“自己”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おのれ53.8%
じこ23.8%
おの13.8%
みずから2.5%
おれ1.3%
じぶん1.3%
みづから1.3%
われ1.3%
セルフ1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
昨日きのうまで机を並べて勉強した学友の就職を傍観して、むなしく世を恨み、自己おのれのろわねばならぬのです。なんたる悲惨なことでしょう。
融和促進 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
間斷かんだんなく消耗せうまうして肉體にくたい缺損けつそん補給ほきふするために攝取せつしゆする食料しよくれうは一わんいへどこと/″\自己じこ慘憺さんたんたる勞力らうりよくの一いてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自己おの小鬢こびんの後れ毛上げても、ええれったいと罪のなき髪をきむしり、一文もらいに乞食が来ても甲張り声にむご謝絶ことわりなどしけるが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この時十蔵室の入り口に立ちて、君らは早く逃げたまわずやというその声、その挙動ふるまい、その顔色、自己みずからは少しも恐れぬようなり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
自己おれが大能力があッたら乱雑の世界を整頓してやろうなんかんというのが当世の薄ら生意気の紳士の欲望だが、そんなつまらない事が出来るものカネ。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ほほほほ、みんな自己じぶんから割り出すのね。どうせ局々ところところで違うのだから、一概には言えないのでしょうよ。ねエ、お千鶴さん。伯母様もいつかそうおっしゃったでしょう。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
三四郎は握りハンドルつた儘、——かほを戸のかげから半分部屋のなかに差し出した儘、此刹那の感に自己みづから放下し去つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もつらす苦い珈琲の風味は決して自己われを忘れたロマンチツクな空の幻でも単純な甘いセンチメントの歎きでもない。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
自己セルフ」といふ柱にりかゝりて、われ安し、われ楽しと喜悦するものゝ心は、常に枯木なり、花はこゝに咲かず、実は茲に熟せず。情は一種の電気なり、之あるが故に人は能く活動す。