“潜”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
くぐ39.0%
ひそ29.7%
もぐ17.8%
くゞ7.2%
ひそか1.2%
かづ0.7%
カヅ0.6%
くぐり0.5%
0.3%
0.2%
ひそま0.2%
かず0.2%
0.2%
しの0.2%
せん0.2%
クヾ0.2%
ヒソ0.2%
ひそむ0.1%
そっ0.1%
かく0.1%
かつ0.1%
かゞ0.1%
くゞり0.1%
くゞる0.1%
しず0.1%
すく0.1%
0.1%
そツ0.1%
ひそまッ0.1%
ひそめ0.1%
ひそん0.1%
ふかく0.1%
むぐ0.1%
モグ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鮎子が右に左に通せんぼうをするのを、たくみにかいくぐって、尻尾しっぽの二郎美少年をつかまえる遊戯だ。陸上の「子を取ろ、子取ろ」である。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
平次は八五郎を突飛ばすやうに、あわてて物蔭ものかげに身をひそめました。裏口が靜かに開いて、眞つ黒なものが、そろりと外へ出たのです。
「五百之進の不在こそかえって倖せ、今夜にでも、ふいに捕手とりてを向けて、奥にもぐりこんでいる郁次郎を、召捕ってみるといたそうか」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉田は刺客に立ち向つて、肩先を深く切られて、きずのために命をおとしたが、横井は刺客の袖の下をくゞつて、都筑と共に其場を逃げた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「女主人公が、それをひそかに恋してゐる。が、勝気なので、口には云ひ出せない。その中に、一寸した意地から不和になつてしまふ。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
まるでかづきする処女が二十尋はたひろ三十尋みそひろみな底から浮び上つて、つく様に深い息の音で、自身明らかに目が覚めた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
まるで、カヅきする海女アマ二十尋ハタヒロ三十尋ミソヒロミナ底から浮び上つてウソフく樣に、深い息の音で、自身明らかに目が覺めた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
ドンと一つ押してみたが、門もくぐり戸も開く様子がない。お綱はどこから入ったか知らぬが、孫兵衛、縮緬ちりめんぞッきの風采で、塀の中からはくぐりかねた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ケエヅグリのあたまに火のいた、うんだら消えた
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この女は非合法にされてからは、何時いつでも工場にぐりこんでばかりいたので、何べんかかまった。それが彼女を鍛えた。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
貫一は食はんとせし栗を持ち直して、とお峯に打向ひたり。聞く耳もあらずと知れど、秘密を語らんとする彼の声はおのづからひそまりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
鳰鳥(かいつぶり)は水にかずくので、葛飾かずしかのかずへの枕詞とした。葛飾は今の葛飾かつしか区一帯。「にえ」は神に新穀を供え祭ること、即ち新嘗にいなめの祭をいう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
二人は松と桜と京人形のむらがるなかにい上がる。幕とつらなるそでの下をぐって、松の間を渡月橋に出た時、宗近君はまた甲野さんの袖をぐいと引いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
白雪はくせつ竜馬りゅうめにめされ、なぎさを掛けて浦づたい、朝夕の、あかね、紫、雲の上を山の峰へおしのびにてお出ましの節、珍しくお手にりましたを、御姉君おんあねぎみ乙姫おとひめ様へ御進物の分でござりました。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そもそも、鶴は凡禽ぼんきん凡鳥ならず。一挙に千里の雲をしのいで日の下に鳴き、常に百尺の松梢しょうしょうに住んで世のちりをうけぬ。泥中にせんしてしかも瑞々ずいずい
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
其言ふ事をよろしとして散去したとあるのは、禊ぎを教へたものと見るべきであらう。くゝりは水をクヾる事である。泳の字を宛てゝゐる所から見れば、神名の意義も知れる。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
昼の中多く出たアブは、ヒソんでしまつたが、蚊は仲秋になると、益々あばれ出して来る。日中の興奮で、皆は正体もなく寝た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
攻玉社は社長が近藤真琴こんどうまこと、幹事が藤田ひそむで、生徒中にはのちに海軍少将に至った秀島ひでしま某、海軍大佐に至った笠間直かさまちょく等があった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それではね、私がここに見ていますからね、貢さん、そっと行って、あの、格子まで行って、見て来て御覧。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
濁流の渦巻うずまく政界から次第に孤立して終にピューリタニックの使命にかくれるようになったは畢竟ひっきょうこの潔癖のためであった。が、ドウしてYに対してのみ寛大であったろう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かつひめ、『歸依きえ』のむなる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
是から人の引込ひっこむまでと有助は身をかゞめて居りますと、上野の丑刻やつの鐘がボーン/\と聞える、そっと脱出ぬけだして四辺あたりを見廻すと、仲間衆ちゅうげんしゅうの歩いている様子も無いから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三田はそのまゝ玄關に出て、一度しまつた門のくゞりをあけて貰つて往來に出た。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
さて是より熊のはなし也、今一盃たまはるべしとてみづからつぎてしきりにのみこしより烟艸帒たばこいれをいだしてたばこのみなどするゆゑ、其つぎはいかにとたづねければ、老父らうふいはく、さてかたはらを見ればくゞるべきほどの岩窟いはあなあり
明智は気づかれては大変と、大急ぎで階段を這い降りて、二階の部屋の片隅に身をしずめた。
暗黒星 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
寒さの為に身をすくめ乍ら目を瞑つて居る鶏もあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
世間でもかんづいて居るから新吉は憎まれ者で、たれも付合う人がない。横曾根あたりの者は新吉に逢っても挨拶もせぬようになりました。新吉はどん/\降る中をっと忍んでお賤のとこへ来ました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はてさて迷惑めいわくな、こりやまい黄色蛇あおだいしやう旨煮うまにか、腹籠はらごもりさる蒸焼むしやきか、災難さいなんかるうても、赤蛙あかゞへる干物ひもの大口おほぐちにしやぶるであらうと、そツると、片手かたてわんちながら掴出つかみだしたのは老沢庵ひねたくあん
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こうなって見ると、もうひそまッているも何となくきまりが悪くなって来たから、文三が素知らぬ顔をしてふッと奥座敷を出る、その顔をお鍋は不思議そうにながめながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
待居たり或日將軍家には御庭おんにはへ成せられ何氣なにげなく植木うゑきなど御覽遊ごらんあそばし御機嫌ごきげんうるはしく見ゆれば近江守は御小姓衆おこしやうしう目配めくばせし其座を退しりぞけ獨り御側おんそば進寄すゝみより聲をひそめて大坂より早打はやうちの次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人間世界の暗黒面には、嘘の様な悪業がひそんでいるのです、どんな悪魔詩人の空想だって、現実界の恐怖には、及びもつかぬのです。僕はこれまで、度々そういうものを見て来ました。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
曰く、『天にふかくしては天なり、地に潜しては地なり。天地は神明にして測られざるものなり。ないし人の心はそれ神なるか、るときはすなわち存し、捨つるときはすなわちなし、云云うんぬん
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
此歌の意味は「粉滷の海にもぐつて、餌をあさつてゐる鳥——その鳥が、モグつて玉を取り出して来たら、おれは、その玉を自分の玉にしようよ」