“悶”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
もだ83.8%
もが8.1%
もだえ2.5%
もど1.4%
1.1%
もん1.1%
あが0.3%
じれ0.3%
つか0.3%
0.3%
もがき0.3%
もだへ0.3%
モダ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すべての悩みも悲しみも、苦しみももだえも、胸に秘めて、ただ鬱々うつうつと一人かなしきもの思いに沈むというような可憐な表情を持つ花です。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
金眸は痛さに身をもがきつつ、鷲郎が横腹を引𤔩ひきつかめば、「呀嗟あなや」と叫んで身を翻へし、少し退しさつて洞口のかたへ、行くを続いておっかくれば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
したがって余の意識の内容はただ一色ひといろもだえ塗抹とまつされて、臍上方さいじょうほう三寸さんずんあたりを日夜にうねうね行きつ戻りつするのみであった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見てもどかしげに「貴方は其を疑いますか、若し宝を隠す為でなければ何の為に此の様な、人の出入る事の出来ぬ塔を立てたとおおもいなさる」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
市郎はいて又燐寸を擦ったが、胸の動悸に手はふるえて、幾たびか擦損すりそんじた。彼はいよいれて、一度に五六本の燐寸を掴んで力任せに引擦ひっこすると、火はようやく点いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
渋江氏では、優善がもんを排せんがために酒色の境にのがれたのだろうと思って、手分てわけをして料理屋と妓楼ぎろうとを捜索させた。しかし優善のありかはどうしても知れなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
正太は、あの深い屋根の下にもがあがいていた母の生涯を思わずにいられなかった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その婦人は如何いかにも忌々いまいましそうな、じれったそうな、しゃくさわると云うような風情で、身を斜めにして私の方をジロリと睨んだ顔、取立とりたてて美人と賞讃ほめはやすほどではないが、たしかに十人並以上の容貌きりょう
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
うれしい皇軍こうぐん赫々かっかくたる大戦果により、なんだかちかごろこの地球というものが急に狭くなって、鼻がつかえるようでいけない。これは作者だけの感じではあるまい。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
老妻お百とよめのお道との三角葛藤はしばしば問題となるが、馬琴に後暗い弱点がなくとも一家の主人が些細な家事にまでアアしちむずかしい理窟をこねるようでは家がめる。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
とほれと脇腹わきばら愚刺ぐさと計りに差貫さしつらぬけば何ぞたまらん庄兵衞はあつと叫も口の中押へ附られ聲出ず苦き儘にもがきけるをお光は上へまたがりて思ひの儘にゑぐりければ七てんたうふるは虚空こくう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今朝けさひがしきんまどから朝日影あさひかげのまだのぞきませぬころむねもだへなぐさめませうと、郊外かうぐわいましたところ、まちからは西にしあたる、とあるかへで杜蔭もりかげに、れば、其樣そん早朝あさまだきに、御子息ごしそくあるいてござる、ちかづけば
姫は、立つてもても居られぬ、焦躁にモダえた。併し日は、益々暗くなり、夕暮れに次いで、夜が来た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)