“丑刻”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やつ68.2%
うし6.8%
うしのこく6.8%
ウシ6.8%
やつどき4.5%
うしどき2.3%
うしのとき2.3%
こゝのつ2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
思ひり又も泪にくれをり丑刻やつかね鐵棒かなぼうの音と諸共に松本理左衞門は下役したやく二人下男五六人召連自分じぶん獄屋ごくやに來り鍵番かぎばんに戸口を明けさせ九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
丑刻うしに、静粛の頂上に達したうつは、其が過ぎると共に、俄かに物音が起る。月の空を行く音も聞えさうだつた四方の山々の上に、まづ木の葉が音もなく動き出した。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
丸橋忠弥まるばしちゅうや召捕りのために、時の町奉行石谷左近将監いしがやさこんしょうげんが与力同心三百人を率いて彼の邸へ向かったのは、慶安四年七月二十二日の丑刻うしのこくを過ぎた頃であった。
正雪の遺書 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
丑刻ウシに、靜謐の頂上に達したウツは、其が過ぎると共に、俄かに物音が起る。月の、空を行く音すら聞えさうだつた四方の山々の上に、まづ木の葉が音もなくうごき出した。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
立去り我が家へ歸りかみいのりしこともむだとも成しとて夫より只管ひたすら菩提ぼだいとふらはんと思ひはなを供へ香をたいて只々一途に後生を願うてゐる所に其夜丑刻やつどき頃と思ふ折しも表の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「そいつは大きに当惑します。何しろもう夜半よなか丑刻うしどき、これからあの方を連れ出しても泊めてくれる宿屋はありません」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう丑刻うしのとき(午前二時)近いだろう。白粉の女の住む岡場所の路地の灯さえ消えていた。ぞろぞろと、七、八人が外へ出ると、亀田屋では待っていたように戸をおろした。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其の夜の丑刻こゝのつ頃庭口のへい飛上とびあがり、内庭の様子をうかゞいますると、夏の夜とてまだ寝もやらず、庭の縁台には村とばゞの両人、縁側には舎弟の蟠作と安兵衞の両人、蚊遣かやりもとに碁を打って居りました
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)