“毀”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こわ62.4%
こぼ15.7%
こは8.3%
やぶ2.8%
そし2.3%
コボ1.1%
1.1%
そこな0.9%
そしり0.9%
きずつ0.6%
0.6%
0.6%
0.3%
きず0.3%
こほ0.3%
こぼた0.3%
こぼち0.3%
そこ0.3%
つぶ0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
河岸に面して、軒の低い、古くて雨風にさらされた、小さな家が並び、なかばこわれた舟があげてあったり、干し網が垂れていたりした。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
生命を養ひ育てる衝動は各々のものにこぼち難く生具してゐる、しかもそれの特有性は我々及び他のものにとつてどこまでも秘密である。
ゲーテに於ける自然と歴史 (新字旧仮名) / 三木清(著)
役人、商人あきんど、芸妓、学生……さういふ連中れんぢゆうは大事な瀬戸物をこはしでもしたやうに、てんでに頭を掻き掻き、博士の前へ出て来る。
ですからあの秋山図も、今は誰の家に蔵されているか、いや、いまだ亀玉きぎょくやぶれもないか、それさえ我々にはわかりません。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
韓王かんわうはじもちひず、きふなるにおよんですなはりてしん使つかはす。秦王しんわうこれよろこび、いま信用しんようせず。李斯りし姚賈えうかこれこれそしつていは
ヲサを流れるやうに、手もとにくり寄せられる糸が、動かなくなつた。引いてもいても通らぬ。筬の歯が幾枚もコボれて、糸筋の上にかゝつて居るのが見える。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
どこかに一寸でも間違いがあると、理論全体が、その蟻の穴からわれてしまう。外の科学は知らないが、数学では「大体良さそうだ」では通用しない。
回顧と展望 (新字新仮名) / 高木貞治(著)
幻滅の悲劇とは即ち是れである。吾等は生れながらにして無明の慾を有つて居る。身を養はんが為の食物を過度にして、吾等は却て其胃をそこなふ。徳に伴ふべき名声を希ふて、吾等は却て吾が徳を損ふ。
土民生活 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
そのいづこより來るや人知らず、しかしてこの最初の願ひはほめをもそしりをもうくべきものにあらざるなり —六〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
篠田の奴も決して安穏に許るしては置かぬぞ、貴様等の為めに帝国軍人の名誉をきずつけてなるものか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
その大蛇の中の尾をお割きになる時に劒の刃がすこしけました。これは怪しいとお思いになつて劒の先で割いて御覽になりましたら、鋭い大刀がありました。
こんな時には、よしんば鼻先をつままれたつて侯爵は決して腹を立てない。赤茶盌はつこい物で、腹を立てるとれるといふ事を知つてゐるから。
しかし、前川は穏健主義の紳士で、周囲をち破ってまで、新子との交情を深める考えはなかった。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかるに名利はこちらから追い駆けて、あるいは他人をきずつけたり、またおのれの本心にそむいて得るものと、天よりくだつゆのごとくにおのずから身に至るものとあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
公議所フォラム裁判所パシリカ闘技場コロスシウム、公衆浴場、……貴族の邸は立ちつらなり諸国からの朝貢は織るがごとく、市街は殷賑いんしんを極めこのたった一つの建物を取りこほって船に積んではこぶだけでも
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
地は荒れ、物はこぼたれたる中に一箇ひとりは立ち、一箇ひとりいこひて、ことばあらぬ姿のわびしげなるに照すとも無き月影の隠々と映添さしそひたる、既に彷彿ほうふつとしてかなしみの図を描成ゑがきなせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
関寺せきでら番内ばんない、坂本の小虎、音羽の石千代、膳所ぜぜ十六とおろく、鍵はずしの長丸、手ふいごのかぜ之助、穴掘の団八、繩辷なわすべりの猿松、窓くぐりのかる太夫、格子こぼち鉄伝てつでん、猫真似のやみ右衛門、穏松明たいまつの千吉
猿飛佐助 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
おりんお滝は山中火、山は土のうず高き形、言い換えれば坤だ。土だ。火はすなわち烈しき心。破りそこなう物の陽気盛んなれど、水の配あらばたちまち陰々として衰え、その状さながら恨むに似たりと。
とうとう蠑螺堂は取りつぶすことになって、こわし屋に売ってしまいました。
正面に駄菓子だがしせる台があって、ふちれた菓子箱のそばに、大きな皿がある。上に青い布巾ふきんがかかっている下から、丸い揚饅頭あげまんじゅうみ出している。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
或る人がなかごう枳殻寺からたちでらの近所を通ると、紙の旗やむしろ旗を立てて、大勢が一団となり、ときの声を揚げ、米屋をこわして、勝手に米穀をさらって行く現場を見た。
ついでのことにスエズ運河の堰堤えんていってしまおうじゃないか。
女坑主 (新字新仮名) / 夢野久作(著)