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毀
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こは
ふりがな文庫
“
毀
(
こは
)” の例文
役人、
商人
(
あきんど
)
、芸妓、学生……さういふ
連中
(
れんぢゆう
)
は大事な瀬戸物を
毀
(
こは
)
しでもしたやうに、てんでに頭を掻き掻き、博士の前へ出て来る。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
引越したいと思つても引越す目当がないと思ふと、無暗に腹が立つて座敷の物でも手当り次第
毀
(
こは
)
してみたいやうな気になる。
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
私が酒が飲めたら
自暴酒
(
やけざけ
)
でも
吃
(
くら
)
つて、
体
(
からだ
)
を
毀
(
こは
)
して、それきりに成つたのかも知れませんけれど、酒は
可
(
い
)
かず、腹を切る勇気は無し、
究竟
(
つまり
)
は意気地の無いところから
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
莫迦
(
ばか
)
な奴だな。寝ながら泣く程苦しい仕事なんぞをするなよ。体でも
毀
(
こは
)
したら、どうするんだ。」
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
われに示すにハルトマンが審美學のうちにて我が假借し來れる部分を打ち
毀
(
こは
)
すに足るべき無理想の審美學を以てせよ。われは頃刻も
躊躇
(
ちうちよ
)
せずして無理想派に
與
(
くみ
)
すべし。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
家の裏手とか腰板つづきの、人の氣づかない處で石をつみ重ね、板切れで家のやうな物を建てて夕方には
毀
(
こは
)
して去つた。あん子は八歳になり十歳になり十三歳になつた。
神のない子
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
それに
若
(
も
)
し会つて、自分の「夢」が
毀
(
こは
)
れるやうだと
遣
(
や
)
り切れないといふロマンティシズムが、私の会ひたくて燃え上がる心に水を
注
(
さ
)
した。私は煮え切らない返事をした。
吉右衛門の第一印象
(新字旧仮名)
/
小宮豊隆
(著)
燃殼のぷす/\いふ音や、水を
空
(
あ
)
けた時にはずみで
投
(
ほふ
)
り出してしまつた水差の
毀
(
こは
)
れた響、それに何よりも私が惜しまず施した
驟雨浴
(
シヤワアバス
)
の
水沫
(
しぶき
)
が漸々ロチスター氏を起した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
けれど一方、清ちやんの死に依つて生命の根柢からぶち
毀
(
こは
)
されたやうになつてゐるおきみは今、思ひがけなく與へられたこの機會に對して、殆んど何の昂奮もしなかつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
そして、役にも立たないことだが——
毀
(
こは
)
れたものなら、元の通り
繼
(
つ
)
いでみるとか何とか、どんなにつまらない物でも、それ位の未練は持つて居るものだ。ところがあの娘は何うだ
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
道は大變
毀
(
こは
)
れてゐて石がごろ/\してゐた。私は足が少しむくんでゐるので坂を登るのが一番つらかつた。極めて歩調を緩めて登つた。同行の人々も皆私に附合つてそろ/\と登つた。
横山
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
果して内儀さんは翌日から圭一郎等に一言も口を利かなかつた。千登世が階下へ用達しに下りて行くと
棧
(
さん
)
も
毀
(
こは
)
れよとばかり手荒く障子を閉めて家鳴りのするやうな故意の咳拂ひをした。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
(又かんがへる。)とは云ふものの、大切なお道具を、むざ/\
毀
(
こは
)
すは勿体ない。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その眼は澄みきつて、レンズのやうで、むしろ生き物のものといふよりは
器物
(
きぶつ
)
のやうであつた。縁側に吊した金魚鉢か何かのやうに、
毀
(
こは
)
れ易く、庭の緑を映してゐるやうなものであつた。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
そこを訪れる若い人達は、みんなその水車の柔い、だん/\朽ちてゆく木に、自分の名前の
頭字
(
かしらじ
)
を
彫
(
ほ
)
りつけて行つた。
堰
(
せき
)
は一部分
毀
(
こは
)
されて、清らかな山の流れは、岩の川床を流れ落ちた。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
負傷
(
ふしやう
)
は
直
(
なを
)
る、
然
(
しか
)
し、
精巧
(
せいかう
)
な
銃
(
じう
)
を
毀
(
こは
)
したならば、それは
直
(
なを
)
らない。
況
(
ま
)
してあの
時
(
とき
)
中根
(
なかね
)
が
銃
(
じう
)
を
離
(
はな
)
して
顧
(
かへり
)
みなかつたならば、
銃
(
じう
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
無
(
な
)
くなつたかも
知
(
し
)
れない。
即
(
すなは
)
ち
歩兵
(
ほへい
)
の
命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
つたことになる。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そんなことを、今いひ出すと、すつかりぶち
毀
(
こは
)
しになるからな。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
水玉
(
みづたま
)
の
重
(
おも
)
みに
弛
(
たる
)
んで
毀
(
こは
)
れて
了
(
しま
)
つた。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
小
(
ささ
)
やかな塔を立てては
毀
(
こは
)
す也
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
その男は金網を調べてみたが、何処に一つ
毀
(
こは
)
れた所も無かつた。で、この鼠は以前子鼠であつた頃網の目を
潜
(
くゞ
)
つてちよく/\走り込んだものと判つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「だつて、からだを
毀
(
こは
)
しちやうぢやないの、こんな寒いところに眠つてゐたら。」
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
女の前髮が毮られて滅茶々々に
毀
(
こは
)
されて居るところを見ると、曲者は後ろから女の前髮を押へて、右手に持つた
簪
(
かんざし
)
を女の右の眼へ突つ立てたに相違ありませんが、そんな恰好になつて居て
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
がた/\、めり/\、みし/\と、物を打ち
毀
(
こは
)
す音がする。しかと聴き定めようとして、
床
(
とこ
)
の上にすわつてゐるうちに、今毀してゐる物が
障子
(
しやうじ
)
襖
(
ふすま
)
だと云ふことが分かつた。それに
雑
(
まじ
)
つて人声がする。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今は
毀
(
こは
)
れてゐようといふもの
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
そして
毀
(
こは
)
れた
玩具
(
おもちや
)
のやうにだらしなく手足を投げ出したと思ふと、そのまゝ
獣
(
けもの
)
のやうな
鼾
(
いびき
)
をかき出した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
がそれも五分としないうち、
毀
(
こは
)
れた時計のセコンドが止まるやうに靜まつて來た。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
「板庇が
毀
(
こは
)
れて、
木端
(
こつぱ
)
が路地に落ちて居るから、その見當に間違ひはねえつもりだ。ところで、此の小屋の庇から、隣の空家の屋根までは一間半はあるだらう、あれだけ無造作に飛付ける人間は、此處に幾人居るんだ」
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勧誘員は扇をぱちぱち鳴らしながら、学者の頭は
硝子
(
がらす
)
製のインキ壺と一緒に、どうかすると
毀
(
こは
)
れ易い。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「日本ではお客に対して、こんな
毀
(
こは
)
れた皿は使はない事になつてゐる。で、余り珍しいから記念のため日本へ持つて帰りたいと思つてゐる。幾らで譲つて呉れるね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
電報を見せて
悔
(
くや
)
みを言ふと、若い夫人は
毀
(
こは
)
れた
玩具人形
(
おもちやにんぎやう
)
のやうに胸をぺこ/\させて泣き出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昨夕
(
ゆうべ
)
から
毀
(
こは
)
れかけの眼覚時計に
螺旋
(
ねぢ
)
を巻いて、今朝はいつもにない
夙起
(
はやおき
)
をして来てゐるのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
内田氏は叮嚀な独逸語で、自分が何よりも正直な日本人である事から、
先日
(
こなひだ
)
この店で買つた懐中時計が、
漸
(
やつ
)
と四五日経つたばかしなのに、もう機械が
毀
(
こは
)
れた事を話し出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あの内閣や政党を
毀
(
こは
)
す事の大好きな木堂ですら「
鋒
(
ほう
)
」とやらを見るためには、硝酸銀で硯を焼かなければならぬ、そんな勿体ない事が出来るものぢやないといつてゐる位だから。
硯と殿様
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ある時、館員の一人が門の
毀
(
こは
)
れを
繕
(
つくろ
)
はうとして領事の前へ出た。そして何の気もなく
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その折の将軍の顔は、悲しさと腹立しさとで、
毀
(
こは
)
れた弁当箱のやうに歪んでゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして騒ぎ立てる
聴衆
(
ききて
)
を制しながら、諸君は真つ青になつてお驚きのやうだが、今
毀
(
こは
)
したのは五千弗の
提琴
(
ヴアイオリン
)
ぢやない、実は一弗六十五
仙
(
セント
)
の安物に過ぎない、これからお聴きに達するのが
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
シユワツブ氏は、これまでの古い家を、今はもうそれに
要
(
えう
)
がないからといつて、ばらばらに
毀
(
こは
)
すことを好まなかつた。出来ることならそのまゝそつくり屋敷のどこかへ持つてゆきたいらしかつた。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「何をそんなにお腹立ちで、こんな名器をお
毀
(
こは
)
しなされた」
利休と遠州
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
毀
常用漢字
中学
部首:⽎
13画
“毀”を含む語句
打毀
破毀
毀誉褒貶
毀損
取毀
垣毀雪女
毀傷
毀誉
誹毀
減毀
焼毀
毀釈
毀蹄
毀譽
毀謗
踏毀
剃毀
名誉毀損
廃仏毀釈
廃毀
...