“目前”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
めさき34.9%
もくぜん22.1%
まのあたり22.1%
めのまえ10.5%
めのさき3.5%
めのまへ3.5%
まえ2.3%
まのあた1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
空の晴れた日には、男体山なんたいさんなどの姿が窓からはっきり眺められた。社の森、日光の町まで続いた杉並木なども、目前めさきに黝んで見えた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
こう注意ちゅういしてやると、後方こうほうから、前線ぜんせんおくられたばかりの、わか兵士へいし一人ひとりが、目前もくぜんで、背嚢はいのうをおろして、そのうちあらためていました。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……次第しだいちか此処こゝせまやまやまみねみねとのなかつないで蒼空あをぞらしろいとの、とほきはくも、やがてかすみ目前まのあたりなるは陽炎かげらふである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
我々は客車の窓に二つの首を見た、カラタール氏が下に、ゴメズが上に、しかし二人は目前めのまえに見たもののために、叫声さけびごえももはや凍ってしまったようだ。
よく切れます……お使いなさいまし、お間に合せに。……(無遠慮に庖丁を目前めのさきに突出す。)
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして富江は、一心になつて目前めのまへの札を守つてゐる山内に、すきさへあれば遠くからでも襲撃を加へることを怠らなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「何をおっしゃるンです。失敬な。も一度武男の目前まえで言ってごらんなさい。失敬な。男らしく父に相談もせずに、無礼千万な艶書ふみひとにやったりなンぞ……もうこれから決して容赦はしませぬ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
かの時妾目前まのあたり、雄が横死おうしを見ながらに、これをたすけんともせざりしは、見下げ果てたる不貞の犬よと、思ひし獣もありつらんが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)