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希知
出て見ろったって、
燕尾服も何も持って来やしないから
駄目だよと断ると、是公が
希知な
奴だなと云った。
いつの
間にやら松がなくなったら、板橋街道のような
希知な
宿の入口に出て来た。やッぱり板橋街道のように
我多馬車が通る。一足先へ出た長蔵さんが、振り返って
彼は
黒い
夜の
中を
歩るきながら、たゞ
何うかして
此心から
逃れ
出たいと
思つた。
其心は
如何にも
弱くて
落付かなくつて、
不安で
不定で、
度胸がなさ
過ぎて
希知に
見えた。