“宿”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
しゅく36.9%
やど36.6%
とま9.1%
しゆく7.5%
2.2%
じゅく1.3%
やどり1.3%
1.1%
うち0.9%
じゆく0.4%
(他:12)2.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“宿”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸22.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語8.4%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行5.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
と、槍持ち奴共やっこどもの声も景気よく吉田の宿しゅくの方から街道目ざして練って来たのは、どこかの藩の大名行列でした。
「……何はともあれこのままにては不本意に存じまするゆえ、御迷惑ながら小田原の宿しゅくまで、お伴仰せ付けられまして……」
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一所不住いっしょふじゅう沙門しゃもん雲水行脚うんすいあんぎゃ衲僧のうそうは必ず樹下石上を宿やどとすとある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我に曰ひけるは。アーヴェのいはれし日より、今は聖徒なるわが母、子を生み、宿やどしゝ我を世にいだせる時までに 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ようやく夕べ宿とまった坊様と知れてやや安堵すれば、僧また豕箱隠れの事由を語り、双方大笑いで機嫌は直れど損じた脚は愈えず。
山嵐は「おい君どこに宿とまってるか、山城屋か、うん、今に行って相談する」と云い残して白墨はくぼくを持って教場へ出て行った。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東海道五十三次のうち丸子の宿しゆくはとろゝの名物と云ふことをば古い本でも見、現在でも作つてゐることを人から聞いてゐた。
……宿しゆくは、八重垣姫やへがきひめと、隨筆ずゐひつで、餘所よそながら、未見みけん知己ちき
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いやたとえ一晩でも宿めて貰って、腹の中とは云え悪くいうは気がとがめる、もうつまらん事は考えぬ事と戸を締めた。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
姉はまた語を續けた。「お前の友達つて人は本當に今日來るの?……何なら今夜内へ宿めてやつても可いとおつ母さんが言つてお出でだつた。」
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
数日前に閣老部屋から早打が立って、木曾奈良井宿じゅくの百草問屋で大蔵というものを召捕れという命が飛んでいた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仄白い光が、行く手にひろがっていた。それは神奈川宿じゅくの海だった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大正五年五月中浣、妻とともに葛飾は真間の手児奈廟堂の片ほとり、亀井坊といふに、仮の宿やどりを求む。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こゝに於て、蝶の宿やどりを、秋の草にきづかつたのをあざけらない。
玉川の草 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また、「背向そがひ宿しく」は、男女云い争った後の行為のように取れて一層哀れも深いし、女らしいところがあっていい。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
すなわちその歌は、「春のにすみれみにとあれぞ、をなつかしみ一夜ひとよ宿にける」である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
主人は一息ついてから目を皿のようにして天井を指しながら宿うちの四階に居た乙女のように柔和なセルヴィヤ人が其のFであった。
二人のセルヴィヤ人 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
するとその翌朝になって帳場のそばの溜まりで、ガルソンから、けさ一人の支那人が宿うちから程遠からぬ所を流れている黄浦江おうほこうの河岸に惨殺されていた、と云う話を聞かされたのです。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
「其處まで氣が付けば、あとは俺が行つても調べやうはあるまい、——兎に角四宿じゆくかためて、江戸から持ち出させねえやうにするが宜い、それから大川筋が一番臭い、船を虱潰しらみつぶしに調べることだ」
「何が胡麻の蠅がえらかんべい。三年前の大夕立に雷獣らいじう様を手捕りにした、横山宿じゆくの勘太とはおらが事だ。おらが身もんでえを一つすりや、うぬがやうな胡麻の蠅は、踏み殺されると云ふ事を知ん無えか。」
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
万客ばんきゃくあか宿とどめて、夏でさえ冷やつく名代部屋の夜具の中は、冬の夜のけては氷の上にるより耐えられぬかも知れぬ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
太空そらは一片の雲も宿とどめないが黒味わたッて、廿四日の月は未だのぼらず、霊あるが如き星のきらめきは、仰げば身もしまるほどである。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
くゞつとほかひゞととの相違は、くゞつの海・川を主として、後に海道に住み著いて宿シユクをなした者も多いのに、ほかひゞとは水辺生活について、何の伝説も持たない。
しづまる宿シユクにともしびあはし
人麿の歌に、「古にありけむ人も吾がごといもに恋ひつつ宿ねがてずけむ」(巻四・四九七)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その時ある晩、ある所へ宿とまった。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
太空そらは一片の雲も宿とゞめないが黒味渡ツて、廿四日の月は未だ上らず、霊あるが如き星のきらめきは、仰げば身もしまる程である。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
もも長に 宿さむを。
朝柏あさがしはうる八河辺はかはべ小竹しぬのしぬびて宿ればいめに見えけり 〔巻十一・二七五四〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
此歌は「しぬびて宿ればいめに見えけり」だけが意味内容で、その上は序詞である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
其の興味を感ずることが出来ませんでしたの、貴女に疑はれたことなども私く記憶して居りますよ——私も折々自分で自分を怪しんだこともありますの、私の心が不健全であるのでは無からうか、愛情と云ふものを宿どさない一種の精神病のではあるまいかと——けれど私は只だ亡き母をおも
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「廿六日。晴。昼八時津軽領青森湊着船。総御人数上陸。中村屋三郎宅へ宿やどる。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
轎夫けうふいふ。御嶽山上に塩ありと。所謂いはゆる崖塩なるべし。一里半藪原駅。二里宮越駅。若松屋善兵衛の家に宿やどる。此日暑甚し。三更のとき雨降。眠中しらず。行程九里きよ
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この孱弱かよわい、幼稚いとけなはなぶさうちどく宿よどれば藥力やくりきもある、いでは身體中からだぢゅうなぐさむれども、むるときは心臟しんざうともに五くわんころす。