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まのあたり
ふりがな文庫
“
目前
(
まのあたり
)” の例文
……
次第
(
しだい
)
に
近
(
ちか
)
く
此処
(
こゝ
)
に
迫
(
せま
)
る
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
、
峯
(
みね
)
と
峯
(
みね
)
との
中
(
なか
)
を
繋
(
つな
)
いで
蒼空
(
あをぞら
)
を
縫
(
ぬ
)
ふ
白
(
しろ
)
い
糸
(
いと
)
の、
遠
(
とほ
)
きは
雲
(
くも
)
、やがて
霞
(
かすみ
)
、
目前
(
まのあたり
)
なるは
陽炎
(
かげらふ
)
である。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
打惑
(
うちまど
)
ひて
入
(
い
)
りかねたる彼の
目前
(
まのあたり
)
に、
可疑
(
うたがはし
)
き女客も
未
(
いま
)
だ
背
(
そむ
)
けたる
面
(
おもて
)
を
回
(
めぐら
)
さず、
細雨
(
さいう
)
静
(
しづか
)
に
庭樹
(
ていじゆ
)
を
撲
(
う
)
ちて
滴
(
したた
)
る
翠
(
みどり
)
は内を照せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼の聴水が
所業
(
しわざ
)
なること、
目前
(
まのあたり
)
見て知りしかば、いかにも無念さやるせなく。
殊
(
こと
)
には
他
(
かれ
)
は黄金丸が、
倶不戴天
(
ぐふたいてん
)
の
讐
(
あだ
)
なれば、意恨はかの事のみにあらず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
目前
(
まのあたり
)
見ての憂ひよりは
想像
(
おもひやり
)
にこそ苦はまされ、
別條
(
ことなること
)
なきよしを知らせて、其さまざまに走しる想像の苦を安めたし
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
帳場へ飛び込むと提灯を借り、火を灯もすと駈けだしたが、奇怪な活劇を
目前
(
まのあたり
)
に見ようとは想像しなかったろう。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
さるを君と我とを遠ざくべき大いなる不幸の、忽ち
目前
(
まのあたり
)
に現れたるを見て、我胸は
塞
(
ふさ
)
がり我舌は結ぼれ、私は面を
手負
(
てをひ
)
の衣に隱しゝ
隙
(
ひま
)
に、君は見えずなり給ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それを知らない健三ではなかったが、
目前
(
まのあたり
)
この猛烈な
咳嗽
(
せき
)
と消え入るような
呼息遣
(
いきづかい
)
とを見ていると、病気に
罹
(
かか
)
った当人よりも自分の方がかえって不安で堪らなくなった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五年振で此市に來て
目前
(
まのあたり
)
觀察した種々の變遷と、それを見た自分の感想とを叙べ、又此市と自分との關係から、盛岡は美しい日本の都會の一つである事、此美しい都會が
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
目前
(
まのあたり
)
鯉魚
(
りぎょ
)
の
神異
(
しんい
)
を見た、怪しき僧の暗示と
讖言
(
しんげん
)
を信じたのであるから、今にも一片の雲は法衣の
袖
(
そで
)
のやうに白山の
眉
(
まゆ
)
に
飜
(
ひるがえ
)
るであらうと信じて、
須叟
(
しばし
)
を待つ
間
(
ま
)
を
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
崇
(
たふと
)
く優くも、高く
麗
(
うるはし
)
くも、又は、
完
(
まつた
)
くも大いなる者在るを信ぜざらんと為るばかりに、
一度
(
ひとたび
)
は
目前
(
まのあたり
)
睹
(
み
)
るを得て、その倒懸の苦を
寛
(
ゆる
)
うせん、と心
爇
(
や
)
くが如く望みたりしを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
五年振で
此
(
この
)
市
(
し
)
に来て
目前
(
まのあたり
)
観察した種々の変遷と、それを見た自分の感想とを叙べ、又
此
(
この
)
市
(
し
)
と自分との関係から、盛岡は美しい日本の都会の一つである事、此美しい都会が
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかし今
目前
(
まのあたり
)
見たその人は、あまり裕福な境遇にいるとは誰が見ても決して思えなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目前
(
まのあたり
)
お蘭さまと物いふにつけて、分らぬ思ひは同じ處を行めぐり行めぐり、夢に見たりし女菩薩をお蘭さまと
爲
(
す
)
れば、今見るお蘭さまは御人かはりて、我れに
無情
(
つれなし
)
となけれど一重隔ての中垣や
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
許多
(
あまた
)
の
聖者
(
しやうじや
)
獻身者の像にして、下より望み見るべからざるものは、新に我
目前
(
まのあたり
)
に露呈し來れり。われは絶頂なる救世主の巨像の下に到りぬ。ミラノ全都の人烟は
螺紋
(
らもん
)
の如く我脚底に畫かれたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
かつはこのほどより乳房
垂
(
た
)
れて、常ならぬ身にしあれば、
雄
(
おっと
)
が
非業
(
ひごう
)
の
最期
(
さいご
)
をば、
目前
(
まのあたり
)
見ながらも、
救
(
たす
)
くることさへ成りがたく、
独
(
ひと
)
り心を
悶
(
もだ
)
へつつ、いとも哀れなる声張上げて、
頻
(
しき
)
りに
吠
(
ほ
)
え立つるにぞ
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「その百姓の凄じさ、わしは
目前
(
まのあたり
)
今はじめて見た。……牧野殿」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
目前
(
まのあたり
)
鯉魚
(
りぎょ
)
の神異を見た、怪しき僧の暗示と
讖言
(
しんげん
)
を信じたのであるから、今にも一片の雲は法衣の袖のように白山の眉に飜るであろうと信じて、しばしを待つ
間
(
ま
)
を
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恐くは我が至誠の
鑑
(
かがみ
)
は父が未然を
宛然
(
さながら
)
映し
出
(
いだ
)
して
謬
(
あやま
)
らざるにあらざるかと、事の
目前
(
まのあたり
)
の真にあらざるを知りつつも、余りの浅ましさに我を忘れてつと
迸
(
ほとばし
)
る
哭声
(
なきごゑ
)
は、
咬緊
(
くひし
)
むる歯をさへ漏れて出づるを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
の事の不思議より、今
目前
(
まのあたり
)
の光景を、かえって夢かと思うよう、
恍惚
(
うっとり
)
となったも道理。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
視
(
なが
)
むれば、幼い時のその
光景
(
ありさま
)
を
目前
(
まのあたり
)
に見るようでもあるし、また夢らしくもあれば、前世が
兎
(
うさぎ
)
であった時、
木賊
(
とくさ
)
の中から、ひょいと
覗
(
のぞ
)
いた景色かも分らぬ。待て、
希
(
こいねがわ
)
くは兎でありたい。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お若が
目前
(
まのあたり
)
に湯を取りに来たことも、しかもまくり手して重そうに持って湯殿の
方
(
かた
)
へ行ったことも、知っていたが、これよりさき
朦朧
(
もうろう
)
として雪ぢらしの部屋着を
被
(
き
)
た、品の
可
(
い
)
い、脊の高い
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恐らく我国の
薬種
(
やくしゅ
)
で無からう、
天竺
(
てんじく
)
伝来か、
蘭方
(
らんぽう
)
か、近くは朝鮮、
琉球
(
りゅうきゅう
)
あたりの妙薬に相違ない。
然
(
そ
)
う
謂
(
い
)
へば
彼
(
あ
)
の
房々
(
ふさふさ
)
とある髪は、なんと、物語にこそ謂へ
目前
(
まのあたり
)
、
解
(
と
)
いたら
裾
(
すそ
)
に
靡
(
なび
)
くであらう。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
笄
(
こうがい
)
を質に入れたなどと話していると、
遥
(
はるか
)
に東の
方
(
かた
)
よりむら立つ雲もなく、
虚空
(
こくう
)
を渡るがごとく、車の駆来る音して、しばらくの間に
目前
(
まのあたり
)
へ近づいたのを見ると、あら、
可恐
(
おそろ
)
し、
素裸
(
すはだ
)
の
荒漢
(
あらおとこ
)
、三人
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わずかに解いた唇に、
艶々
(
つやつや
)
と
鉄漿
(
かね
)
を含んでいる、幻はかえって
目前
(
まのあたり
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
老爺
(
ぢい
)
は、さすがに、まだ
気丈
(
きじやう
)
で、
対手
(
あひて
)
が
然
(
さ
)
までに、
口汚
(
くちぎたな
)
く
詈
(
ののし
)
り
嘲
(
あざ
)
ける、
新弟子
(
しんでし
)
の
作
(
さく
)
の
如何
(
いか
)
なるかを、はじめて
目前
(
まのあたり
)
験
(
ため
)
すらしく、
横
(
よこ
)
に
取
(
と
)
つて
熟
(
じつ
)
と
見
(
み
)
て、
弱
(
よわ
)
つたと
言
(
い
)
ふ
顰
(
ひそ
)
み
方
(
かた
)
で、
少時
(
しばらく
)
ものも
言
(
い
)
はなんだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかし
目前
(
まのあたり
)
、
歴然
(
ありあり
)
とその二人を見たのは、
何時
(
いつ
)
になっても忘れぬ。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし
目前
(
まのあたり
)
、
歴然
(
あり/\
)
と
其
(
そ
)
の
二人
(
ふたり
)
を
見
(
み
)
たのは、
何時
(
いつ
)
に
成
(
な
)
つても
忘
(
わす
)
れぬ。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“目前”の意味
《名詞》
目 前(もくぜん、めさき)
(めさき)参照。
(もくぜん)位置的に近接する前。目の方向。前方。
(もくぜん)時間的に近接する前。近い時期。すぐ近く。
(出典:Wiktionary)
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
“目”で始まる語句
目
目的
目出度
目標
目貫
目覚
目論見
目下
目論
目付