“退”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
30.2%
22.7%
9.5%
さが9.5%
しりぞ8.8%
すさ5.4%
4.0%
しさ2.5%
しざ0.9%
0.7%
まか0.6%
しり0.5%
ずさ0.4%
0.4%
しぞ0.3%
たい0.2%
0.2%
しりぞい0.2%
0.2%
しや0.1%
すざ0.1%
すべ0.1%
ずら0.1%
0.1%
のき0.1%
のけ0.1%
のぞ0.1%
ひい0.1%
ひけ0.1%
もど0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
マカ0.1%
0.1%
おち0.1%
0.1%
じさ0.1%
じろ0.1%
0.1%
どど0.1%
のい0.1%
のが0.1%
ひか0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
シリゾ0.1%
0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
和尚は何か念じながら豊雄を退かして袈裟をってみると、そこには富子がぐったりとなっている上に三尺ばかりの白い蛇がとぐろをまいていた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と大塚警部は眼を丸くしながら、慌てて手を振って飛び退いた。苦笑しいしいハンカチで顔をコスリ廻わした。私は儼然げんぜんとして坐り直した。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と、沙汰する向きもあったが、信長は半歳の目的は一応おさめ得たとしていた。また、国境から大部分の兵を退いても、大事なしとていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
サッと斬って落されたのは、突いていた長い杖だけ、隠居にやつした平次の身体からだは、よろめくように、後ろへヨロヨロと二三歩退いたのです。
その眼の前へ、歎きの母親を少し退かせました。朝陽に照らされた無残な死骸はおおうところなく、大きく開いた吉五郎の眼に焼き付けられます。
うつむき加減に、杖をついた道者笠は、月に咲いた毒茸どくだけのごとく、ジイと根をやしたまま、退こうともせず、驚いた様子も見せない。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも忠実な黄は私の身を案じてなかなか退さがろうとはせず、躊躇して居りましたが、私はもう相手にもならず、くるりと横を向いてしまいました。
妖影 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
剣術遣が一刀を振上げて居る頭の処へ真一文字に倒れ落ちたから、驚きましたの驚きませんのと、きもひしがれてパッとあと退さがる。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
頭は薬缶やかんだがひげだけは白いと云えば公平であるが、薬缶じゃ御話しにならんよと、一言で退しりぞけられたなら、鬚こそいい災難である。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかはあれ、汝己が翼を動かし、進むと思ひつゝ或ひは退しりぞなからんため、祈りによりて、恩惠めぐみを受ること肝要なり 一四五—一四七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「ひゃあ、」と据眼すえまなこ呼吸いきを引いて、たじたじと退すさると、駅員は冷々然としてと去って、入口へ向いて、がらんがらん。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けだかい隠者は十字を切ると、聖書を取り上げて、それを繰りひろげたが、はつと色を失つて、後ろへ退すさりながら、聖書を取り落してしまつた。
ふたりとも、退がって、少し休息するがいい——と許され、三成と、山城とは、相携あいたずさえて、庭へ出た。新秋八月の大きな月が空にあった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、その退がると、彼女は微笑ほゝえみながら云つた。「いゝあんばいに、今度だけは、足りない分を私の手で都合がつけられるのよ。」
蒸焼むしやけのあたり一面、めらめらとこうてのひらをあけたように炎になったから、わッというと、うしろ飛びに退しさっちまったそうですよ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、彼の力は足らず、集会室ホールの明かり窓によろめき退しさって来て、そこに彼はあえぎ疲れてりかかってしまった。
しかはあれ、神の聖旨みむねによりてヨルダンの退しざり海の逃ぐるは、救ひをこゝに見るよりもなほあやしと見えしなるべし。 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
村田が立って行くと、お清は四、五歩退しざって、戸の外に出て来た村田の横をつとすりぬけ、室の中にはいり込んで、がたりと扉を閉めた。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
その時、全身白毛を冠った年寄りらしい狼が天に向かって吠えたかと思うとそれを合図に狼の群は一度に背後うしろへ飛び退さった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いらざるおせッかいといわぬばかりに、愍笑びんしょうをくれたので、新田の老臣は、顔あからめて、あの時は退ッこみおった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて退まかり立ちて、ここの御社のはしの下の狛犬も狼の形をなせるを見、酒倉の小さからぬを見などして例のところに帰り、朝食あさげをすます。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ここに置目の老媼、「僕いたく老いにたれば、本つ國に退まからむとおもふ」とまをしき。かれ白せるまにまに、退まかりし時に天皇見送りて歌よみしたまひしく、
学問は社会へ出るための方便と心得ていたから、社会を一歩退しりぞかなくっては達する事のできない、学者という地位には、余り多くの興味をっていなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
細君の父を閑職から引っ張り出して、彼の辞職を余儀なくさせた人は、自分たちの退しりぞく間際に、彼を貴族院議員に推挙して、幾分か彼に対する義理を立てようとした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
カテリーナの父親が打ち込むと見るや、ダニーロは身をかはし、ダニーロが攻勢に出るや、形相すさまじい舅は後退ずさりをして、再び互格に返る。
と高らかに笑い出しました。その気味悪さ。恐ろしさ。周囲まわりの兵士は思わずやり手許てもとに控えて、タジタジとあと退ずさりをしました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
と伯爵の眼がキラリと嬢の上に光った、と見た途端、さっきからソロリソロリと身体を退らしていた右手が、柱の呼鈴に触れた。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
お八重は背後うしろへ体を退らせたが、しかしその瞬間去年の秋の、観楓の酒宴での出来事を、幻のように思い出した。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
上昇し早やはねかろしあをあをと退しぞき流るる筑紫国原
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
闇は海より退しぞきけり
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
とおもふはなどいふ調子ちようしは、いかにもくらしかねてゐる退たいくつなひとのあくびでもしたいような氣持きもちがてゐるとおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
燕王曰く、兵の事はしんありて退たい無し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一三 雲が離れるように退いていても。「大和べに風吹きあげて雲ばなれ退き居りともよ吾を忘らすな」(丹後國風土記、浦島の物語の神女)
橋がまへとどろ退くまもしづかなりわが汽車ゆ見る結氷けつぴようのいろ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
再挙三拳ついにらざれば退しりぞいて江戸城を守り、たとい一日にても家の運命を長くしてなお万一を僥倖ぎょうこう
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
むし退しりぞいて新しき王国のいしずゑを据ゑませう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
だが、タチマチ違つた氏の語部なるが故に、追ひ退けられたのであつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
だが、忽違つた氏の語部なるが故に、追ひ退けられたのであつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
「ちつとおめえ退しやつてくんねえか」といひながら人々ひと/″\あひだ足探あしさぐりにあるいて巫女くちよせばあさんのまへいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
圓「これ青や、どうしたゞ、これあと退しやるか足でもどうか成ってるか、痛む気遣きづけえはねえが、多助の母様かゝさまやかましい人だから早く往ってやれ、青どうした、われ塩梅あんべいでも悪いか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甚兵衛の太刀先を相手が避けて、飛び退すざったはずみに、二人の位置が東西になったと思うと、敵の十字架に、折柄入りかかる夕日がきらめいた。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
心臓に照準をつけたまま、次第次第に身を退すざらせてくる。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
為さんは小机の前にいざり寄って、線香を立て、りんを鳴らして殊勝らしげに拝んだが、座を退すべると、「お寂しゅうがしょうね?」と同じことを言う。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
『奧さん、うぞお願ひ致します。』と、あとをお光にまかして座敷を退すべり出た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
友「もうねえ、余所よそのねえ、知らない船宿から乗って上ろうとして船を退ずらかしたものだから川の中へおっこって、ビショ濡れでようやく此の桟橋から上りました」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ええ、そりや、退ずらした、
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鴉のこゑ遠退きゆけば雀のこゑ連れつつ明る雨霧の中 (二一三頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山が門や照れば遠退く秋の嶺呂
不器男句集:02 不器男句集 (新字旧仮名) / 芝不器男(著)
そこ退のきやれ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
一筆しめし※偖傳吉事江戸より今宵こよひ立ち歸り申候まゝ此上は夜々のちぎりも相成ずと存じ候へば勿々なか/\つかの間もしのび難く思ひは彌増いやまし※夫に付き傳吉こと江戸に於てためたる金百五十兩此度こたび持歸もちかへり候途中盜賊に付かれ候ゆゑ野尻のじり宿の近江屋與惣次よそうじと申す宿屋の下女お專へ右の金を預け置き受取候節は此櫛さへ持參ぢさん致し候へばたれにても引替ひきかへに金子相渡す由承まはり候まゝ右のくし御手元おてもとへ差上候明朝早々に野尻宿へ御出で下され金子きんす御受取被成候へば私し事はいづれ近々の中に當所を立ち退のき候て何國のはてにても永く夫婦と相成申したくと夫のみ此世の願ひといのり居り※どうぞ/\御目おめもじのうへ山々やま/\御ものがたり申し上ぐべく候
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから里朝りちょうの曲弾も首尾よく相済んだ跡は、お定まりの大小芸妓の受持となって、杯酒しおわかすと昔は大束に言って退のけたが、まこと逆上返のぼせあがる賑いで
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
其者こそ文字は右の手で書くか左の手で書くかもしらぬ馬鹿ものと云わねばなりますまい、夫ほどの馬鹿ものが世に有ましょうか、老人の左の手へ血を附けて置けば誰も老人が自分で書いたとは思いません、曲者の目的は外れます、藻西太郎へ疑いを掛けようとしてかえって彼の疑いを掃い退のける様な者です
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
天稟てんぴんにうけえた一種の福を持つ人であるから、あきないをするときいただけでも不用なことだと思うに、相場の勝負を争うことなどはさえぎってお止めする。貴女はあらゆる望みを胸中より退のぞいて、終生の願いを安心立命しなければいけない。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
物をも言わず、すわった瞳で、じっと見るや、両手に持った駒下駄をたすきがけに振ったので、片手は源次が横顔を打って退のぞけ、片手は磨硝子すりがらすの戸を一枚微塵みじんに砕いた、蝶吉は飜って出たと思うと、糸をくようにさっける。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところ今歳ことしの五月です、僕は何時いつもよりか二時間も早く事務所を退ひいて家へ帰りますと、そのは曇って居たので家の中は薄暗いうちにも母のへやことに暗いのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
無言で一日暮すこともあり、自分の性質の特色ともいうべき温和な人なつこいところはほとんど消えせ、自分の性質の裏ともいうべき妙にひねくれた片意地のところばかり潮の退ひいあとの岩のように、ごつごつと現われ残ったので、妻が内心驚ろいているのも決して不思議ではない。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
其の内にお退ひけの時計が鳴りますと、直ぐ印形の紐を引きますから、捺しかけてもあとは次のお月番へ廻さなければなりませぬ。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は午後四時の退ひけに、貧民窟にも帰らずに、田舎へ散歩に出かけた。そこで彼は二本足の動物と、煤煙と、貧民窟を離れて、少しの間でも自然と接触をちたいと思った。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
無三むざん退もどるほどにかへるほどに、
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
行なわせて、無二無三に退もどるほどに
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
失敬しっけいな!』と、一言ひとことさけぶなりドクトルはまどほう退け。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
失敬しつけいな!』と、一言ひとことさけぶなりドクトルはまどはう退け。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
為ニ、御辺ガ主家ニ得タル罪ト同坐シテ、我モ一旦、敢テ不忠ノ名ヲカウムリ、此一城ヲ御辺ニ預ケ、敗者ノハヂヲ忍ンデ伊勢ニ退ク。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがさうした概念を述べた替りに、情熱はさつと退いて行つてしまつて居る。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
旅の侍はこれを聞くと、パッと二、三歩飛び退ざって、刀のつかへ手を掛けた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
右門は思わず飛び退さった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もちろん盗品は、まだ伯爵の手許てもとかくしてあるだろうから、まず第一に伯爵邸に踏み込まなければならぬが、その上で殿下にのっ退きならぬ証拠を突きつけて——伯爵という生き証人を突きつけて
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
猛り疲れた伯爵夫人、その後へ税関吏のノルビー、これらののっ退きならぬ生き証人を見せて、伯爵に穏やかな国外退去を勧めるべく、一行が伯爵邸を急襲したのは、それから何時間くらい過ぎた頃であろうか。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
イソ上布留カミフルの命は、嫋女タワヤメマドひによりて、馬じもの縄とりつけ、鹿シヽじもの弓矢カクみて、大君の命畏み、天サカ鄙辺ヒナベ退マカる。
相聞の発達 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
父君に我は愛子マナゴぞ。母刀自トジに我は寵子メヅコぞ。参上マヰノボる八十氏人の 手向タムけするカシコサカに、ヌサマツり、我はぞ退マカる。遠き土佐路を
相聞の発達 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ほん気な意地でも鞘当さやあてでもないが、ほん気にも躍起やっきにもなって困る者を困らせるのが遊びである。光広もなかなかかないし、紹由も決して退かない。そして吉野を両方の義理に挟んで、
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
潮の退おちた時は沼とも思はるゝ入江が高潮たかしほと月の光とでまるで樣子が變り、僕には平時いつも見慣れた泥臭い入江のやうな氣がしなかつた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そうしてもしや一ツでもいいから助かりそうな死骸は無いかと、やみの中に散らばっている死骸を一ツ一ツにあらためながら、奥の方へ来るうちに、不図青眼先生は屋敷の真中あたりで、切れるように冷たい者を探り当てて、ヒヤリとしながら手を退めました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
あと退じさりに跳返はねかへつた、中戸口なかどぐちから、眞暗まつくらつて躍込をどりこんだが、部屋へやそとふるへるくぎごとくに突立つツたつて、こぶしにぎりながら、
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは殆んど投げつけるような調子であったが、良助は別に驚きもせず、身退じろぎもしなかった。彼はただじっと田原さんの側に立ちつくした。
田原氏の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
竹「はい、私は大きに熱が退れましたかして少し落着きました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「邪魔すんな、退け、退どどけ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
其方そちこヽろ一つにてれも安堵あんどひめきずもつかず、此處こヽをよく了簡れうけんなし斷念さつぱり退のいれかし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かれあみにせめられ人にもはれなどして、水を飛離とびはなれて河原にのぼり、あみある所をこえて水にとび入りてあみを退のがるゝ也。
実家うちへも帰られないので此様な汚ない空家を借りて世帯しょたいを持たして、爺むさいたッてお前さん茅葺かやぶき屋根から虫が落ちるだろうじゃアないか、本当に私を退ひかしたって亭主振って、小憎らしいのだよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「旦那」と小声に下婢の呼ぶに、大洞はばしとばかり退かり出でぬ、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「何やってんだ、一体——。別に学校を退めるほどの事情もなさそうだったが、働かなきゃならんほどの」
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
次は床退りをした女、即、或年齢に達すると、女は夫を去つて、処女生活に入る信仰があつたが、さういふ様な女(三)。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
一、会館ハ辰半タツハンイリ未刻ヒツジノコク退シリゾベシ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其にとこと音通した退く・ソコなどの聯想もあつたものらしく、地下或は海底の「死の国」と考へられて居た。