“躊躇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちゅうちょ71.4%
ためら13.7%
ちうちよ7.4%
ちゆうちよ1.3%
ためらい1.1%
ため0.9%
たゆた0.6%
ためろ0.5%
ためらっ0.4%
ためらひ0.4%
タメラ0.4%
ぐづ/″\0.3%
ためらう0.3%
もじもじ0.3%
ヤスラ0.3%
ぐずぐず0.1%
ぐづ/\0.1%
たじろ0.1%
たちろく0.1%
ちうちょ0.1%
ちょうちょ0.1%
やすら0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さすがにそれであったならどんなことになろう、夫人はどんなに恥じて苦しがるであろうとお思いになると躊躇ちゅうちょもされるのであって
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかもそれを眺めながらもまだ躊躇ためらっている私を見ると、この世慣れた探偵はもうそれ以上、私のために余計な口数は弄さなかった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「いえ信念しんねんさへあればだれでもさとれます」と宜道ぎだう躊躇ちうちよもなくこたへた。「法華ほつけかたまりが夢中むちゆう太鼓たいこたゝやうつて御覽ごらんなさい。 ...
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
荒布革あらめがはの横長なる手鞄てかばんを膝の上に掻抱かきいだきつつ貫一の思案せるは、その宜きかたを択ぶにあらで、ともに行くをば躊躇ちゆうちよせるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
幾度か出入りしているので、やみにも何の躊躇ためらいなく、そこをチョコチョコとはい上がった次郎が、やがて首を出した所は、洞然たる一宇の堂内。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
進もうとする吾々には周囲への躊躇ためらいがなかった。行く末に少しでも危惧きぐを抱いたなら、勇気はいつか砕かれていたであろう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
浮世の渡りぐるしき事など思ひめぐらせば思ひ廻すほど嬉しからず、時刻になりて食ふ飯の味が今更かはれるではなけれど、箸持つ手さへ躊躇たゆたひ勝にて舌が美味うまうは受けとらぬに
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
學問がくもんなく分別ふんべつなきものすらくわだつることを躊躇ためろふべきほどの惡事あくじをたくらましめたるかをあらはすはけだしこのしよ主眼しゆがんなり。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
姉は流石さすが躊躇ためらっていたように見えた。さも哀しげに渓間たにまの月影を見下して、果ては二人してさめざめと泣くのである。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
見廻すにやみの夜なれども星明ほしあかりにすかせば白き骨の多くありて何れが父のほねともれず暫時しばし躊躇ためらひたりしが骨肉こつにくの者の骨にはしみると聞し事あれば我がしぼり掛て見んとゆびかみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
乳母オモも、子古コフルも、凡は無駄な伺ひだ、と思つては居た。ところが、郎女の答へは、木魂返コダマガヘしの樣に、躊躇タメラふことなしにあつた。其上、此ほどはつきりとした答へはない、と思はれる位、凛としてゐた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
母から頼まれた小説を右の手に持つて左の手で頭を押へながら厭々來たといふ風で部屋の外で躊躇ぐづ/″\してるのです。
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
してその歌をきいた。やはり美しの姿は半ば木の葉に隠れて此方こなたを覗く様子は昨日と異ならない。この度ばかりは……と躊躇ためらう間に早や何処いずくへか消えてしまう。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
歯医者は躊躇もじもじして、帽子をひねっておりましたが、やがてしおれて坐りました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
唯、木の花の散ることの遅速によつて、稲の花及び稔りの前兆と考へ、出来るだけ躊躇ヤスラはせようとしたのが、意義を変じて、田には稲虫のつかぬ様にとするものと考へられた。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
仕方がないと舌打したうちしながら、倒れた戸のあいだから表を覗いて見ると、風も雪もますますれて来た。こんな所に何時いつまでも躊躇ぐずぐずしていたら、こごえて死んでしまうかも知れぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あまり敬之進が躊躇ぐづ/\して居るので、しまひには郡視学も気をいらつて、時計を出して見たり、靴を鳴らして見たりして
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「と云うと何でしょうか。とにかくお掛け下さい」法水がちょっと躊躇たじろぎを見せたのは、彼女の命令的な語調ではなかった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
おのれもにがさぬぞとげん八へ突掛つきかゝるに源八はおもひも寄ぬことなればおどろ周章あわてみぎの手をいだして刄物はもの挈取もぎとらんとせし處を切先きつさきふかく二のうで突貫つきとほされヤアと躊躇たちろく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「なあに先生さいでさぃ行げばいゝんだぢゃ。」又堀田だな。前の通りだ。うしろで黄いろに光ってゐる。みんな躊躇ちうちょしてみちをあけた。おれが一番さきになる。
台川 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
このうえ躊躇ちょうちょしていたら、った煙管きせるで、あたまのひとつもられまじき気配けはいとなっては、藤吉とうきちも、たないわけにはかなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
躊躇やすらふ君よ、こちら向け
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)