“啣”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くわ63.2%
くは19.6%
ふく15.5%
ふくま0.7%
0.3%
こぼ0.3%
はま0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
暮方近い夕靄の立ちこめる道の上を年老いた郵便配達夫のパイプをえながら歩いて行くのが、いかにも呑気に見られたものでした。
亜米利加の思出 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
には與吉惡戯をしたり、おつぎがいといつてへてせれば與吉自分るのがえるやうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
溝にした花崗岩の橋の上に、髮ふり亂して垢光りする襤褸を著た女乞食が、二歳許りの石塊の樣な兒に乳房をませて坐つて居た。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
後の障子が颯と開いて、腰のに細い紐を卷いたなり、帶も締めず、垢臭い木綿の細かい縞の袷をダラシなく着、胸は露はに、抱いた子に乳房せ乍ら、靜々と立現れた化生の者がある。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
厚い、大きな唇の、寧ろ鼻よりも前へ突き出て、酸漿んでゐるやうに結ばれてゐるのは、今しがた酒を飮んだばかりで、おくびの出るのを我慢してゞもゐるのであらう。
二月堂の夕 (旧字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
滑稽でもあり氣の毒でもあつたのは校長の進藤で、勝敗がつく毎に鯰髭を捻つては、『年を老ると駄目です喃。』としてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
わたくしは其時揃ひの法被をきた馬丁の一人が、わたくしの家の生垣の裾に茂つてゐた笹の葉を抜取つて馬にせてゐたのと
冬の夜がたり (新字旧仮名) / 永井荷風(著)