“寂”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
さび38.9%
13.2%
せき13.0%
しん10.0%
さみ6.1%
じゃく5.9%
しず3.3%
さびし1.6%
じやく1.3%
しづ1.2%
(他:33)5.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“寂”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語10.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌7.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)5.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
さびしい睡蓮の花は、淋しい情景のうちに咲いてこそ、その哀愁的美、詩的情緒が私達の胸にぴったりうつって来るのです。
季節の植物帳 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
何程どれほど甘味うまみのあると云ふではないが、さびのある落ちついた節廻しは一座をしんとさせることが出来た。
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
橋本といっしょにこの門のそばにある小さな店に筆と墨を買いに行った折の事も、びた経験の一つとしてよく覚えている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それさえあるに、やがておとずれていた一堂の玄関もまたひどくびていて、いくど呼んでみてもいらえはなかった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一方妻女山に向った甲軍は午前七時頃妻女山に達し足軽を出して敵に当らしめたが山上せきとして声なく、敵の隻影もみえない。
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
群集ぐんしゅうの目がそれへつりあがると、また、せきとした大地を、かつかつとける馬蹄ばていの音がおこっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに居まわりが居留地で、しんとして静かだから、海まで響いて、音楽の神がむ奥山からこだまでも返しそうです。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふと気色ばんだお珊のさまに、座がしんとして白けた時、表座敷に、テンテン、と二ツ三ツ、じめの音が響いたのである。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
麻布山浅く霞みて、春はまださみ御寺みてらに、母と我が詣でに来れば、日あたりに子供つどひて、凧をあげ独楽を廻せり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
麻布山浅く霞みて、春はまださみ御寺みてらに母と我が詣でに来れば、日あたりに子供つどひて、凧をあげ独楽を廻せり。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その道は無始無終、常恒不変にして、よく万象の主となり、真にしてじゃく、霊々照々、幽邃ゆうすい玄通、応用自在なり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
修羅しゅらの中にも、真空に似たじゃくがある。それは、勇者の姿にのみある。仏陀の背光はいこうにも似たものといえよう。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何か話しけたいと思いましたが、どうもあんまりむこうがしずかなので、私は少しきゅうくつにも思いました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
物の音。——つた つたと来て、ふうとち止るけはい。耳をすますと、元のしずかな夜に、——たぎくだる谷のとよみ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
いとさびしくも往来ゆききの絶えたるに、例ならずしげ車輪くるまきしりは、あるひせはしかりし
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚破すはや、彼の座敷を出づるを、送りも行かず、坐りもらぬ宮が姿は、さびしくも壁に向ひて動かざりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
享保三年に八十三歳で、目黒村の草菴さうあんに於て祐天のじやくしたのは、島の歿した享保十一年に先つこと僅に八年である。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
じやくとした一座、兎もすれば、滅入めいるやうな緘默かんもくが續きさうでなりません。
そのしづかな村落にもく/\と黒くきいろけむが立昇つて、ばち/\と木材の燃え出す音! 続いて、寺の鐘、半鐘の乱打、人の叫ぶ声、人の走る足音!
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
みぎはひろくするらしいしづかなみづいて、血汐ちしほ綿わたがすら/\とみどりいてたゞよながれる……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ツートよくお寐入ねいりなさった様子で、あとは身動きもなさらず、ひっそりした室内には、何の物音もなく
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
其処そこで、どまって、ちょっと気をけたが、もうんでひっそりする。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪は、窓をかすめて、サラ/\、サラ/\とかすかな音を立てる……辛うじて心で聞取れるやうなしづかな響であツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
かまはず踏込むで、踏躙ふみにじると、ザクザクしづかな音がする……彼は、ふと其の音に耳を澄まして傾聽した。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いらっしゃれば大概二週間位は遊興をお尽しなさって、その間は、常にひっそりしてる市中が大そうにぎやかになるんです。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
神楽坂かぐらざかへかかると、ひっりとしたみちが左右の二階家に挟まれて、細長く前をふさいでいた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物の音。——つた つたと来て、ふうとち止るけはひ。耳をすますと、元のシヅかな夜に、——タギクダる谷のとよみ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
海のあなたのシヅかな国の消息を常に聞き得た祖先の生活から、私の古代研究の話は、語りはじめるであらう。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
万法蔵院は、実にセキとして居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
萬法藏院は、實にセキとして居た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
——けれども彼の心は決して、幽林の如くしずかではなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沖はよくぎてさざなみしわもなく島山の黒き影に囲まれてそのしずかなるは深山みやまの湖水かとも思わるるばかり、足もとまで月影澄み遠浅とおあさの砂白く水底みなそこに光れり。
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかも、古びた家のっそりとした中で、そのような物音を聴いたとすれば、誰しも堪えがたい恐怖の念に駆られるのが当然であろう。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
勝又が名を言うと「山けえ」と老人らしい声がしたがそのままッそりとする。
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
神楽坂かぐらざかへかゝると、ひつそりとしたみちが左右の二階家にかいやはさまれて、細長ほそながまへふさいでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
道中だうちうひつそりとして、兩側りやうがはひさしならぶる商賈しやうこいへまきそろへて根占ねじめにしたる
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼく余りお邪魔しに行かぬよう心掛け、手紙だけでも時々書こうと思い、筆をると、えい面倒、行ってしまえ、ということになる。手紙というもの、実にまどろこしく、ぼくには不得手ふえて屡々しばしば、自分で何をかいたのかあきれる有様。近頃の句一つ。自嘲じちょう。歯こぼれし口のさぶさや三ッ日月。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
娘の書斎は倉と母屋の間にはさまつて、昼間でも薄暗く、縁の下まで伸びてゐる泉水に鯉の跳ねる音がしゞまを破るだけの静けさだつた。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
しかし、この何となく落着きのない、しかも最早決して迷わない羊達は何の前にその方陣を組んだであろうかを考える時、私達はひそかにほほ笑ませられるのである。
「壇」の解体 (新字新仮名) / 中井正一(著)
ほぼ三十里あまりもゆくと、山が重なりあって、山の気がさわやかに肌に迫り、ひっそりとして人の影もなく、ただ鳥のあさり歩く道があるばかりであった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
……やつれた束ね髪ででもありましょうか、薄暗い行燈あんどんのもとに筆をとっている、ゆかしい、あわれな、わびしい姿が、何となく、なつかしく目に映る。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山の鴨群アヂムラ騒ぎ行くなれど、我はサブしゑ。君にしあらねば(同——万葉巻四)
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)