“把”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
61.3%
10.4%
つか6.1%
6.1%
とら3.5%
3.5%
にぎ3.0%
1.7%
とり1.3%
たば0.9%
とつ0.9%
とっ0.4%
0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は到底心に安んじて、教鞭きょうべんる事は出来ない。フランス語ならば、私よりもフランス人の方が更にくフランス語を知っている。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
安心して何でもおっしゃいまし、お帰りに重とうござえましょうが、芋茎ずいきでかく成りましたから五六ひっこ抜いてお土産にお持ちなすって
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は能弁ではあったが、要領をつかむ術に欠けていた。むやみに埴谷図書助の非を述べ、慷慨こうがいし、そして笙子しょうこという令嬢を警戒せよと云った。
半之助祝言 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そして一同、はかまを割って、一緒に胡坐あぐらをくんで坐り直すと、銘々がたずさえて来たらしい一藁束わらたばぐして、馬のくつを作り始めたのであった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外部の圧迫に細り細りながら、やがて瀕死ひんしの眼にとらえられたものは、このように静かな水の姿ではなかろうかと……。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
わらちひさなきまつたたばが一大抵たいていせんづゝであつた。の一わらなはにすれば二房半位ばうはんぐらゐで、草鞋わらぢにすれば五そく仕上しあがるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自分のたなごころのなかに彼女の手をにぎめていると、わたくしのこの胸には、それまで想像だもしなかったほどの愉しい気持ちがみなぎって来るのでした。
(新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
これを相手に月にまきが何炭が何俵の勘定までせられ、「おっかさん、そんな事しなくたって、菓子なら風月ふうげつからでもお取ンなさい」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
とりお菊の部屋へ誘引いざなひたり然るに此お菊は幼年えうねんより吉三郎と云號いひなづけと聞居たりしが今年ことし十七歳になり始めて吉三郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
道糸は、人造テグスの一分半くらいの太さのもの一たば、二十間を全部用いる。鉤素はりすはテグスの一分二厘乃至一分半が適当である。鈎はフッコの一寸。
那珂川の鱸釣り (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
仕掛ながれの末には杜若かきつばたなど咲き躑躅つゝぢ盛りなりわづかの處なれど風景よし笠翁りつをうの詩に山民習得ならひえて一身ものうかん茅龕ばうがんに臥しうみて松にかへつ辛勤しんきんとつ澗水かんすゐおくる曉夜を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
壮大を壮大とし繊細を繊細とするは普通なれども、時としては壮大なる題目をとって比較的繊細に作するの技倆ぎりょうもなかるべからず。例へば五月雨を詠ずるに
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
三四郎は握りハンドルつた儘、——かほを戸のかげから半分部屋のなかに差し出した儘、此刹那の感に自己みづから放下し去つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうして、それを螺旋らせん締棒しめぼうの下に押込んで、をぐるぐると廻し始める。油は同時にしぼられて床下ゆかしたみぞにどろどろに流れ込む。豆は全くのかすだけになってしまう。すべてが約二三分の仕事である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)