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退
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すさ
ふりがな文庫
“
退
(
すさ
)” の例文
捧げて來た茶を、平次の前に進めて、少し
退
(
すさ
)
つてお辭儀をした折屈みは、すつかり御殿風が身について、この娘の非凡さを思はせます。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
蚊帳を
覗
(
うかが
)
うこの姿が透いたら、気絶しないでは済むまいと、思わずよろよろと
退
(
すさ
)
って、
引
(
ひっ
)
くるまる
裳
(
もすそ
)
危
(
あやう
)
く、はらりと
捌
(
さば
)
いて廊下へ出た。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
智恵子は、自分がその小川家の者でない事を現す様に、一足後へ
退
(
すさ
)
つた。その時、
傍
(
かたへ
)
の静子の耳の紅くなつてゐる事に気がついた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と言って、頬を抑えて無二無三に後ろへ飛び
退
(
すさ
)
ったのは高部で、ほとんど五間ばかり一息に後ろへ飛びさがって、そこで仰向けに倒れて
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、何者かがすがり寄る気を感じて、三次は足をとめた。その瞬間、一陣の寒さが首筋を撫でた。三次は背後へ飛び
退
(
すさ
)
った。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
けだかい隠者は十字を切ると、聖書を取り上げて、それを繰りひろげたが、はつと色を失つて、後ろへ
退
(
すさ
)
りながら、聖書を取り落してしまつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
たゞ撃つばかりに目をまろばしゐたるファールファレルロにむかひ、大いなる
長
(
をさ
)
曰ひけるは、惡しき鳥よ
退
(
すさ
)
れ 九四—九六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
だが、蝦蟇の方では別に
退
(
すさ
)
る程の必要もなかつたので、二足、三足のそのそ前へ這ひ出して来た。主殿頭はそれを見ると
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし、戸口を
跨
(
また
)
いだとき、滝人は生暖かい裾風を感じて、思わず飛び
退
(
すさ
)
った。それは、いつも
忌
(
い
)
とわしい、死産の記憶を
蘇
(
よみがえ
)
らせるからであった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と
狂気
(
きちがい
)
笑
(
わら
)
いする。臙脂屋は聞けども聞かざるが如く、此勢に木沢は少しにじり
退
(
すさ
)
りつつ、益々
毅然
(
きぜん
)
として
愈々
(
いよいよ
)
苦りきり
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
熱
(
あつ
)
さに
堪
(
た
)
へぬ
火
(
ひ
)
の
側
(
そば
)
を
彼
(
かれ
)
は
飛
(
と
)
び
退
(
すさ
)
つて
又
(
また
)
立
(
た
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
の
刃先
(
はさき
)
の
鈍
(
にぶ
)
く
成
(
な
)
るのを
思
(
おも
)
ふ
暇
(
いとま
)
もなく
唐鍬
(
たうぐは
)
で、また
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る
木材
(
もくざい
)
を
引
(
ひ
)
つ
掛
(
か
)
けて
倒
(
たふ
)
さうとした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三左衛門から
紙包
(
かみづつみ
)
を受けとって仏壇の前へ往き、
恭
(
うやうや
)
しく扉に手をかけて開けたが、何かに驚いて
後
(
あと
)
へ飛び
退
(
すさ
)
った。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それだけでも、あっぱれ天下の見世物なるに、この野に
死屍
(
しかばね
)
をさらし、なんの面目あって、黄泉の
下
(
もと
)
、漢皇二十四帝にまみえるつもりであるか。
退
(
すさ
)
れっ、老賊
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
南アルプスの山頂はまた一面に眞白になりながら、いつの間にか彼の窓からずつと後へ
退
(
すさ
)
つてゐた。
恢復期
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
薫の供の人々も皆
狩衣
(
かりぎぬ
)
姿などで目にたたぬようにはしているが、やはり貴族に使われている人と見えるのか、はばかって皆馬などを後ろへ
退
(
すさ
)
らせてかしこまっていた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
血気の男二人に、突き戻され、
押遣
(
おしや
)
られて、強情なお杉も
漸次
(
しだい
)
に
後
(
あと
)
へ
退
(
すさ
)
ったが、やがて口一杯に
啣
(
ふく
)
んだ
山毛欅
(
ぶな
)
の実を咬みながら、市郎の顔に向ってふッと噴き付けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
王 おお! 片意
志
(
ママ
)
で見にくい怒り奴がそろそろとわしの心の臓を荒しはじめたわ、
退
(
すさ
)
り居ろう。
胚胎
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
夫人は押入の前から、身を
退
(
すさ
)
ってくれた。村川は、近づいて押入の
襖
(
ふすま
)
に手をかけようとした、すると、押入の中が、ひとりでにゴトゴトと動いて、宗三が姿を現わした。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
アッと思う間に、相手は本当に小兎のような素早さで、向うの闇の中に飛び
退
(
すさ
)
っていた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
窓はまだあけてはなかったけれど、彼は急いで窓の壁ぎわに
退
(
すさ
)
りこんで身をかくした。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
片足
退
(
すさ
)
って身構える様子だったが、女中の説明を聞くうち、男の子はすっかり笑顔になって、自分も手伝ってきいきいいう小鳥のような動物を空いた
鸚鵡籠
(
おうむかご
)
の中へ首尾よく移した。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
はためき
号
(
おら
)
び、たちまち悪獣の
餌
(
えさ
)
に跳るがごとく突き寄らんとするや、若僧は怪しく叫びて谷に下れる森林の中に身を
退
(
すさ
)
り、妙念これにつづきて二者の姿見えずなる。若僧の悲鳴。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
ホーイ、ホーイと
怒鳴
(
どな
)
る声がする、羚羊は石の転がり方を冷たく見て、一、二尺ずつ
退
(
すさ
)
りながら、大石の側へ、寄って来る、そこには宗義が先刻から、銃を取り直して待っている
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
赤木屋の手代が切尖の届くところへよろけてくると、それとなくうしろへ身を
退
(
すさ
)
らせて、三尺ほどの間隔を保ち、つくりつけの人形のように八双に刀をふりかぶったまま、荒い息をついている。
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ハッと彼は飛び
退
(
すさ
)
った。同時に何物か頭上から、恐ろしい勢いで落ちて来た。それは巨大な
鉄槌
(
てっつい
)
であった。上の窓から投げた物であった。一歩
退
(
の
)
き方が遅かったなら、彼は粉砕されたかもしれない。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伊留満喜三郎 (うかれ男に引かれて二足三足、後へ
退
(
すさ
)
りながら)
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
そして片手で私を押して、机のところまで私を
退
(
すさ
)
らせて来た。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
退
(
すさ
)
れ汝ら無禮もの、厭ふべき者こゝに來て
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
女は、じりじりとうしろに
退
(
すさ
)
りはじめた。
非情な男
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
點燈
(
てんとう
)
の
柱柱
(
はしらばしら
)
に
退
(
すさ
)
りゆく。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
と、
掌
(
てのひら
)
を
開
(
ひら
)
いて、ぱつ、と
出
(
だ
)
す。と
一同
(
いちどう
)
はどさ/\と
又
(
また
)
退
(
すさ
)
つた。
吃驚
(
びつくり
)
して
泥田
(
どろた
)
へ
片脚
(
かたあし
)
落
(
おと
)
したのもある、……ばちやりと
音
(
おと
)
して。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と言って、弁慶が
七戻
(
ななもど
)
りをするように後ろへ
退
(
すさ
)
って、肩に担いだ棒を斜めに構えて立ちはだかったのは、奇妙であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
くるり着物の裾を捲くってしゃがみ込もうとする藤吉から、文字若は、白紙のような顔になって飛び
退
(
すさ
)
っていた。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
南アルプスの山頂はまた一面に真白になりながら、いつの間にか彼の窓からずっと後へ
退
(
すさ
)
っていた。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
死骸の玉の肌をもとの通りに包んでやると、平次は少し席を
退
(
すさ
)
って線香の煙の中に
掌
(
て
)
を合せます。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とゞまりて少しく
後方
(
うしろ
)
に
退
(
すさ
)
れば、續いて來れる者は故をしらねどみなかくなせり 九一—九三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
新子とは幾度も会ったことのある美沢の母は、愛想よく蒲団から、身を
退
(
すさ
)
らせて、挨拶した。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
正親 神の御告をあざける
徒
(
やから
)
は惡魔も同然ぢや。
退
(
すさ
)
れ、すされ。(御幣にて加賀を打つ。)
能因法師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今宵は夜すがら此御堂の片隅になり
趺坐
(
ふざ
)
なして、
暁天
(
あかつき
)
がたに猶一
ト
度誦経しまゐらせて、扨其後香華をも浄水をも供じて罷らめと、西行やがて三拝して御仏の御前を少し
退
(
すさ
)
り
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
片足
退
(
すさ
)
つて身構へる様子だつたが、女中の説明を聞くうち、男の子はすつかり笑顔になつて、自分も手伝つてきいきいいふ小鳥のやうな動物を空いた
鸚鵡籠
(
おうむかご
)
の中へ首尾よく移した。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、男は強い
弾機
(
ばね
)
に弾かれた様に、五六歩
窓側
(
まどぎは
)
を飛び
退
(
すさ
)
つた。「呀ツ」と云ふ女の声が聞えて、間もなく火光がパツと消えた。窓を開けようとして、
戸外
(
そと
)
の足音に驚いたものらしい。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
民部左衛門は壁ぎわまで飛び
退
(
すさ
)
って
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「ならん、ならんっ。遠くへ
退
(
すさ
)
れっ」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「己れ、早く
退
(
すさ
)
り
居
(
を
)
らんか。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こいつ
嗅
(
か
)
がされては百年目、ひょいと立って
退
(
すさ
)
ったげな、うむと
呼吸
(
いき
)
を詰めていて、しばらくして、
密
(
そっ
)
と嗅ぐと、
芬
(
ぷん
)
と——
貴辺
(
あなた
)
。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手代の春之助は不氣味さうに後ろへ
退
(
すさ
)
り乍ら、それでも一と通りの説明はしてくれました。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少し飛び
退
(
すさ
)
って、「こうすればいいの!」少女はきくきく笑いながら逃げ去った。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
臙脂屋早く
身
(
み
)
退
(
すさ
)
りし、丹下は其人を仰ぎ見る、其眼を圧するが如くに見て
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
京子は少し不意だったので、ギクリとして、二三歩後へ身を
退
(
すさ
)
った。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『
退
(
すさ
)
れっ!
曲者
(
くせもの
)
っ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
“退”を含む語句
後退
引退
退出
退去
立退
退引
飛退
退屈
退却
遠退
退校
退避
退治
進退
辞退
退潮
退院
退歩
追退
居退
...