“こぼ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コボ
語句割合
34.1%
18.9%
11.2%
10.8%
6.1%
3.5%
3.3%
2.0%
2.0%
2.0%
1.0%
不平0.8%
0.6%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
愚痴0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
給仕ボーイ頭くらいの者に入れ知恵されて持って来た話というのは、たかだか気位の高い妻の讒訴ざんそをして愚痴をこぼすくらいのものだろうと
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
林「へえ恐入おそれえりました、ヒエ/\こぼれます/\……有難い事で、お左様なれば頂戴いたします、折角しっかくの事だアから誠にはや有難い事で」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それはゴールデン・バットについてなのだ。君はあすこの床の上に、バットがバラバラこぼれているのに気がつかなかったかい」
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こぼれたる柱、碎けたる石の間には、放飼はなしがひうさぎうまあり、牛ありて草をみたり。あはれ、こゝには猶我に迫り、我をくるしめざる生物こそあれ。
うしたい。源「ハツ/\。金「おゝ/\お湯もなにこぼれて大変たいへんだ。源「ド何卒どうぞお湯をもう一杯下さい。金「サおあがり。源「へい有難ありがたう。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふととどろいたお政の声に、怖気おじけの附いた文三ゆえ、吃驚びっくりして首をげてみて、安心した※お勢が誤まッて茶をひざこぼしたので有ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
江戸褄模様にこぼれ梅、紅白の上絵彩色銀糸にて松葉を散らしに縫わせ……英泉の筆意を頼み、下着は縮緬鼠のさや形
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
中にはすでに口を開けて、炭団たどんのように大きな栗の実が、いまにもこぼれ落ちそうに覗いてさえいるのだ。いや、それだけならばまだいい。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
下赤坂はかつてのとりでで、一時、ここは北条方に占領され、その湯浅勢に焼きこぼたれたのを修理し、また近ごろでは久子の兄
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俺はむかしお万のこぼした油をアめて了つた太郎どんの犬さ。其俺の身の上ばなしが聞きたいと。四つ足の俺に咄して聞かせるやうな履歴があるもんか。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
田といふ田には稻の穗が、琥珀こはく色に寄せつ返しつ波打つてゐたが、然し、今年は例年よりも作がずつと劣つてゐると人々がこぼしあつてゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いて見ると梅雨つゆはもうけたんだらうか、どうだらうかといふ研究なんだが、一人ひとりばあさんが、むかしかみなりさへ鳴れば梅雨つゆけるにまつてゐたが、近頃ぢやうは不可いかないと不平こぼしてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此頃こないだも、馬流へ行った時、正公のところへ寄って、正公ちったあ上げて貰いやしたかね、と聞いたら、弱ったよ、今月は五十銭も上るかと思ったに、この模様ではお流れだ、と言ってこぼしていやした
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それからまた湯に入れて三十分間ほど煮てはこぼしまた三十分煮ては漏し一時間半位に三度湯煮漏ゆでこぼすとアクが除れます。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
てめえ四万に居やアがった時に何と云った、瀧川左京と云う旗下のむすめでございますが、兄にだまされてと涙をこぼしたをに受けて、わしは五十円と云う金を出し、汝を身請して橋場の別荘へ連れてッて
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と女房はしみじみこぼした。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
で、よくよく座敷の中をしらべてみると、その座敷の隅々すみずみ四隅よすみところに、素麪そうめんとお茶が少しずつ、こぼしたように置いてあった。
□本居士 (新字新仮名) / 本田親二(著)
虎が圏中で吼ゆるを観たが一向懼ろしくなかった、家内にあって山上の虎声におどろき酒をこぼしたなどは余程の臆病者じゃ。
滑稽でもあり氣の毒でもあつたのは校長の進藤で、勝敗がつく毎に鯰髭を捻つては、『年を老ると駄目です喃。』とこぼしてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
こぼしてゐた。一度昌作に代つて読手になつたが、間違つたり吃つたりするので、二十枚と読まぬうちに富江の抗議でめて了つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ここを以ちて大殿こぼれて、悉に雨漏れども、かつて修理をさめたまはず、一〇をもちてその漏る雨を受けて、漏らざる處に遷りりましき。後に國中くぬちを見たまへば、國に烟滿ちたり。
かたわらよりくだん屑買くずや、「わしゃまた一日ついたちと十五日が巡回日まわりびで今日もって来たのじゃが、この様子では入ってからあきないは出来ぬらしい、やれさても。」と大きに愚痴こぼす。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
襖がすらりとあいたようだから、振返えると、あらず、仁右衛門の居室いましまったままで、ただほのかに見えるこぼれ松葉のその模様が、なつかしい百人一首の表紙に見えた。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それでもまだ十分ではないと見えて、皇帝は話が金銭かねの事になると、いつも「足りない、足りない。」と言つてこぼしてゐる。
と、少しく失望して来る私の心は、容易たやすく「えゝつ!」といつたやうな気分を誘ひ出して、折角気をつけて白いのに替へたテーブルクロスに、わざと汁でもこぼしてやりたいやうな気になる。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
なかばまで言切らぬ内、文三は血相を変てツと身を起し、ツカツカと座舗ざしきを立出でて我子舎へやへ戻り、机の前にブッ座ッて歯を噛切くいしばッての悔涙くやしなみだ、ハラハラと膝へこぼした。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
又仏の像を造ること既にをはりて、堂に入るることを得ず、諸々もろもろ工人たくみ計ることあたはず、まさに堂の戸をこぼたむとせり。然るに汝、戸をこぼたずして入るることを得つ。此れ皆汝がいさをしなり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
と思うと涙をらちもなくこぼすのと、他愛もなく笑いこける事より存じませぬ者ばかりでござりますもの。
胚胎 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)