥辱を受けても、生命惜しさに生存いきながらへて居るやうな鄙劣けちな奴では無かりしか、如是かゝる心を有つて居しかと責めては後にてとむらはれむ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
味気なき世に未練はもたねばものの見事に死んで退けて、十兵衛という愚魯漢ばかものは自己が業の粗漏てぬかりより恥辱を受けても、生命惜しさに生存いきながらえて居るような鄙劣けちやつではなかりしか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「勿論? 勿論ですとも! 何奴なにやつか知らんけれど、実にきたない根性、けちな奴等です。然し、怨を返すといふ点から謂つたら、奴等は立派に目的を達したのですね。さうでせう、たとひその手段は如何いかにあらうとも」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
で、自分一人でその金を払おうかと思ったが、この田舎漢いなかもの卑吝けちな奴達のお先に使われるような気がして止した。
黄昏 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
このうちは、金持かねもちでありながら、たいへん吝薔けちであるということを、むらでは、みんならぬものがないくらいでした。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いや、こちらにも奇怪けちな事件がありましてね、村長さん!」
奇怪けちなことが起りをつてね、助役さん!」
堕落か成功か、其様そん屑々けちな評価は如何でも構わぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ねえ貴下、わたくしはなんの因果で弱小けち土地とこに生れたんでしょう。もうもうほんとに愛想が尽きたんですよ。」
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、結局この船に付いた怪痴けちを払い除ける事は出来なかったらしい。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
マルタいぬは一名を獅子犬と呼ばれてゐるが名ばかり立派でからもう弱虫なけちな奴だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
後、曹操がそれをあわれんで自身の一女を娶合めあわせたので、諸人の尊重をうけてきたが、ようやくその為人ひととなりが現われてくるにつれて天性やや軽躁けいそう、そして慳吝けちたちも見えてきたので、魏軍のうちでもあまり声望はなかった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けちえんのつかあなから一疋、
蛍狩 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
生命は共通である。潔癖は吾儘者の鄙吝けちな高慢である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
人をほめれば自分の器量が下るとでも思うのか、人のた事には必ず非難けちを附けたがる、非難けちを附けてその非難けちを附けたのに必ず感服させたがる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
下野勢は散〻に駈散けちらされて遁迷ひ、余るところは屈竟くつきやうの者のみの三百余人となつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)