丑刻うし)” の例文
丑刻うしに、静粛の頂上に達したうつは、其が過ぎると共に、俄かに物音が起る。月の空を行く音も聞えさうだつた四方の山々の上に、まづ木の葉が音もなく動き出した。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「もう丑刻うしの頃か」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
声は再、しずかになって行った。独り言する其声は、彼の人の耳にばかり聞えて居るのであろう。丑刻うしに、静謐せいひつの頂上に達した現し世は、其が過ぎると共に、にわかに物音が起る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)