“潜”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
くぐ39.2%
ひそ28.9%
もぐ18.6%
くゞ7.2%
ひそか1.0%
かづ0.6%
カヅ0.6%
くぐり0.4%
0.3%
0.2%
ひそま0.2%
かず0.2%
0.2%
せん0.2%
クヾ0.2%
ヒソ0.2%
ひそむ0.1%
そっ0.1%
かく0.1%
かつ0.1%
かゞ0.1%
くゞり0.1%
くゞる0.1%
しの0.1%
すく0.1%
0.1%
そツ0.1%
ひそまッ0.1%
ひそん0.1%
ふかく0.1%
むぐ0.1%
モグ0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
東京へ戻ってもすぐ自分の家の門はくぐらずに釣台つりだいに乗ったまま、また当時の病院に落ちつく運命になろうとはなおさら思いがけなかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
然し男は「ままよ」の安心で、大戸の中のくぐとおぼしいところを女に従って、ただ只管ひたすら足許あしもとを気にしながら入った。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そして、人々が、騒ぎ始める時分には、椅子の中の隠家かくれがへ逃げ帰って、息をひそめて、彼等の間抜けな捜索を、見物していればよいのです。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この亡夫と云ふ言葉に、この寢室の祕密が——この寢室の堂々としてゐながら、打ち棄てゝかへりみられないと云ふ魔力が——ひそんでゐるのだ。
米友ではとても人の上から覗き込むことはできないから、人の腰の下からもぐるようにして見ると、橋の欄干らんかんへ板札が結び付けてあります。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
実は無知な余をいつわりおおせた死は、いつの間にか余の血管にもぐり込んで、ともしい血を追い廻しつつ流れていたのだそうである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私の父は若い時分継母のはからひで勘当同様の姿で家を出され、放浪中は土方の群れにも交つて刃ものの間をくゞつて来た人であることは聞いてゐた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
なぜなら、丁度、あの一瞬間、中尉は巻煙草に火をつけるために、からだをこゞめてゐた、それが、偶然針金の下をくゞるかたちになつたからです。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「女主人公が、それをひそかに恋している。が、勝気なので、口には云い出せない。そのうちに、一寸ちょっとした意地から不和になってしまう。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかし、これは、虫にくらべて謙遜した意味ではない。実は太郎を、浦島の子になぞらえて、ひそかに思い上った沙汰さたなのであった。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まるでかづきする処女が二十尋はたひろ三十尋みそひろみな底から浮び上つて、つく様に深い息の音で、自身明らかに目が覚めた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
しまみやまがりのいけはなどり人目ひとめひていけかづかず 〔巻二・一七〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
穢れも、荒行に似た苦しい禊ぎを経れば、除き去ることが出来、又天の羽衣を奉仕する水の女の、水にカヅいて、冷さに堪へた事を印象してゐるのである。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
穢れも、荒行に似た苦しい禊ぎを経れば、除き去ることができ、また天の羽衣を奉仕する水の女の、水にカヅいて、冷さに堪えたことを印象しているのである。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ドンと一つ押してみたが、門もくぐり戸も開く様子がない。お綱はどこから入ったか知らぬが、孫兵衛、縮緬ちりめんぞッきの風采で、塀の中からはくぐりかねた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのときふと私はその四五日前に見た、加藤家の半白の猫が私の家のうさぎの首をくわえたと見る間に、垣根かきねくぐりり脱けて逃げた脱兎だっとのような身の速さを何となく思い出した。
睡蓮 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ケエヅグリのあたまに火のいた、うんだら消えた
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
んだと思ふたらちよいと消えた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
私は自分の家を出るときには、それが突然だったので、一人の母親にもその事情をい得ずにぐらざるを得なかったのである。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
もう一度、じろりと眺めて、見つけた天水桶——黒く、太ぶりなのが、二ツ並んだ間に、犬のようにぐり込んだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
貫一は食はんとせし栗を持ち直して、とお峯に打向ひたり。聞く耳もあらずと知れど、秘密を語らんとする彼の声はおのづからひそまりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
実際について観察すると、蛇が苺を食うでなくて、苺の蔭にひそまり返って水に渇した小鳥が目に立ちて、紅い苺を取りに来るところをるのらしいと(『飛騨史壇』二巻九号)。
まるで、かずきする海女が二十尋はたひろ三十尋みそひろの水底から浮び上ってうそぶく様に、深い息の音で、自身明らかに目が覚めた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
鳰鳥(かいつぶり)は水にかずくので、葛飾かずしかのかずへの枕詞とした。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
二人は松と桜と京人形のむらがるなかにい上がる。幕とつらなるそでの下をぐって、松の間を渡月橋に出た時、宗近君はまた甲野さんの袖をぐいと引いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
博士と土人とは穴をぐり、松火たいまつの光を先に立て、二十六度の傾斜道を、先へ先へと進んで行った。
木乃伊の耳飾 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
緯は後、官が司馬となって五人の小児を生んだ。それはちんせんぶつこんしんの五人であった。ある夜、渾の夢に父がきて、
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そもそも、鶴は凡禽ぼんきん凡鳥ならず。一挙に千里の雲をしのいで日の下に鳴き、常に百尺の松梢しょうしょうに住んで世のちりをうけぬ。泥中にせんしてしかも瑞々ずいずい
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
くゝりは水をクヾることである。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
くゝりは水をクヾる事である。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
昼の中多く出たアブは、ヒソんでしまつたが、蚊は仲秋になると、益々あばれ出して来る。日中の興奮で、皆は正体もなく寝た。身狭までが、姫の起き明す灯の明りを避けて、隅の物陰に、深い鼾を立てはじめた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
相手「予等ハ此地点ニ通リカカルヤ、一大驚異イチダイキョウイヲ発見セリ。突然予等ノ行手ユクテニ銃ヲシテ立チ防ガリタル一団アリ。彼等ハ異様イヨウ風体フウテイヲナシ身ノタケ程ノ雑草ザッソウチュウヒソミ居リシモノナリ。全身ニ毒草ドクソウノヨウナモノヲツケタルモ、……」(判読不能)
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
専六もまた藤田ひそむ柏原櫟蔵かしわばられきぞうらと共に山澄の門にって、洋算簿記を学ぶこととなり、いつとなく元秀の講筵こうえんには臨まなくなった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
攻玉社は社長が近藤真琴こんどうまこと、幹事が藤田ひそむで、生徒中にはのちに海軍少将に至った秀島ひでしま某、海軍大佐に至った笠間直かさまちょく等があった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それではね、私がここに見ていますからね、貢さん、そっと行って、あの、格子まで行って、見て来て御覧。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いえどうもしませんけれど、少し何んですから、まあ、そっと行って見ていらっしゃい。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
濁流の渦巻うずまく政界から次第に孤立して終にピューリタニックの使命にかくれるようになったは畢竟ひっきょうこの潔癖のためであった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かつひめ、『歸依きえ』のむなる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
是から人の引込ひっこむまでと有助は身をかゞめて居りますと、上野の丑刻やつの鐘がボーン/\と聞える、そっと脱出ぬけだして四辺あたりを見廻すと、仲間衆ちゅうげんしゅうの歩いている様子も無いから、
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三田はそのまゝ玄關に出て、一度しまつた門のくゞりをあけて貰つて往來に出た。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
つぎはいかにとたづねければ、老父らうふいはく、さてかたはらを見ればくゞるべきほどの岩窟いはあなあり
ええええ、その董、露草は、若様、この度の御旅行につき、白雪はくせつ竜馬りゅうめにめされ、なぎさを掛けて浦づたい、朝夕の、あかね、紫、雲の上を山の峰へおしのびにてお出ましの節、珍しくお手にりましたを、御姉君おんあねぎみ乙姫おとひめ様へ御進物の分でござりました。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寒さの為に身をすくめ乍ら目を瞑つて居る鶏もあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
新吉はどん/\降る中をっと忍んでお賤のとこへ来ました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
災難さいなんかるうても、赤蛙あかゞへる干物ひもの大口おほぐちにしやぶるであらうと、そツると
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こうなって見ると、もうひそまッているも何となくきまりが悪くなって来たから、文三が素知らぬ顔をしてふッと奥座敷を出る、その顔をお鍋は不思議そうにながめながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
人間世界の暗黒面には、嘘の様な悪業がひそんでいるのです、どんな悪魔詩人の空想だって、現実界の恐怖には、及びもつかぬのです。僕はこれまで、度々そういうものを見て来ました。丁度、解剖学者が、素人の知らぬ人間の体内を絶えず見せつけられている様に、僕はこの世界のはらわたの、汚さ、不気味さを存分見せつけられて来ました。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
曰く、『天にふかくしては天なり、地に潜しては地なり。天地は神明にして測られざるものなり。ないし人の心はそれ神なるか、るときはすなわち存し、捨つるときはすなわちなし、云云うんぬん』と
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
此歌の意味は「粉滷の海にもぐつて、餌をあさつてゐる鳥——その鳥が、モグつて玉を取り出して来たら、おれは、その玉を自分の玉にしようよ」といふので、誰が見ても、すぐ何かもつと奥の方の意味があり相な気がします。