“前”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
まえ29.1%
さき20.6%
ぜん14.5%
めえ14.1%
まへ12.2%
まい1.5%
さきの0.8%
すす0.8%
0.6%
0.6%
(他:79)5.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人間にんげんのいのちは一だいだけでおわるものではない。まえとこののちと、三だいもつづいている。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おにどもはやがて、おじいさんのるうろのまえまでますと、がやがやいいながら、みんなそこにまってしまいました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
子供こどもはらだたしさに、かおいろあかくして、しおしおとしてそのみせまえってしまいました。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、この遊民どもは、駒井がさきの甲府勤番支配であって、ともかくも一国一城を預かって、牧民の職をつとめた経歴のある英才と知る由もない。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それと間もなく夜になって、あとさきも見えなくなって来た。そして道は、武蔵野の一端に出るまでは、ほとんど、くだりどおしであった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この町の旧家でしかもさきの別府町時代の町長であった日名子氏はお祭りの行列についてあるかねばならなかったので、たいへん遅くなったといった。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
女がすでに離れた以上、自分の仕事にあきが来たと云ってはすまないが、ぜん同様であるべき窮屈の程度が急に著るしく感ぜられてならなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうしてその一瞬間に、二年ぜんから引き続いて来たこの奇怪なJ・I・C事件に対する私の判断を、どん底から引っくり返してしまったのであった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
十年ぜんに比べると、顔容かおかたちいちじるしくやつれ果てたが、紛う方なきのお杉で、加之しかも一人の赤児を抱いていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「源さのいかくなったには、わし魂消たまげた。全然まるで、見違えるように。しかし、おめえには少許ちっとていねえだに」
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「それだ——その第二の頼みというやつがわからねえんだ、おいらの方ではうやむやなんだ、おめえの方だけで、ひとり合点がてんをしているんだ」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
熊藏 仕樣がねえなあ。だが、いつまでこゝに待つてもゐられめえ。あの野郎は置去りにして出掛けようぜ。おめえたち三人はこれをさして行きねえ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
最早もはや最後さいごかとおもときに、鎭守ちんじゆやしろまへにあることに心着こゝろづいたのであります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その夫婦ふうふのしうちがくはぬとつて十何年なんねんまへから一人ひとり此處こゝんでるらしい
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
東面とうめん參詣者さんけいしやまへから横穴よこあななかり、調査てうさをはつてそとると
尼「忘れもしない三年跡の七月小金原の観音堂でおまいさんのお母さんをくびり殺し、百二十両と云う金を取ったは此のお熊比丘尼でございますよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お客だい、誰も来やしないよ、おまい。」と斜めに肩ごしに見遣みやったまま打棄うっちゃったようにもののすッきり。かえすことばもなく、
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はてさて迷惑めいわくな、こりやまい黄色蛇あおだいしやう旨煮うまにか、腹籠はらごもりさる蒸焼むしやき
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十日の午後、〈女子挺身隊第一号〉……さきの関白総理大臣ドオショオ閣下の“みっともないお嬢さん”の一の乾分、桜会の咲子さんが厳粛な顔でやってきた。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
西四条のさきの斎宮まだみこにものし給ひし時心ざしありて思ふこと侍りける間に、斎宮に走り給ひにければ、その明くるあしたさかきの枝につけてさしおかせ侍りける
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
其方そのほう塙江漢はなわこうかんとやらいう老いぼれの無役者むやくものに加担いたして、畏れ多くも、さきの黄門龍山公のご隠居所をうかがいに来た犬であろう」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
満枝は彼のにはか捩向ねぢむきてひざすすむをさへ覚えざらんとするを見て、ゆがむる口角くちもとゑみを忍びつ、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
五百賊を討つに独り進んで戦い百人を射、余りの四百人に向い、汝らすすんで無駄死にをするな、傷ついた者の矢を抜いて死ぬるか生きるかを見よと言うた。
しかれども地方の巡邏じゅんら甚だ密にして、官船を除くの外、一切近づきすすむを許さず、これがために踟蹰ちちゅうす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「おはんも何かないと、お困りだろうからね、わーさんなら、堅くてさっぱりしていて、世話の焼けない方だから、よかろうと思ってね。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
まだよくの言えば、おんとお孝と対向さしむかいで、一猪口ひとちょこる処をですだ、敷居の外からでもい、見ていたいものですだ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そうかじゃありませんよ。才ちゃんてば。……それをさ、民さんだの、おはんだのって……私は聞いていてはらはらするわ、お気をけなさいなね。」
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どうしておさんなんざ学者で先生だっていうけれど、からそんな時にゃあ腰を抜かすね。へい。何だって法律で馬にゃあ乗れませんや、どうでげす。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不残のこらず叩き売った道具のおあしが、ずッしりあるんだ。おさんが、蔦ちゃんに遣れって云うのを、まだ預っているんだから、遠慮はねえ、はははは、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『繁ちやん、それアおも一緒にいち行きね。た方がいゝが、……土産物みやげもんどんもろちよつたちつまらん。それア行たほがよつぽづいゝが……』
金比羅参り (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
旦那におっかぶして置いたが、此のはおめいさんのたねちげいというと、男の方では月イ勘定すると一月ひとつき違うから己の児じゃア
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お上さん、おめいの深切ぶりはもうしてくんな。俺あ痛くもねえ腹探られて、気色きしょくが悪くてならねえ。」
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
うさなア、どうもこれはおめいとことっさまという人は中々道楽をぶって、他人ひとのいう事アかねえ人だよ、此のめえ荷い馬へ打積ぶっつんで
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
サキノ源中納言北畠具行ハ、先帝ノ帷幄ヰアクニカクレ、天下ヲ禍乱クワランニ投ジタル逆謀ノ首魁シユクワイタリシ事、スデニ歴乎レツキタリ。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は、昔の丈部ハセツカヒベ(記・姓氏録・万葉)をば、支那風の仗人と見ずに、或は此すたんだぁどに似た桙を持つて、大将のサキうた部曲カキベかと考へて居る。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
七位允シチヰノジヨウサキノ滝口ノタヒラノ小次郎将門ヲ以テ、相馬御厨ミクリヤ下司ゲスジヨス。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清「えゝ、お内室かみさんあんたはまアどうして此様こんなにお成りなさいました、十四年あとお宅で御厄介になりやした家根屋の清次でございやす」
山「まア思い掛けない事で、お前さんは三年あとに池上の田甫たんぼへ出口の石橋の処の茶見世に出ておいでのお蘭さんとか云う娘さんだねえ」
此寺の落慶供養のあつたのは、つい四五日あとであつた。まだ其日の喜ばしい騒ぎの響きが、どこかにする様に、麓の村びと等には感じられて居る程なのだ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
せんに働いていた川西という工場のことを、小野田は心に描いていたが、前借などの始末のやりっぱなしになっている其処へは行きたくなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして病院へ入れたり、海辺へやったりして手を尽して来た、せんかみさんの病気の療治に骨の折れたことや、金のかかった事をもこぼした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「どうやら。家へあまりいらしゃらんさかえ。せんかって、そうお金をつかったという方じゃないですもの」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
みねあり、てんさへぎり、せきあり、とざし、うますゝまず、——うますゝまず。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
主人の朝井玄龍は、平次と喜三郎を別室に案内すると、折入つての膝をすゝめるのでした。
美男島五六郎は、自分の聲に激發されたやうに、一刀を引寄せてグイと膝をすゝめます。
山のむこうの親戚の家に餅搗があって、其の手伝いに頼まれたので、小供を留守居にして置いて、朝早くから出かけることになった。
白い花赤い茎 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
鵂鶹ふくろうの鳴く声が鴉の声に交ってむこうの方から聞えてきたが、どこで鳴いているのか場所は判らなかった。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
二人はその丘陵おかけあがって、生い茂った林の下をくぐってむこうふもとにおりましたが、そこは入江の岸になって、みちの下には水の白い池がありました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「だつて、そのくれゐあためへだア。お前さアばか、勝手な真似して、うらとがめられるせきはねえだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
明けてくんなとつて、わたし医者いしやぢやアなし、そんな無理なことをつたツてわたしがおめへあけわけにはいかないが
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
『これ、丑松や、猪子といふ御客さんがおめへを尋ねて来たぞい。』う言つて叔母は駈寄つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
もと高雄艦長たかをかんちやういま軍艦ぐんかん」の艦長かんちやう、松島海軍大佐閣下かいぐんたいさかくか部下ぶか信號兵しんがうへいだよ。
明神の森とは、山波をつづけて、なだらかにもと来た片原の町はずれへ続く、それをななめに見上げる、山の高き青芒あおすすきわらびの広葉の茂った中へ、ちらりと出た……さあ
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
兎に角こんな所を開けて見ては済まないともとの様に書棚を直して出て来ると
此寺の落慶供養のあつたのは、つい四五日アトであつた。まだあの日の喜ばしい騒ぎのトヨみが、どこかにする様に、麓の村びと等には、感じられて居る程である。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此寺の落慶供養のあつたのは、つい四五日アトであつた。まだあの日の喜ばしい騷ぎのトヨみが、どこかにする樣に、麓の村びと等には、感じられて居る程である。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
此寺の落慶供養のあつたのは、つい四五日アトであつた。まだあの日の喜ばしい騷ぎのトヨみが、どこかにする樣に、麓の村びと等には、感じられて居る程である。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
彼は、母が呼んで呉れた俥の上で、鳥打帽子のひさしを眉の下まで降し、毛皮に埋つた頬ツぺたの生温い感触に擽つたさを覚えながら、停車場へ走つた。
「悪」の同意語 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
若者はソフト帽のひさしをおろしながら云つた。
パンアテナイア祭の夢 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ゼン少貳殿でなくて、弓削新發意ユゲシンボチの方であつてくれゝば、いつそ安心だがなあ。あれなら、事を起しさうな房主でもなし。起したくても、起せる身分でもないぢやまで——。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ゼン少弐殿でなくて、弓削新発意ユゲシンボチの方であつてくれゝば、いつそ安心だがなあ。あれなら、事を起しさうな房主バウズでもなし。起したくても、起せる身分でもないぢやまで——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
袖にはくちなわ、膝には蜥蜴とかげあたり見る地獄のさまに、五体はたちまち氷となって、慄然ぞっとして身を退きましょう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二足にそくつかみの供振ともぶりを、見返みかへるおなつげて、憚樣はゞかりさまやとばかりに、夕暮近ゆふぐれぢか野路のぢあめおもをとこ相合傘あひあひがさ人目ひとめまれなる横※よこしぶきれぬききこそいまはしも、
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きそむら立出たちいでゝ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
東京で彼岸ザクラといえば後とにもきにも上野公園のもののみが登場して、そこでその木を一概にそう思い詰めているのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
たるぞ、軍陣ぐんぢん門出かどでさい
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
というとささへ立って駆け出したんで、みんながぞろぞろとついて行くと、鍍金の奴は一足おくれで、そのあとへ、こけ勘。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
咽喉の奥ではむせぶような気がするのをじっこらえながら、表面うわべは陽気に面白可笑く、二人のいる前で、さっき言った
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
哀愁にとざされた露月は、行き違うまで、その人の姿にも気がつかなかったのでしたが、ふと、鼻をこのもしい香りに、編笠をかかげて見返えりますと、僕の肩にかたげられたは、今ての園咲そのざきの白つつじが、白く涼しく匂っているのです。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
源さま、わっちが今立聞をしていたら、孝助の母親おふくろ咽喉のどを突いて、おなれさん方の逃げた道を孝助におせえたから、こゝへ追掛おっかけて来るにちげえねえから