“い”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
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(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
登り詰めた揚句あげくは、流れて雲にって、ただようているうちに形は消えてなくなって、ただ声だけが空のうちに残るのかも知れない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このひとたちはおもひ/\にだてをめぐらしてひめれようとしましたが、たれ成功せいこうしませんでした。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
その不意打ふいうちの行為が僕の父の矜尚の過程に著しいさまたげを加へたから父は忽然こつぜんとして攻勢にでたのではなかつたらうか。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
キルマンセッグ男爵は進みでて、恐る恐る「ヘンデルにござります。陰ながら今日の御盛典を祝して、あの音楽を指揮しております」と申し上げた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
をとこまた加減かげんことつてやつておくと、またその翌月よくげつの一じつ葉書はがきた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
女は馬車を雇う事を男に勧めようかと一寸ちょっと考えたが、それを口に出す事を躊躇ちゅうちょした。ゆっくり歩けばいと思ったからである。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
景勝けいしよう愉樂ゆらくきやうにして、内湯うちゆのないのを遺憾ゐかんとす、とふ、贅澤ぜいたくなのもあるけれども
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ことにその泥岩そうは、川の水のすたんび、奇麗きれいあらわれるものですから、何ともえず青白くさっぱりしていました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
蓬莱が竜宮以上の外来語なることは疑いをれぬが、古訓のトコヨノクニにも文化の香があって、なお最初からの民間の通語とは考えられぬのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼は書斎へ老女を招致せり、新古の書巻わづかに膝をるゝばかりに堆積散乱して、だ壁間モーゼ火中に神と語るの一画を掛くるあるのみ、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼等かれらきた彫刻てうこくやうおのれをして、のないへや肅然しゆくぜんすわつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これ十九章二十五節にあるヨブのことばたる「われ知る我をあがなう者はく、後の日に彼必ず地の上に立たん」に対する嘲笑的皮肉である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
そして研究は、国研の範囲と認める自由な事項を選定してよいとうことで、四宮理学士と共に、特に所長芳川博士直属の研究班ということになった。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
全くうでないともはれぬので、俊男としをは默ツて、ニヤ/\してゐたが、ふいと、「そりや人には氣紛きまぐれといふものがあるさ。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「これからあの人が来ると、何時でも五円遣らなければならないような気がする。つまり姉がらざる義理立ぎりだてをするのと同じ事なのかしら」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、空を支えるには、大変な筋力がりましたが、それでも、誰か人間のうちでそんな芸当が出来そうな者があるとすれば、彼こそその人でした。
正午ひるになると毎日まいにち警察署長けいさつしょちょうが、町尽頭まちはずれ自分じぶんやしきから警察けいさつくので
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すると当夜とうやは、映画えいがつたのだとこたえたが、映画えいが題名だいめいをきくと、すぐにこたえられない。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
——だが主膳は、そういう目にあった幾人もの女が、やがてはみな主人の局に、の美魚のごとくよろこんで飼われているのを眼に見てきた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前達まへたち祖父おぢいさんでも、祖母おばあさんでも、みんなその言葉ことばなかきていらつしやるやうながします。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あなたは急いで仏蘭西語を学ぶがい、もしあなたが僅かの書籍ほんでも読み得るように成ればそれほどの無聊ぶりょうを感じないで済むであろう
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『だつて、うぢやないか』とねこつて、『さもなければ、おまへ此麽こんなところなくてもいぢやないか』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「お婆さんあんた、あっちいといでやす。あんた自分で関係せんというといやしたやないか」とたしなめておいて、女の方を見て言葉を改めながら、
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
私たちの間には楽しい笑い声が起こった。次郎は、両手を振りながら、四畳半と茶の間のさかいにある廊下のところを幾度となくったり来たりした。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
背戸せどつて御覽ごらんなさい、と一向いつかう色氣いろけのなささうな、腕白わんぱくらしいことをつてかへんなすつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きちはふゝんとつて兀頭はげあたまにはしいものだ、御初穗おはつうれでもらうかとへば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
モナコのさいの目に現れた不吉が、佐野を行方不明にしてしまい、妾は傷のえるまでニースの赤十字病院にロダンさんの手厚い看護を受けました。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
七月となり、八月となり、牛乳の時期に向かって、不景気の荒波もようやく勢いを減じたが、幼女を失うた一家の痛みは、容易にゆる時はこない。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しかしそのうちにフト気が付いて、叔父の斜うしろに坐っている伊奈子の様子を見ると、こうした私のまわしい疑いも無用である事がわかった。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ういふ言葉の中には、真に自身の老大を悲むといふこゝろが表れて、創意のあるものをむやうな悪い癖は少許すこしも見えなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ぜんには阿母さんと一所に寢たいちうて泣いたもんやが、今は阿母さんがそないに厭になつたんか。そんなら早うに。……もう來いでもえゝ。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
本庄が出かけた後に何者かが忍び入り、家探しをした上に、少女をさらってったに違いない、それにしてもこの部屋の荒しようはどうだろう。
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
と云うが、うも宅にれば居る程気分が悪いから、寺参りにでもく方がかろうというので、寺参りに出掛けます。三藏も心配して、
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なに御道おみちめとあれば、わたくしぞんじてかぎりは逐一ちくいち申上もうしあげてしまいましょう。
ごく都合のい者になれば大名に抱えられて、昨日までの書生が今日は何百こくさぶらいになったとうこともまれにはあった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
矢張やはり君には話して置いた方がいだろう。実は斯うだ。今日十時頃、園田敬太郎氏から電話で、至急事務所の方へ来て貰い度いと言うのだ。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
丙「どうもい女だなア、あの後姿のいこと、桜の花より美くしいや、ちょっとねえさん、此方こちらを向いて顔を見せておくれ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
髪をかういふ風にこんな嶋田しまだに結つてと、変てこな手つきして、奇麗だねあのはと鼻をふきつつ言へば、大巻さんよりなほいや
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひどいてつきようでしたが、今はまあどうでしょう? 可愛いお嬢さま! (笑って、アーニャにキスする)待ち遠しかったですわ、大好きな
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
沈々と更け行くてついた雪の街上を駈け抜ける人の跫音あしおと、金切り声で泣き叫ぶ声、戸外からは容易ならぬ気色けしきを伝えてくる。
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
何、米にかねがね聞いている、婆さんお前は心懸こころがけいものだというから、滅多に人にも話されない事だけれども、見せて上げよう。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どうか私が事は思い切り、い亭主を持って、死ぬのなんのと云うような心を出さないで下さい、お前さんが死ぬと云えば私も死なゝければならないから
やまからその山腹さんぷくつきひかりらしされたあたりからは大石おほいし小石こいし
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
するとかぶとほしけずって、そのうしろのもんの七八すんもあろうというとびらをぷすりとぬきました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「子供がどうしてい悪いがわかるものかね。たとえよかったにしても、秦には及ばないよ。秦の方がだめになったら、その時にしてもおそくはないよ。」
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
『心配しなさんな。明日あしたからおれが書き出す。此処こゝへ来てから大分に気分もいのだから。月末げつまつにはうにか成るさ。』
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「ほほ、これはなことを承りまする。御代参とあれば関白家も同じこと、弟御おとうとごの左大臣どのから遠慮のお指図を受きょう筈はござりませぬ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なうごきが見えまする。森武蔵の兵が、潮のひく如く、いつのまにか、青塚を退き、何処へか、陣替えしましたか、行く先がわかりませぬ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じょの徳子をれ、ここに臣下でありながら、天皇の外戚という関係と、武家でありながら政権も握っているという、まったく特殊な位置とを
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或時は事情にとらわれて、彼女達かのおんなたちの望むがまま家にれて箕帚きそうらせたこともあったが、然しそれは皆失敗に終った。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と元来病弱だから、決して反対しない。級長の立花君は特待生という都合上、自分一人い子になりたがって、これを奇貨きかとする傾向がある。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
平素ふだん神信心をしないばちだよ。いいえ、ばちだよ。幾ら助けたいにも、お前さんだと知つちや、助けられないぢやないか。」
茂次は頷いた。おりつは茶をれ、菓子鉢の蓋を取ってすすめながら、「それから」と云いかけて、そのまま黙った。茂次は茶を啜りながら、おりつを見た。
ちいさこべ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
姉は茶をれる。土産の包を開くと、姉の好きな好きなシュウクリーム。これはマアおしいと姉の声。で、しばらく一座はそれに気を取られた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
朝早く起き夜は遅くね、昼はいねずして家の内のことに心を用ひ、おりぬいうみつむぎおこたるべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
——「われはねまし、されどは踊らでやまず。」この文句の語る憂鬱で北国的な、誠実で不器用な感覚の重苦しさを、彼は実によくっている。
父なる神の御声みこえ、天にます亡母はゝの幻あり/\と見えつ、聞えつ、何故などかる汚穢けがれむしろに座して
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
安「生きてらっしゃるつもりでするんだから、本当の婚礼の式でなければいけません、尾頭つきに何かお芽出度いものでなければ成りません」
ぷつりとそれをみ切ってぷいと吹き飛ばし、火鉢の灰かきならし炭火ていよくけ、芋籠いもかごより小巾こぎれとりいだ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奧方おくがた火鉢ひばち引寄ひきよせて、のありやとこゝろみるに、よひ小間使こまづかひがまいらせたる
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しうと微笑ほゝゑみて、とききて跪坐ついゐたるをんなかへりみてふ、おまへをしへておげと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「イエス彼にいけるは主たる爾の神を試むべからずとしるされたり。」けれども自分は、神を試みてからでなければ神を信じられなかった。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
その間に女たちはそよ風に領巾ひれひるがえしながら、頭の上の素焼の甕にさわやかな朝日の光を浴びて次第にから遠ざかって行った。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
の中のかわずという意味で、井蛙せいあと号する人はめずらしくないが、青いという字をかぶらせた青蛙せいあの号はすくないらしい。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そんなことを思うと、身をられるような悩ましさに胸の動悸が躍って、ほとんどいてもってもいられないほど女のことが思われる。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
上丸じやうまる上々丸じやう/\まるなどとなへて胡桃くるみいつもあり。一寸ちよつとつて、あめにてる、これはうまい。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女髪兼安の鍔を丁! と鳴らす。金打きんちょうして、耳もとに叫ぶと法外先生は微笑を洩らしたきり、それなり一言も口をひらかずに、ったのだった。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鴎外が董督とうとくした改訂六国史りっこくしの大成を見ないでったのは鴎外の心残りでもあったろうし、また学術上の恨事でもあった。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そうかと思うと又ふいと娘がこの中に来ていはせぬかと思って、銀杏返しにっている、若い女をり出すようにして見ることなどがある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
……手切てぎれかもじも中にめて、芸妓髷げいしゃまげった私、千葉の人とは、きれいにわけをつけ参らせそろ
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
明日は、十月へはいって初のの日で、御玄猪ごげんちょのお祝い、大手には篝火かがりびをたき、夕刻から譜代大名が供揃い美々びびしく登城して
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「なに、手はずに変わりがあるものかね。集まるのは羅生門らしょうもん、刻限は上刻じょうこく——みんな昔から、きまっているとおりさ。」
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
不思議なことにお秀の姿を見ると花田は山椒の葉を毟る手を止めて、そのまゝ固められたかのように立竦たちすくんでしまいました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
蘚苔せんたい蘿蔦らてうを、烏金しやくどうに、青銅せいどうに、錬鉄れんてつに、きざんでけ、まとうて、左右さいう
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
およそ、人間が住み、人間が営む世間に、伯耆どのがみ嫌う人間のしゅうなるものが、まったく、ここにはないなどという別天地があるわけはない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりとて何時いつてもよろこばれるでもなく、結局けつくあれほどやがるものをどくなとのつかぬでもなけれど
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やわらかにつもりであったが、はんして荒々あらあらしくこぶしをもかためて頭上かしらのうえ振翳ふりかざした。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
く休まではかなわじと行燈あんどん吹き消しを静むるに、又してもその美形、エヽ馬鹿ばかなとかっと見ひらき天井をにらむ眼に
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その時分の、妙に、らした気持を、もつと、上手に、はつきり申上げたいんですけれど、なんですか、自分では可笑をかしくつて、口には出せません……。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
午後じゅう、ひき裂かれた戦跡をめぐって来た伸子の体と心を、いま貫いてらだたせているのは率直な、譲歩のない生への主張だった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
昼飯を食って汗になったので、天日で湯といて居る庭のかめの水を浴び、とうの寝台に横になって新聞を見て居る内に、い心地になって眠って了うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あんまりい気持ちなので、私はひじを枕にしたまま、足の先を褞袍どてらすそにくるんで、うつらうつらとなっていた。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
さればコン吉は、手鍋キャスロオルの中でられる腸詰のごとく、座席の上で転げ廻りながら、ここを先途せんどと蝙蝠傘に獅噛しがみついている様子。
假令たとひ油蝉あぶらぜみりつけるやうに其處そこらのごとにしがみいてこゑかぎりにいたにしたところ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「いいえ、野暮やぼな人間ですからさっぱりけないんです。だが、きょうは少し飲みましょうよ。顔でもあかくしていねえと景気が付きませんや」と、半七はにやにや笑っていた。
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「田川さん、あなた本当にけないんですか、不思議ですね。酒を飲まないくせに冒険を愛するなんて。あらゆる冒険は酒に始まるんです。そうして女に終るんです」と云った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女の兄さんである増田氏は私に、この葺材は一種異様なで、屋根葺に用いる普通の藁よりも高価であると共に、余程長くもつと語った。
また後に自分の「田の青やぎていさぎよき」の心像が膠着してそれが六句目の自句「しょろしょろ水にのそよぐらん」に頭をもたげている。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
内乱の起る場合 は法王がかくれたとか、あるいはなお幼くしてまつりごとみずからすることが出来んという時に当り、ある大臣がをほしいままにするとか
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
半滴はんてきのひろがりに、一瞬の短かきをぬすんで、疾風のすは、春にいて春を制する深きまなこである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ながらに後醍醐は、本土のたいがいなことは、ここで観ておられた。出雲の守護塩冶判官は、たよりにもしておられないお口ぶりなのである。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに於て佐志木作右衛門は、千束島の山善左衛門等とはかったが、結局ながら藩兵に攻められるより兵を挙ぐるにかずとなった。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
な独り同人ばかりでなく、先生の紹介によって、先生の宅に出入する幕賓連中迄兀々こつこつとして筆をこの種の田舎新聞に執ったものだ。
な、神の特別とくべつなる贔屓ひいきけて自然しぜんhypnotizeヒプノタイズ さる〻ものは文学者ぶんがくしやなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「それじゃあ仕方がない。熊の皮が御不用ならば、熊のを買ってください。これは薬だから、どなたにもお役に立ちます。道中の邪魔にもならない。どうぞ買ってください。」
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
以前は、その形で、正真正銘の熊の、と海を渡って売りに来たものがあるそうだけれど、今時はついぞ見懸けぬ、と後での話。……
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いわく、〈近代阿蘭陀オランダの献る遍体黒白虎斑の馬あり、馬職に命じてこれを牧養せしむ、馬職これに乗りこれに載す、ともに尋常の馬に及ばず、ただ美色とうのみ、あるいは曰くの族なり云々〉と。
信州ではさらに進んで蜘蛛くもの巣をもヤジとったそうである(これは虫の悩むことヤチのごときためであろうか)。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼は、床の間の、大きなかめへ手をかけた。見事にけてあった花も、彼の腕にみだれ、瓶の口からこぼれる水は、縁側まで滴々と音をさせて運ばれて行った。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花器を見れば、砧青磁きぬたせいじとおぼしき耳附みみつきびんに、ってけたばかりのような牡丹ぼたんのつぼみが笑みを割りかけている。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じいじいせみがまたそこらの木立こだちりつき出した。じいじい蝉の声も時には雲とこずえしずかにする。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
磯野は切り揚げそうにしては、また想い出したように銚子ちょうしをいいつけいいつけしたが、お庄が傍ではらはらするほど、気がれて話がこじくれて来た。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
本間さんはしばらく、腰の広さ十に余る酒臭い陸軍将校と、眠りながら歯ぎしりをするどこかの令夫人との間にはさまって、出来るだけ肩をすぼめながら、青年らしい、とりとめのない空想にふけっていた。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆびさしたのは、蜘蛛くもの間にかかって、一面うるしを塗ったように古い額の、胡粉ごふんが白くくっきりと残った、目隈めぐまの蒼ずんだ中に
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手いっぱいに仕事をしないで家の入口で欠伸あくびばかりしてるようなそんな人たちを見ると、気がら苛らしてくるなどというようなことを、聞えよがしに高い声で言っていた。
こゝろられのさるゝものは散曾さんくわいぎてむかひのくるまかぞれたし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
遠山と丹平は、長き廊下の遠きかたに、電燈の澄める影に、月夜に霞のただようなかに、その三人の白衣の乙女。あわれ、魂を迎うべく、天使きた、と憂えたのである。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正しく一片の私情をも挟まざる公憤であると、僕は信じ、つ、人、何が故に黙視するかを疑うものに対してのみ発するので、って来る所またひさ
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
この乞食こじきが三日もめしを食わぬときにいちばんに痛切に感ずるものはである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
また、りょうちゃんのおとうさんの、病気びょうきによくきくというくさけてくれました。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、争われないのは、不具者かたわ相格そうごう、肩つきばかりは、みじめらしくしょんぼりして、の熊入道もがっくり投首の抜衣紋ぬきえもんで居たんだよ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
去年が「甲戌きのえいぬ」すなわち「いぬの年」であったからことしは「乙亥きのとい」で「の年」になる勘定である。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
平生へいぜい着丈きだけ四尺のて、体重が二十貫目あったというから、その堂々たる相貌そうぼうが思い遣られる。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
る時は自らくわふるい、または自らぬいで人夫に与え、つとめて平気の顔色がんしょくを粧いたりしも
そもそも時代の神学思想に反抗して、別にわが魂の飢渇きかつやすに足るべき神を見出さんとする苦闘はかならずしもヨブに限らない、他にも類例が多いのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
かつ衛生のぎょうさかんになれば、病人びょうにんあらずなるべきに、のこれをとなうるはあやまてり云々。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
見終って「大名物」は再び幾重の箱に納められた。私も答うべき公案の幾つかを胸に納めて庵を辞した。門を出づれば禅林にうそぶく風が、「え」と言うが如く聞える。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
しかしことさらに「う」という語を選んだところに、我々は言語による表現の重んぜられていることを看取しなくてはならぬ。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
二人の若い男の間に挾まつて、お玉は空しく齡を取つてしまひました。その頃ではもうき遲れの二十二、非凡の美しさで、娘姿にとうも立ちませんが、はたの者に氣を揉ませることは一と通りではありません。
「大丈夫さ。しかしもちろん戦争のことだから、どういふ張合でどんなことがあるかもわからない。そのときはおまへはね、おれとの約束はすつかり消えたんだから、ほかつてくれ。」
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
時に洞窟の上開いて霊光射下り諸鬼皆おしとなり、尊者のきずことごとくえて洞天また閉じ合うたという。
都を出る時、友ありて病に臥す。彼は堅実の一学生、学成りて躰こゝに弱し、病を得て数月未だゆるに及ばず、痩癈そうはいせば遂に如何いかん。われ尤も之を憶ふ。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
旧幕府の末年に神田孝平氏が府下本郷通を散歩の折節おりふしたまたま聖堂裏の露店にと古びたる写本のあるを認め、手に取りて見ればまぎれもなき蘭学事始にして
蘭学事始再版序 (新字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
もとより承諾を得たりとは、その場合われと心をあざむける答えなりしが、果ては質問のの堪えがたなく、とど苦しき胸を押さえひたいさすりて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「さあ、こっちから押すんだぞ。チ、イ、ン。そら、よいしょ」
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
例えば彼の女性観を聞くと自分自身が女性でありながらち一ち傾聴けいちょうせずには居られないくらいに深刻に女性を解剖かいぼうしています。
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あ、たッ、何でい、わーい、という声が譟然がやがやと入違って、友達は皆道草を喰っている中を、私一人は駈脱かけぬけるようにして側視わきみもせずに切々せっせと帰って来る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「遠方から来た者です、へい、この地方に、お訪ねしたいお人があったのに。……そ、それを理不尽りふじんにも、いきなり縄目にかけやがッて。……あて、アててて」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四階の屋根裏には、エリスはまだねずと覺ぼしく、烱然けいぜんたる一星の火、暗き空にすかせば、明かに見ゆるが、降りしきる鷺の如き雪片に、たちまち掩はれ、乍ちまた顯れて、風に弄ばるゝに似たり。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
木の間洩る谷地やちあしのすぢ引きてかはづが啼けば子はぬるもの
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
たとえ一枚でも天下の通宝を土にしてはならないという護惜ごしゃくも手つだって、草の根をわけ、石の塊りを起して、収拾にかかっているところへ、戞々かつかつと馬のひづめの音をひびかせてこの場へ通りかかったものがあります。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今の青年はいややともすると実用なる科学智識の研究を閑却してヤレ詩を作るの歌をむのあるいは俳句を案ずるのと無用な閑文字かんもんじ脳漿のうしょうしぼっているが、そんな事は専門家にすべき事だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
姫は立ちいでて泣き伏した翁にいう、「私も心ならず帰るのです、見送ってください。」翁は、「何しに悲しき見送り奉らん、我をばいかにせよとて棄てゝは昇り給ふぞ、具してておはせね」と泣く。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
わずか三百の小勢をて、まだる所も持たない漂泊の亡将にしては、その言葉は、ずいぶん大言であったが、常胤は、むしろその大言を頼母たのもしく見上げて、
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
直言讜議ちょくげんとうぎまずはばからず、時には国王の逆鱗げきりんに触れるほどの危きをも冒し、ますます筆鋒を鋭くして、死に至るまで実利主義のために進路の荊棘けいきょくはらった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
奈何いかんせん寒微より起りて、智浅く徳すくなし、といえるは、謙遜けんそんの態度を取り、反求はんきゅうの工夫に切に、まず飾らざる、誠に美とすべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
二人はいつまで立っても、二人として離れていなければならない運命をっているんだと、始めから心付ているから、議論はい加減に引き上げて、三千代の仲間入りの出来る様な、普通の社交上の題目に談話を持って来ようと試みた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「とてもいんです。働かうと思つたら身體がいくつあつても足りません。皆さんにもどうぞ宜しく。」
羊羹 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
おもへば何故なぜひとのあのやうやなりしかとながたもとうちかへしうちかへし途端とたん
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのすこしのかんじもなく、ありがたしうれしなどくちさきすどころかかほるさへやがりて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「健よ、あの蒸汽はなあ、高松い行く船じゃせにお母さんは乗っとらんので。お母さんが乗っとったら、もう今ごろは船から降りて健を迎えに来よるやらしれん。そうじゃ、さあ早よなんか、早よなんか。」
大根の葉 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「僕は故郷くにってこうかと思う。じつはもうきめているのだ」という意外な言葉。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
アンリエツトの声 それ御覧なさい。(間)え! みんなで……? 随分あるわ……。い、う、い、お、つ、う、ななあ、こことを、十一、十二……十三……
落葉日記(三場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ツ切れの餅の力は、かかとにまで充溢じゅういつしていた。彼は、踵をめぐらして、
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
燕王は太祖の第四子、容貌ようぼうにして髭髯しぜんうるわしく、智勇あり、大略あり、誠を推して人に任じ、太祖にたること多かりしかば、太祖もこれよろこび、人もあるいこころを寄するものありたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
露西亜ろしあの作家が平凡生活を書き、暗黒描写をして、尚お以上の愉悦の感興を与うるのをとするものである。
若き姿の文芸 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まあまあ左様でござりますか、考えることにいたしましょう。妾はすっかり老い枯ちて居ります。この女部屋の宰領役さえ、わずらわしいものになりました。どうぞ閑静な土地へ参って、安楽なくらしをいたしたいもので。それにはお宝が入用りますので。……貴郎あなた様がそれを下さるという。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それがおかしゅうございます。晨子はもう西洋へ参ると申すのばかりが嬉しいものと見えましてね。……まるで子供のようでございますよ。彼方に参って役に立たないものは何も入用らないなどと呑気を申しております」
伊太利亜の古陶 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「何かい事が有るのだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
昨日よりいという日は別に来なかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
究竟つまり妾達あたしたちらないからさ。けれども、あたし必然きっと呼んで見せる。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
服装みなりも汚くはないんだね、折目の附いたと言いたいが、それよりか、しわの無いと言った方がい、坊さんか、尼のような、無地の、ぬべりとしたのでいた。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうなると男は女恋しさをいよいよ切に感じ出し、袖にかかるくもを払いながら、山吹の茂みのなかを掻き分けていった。
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
その日は非常に暑く、日蔭でも三十度はあった。大気は死んだようにそよりともせず、長い蜘蛛のが栗の梢から地上に力なく垂れ下がったまま、じっと揺れずにいた。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その時その者はクルリと向きをかえて、ま歩いて来た方角へ顔を向けてしゃがむ。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
まこれを再言すれば、東京専門学校をして政党以外に在て独立せしめんと欲する、これなり(大喝采)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
病気の為に信心して幸にゆれば平気で暴利をむさぼって居る者もある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
足のきずはやがてえたが、その年の冬風邪かぜから引きつづいて腹膜炎ふくまくえんかかり、赤十字病院に入ると間もなく危篤きとくに陥った。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
天子てんしさまはたいそう阿倍あべ童子どうじ手柄てがらをおほめになって、ちょうど三がつ清明せいめい季節きせつなので、名前なまえ阿倍あべ清明せいめいとおつけになり、五くらいさずけて、陰陽頭おんみょうのかみというやくにおとりたてになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一人は、若い侍で、背後うしろ姿ではあったけれど、何とも言えないひんがその体に備わっていた。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
選りに選ってなぜこんな凡将を残してったかといえば、樊城はんじょうへ出陣の前、この二将に落度があった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、考えるまでもなく、戦場から戦場が、殆ど良人の半分の生活だった。遠くは、海をこえて、朝鮮へまで戦いにっているのである。
此の御方を母とし、御前様おんまへさまを夫と致候て暮し候事も相かなひ候はば、私は土間にね、むしろまとさふらふても、其楽そのたのしみぞやと、常に及ばぬ事をこひしく思居りまゐらせ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
漱石氏は棚になっている上の寐台ねだいね、私は下の方の寐台にた。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
我が国は当時の地理上の知識において、知りうる限りの世界の最東にあるが故に、所謂日出処ひいづるところ、すなわち「あさ」の国であり、これに対して西方なる支那は日のる国、すなわち「くれ」の国である。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
ことあげて雖称ほむともつきじ月のる西のえみし大丈夫ますらおごゝろ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
はばかる人もなければ、浪子は手匣てばこより母の写真取りでて床にかけ、千鶴子がて来し白菊のやや狂わんとするをその前に手向たむけ、午後には茶などれて、幾の昔語りに耳傾けしが、今は幾も看護婦もまかりて、浪子はひとり写真の前に残れるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
よんどころなく善平は起き直りて、それでは仲直りに茶をれようか。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
濡れぶる水無月ぞらの日の名残なごり
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
り麦みたようにうちの仕事をすっぽかすようになった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ほぼその幼馴染おさななじみとでもいッつべき様子を知って、他人には、堅く口を封ずるだけ、お夏のために、天に代りて、大いに述懐せんとして、続けてなおおうとするのを、お夏はかろく手真似で留めた。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前にも既にうごとく、この人形は亡き母として姉妹あねいもとが慕い斉眉かしずく物なれば、宇宙の鬼神感動して、仮に上﨟の口をりかかる怪語を放つらんと覚えず全身粟生あわだてり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途中の警衛役としてった佐々木道誉と帝との間には、恐らく史家もうかがいえぬ史外の関係が生れていただろうと思う。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは富山とやまき、高岡に買われ、はた大聖寺だいしょうじ福井に行き、遠くは故郷の新潟に興行し、身をいとわず八方にかせまわりて、幸いにいずくもはずさざりければ、あるいは血をもそそがざるべからざる至重しちょうの責任も、その収入によりて難なく果たされき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
詰草つめくさの寛永通寶に交つて、たつた一枚、眞新しい文錢、——それは昔々徳川家康が鐘名しようめいに文句を附けて、豊臣家を困らせ、大阪夏の陣の原因になつた方廣寺の大佛を、寛文二年三月、潰してた有名な文錢——だつたのです。
「何と云ふ弱蟲! かけの利かない古鍋、地金としてだつて誰も引取り手はあるまいな……」自分は、自嘲する。
湖畔手記 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
きずやし、病人を救って遣られる。その心身共に
ついでにいわく、支那で野猪を画いた古い例は、『晋書しんじょ』に、とう氏の妻病篤く、医手をこまぬき尽しても及ばず、韓支ぜいして野猪を画かせ、臥室の屏風びょうぶに貼らしめてえたそうだ。
アルマンが「何か本でも読みませうか」と云ふと「いや、書物はよしませう。其れよりカトリヌにひつけて、あの幾つかの箱からわたしの衣類きるゐを出して其処そこ等へならべて御呉おくれ」と云ふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「すべて、女将の才覚にまかそう。——ちょうど時間がきたな、懇話会へ行かなければならん。馬車をってくれ」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せつに死し族をせらるゝの事、もと悲壮なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
婢の思量感懐はことごとくおいらんを中心として発動している。婢の目を以て視れば、吉原は文、吉原以外は野、吉原は華、吉原以外はである。それは吉原がおいらんのいますレジダンスだからである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それが貴方一向判りよらなんだのを、先日こなひだえらい物識ものしりの方がおなはつて、その方に承はると、何でもうちの先祖ちふのは、竹田出雲たらいふ途方もない学者だしたさうな。ちやうど道真公と同じ時代でな……。」
「最早お帰りかえ。まア可いじゃアないか。そんなら又おでよ」と軍曹の前を作ろった。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「あのね、私は何も新しい衣物きものなんかほしいとは思わないし、坊やも、お菓子もらないから、お前さん、どうぞ、お婿さんになってくれる気なら、船頭はよして、何ぞほかの商売にしておくれな、ねえさん、お願いだがどうだろうね。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
らないものを、何だって価を聞くんだ。素見ひやかすのかい、お前は、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奉公人にさえ勘弁出来ないで、些細な不行届ふゆきとどきにすら請人を呼び付けてキュウキュウ談じつけなければ腹の虫がなかったのだから、肝癖かんぺきの殿様の御機嫌を取るツモリでいるものでなければ誰とでも衝突した。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
余はいささかこれをもってなんじの老境をし、なんじの笑顔を開くの着歩なりと信ず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
難を去ってにつくのは常に天下の公道である。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
藤氏四流の如き、今に旧態をへざるは、最其位に在るを顧ざるものだとお咎めがあつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
封建政治は尚武しょうぶけいとし、重農じゅうのうとしたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
子のはその時五歳であったが、くると手を引いたり抱いたりして可愛がった。
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
気になるからって見たが。
牛舎の日記 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
家鼬いへいたち尾たるるさうのむかしがほやうりひとめぐりぎてもぬる
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
王大臣にうたは、我智馬の力に由って勝ち来ったに、馬死んでより他に侮られ外出さえ出来ぬ、何所どこかに智馬がないか捜して来いと。
「お初にわんといてや。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「フン、女のくせに二合もけりや豪儀がうぎだゼ。」とお房はひやゝかに謂ツて、些と傍を向き、「だツて、一月ひとつき儉約けんやくして御覧ごらんなさいな、チヤンと反物たんものが一たんへますとさ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
精力せいりよくはある、覇氣はきはある、酒はける、女には眼が無い、ひらツたく謂ツたら頑固な利かぬ氣のじいさんで、別の言で謂つたら身分の高い野蠻人やばんじんである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「お美味しい果物は皮もていねいにいて食うことでしょ。よござんすか。そして四、五日はまあしなよく顔を見合ったり言葉の一つもかけたりしなさる。折にはまた、お気前を見せたりしてね」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私共は、斯うやって丁度寒くも暑くもないものを着、おなかが一杯に成るお美味しいものを食べさせて戴き、楽しい学校に通って勉強しています。其を若し彼の人達が見たら如何那心持がするでしょう、僕は知らん振りをしては居られません。此処にはいない、私共の仲間の代りに私共が皆さんにお願いします。
私の見た米国の少年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私の仕送りを頼みにしている身の上なのだから、お金がかなかった日には、どんなに窮るだろう。はてなあ! 福井の金主のほうは、三百円のうち二百円前借りをしたのだから、まだ百円というものはあるのだ。貸すだろうか、貸すまい。貸さない、貸さない、とても貸さない! 二百円のときでもあんなに渋ったのだ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「歌よみに与ふる書」を発表した時代には俳句も短歌も要するに形式上の差であって内容にたっては同一のものと論じて居る、それでその頃の歌には、俳句趣味を和歌にも宿そうとした、な宿したのもあるようです
子規と和歌 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
T氏は別の途から下ろうとして、山一ッ下に小さく見えていた樵夫きこりに、あるだけの声を出しで途を聞いたが、矢張上って来た途をくだるのがいらしいので、樵夫は又、早く降りないと夜になるぞと励ますように言い足した。
武甲山に登る (新字新仮名) / 河井酔茗(著)
その癖私は、同じ短篇連載の「奇談クラブ」や「磯川兵助」などよりは、遥かに楽に書いているのであるが、楽々と書いている癖に「これでいのか」「そんな事でお前は満足しているのか」と、絶えず何物かにのしかかられて居るのである。
捕物小説のむずかしさ (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
どす黒い綿雲がちぎれて、虚空をボツボツ飛んでゆく間から、三日月がぶし銀のように、冷たく光っている、嘉代吉や人夫の寝顔までが、月のうす明りで、芋虫のうす皮のように、透き徹って見える、崖の方を見ると、雲の絶え間から
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
木の根のぶるばたで、罐詰の空罐に植えた福寿草を、節くれだった黒い手でいじっているのなどは
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
前日予選が行なわれましたが、ふつえい各三人、どく二人ふたり西スペインにち一人ひとりが選にはいっただけでありました。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
えいどくふつ西せいの各国語に通じ、少しくビルマ語をも解す。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
はあれどうるはしく咲く花うばら我は色なく老いてしぼむを
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
——おいらだって、文身いれずみひとつからだにきずをつけずに、今まで暮して来たのだ——長さんの名前だって、二の腕にれやあしなかった——だけど、ねえ、太夫、おめえの名なら、このからだ中に一めんに彫ったっていいと思っているのさ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
とこに、瓢斎ひょうさいの竹籠にけた黄色いなつ薔薇がある。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
画のじょうずなトクさんは雪の下から掘り出したはりえにしだの枝で奇妙な生花をけた。
雲のはたてに月りて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
日のりの陰と雪の嶽から
季節の馬車 (旧字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
けれども、づれも不合格者ばかりであつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眼もうるうるして吹きながら
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「言うちゃなんやけど、今日まで生命があったのは、こら神さんのお蔭や。こないだの山崩れでころッとてしもたもんやおもて、もういっぺんベンゲットへ帰ろやないか。ここで逃げ出してしもてやな、工事が失敗すかたんになって見イ、死んだ連中が浮かばれん。わいらは正真正銘の日本人やぜ。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
彼の述懐に曰く、「春浅み野中の清水氷りて底の心を汲む人ぞなき」。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
とは恐れるという字です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
妻の咲子は假病を使つて保養がてらとつてY町の實家に歸つてゐるが、つい眼と鼻の間である病院へ意地づくで子供の重い病を見舞はうともしないこと、朝は一番の圓太郎馬車で、夜は最終の同じガタ馬車で五里の石ころ道を搖られて歸る父は
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
今こそきて新しき
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
二十五六さいころもつつるにおよ
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
「ご主人には今度、にわかに、思うことがあって、県のたる官職を辞め、しばらく野に下って、悠々自適なさることになった。しかし、実はおれが勅使督郵を半殺しの目にあわせたのがもとだ。ついては、身の落着きの目あてのある者は、家に帰れ。あてのない者は、病人たりとも、捨てては行かぬ。苦楽を共にする気でご主人に従って参れ」と
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳。いったい卿は、当所の出身の者か、他県から赴任してきたのか」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途中の街々まち/\のイルミナシヨンの中ではオペラの前の王冠が一番好いと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
また、虎、その針を授けて曰く、慎矣慎矣ゆめゆめ、人をして知らしむることなかれ、ここを以て治めば、やまい愈えずということなし、という。果して言うところのごとくに、治めてえずということなし。得志、つねにその針を以て柱のうちに隠し置けり。
欠点は吸水性があるので寒さに弱く、てやすい。
野州の石屋根 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
かくて、一帯水たいすいの梁山泊へ向って、その朝、ただちに、
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『瑣語』に周王太子宜臼を虎にくらわさんとした時太子虎を叱ると耳をれて服したといい、『衝波伝』に孔子山に遊び子路をして水を取らしむ水所にて虎に逢い戦うてその尾をりこれを得懐にれ水を取ってかえ
一夜霜が雪のように置き渡して、大地はさながら鉱石あらがねを踏むようにてた朝、例の土方がてんでに異様ないでたちをして、零点以下の空気に白い呼気いきを吹きながら、隧道の上のいつものところで焚火をしようと思ってやって来て見ると、土は一丈もくぼんで、掘りかけた隧道は物の見事に破壊くずれている。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
前穂高のかつい岩壁を仰いで、沢を登ると、残雪に近くなるかして、渓水がちょろちょろ糸のように乱れはじめ、大岩のっ立てたところから、滝となって落ちている、もう沢を行かれないので、草を踏み分けて、左岸の森林の中に迷い込む
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
すなは日本人にほんじん姓名せいめい二である。せいめい連續れんぞくして一つの固有名こゆうめいかたちづくる。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
その小包を開いて見ると、細い額椽がくぶちれた、八号ばかりの油絵と、一冊の本とが這入っていた。
仙人掌の花 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
乳母よ。この糸は、蝶鳥の翼よりも美しいが、蜘蛛くもより弱く見えるがよ——。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
将軍家の守備も務め、市民の平和も確保し、また、一面には信長の陣代として、公卿くげ公方くぼうとの間や、微妙な政治的のうごきもていて、これを信長のほうへ、ながらにでも、分るように諜報する機関ともならなければならない。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花世は、その優しいことばに、かえって、激しい感情をたぶられたように、わっと、老先生の膝に泣きすがった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平常つねから可愛らしき紅ら顔を一層沢〻みづ/\と、実のつた丹波王母珠たんばほゝづきほど紅うして、罪も無き高笑ひやら相手もなしの空示威からりきみ、朋輩の誰の噂彼の噂
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
るがごとうづくいたでに
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其日の夕暮、父は店先でトン/\と桶のたがれてゐたし、母は水汲に出て行つた後で私は悄然と囲炉裏の隅に蹲つて、もう人顔も見えぬ程薄暗くなつた中に、焚火の中へ竹屑を投げ入れては、チロ/\と舌を出す様に燃えて了ふのを余念もなく眺めてゐたが
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
家は狭いし道具はすくないし、何事も足らぬがちで私は何となく鼻がつかえるような気がたしました。実家にいて広いやしきに住んで奉公人を沢山使った身が急に島流しにでも逢ったような気がして心細く感じました。そうすると嫁にいって三日目にたった一人の下女が急に病気になって宿へ下がりました。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
源太もうやまつつしんで承知の旨を頭下げつつ答えけるが、如才なきお吉はわが夫をかかる俗僧ずくにゅうにまでよくわせんとてか帰り際に、出したままにして行く茶菓子とともに幾干銭いくらか包み込み
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すなわち隠れて屏処にありてこれを伺う、時に乞食比丘食を得て林中に還り、食しおわりて持して獼猴に与う、獼猴食しおわりて共に不浄を行う、かの諸比丘観見して、すなわちいていわく長老、仏比丘を制して不浄を行うを得ざるにあらずや、彼答えて言う
「なかなか大変です。あの下の子供にも手伝わせておりますが、どうしても足りません。……世の中は始終ゴタついておりますし、……どちらを向いてもお金のることばかりで、方途ほうずが知れません……実りが悪いし、種物を売り出せば幾度も税金を掛けられ、元を削って売らなければ腐れるばかりです」
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
生命の火をもはふまで
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
駝鳥だちょうの眼は遠くばかり見てゃないか。
ぼろぼろな駝鳥 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
この八千矛やちほこの神高志こしの國の沼河比賣ぬなかはひめよばはむとしてでます時に、その沼河比賣の家に到りて歌よみしたまひしく、
最も高きその巨木、雲霧つらぬき天にる、
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
びんばふだとふか
(旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「お前も、れんか」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「お鶴(下女)が行って上げると言うのに、好いと言って、御自分で出かけて、餅菓子もちがし焼芋やきいもを買って来て、御馳走ごちそうしてよ。……お鶴も笑っていましたよ。お湯をさしに上ると、二人でおしそうにおさつを食べているところでしたッて……」
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そりゃ、何かにるからでござンしょうが、廈門アモイ船や西班牙スペイン船から長崎沖で密買した火薬を、この阿波の由岐ゆき港に荷揚げをしてコッソリと、の山へ運びこむってえ噂が、もっぱら評判でございますよ、といっても、色をかえて、びっくりすることはございません。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土の反射と、直射でりつくような熱気には、らば幌車ほろぐるまにいてもマヌエラは眠ってしまう。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そんな親不孝なやつですけれど、親が死んだ時は、親の言うとおり山へけてやりました。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つばめとうさんのところへなにふかとおもひましたら、こんなことを言ました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
止せ……われまで其様そんなことをいうからあまがいう事をかねえ、宜くかんげえて見ろよ、くまヶ谷石原いしはらの忰をうちへよばる都合になって居るじゃアねえか
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「百伝ふ」は枕詞で、ももへ至るという意で五十に懸け磐余いわれに懸けた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
上潮に末廣の長い尾を曳く川蒸汽は、仲々異なものであつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それ、死のかたちはやがて死をたし、生の姿は
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
譬えばスナワチということばにもそくの字があり、ないの字があり、そくの字があり、便べんの字があり、ヨルという詞にもいんの字があり、の字があり、えんの字があり、ひょうの字があり、きょの字があり、の字がある。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
世界の美術の本場のような仏国のことでる人の目も高いから、もし、拙劣つまらないものを出しては第一自分の店の名に係るので、算盤そろばんずくでなくいものばかりを選り抜くつもりで
るる、苦患くげんの声か。
哀詩数篇 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
りていはく、「が作り仕へまつれる大殿内とのぬちには、おれまづ入りて、その仕へまつらむとする状を明し白せ」といひて
「けれども有物あるものだから、所好すきなら飲んでもらはう。お前さんもくのだらう」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私は養家に入籍る前の名刺を 事務机から
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
しろがねの玉をあまたにはこ荷緒にのおかためて馬はしらする
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
米国人らしい尊大な男や表情の乏しい支那商人や南阿から来たという宝石商やターバンを巻いた印度人や——世界各国の人間が百人を収用れる大広間の彼方此方あちこちの卓に陣取って自国の言葉で喋舌しゃべっっている。
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
う声、広岡の家より聞えつ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
喜田川守貞きたがわもりさだの『近世風俗志』に「首筋に白粉ぬること一本足とつて、際立きわだたす」といい、また特に遊女、町芸者の白粉について「くびきわめて濃粧す」といっている。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
写真を頼むと安く受けれたが、六、七年も音沙汰を聞かぬ。
ひつかつてきた口上を思ひだしたのであらう、お妙は障子を開け放してから、急須に湯をさして茶を注ぎながら、さう言つた。すぐ目の前にまつしろな襟足がみえる。さうして、動く手首がみえる。
木々の精、谷の精 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
彼は、山田申楽の二十余名が、いよいよこの地の奉仕ほうじもおえたので、大和の春日へ寄って伊賀へ帰る——というのを領境まで見送っての帰り、馬上、ふウふウいながら戻って来た。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠慮なく、はしをとっていて、二人とも揃って箸を置いたが、お悦さんの方は一口飲み込むと、酒は一滴もけないおんなの、白く澄ました顔色かおつきで、
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きれる宵を庭向ふの家で
山の手歳事記 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
やままたやま谷々たに/″\を、蜘蛛くもごとひかへた
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
在宅るとも、なんか用だろうか。』
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼は平戸にき、平戸藩の重臣葉山左内に介し、山鹿素水を見、肥後に入り宮部鼎蔵の家を主として、その徒及び横井小楠の社中と交れり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
なお、田螺たにしりつけて旅先で用うれば水あたりのうれいがない。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また嘉陵江側に婦人あり、五十歳の時より自ら十八と称ししばしば民家に来れど飲食せず、つねに人にき事をせよと教ゆ、もし悪事をさば我常に猫児三
「何だい一体、その話てえのは? 横町の乾物屋のお時坊が嫁に行って、ガラッ八ががっかりしているって話ならとうに探索が届いているが、あのの事なら、器用にあきらめた方がいいよ、町内の良いが一人ずつ片付いて行くのを心配しんぺえしていた日にゃ、命が続かねえぜ」
『史記評林』二八に『列異伝』を引いて、陳倉の人異物を得て王に献じに行く道で二童子に逢う、いわくこれをと名づけ、地下にありて死人の脳を食うと、媦いわく、かの童子を陳宝と名づく、雄を得る者は王、雌を得る者は伯たりと。
人麿の歌に、「古にありけむ人も吾がごといもに恋ひつつ宿ねがてずけむ」(巻四・四九七)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……これはっその事、思い切って、アルマ、マチラの二人を呼び出して、同時にレミヤに引き合わせた方が早道になりはしまいか。そうして三人でトックリと相談をして、二人の中の一人を選む方法を決定させたらどんなものだろうか。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と言った。紇は財宝と美女をて山をおりたが、美女達はそれぞれその夫を探して帰らした。
美女を盗む鬼神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その中の黄牛あめうしに田器を負わせて田舎に将往かんとすとあって、田舎の二字をいつの頃よりかイナカと訓ませている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
紅蘭こうらん女史あたりに比べて、優るとも劣るところはない、その上に稀れなる美人で、客を愛し、風流の旅を好む、以前は江戸に出て、塾を開いてを下ろして子弟を教えていたが、今は仙台に帰っているはず、ともかくも
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
れない料理人れうりにんが、むしるのに、くらか鎧皮よろひがは附着くつゝいてたでせうか。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明治三十四年中、ゴルドン将軍伝を書く時、余はゴルドンをえがく其原稿紙上に乃木将軍の面影おもかげがちらり/\とったりたりするを禁じ得なかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ほんとの人間かしら。」同じような感じは皆の胸を走った。皆は振返って今行った人たちの後を見ずにはられなかった。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
心の中では燃えていても、形へ現わすには時間とき必要る。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
真下に視下みおろす議場では、居睡いねむりをしている人や、肩をからせてつかみあっている人たちがいた。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
嫁入よめいりすれば如何どうあってもロミオへく、にくいとふあのロミオへ、パリスどのへくよりは。
(しかしそれらの中に沈んでゐるのは、孤独のおりではない。ひどく華やいだ、むしろ孤独悦のこころの、——隠微いんび擬態まどはしだつたやうだ)孤独よ、これは宥せ。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
私は急に臆病になり、じけた性格になってしまった。
灰色の記憶 (新字新仮名) / 久坂葉子(著)
彼の毒菌のしふに生じ、冷燄のくちきに燃ゆるが如き、倐生忽滅して、常無きものは、其の愈〻新にして愈〻取るに足らず、愈〻奇にして、愈〻道ふに値せざるを見るのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『はい!』とちやんがさけびました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
東作は澁い茶一杯れるでもない冷たい態度で、少し茶かし加減にかう言ふのでした。
しかし東天を破りて日出ずるや、彼らはその武器とする暗黒を奪われてその悪を断たるるのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
爾雅を検すれば、たうくわいくわいしう等が皆相類したものらしく、此数者は専門家でなくては辨識し難い。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それから一切夢中でしてね、日と月と一時にったと申しましょうか、何と申しましょうか、それこそほんにまっ暗になりまして、辛抱に辛抱して結局つまりがこんな事かと思いますと
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
其時婆さんが漸く急須きうすに茶をれて持つて出た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おおそうそう、月参講げっさんこうの連中が大勢泊った日でしたなあ。御一緒に青い梅のなった樹の蔭を歩いて、あの時、ソラ碓氷川うすいがわい声がしましたろう。貴方がそれを聞きつけて、『あれが河鹿かじかなんですか、あらそう、ひぐらしの鳴くようですわねえ』と仰ったでしょう」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それに困った人はあの千々岩ちぢわさん——たしかもう清国あっちったように聞いたですが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
二日酔柚餅子ゆべしで苦い茶をれる飴ン坊
大正東京錦絵 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
宋の紹興二十八年の夏、きぬのたぐいを売りながら、妻と共に州を廻って、これから昌楽しょうらくへ行こうとする途中、日が暮れて路ばたの古い廟に宿った。
ねまき姿もしどけなく、恐怖と昏迷に白い顔をひきつらせて、キッと立っている妻恋小町つまごいこまち——らぬ小町こまちの半身に、かたわらの灯影が明るくゆらめき、半身はむらさきの闇に沈んでいる。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
斯様な話をして帰ると、朝飯の仕度が出来て居た。落花生がれて居る。「落花生は大好きですから、私が炙りましょう」と云うて女が炙ったのそうな。主婦は朝飯の用意をしながら、細々と女の身上話を聞いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
義男は何事も一氣に遣付ける事の出來ない口ばかり巧者なこの女が、り豆の豆が顏にぴんと痛く彈きかゝつた樣に癪にさわつて小憎らしくなつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
いいえ、私がかないわ、とお源をつかまえて談ずる処へ、い湯だった、といくらか気色を直して、がたひし、と帰って来た主税に、ちょいとお前さん、大丈夫なんですか、とお蔦の方が念を入れたほどのいきおい
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われ等をこゝへて来ませるこの神を。
イヤ多謝コウマブソ……多謝コウマブソ……とりあえず一杯こう。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何とも言えずおしい。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
数頭の馬が草をんでいた。骨と皮ばかりの痩せ馬であった。どこかの戦場から逃げて来て、ひとりで生活きている馬らしかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あなたのお傍にいてお話していると、妻がきかえってきて私と話をしているように思われてならないのです。
消えた霊媒女 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
吉里は一語ひとことわぬ。見向きもせぬ。やはり箪笥にもたれたまま考えている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
またこれを覚る、奴食を催すうたた急なり、然、計を決しももち大いにんで烏竜とう、狗声に応じ奴を傷つく、奴刀を失し伏して地に倒る
「へえ、いたします。弓と申しても楊弓ようきゅうですが、五月、九月の結改けっかいの会には、わざわざ江戸へ出かけて行き、昨年などは、百五十本を金貝かながいの目録を取ったということでございます」
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
えがたいほど切ないものを胸にれて忍んでいた。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女は、さこそ忘れ給ふをうれしきに思ひなせど、怪しく夢のやうなることを、心に離るる折なき頃にて、心解けたるだに寝られずなん。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて義父よりかくかくの噂聞き込みたれば、その実否尋ねたしとて呼び寄せたるなりといはれ、お糸はハツと胸轟かせしが、よくよく思ひ定めたる義父の様子に容易たやすくはらへせず。
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
魔性ましやう蜘蛛くもにまかれ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
彼が水戸を押えて京都を圧したるが如き、あたかもこれのどして背をつの政策にして、眼快ならざるにあらず、手利ならざるにあらず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
——(私がそばに見ていました)って、鼻ひしゃげのその頃の工女が、茄子なすの古漬のような口を開けて、い年で話すんです。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我見るに、彼はふたゝび嘲られ、ふたゝびとをめ、生ける盜人の間に殺されたまふ 八八—九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「これというのも私共が貧乏なばっかりに起ったことだ。立派なお医者様にかけられる身分なら、誰が大事な独り息子を、禁厭まじなってもらいなどするものか! 貧乏だと思って皆が、じめるからこんなことになってしまったんじゃあないか!」
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
果然は一名また仙猴せんこう、その鼻孔天に向う、雨ふる時は長い尾で鼻孔をふさぐ、群行するに、老者は前に、少者わかものは後にす。
壁の上よりは、ありとある弓を伏せての如く寄手の鼻頭はなさきに、かぎと曲るやじりを集める。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
斟酌しんしゃく損益し、進んで忠言を尽すにいたりては、すなわち、攸之ゆうしいんの任なり。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その後、生命いのちは珠、と沢庵からわれた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また建築にはば元禄は丸木の柱かやの屋根に庭木は有り合せの松にても杉にてもそのままにしたらんが如く、天明は柱を四角に床違とこちがだなを附け
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
庭のうちを一日に十里ぐれえの道は歩くから、夜は草臥れて顛倒ぶっくりけえってしまうのサ、それから見ると熊ヶの女共はやあらけえ着物を着ていて楽な代りに、此家こゝへ来ると三日も勤まりやせんで
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
漢土最古の字書といわるる『爾雅じが』に、は猪とあり。
『ム、幾額いくらく?』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほん気な意地でも鞘当さやあてでもないが、ほん気にも躍起やっきにもなって困る者を困らせるのが遊びである。光広もなかなかかないし、紹由も決して退かない。そして吉野を両方の義理に挟んで、
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
の二士を挙げ、その模倣者もほうしゃを、
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
白雨ゆうだちの滝にうたすやそくいた 孟遠
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
第二十一子しん王とし、第二十二子えいあん王とし、第二十三子けいとう王とし、第二十四子とうえい王とし、第二十五子𣟗王としたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)