たしかに、そしておそらくは人にものを教えるという生活の影響であろう、あの頃にはなかった寂かなおちついた品がついていた。
女は、その琵琶を弾じて、その音の調子が、その時間が特にもつ深い寂けさにピタリと音が通うのを探っていたわけであります。
死——というもの、相知る人間同士の別れというようなものなどが——この寂かな昼の大気につつまれた頭の中でしいんと考える対象になる。
“寂(わび・さび)”の解説
わび・さび(侘《び》・寂《び》)は、慎ましく、質素なものの中に、奥深さや豊かさなど「趣」を感じる心、日本の美意識。美学の領域では、狭義に用いられて「美的性格」を規定する概念とみる場合と、広義に用いられて「理想概念」とみる場合とに大別されることもあるが、一般的に、陰性、質素で静かなものを基調とする。本来は侘(わび)と寂(さび)は別の意味だが、現代ではひとまとめにして語られることが多い。茶の湯の寂は、静寂よりも広く、仏典では、死、涅槃を指し、貧困、単純化、孤絶に近く、さび(寂)はわびと同意語となる。人の世の儚(はか)なさ、無常であることを美しいと感じる美意識であり、悟りの概念に近い、日本文化の中心思想であると云われている。
(出典:Wikipedia)
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