“とら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トラ
語句割合
31.7%
27.3%
14.0%
12.0%
7.2%
2.3%
1.0%
0.7%
0.6%
0.6%
(他:21)2.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
文字の精共が、一度ある事柄をとらえて、これを己の姿で現すとなると、その事柄はもはや、不滅ふめつの生命を得るのじゃ。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
一方が、その筋へ一方を訴えて死刑台へ送れば、次の日には自分も必ずとらえられて死刑台へ送られねばならなかったのである。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と私は独言ひとりごとのようにつぶやいた。又も底知れぬ恐怖にとらわれつつ……。しかし若林博士は平気でうなずいた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
貧しき者がへつらわないことに努め、富める者がおごらないように用心するのは、まだ貧富にとらわれているのである。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
それからひと月もたって、B教授の形見だと言ってN国領事から自分の所へ送って来たのは大きな鋳銅製のとらの置き物であった。
B教授の死 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「いえ、桜川町……十八番地。太田ッていう硝子屋の二階だ。とらもんからわけはないから、何なら寄っておいでなさい。」
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
お君さんは田中君の手が、そっと自分の手をとらえたのを感じながら、希望と恐怖とにふるえている、かすかな声でこう云った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
天狗てんぐを酔いつぶさして引っとらえるつもりだったのが、自分の方も酔っぱらって、天狗と一緒に眠ってしまったのでした。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
いくらか物馴れたお品が真っ先に飛上がると、入口の四畳半に、下女のおとらが、あけに染んで倒れていたのでした。
うしとらたつ、——と、きゃくのないあがりかまちにこしをかけて
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
イエスをわたす者かれらにしるしをなしてひけるは我が接吻くちづけする者はそれなり之をとらへよ。
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
非力ひりきな伊豆をいっぺんにね返すと、あべこべに伊豆の首筋をとらえて有無を云わせずにめつけた。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
外部の圧迫に細り細りながら、やがて瀕死ひんしの眼にとらえられたものは、このように静かな水の姿ではなかろうかと……。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
長い間かかって、人生の隠微なるものの姿をとらえようとしていたのに、それらはもうあのままに放置されてあった。
冬日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
呆気あつけとられてる/\うちに、したはうからちゞみながら
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
佐分利は二年生たりしより既に高利の大火坑にちて、今はしも連帯一判、取交とりま五口いつくちの債務六百四十何円の呵責かしやくあぶらとらるる身の上にぞありける。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
渠らは空想にばかりとらわれて夢遊病的に行動する駄々ッ子のようなものだから、時々はきゅうえてやらんと取締りにならぬとまで
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
下等女の阿婆摺あばずれを活動力に富んでると感服したり、貧乏人の娘が汚ない扮装なりをしてめず臆せず平気な顔をしているのを虚栄にとらわれない天真爛漫と解釈したり
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
企は失敗して、彼らはとらえられ、さばかれ、十二名は政略のために死一等をげんぜられ、重立おもだちたる余の十二名は天の恩寵によって立派に絞台の露と消えた。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この唐の僧は最後に、賊にとらえられ、賊の手によって首を斬られたのだった。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その時ショパンをとらえた不安と恐怖が、傑作「雨滴あまだれの前奏曲」になったのだと言われている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
どんなに冷淡で厳格な人でも——時にはリストの敵でさえも、ついには彼にとらえられて、その渇仰者かつごうしゃの一人にならずにはいられなかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
それをこらへてお前を人にとられるのを手出しもずに見てゐる僕の心地こころもちは、どんなだと思ふ、どんなだと思ふよ! 自分さへ好ければひとはどうならうともお前はかまはんのかい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
金を泥坊にとられたといって帰られもせず、と云って何処どこへ往って相談致すという処もございませんから、身を投げるんで、大金の事でございますからんなとこへ参りまして相談を致しても無駄でございますから身を投げるのでございます
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まことに通ずることひろくしてとらえらるゝことすくなく、文武をねて有し、智有をあわせて備え、体験心証皆富みて深き一大偉人たる此の明の太祖
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しばらく妻子は殺されて、とらはれた妾は逃帰つた事と見て置く。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
朝廷よりは燕王の爵を削るのみことのり、及び王府の官属をとらうべきの詔至りぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
季弟きてい孝友こうゆうまたとらえられてまさりくせられんとす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
オヽそれ/\と影をとらえてまたかたな、一トのみ突いては跡ずさりしてながめながら、幾日の恩愛たすけられたり扶けたり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そこをお渡りになつて、此方こちら燈籠とうろうがございませう、あのそばちよつとお出で下さいませんか。一枚とらして戴きたい」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
唐義浄訳『根本説一切有部毘奈耶破僧事こんぽんせついっさいうぶびなやはそうじ』巻十五に昔波羅痆斯はらなし城の貧人山林に樵して一大虫とらに逢い大樹に上ると樹上に熊がいたのでおそれて躊躇ためらう。
現に、一日市で通っている駅名も、元々、この町の名で呼び慣らされていたものだったけれども、いつのまにか奪取とられてしまっていた。
凍雲 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
「な、お父つあ、来春俺が徴兵とられたら、こりゃお互様のことになるだ。俺、一寸、行って来るよ。」
前夜 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
その陰影かげ捕捉とらへがたき Passion の色、
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それと感付くと役人達は、がぜん態度を一変させ、彼等を捕縛とらえようとひしめいた。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
満枝はほしいままに宮をとらへてちとも動かせず、しづかに貫一を見返りて、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しか明日あすにも屹度きつと帽子屋が新がたこしらへて知名な女優に贈りそれかぶつた姿を写真にとらせて貰つて一般に流行はやらせる事であらう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
かね博勞ばくらうはうまくあるものとらへたやう得意とくいつて村落中むらぢゆうひゞかせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
金をとらかす日影椎の梢に残り、芝生はすでに蔭に入り、ひぐらしの声何処からともなく流れて来ると、成人おとなも子供も嬉々ききとして青芝の上の晩餐ばんさんの席に就くのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
子、きょうとら(拘)わる。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
冬十月戊辰つちのえたつ己巳つちのとみ、皇子大津謀反むほん発覚あらはれぬ。皇子大津を逮捕とらふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)