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躊躇
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ちうちよ
ふりがな文庫
“
躊躇
(
ちうちよ
)” の例文
「いえ
信念
(
しんねん
)
さへあれば
誰
(
だれ
)
でも
悟
(
さと
)
れます」と
宜道
(
ぎだう
)
は
躊躇
(
ちうちよ
)
もなく
答
(
こた
)
へた。「
法華
(
ほつけ
)
の
凝
(
こ
)
り
固
(
かた
)
まりが
夢中
(
むちゆう
)
に
太鼓
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
く
樣
(
やう
)
に
遣
(
や
)
つて
御覽
(
ごらん
)
なさい。 ...
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊勢屋新兵衞の顏には、一
瞬
(
しゆん
)
躊躇
(
ちうちよ
)
の色が浮びましたが、思ひ定めた樣子で
棺
(
くわん
)
の側に近づくと、暫く物も言はずに突つ立つて居りました。
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
盲人たちは信じかねて、
躊躇
(
ちうちよ
)
しながら、それでもそつと手を差出しました。その
掌
(
てのひら
)
へ、エミリアンは金貨を一枚づつのせてやりました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
今
(
いま
)
は
實
(
じつ
)
に
非常
(
ひじやう
)
の
塲合
(
ばあひ
)
である、
非常
(
ひじやう
)
の
塲合
(
ばあひ
)
には
非常
(
ひじやう
)
の
决心
(
けつしん
)
を
要
(
えう
)
するので、
若
(
も
)
し
躊躇
(
ちうちよ
)
して
居
(
を
)
れば、
吾等
(
われら
)
一同
(
いちどう
)
はみす/\
知
(
し
)
る
人
(
ひと
)
も
無
(
な
)
き
此
(
この
)
山中
(
さんちう
)
の
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
もう
空
(
そら
)
の
何處
(
どこ
)
にか
其
(
そ
)
の
勢
(
いきほ
)
ひを
潜
(
ひそ
)
めて
躊躇
(
ちうちよ
)
して
居
(
ゐ
)
る
筈
(
はず
)
の
春
(
はる
)
に
先立
(
さきだ
)
つて一
度
(
ど
)
に
取返
(
とりかへ
)
さうとするものゝ
如
(
ごと
)
く
騷
(
さわ
)
いで/\
又
(
また
)
騷
(
さわ
)
ぐのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
親
(
おや
)
に
似
(
に
)
ない
兒
(
こ
)
だが、
成長
(
せいてう
)
したらアノ
通
(
とほ
)
りの
獰惡振
(
だうあくぶ
)
りを
相續
(
さうぞく
)
するに
違
(
ちが
)
ひない、
環境
(
かんけう
)
の
罪
(
つみ
)
だいつそ
家
(
うち
)
に
飼
(
か
)
つてやらうかと
思
(
おも
)
つて、また
躊躇
(
ちうちよ
)
した。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
然れども
倘
(
も
)
し夫れ、彼にありて極めて高潔、極めて荘重なる事業と認むべき者あらば、吾人は邦と邦との隔離を遺忘するに
躊躇
(
ちうちよ
)
せざるなり。
一種の攘夷思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
彼女は一度引き合はされると、もう兄の部屋に何の
躊躇
(
ちうちよ
)
もなく入つて来て、まだ知り合ひになつて日の浅い和作に宿題の手助けを頼んだりした。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
容易ならぬことの一語に、
危殆
(
きたい
)
の念
愈々
(
いよ/\
)
高まれる大和は、
躊躇
(
ちうちよ
)
する梅子の様子に、
必定
(
ひつぢやう
)
何等の秘密あらんと覚りつ、篠田を
一瞥
(
いちべつ
)
して起たんとす
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
(上のかたより權三はぶら/\出で來り、この體をみて少し
躊躇
(
ちうちよ
)
し、やがて拔足をして家のうしろを廻り、下のかたの柳の下に立つて聽いてゐる。)
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼はつるべを落す手を
躊躇
(
ちうちよ
)
せずには居られない。それを
覗
(
のぞ
)
き込んで居るうちに、彼の気分は井戸水のやうに落着いた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
だから露西亜の俘虜は何時でも借金だらけで「
霊魂
(
たましひ
)
」が
抵当
(
かた
)
になるものなら、書入れに少しの
躊躇
(
ちうちよ
)
もしないが
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
教会内
(
けふくわいない
)
に
偽善者
(
ぎぜんしや
)
の
潜伏
(
せんぷく
)
し居るを知りながら
其
(
その
)
破壊
(
はくわい
)
を
恐
(
おそ
)
れて之を
排除
(
はいぢよ
)
し得ざるものなり、
教会
(
けうくわい
)
独立
(
どくりつ
)
を
唱
(
とな
)
へながら世の
賛同
(
さんどう
)
を得ざるが故に
躊躇
(
ちうちよ
)
遁逃
(
とんとう
)
するものなり
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
二人
(
ふたり
)
は、
聞
(
き
)
くが
如
(
ごと
)
き
他界
(
たかい
)
であるのを
信
(
しん
)
ずると
共
(
とも
)
に、
双六
(
すごろく
)
の
賭
(
かけ
)
が
弥
(
いや
)
が
上
(
うへ
)
にも、
意味
(
いみ
)
の
深
(
ふか
)
いものに
成
(
な
)
つた
事
(
こと
)
を
喜
(
よろこ
)
んだ……
勿論
(
もちろん
)
、
谷
(
たに
)
へ
分入
(
わけい
)
るに
就
(
つ
)
いて
躊躇
(
ちうちよ
)
を
為
(
し
)
たり
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
花の咲く時分になつてから、陽気が又後戻りして来て、咲きさうにしてゐた花を暫し
躊躇
(
ちうちよ
)
させてゐたが、一両日の
生温
(
なまぬる
)
い暖かさで、それが一時に咲きそろつた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
人の世の言葉や、思想は、
其
(
そ
)
の神秘的、具象的事相の万一をだに
彷彿
(
はうふつ
)
せしめがたき概あるにあらずや。吾れ
之
(
こ
)
れを思うて、幾たびか
躊躇
(
ちうちよ
)
し、幾たびか
沮喪
(
そさう
)
せり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
何うしようかと
躊躇
(
ちうちよ
)
はしたんだが、だん/\と事情が迫つては来る、一応——三四日しておせいはまた下宿に逃げて来たのだ——で彼女の言ひ分も確めたいと思ひ
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
恰
(
あたか
)
も渓流の
大海
(
だいかい
)
に向つて流れ出づるが如く、日夜都会に向つて身を投ずるのを
躊躇
(
ちうちよ
)
しないのであつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
人肉を
食
(
くら
)
うて腹
鼓然
(
こぜん
)
たらば、汝の父母妻子を始め、隣人を愛するに
躊躇
(
ちうちよ
)
することなかれ。その
後
(
のち
)
に尚余力あらば、風景を愛し、芸術を愛し、万般の学問を愛すべし。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
然し、蓮太郎は篤志な知己として丑松のことを考へて居るばかり、同じ素性の青年とは夢にも思はなかつた。丑松もまた、其秘密ばかりは言ふことを
躊躇
(
ちうちよ
)
して居る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
われに示すにハルトマンが審美學のうちにて我が假借し來れる部分を打ち
毀
(
こは
)
すに足るべき無理想の審美學を以てせよ。われは頃刻も
躊躇
(
ちうちよ
)
せずして無理想派に
與
(
くみ
)
すべし。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
物
(
もの
)
が
食
(
た
)
べたくなつた
時
(
とき
)
には、
何時
(
いつ
)
も
躊躇
(
ちうちよ
)
しながら
咳拂
(
せきばらひ
)
して、
而
(
さう
)
して
下女
(
げぢよ
)
に、
茶
(
ちや
)
でも
呑
(
の
)
みたいものだとか、
飯
(
めし
)
にしたいものだとか
云
(
い
)
ふのが
常
(
つね
)
である、
其故
(
それゆゑ
)
に
會計係
(
くわいけいがゝり
)
に
向
(
むか
)
つても
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
先生のみか
世人
(
よのひと
)
を
驚
(
おどろ
)
かすも
安
(
やす
)
かるべしと、
門外
(
もんぐわい
)
に
躊躇
(
ちうちよ
)
してつひに
入
(
い
)
らず、
道
(
みち
)
引
(
ひき
)
かへて百
花園
(
くわゑん
)
へと
赴
(
おもむ
)
きぬ、
新
(
しん
)
梅屋敷
(
うめやしき
)
百
花園
(
くわゑん
)
は梅の
盛
(
さか
)
りなり、
御大祭日
(
ごたいさいび
)
なれば
群集
(
ぐんしふ
)
も
其筈
(
そのはず
)
の
事
(
こと
)
ながら
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
いよ/\ラマ塔の入口に来ると、さすがに勇気のある姫もちよつと
躊躇
(
ちうちよ
)
しました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
返事も滅多に出さなかつたので、近頃妹の
音信
(
たより
)
もずゐぶん遠退いてゐた。圭一郎は今も衝動的に
腫物
(
はれもの
)
に觸るやうな氣持に襲はれて
開封
(
ひら
)
くことを
躊躇
(
ちうちよ
)
したが、と言つて見ないではすまされない。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
松波荘九郎
(
まつなみさうくらう
)
といふ者、武者修行として、稀〻、蜂須賀邑に到、日暮れ宿を求むるも応ずるものなし、小六正和、その居宅の
檐下
(
のきした
)
に
躊躇
(
ちうちよ
)
せるを怪しみて故を問ひ、艱難相救ふは、武士の常情なり
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「待ちねえ……。」と嘉吉は此所で一寸
躊躇
(
ちうちよ
)
して考へ込む風をした。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
躊躇
(
ちうちよ
)
して、
見切場
(
みきりば
)
に
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
八五郎が馬のやうに丈夫なことは、平次も知り拔いて居りますが、もう
戌刻
(
いつゝ
)
過ぎの時刻を考へて、平次も少し
躊躇
(
ちうちよ
)
したやうです。
銭形平次捕物控:278 苫三七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
誰
(
たれ
)
か
重
(
おも
)
い
怪我人
(
けがにん
)
が
運
(
はこ
)
ばれたのだと
勘次
(
かんじ
)
は
直
(
す
)
ぐに
悟
(
さと
)
つてさうして
何
(
なん
)
だか
悚然
(
ぞつ
)
とした。
彼
(
かれ
)
は
業々
(
げふ/\
)
しい
自分
(
じぶん
)
の
扮裝
(
いでたち
)
に
恥
(
は
)
ぢて
躊躇
(
ちうちよ
)
しつゝ
案内
(
あんない
)
を
請
(
こ
)
うた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
渠は
凡
(
すべて
)
のものを蔑視したるなるべし、浄海も渠を怖れしめず、政権も渠を懸念せしめず、己れの本心も渠を
躊躇
(
ちうちよ
)
せしむるところなく、激発暴進
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
だがわたしはこの御返答には
躊躇
(
ちうちよ
)
したのだ。娘は現に神経衰弱を起してゐる。これは親の
手許
(
てもと
)
で
癒
(
なほ
)
さねばならない。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
其時まで、丑松は細君に話したいと思ふことがあつて、其を言ふ機会も無く
躊躇
(
ちうちよ
)
して居たのであるが、斯うして酒が始つて見ると、
何時
(
いつ
)
是地主が帰つて行くか解らない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
左舷
(
さげん
)
の
當番
(
たうばん
)
水夫
(
すゐふ
)
は
鬼
(
おに
)
か
蛇
(
じや
)
か、
知
(
し
)
つて
知
(
し
)
らぬ
顏
(
かほ
)
の
其
(
その
)
心
(
こゝろ
)
は
分
(
わか
)
らぬが、
今
(
いま
)
は
瞬間
(
しゆんかん
)
も
躊躇
(
ちうちよ
)
すべき
塲合
(
ばあい
)
でないと
考
(
かんが
)
へたので、
私
(
わたくし
)
は
一散
(
いつさん
)
に
走
(
はし
)
つて、
船橋
(
せんけう
)
の
下部
(
した
)
なる
船長室
(
せんちやうしつ
)
の
扉
(
ドーア
)
を
叩
(
たゝ
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「それは可いんですけれど、何だか悪いですわね。」たえ子は
躊躇
(
ちうちよ
)
気味で自嘲的に言つた。
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
若い者はわたくしの店に入るのを見て、「入らつしやい」の聲を發することを
躊躇
(
ちうちよ
)
した。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
左様
(
さう
)
であつたとのことですナ」と篠田は
首肯
(
うなづ
)
き「
然
(
しか
)
らば君、少しも
憚
(
はばか
)
る所は無い、
速
(
すみやか
)
に
彼女
(
かれ
)
を濁流より救ひ出だして、其愛情を全うするが
可
(
よ
)
いと、忠告致しました、所が彼は
躊躇
(
ちうちよ
)
して、 ...
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
或は、どう答へても、結局、
莫迦
(
ばか
)
にされさうな気さへする。彼は
躊躇
(
ちうちよ
)
した。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一緒に行くことを
躊躇
(
ちうちよ
)
しましたが、道案内が、か弱い女のことですから、何でもなからうと安心してその女について海岸まで参りますと、そこには別に一疋のもつと大きな竜の駒がをりまして
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
私
(
わたし
)
がものを
聞
(
き
)
いて、
返事
(
へんじ
)
に
躊躇
(
ちうちよ
)
をなすつたのは
此時
(
このとき
)
ばかりで、また、それは
猪
(
いぬしゝ
)
だとか、
狼
(
おほかみ
)
だとか、
狐
(
きつね
)
だとか、
頬白
(
ほゝじろ
)
だとか、
山雀
(
やまがら
)
だとか、
鮟鱇
(
あんかう
)
だとか
鯖
(
さば
)
だとか、
蛆
(
うぢ
)
だとか、
毛虫
(
けむし
)
だとか、
草
(
くさ
)
だとか
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
小六
(
ころく
)
は
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
で
少
(
すこ
)
し
躊躇
(
ちうちよ
)
してゐたが、
兄
(
あに
)
から
又
(
また
)
二聲
(
ふたこゑ
)
程
(
ほど
)
續
(
つゞ
)
けざまに
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けられたので、
已
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
低
(
ひく
)
い
返事
(
へんじ
)
をして、
襖
(
ふすま
)
から
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
した。
其顏
(
そのかほ
)
は
酒氣
(
しゆき
)
のまだ
醒
(
さ
)
めない
赤
(
あか
)
い
色
(
いろ
)
を
眼
(
め
)
の
縁
(
ふち
)
に
帶
(
お
)
びてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しばらく入口で
躊躇
(
ちうちよ
)
した末、八五郎に
促
(
うなが
)
されて、大輪の白百合のやうな感じのする若い娘が、一陣の
薫風
(
くんぷう
)
と共に入つて來ました。
銭形平次捕物控:193 色若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
不審
(
ふしん
)
に
思
(
おも
)
つて
躊躇
(
ちうちよ
)
して
居
(
ゐ
)
ると
突然
(
とつぜん
)
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
對岸
(
たいがん
)
の
松林
(
まつばやし
)
の
陰翳
(
かげ
)
から
白
(
しろ
)
く
光
(
ひか
)
つて
居
(
ゐ
)
る
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
へ
舳
(
へさき
)
が
出
(
で
)
て
船
(
ふね
)
が
現
(
あら
)
はれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一
醉漢
(
すいかん
)
ありて
酒毒
(
しゆどく
)
の
爲
(
ため
)
に
神經
(
しんけい
)
を
錯亂
(
さくらん
)
せられ、これが
爲
(
ため
)
に
自殺
(
じさつ
)
するに
至
(
いた
)
りたる
事
(
こと
)
ある
時
(
とき
)
は、彼は酒故に自殺したりと
言
(
い
)
ふを
躊躇
(
ちうちよ
)
せざるべし、酒は即ち自殺の原因なり。
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
主人は何だか話が
解
(
わか
)
つたやうな気がした。彼は、二人きりで話し合つてゐる恋人同士の邪魔をしたかのやうに
躊躇
(
ちうちよ
)
した。自分の異分子な事を感じた。引返さうと考へた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
無論
(
むろん
)
躊躇
(
ちうちよ
)
する
必要
(
ひつえう
)
はない、
我
(
わ
)
が
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
も、
今日
(
けふ
)
から十
日目
(
かめ
)
の
紀元節
(
きげんせつ
)
の
當日
(
たうじつ
)
には、
試運轉式
(
しうんてんしき
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
其後
(
そのゝち
)
一週間
(
いつしゆうかん
)
以内
(
いない
)
には、
總
(
すべ
)
ての
凖備
(
じゆんび
)
を
終
(
をは
)
つて、
本島
(
ほんとう
)
を
出發
(
しゆつぱつ
)
する
豫定
(
よてい
)
だから
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「上つても可いんですか。」彼女はちよつと気がひけたやうに入口で
躊躇
(
ちうちよ
)
してゐた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
博士は其時笑つて、そんなら其
久松
(
ひさまつ
)
を連れて
娵
(
よめ
)
に来れば
好
(
い
)
いと云つた事もある。併し事実問題になると、博士は
躊躇
(
ちうちよ
)
することを免れない。博士は自ら解して、かう云つてゐる。なに。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
丑松は何か思出したやうに慄へて、話さうか、話すまいか、と
暫時
(
しばらく
)
躊躇
(
ちうちよ
)
する様子にも見えたが、あまり二人が熱心に自分の顔を
熟視
(
みまも
)
るので、つい/\打明けずには居られなく成つて来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
聊
(
いさゝ
)
か
躊躇
(
ちうちよ
)
せる梅子は、思ひ返へしてホヽと打ち笑み
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
“躊躇”の意味
《名詞》
躊 躇(ちゅうちょ)
決心がつかず、迷うこと。
《動詞》
躊 躇 する(ちゅうちょ-する)
決心がつかず、迷う。
(出典:Wiktionary)
躊
漢検1級
部首:⾜
21画
躇
漢検1級
部首:⾜
19画
“躊躇”で始まる語句
躊躇逡巡