“静寂”のいろいろな読み方と例文
旧字:靜寂
読み方割合
しじま42.2%
せいじゃく24.1%
しずけさ11.2%
しずか6.0%
しづけさ3.4%
しずかさ2.6%
せいじやく2.6%
しづか1.7%
しゞま1.7%
じやうじやく0.9%
さびしさ0.9%
しづけき0.9%
しん0.9%
せいしゅく0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
下界げかいをにらみつけるような大きな月が、人ひとり、鳥一羽の影さえない、裾野すそののそらの一かくに、夜の静寂しじまをまもっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その静寂しじまを破って、遠く、低い、木の枝を踏みつけるような、或は枝の葉擦れのような、慌だしいあし音が私の耳をかすめ去った。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
その静寂せいじゃくの時間がやや長くつづくと、石だ、石だ、という声が、こんどはだれいうとなく、石太郎よりもっとも遠い一角より起こってくる。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
冬の、(イヤ、秋かな、マアどっちでもいいや)まだ薄暗いあかつきの、静寂せいじゃくを破って、上り第○号列車が驀進ばくしんして来たと思い給え。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
身動きもせぬ人々のその影は、いまにも沸き起こる悪魔のあらびの一瞬前の静寂しずけさのように、神秘とも凄惨とも云おうようなく見えました。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ケリルはそう言いながらフェルガルに矢を投げつけた、矢がフェルガルの眼に当った、彼は暗黒やみ静寂しずけさを知って息が絶えた。
約束 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
「おいそぎでなくば、少しおやすみなさらぬか。まことに静寂しずかでござりますぞ、黙っていても、清々すがすがと、よい気もちで、心が空の青さに溶けてゆくような」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ宵ながら山奥の夜は静寂しずかで、ただ折りおりに峰を渡る山風が大浪の打ち寄せるように聞えるばかりであった。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
顔を洗ふべく、静かに井戸にちかづいた自分は、敢てかしましき吊車の音に、この暁方あかつきがたの神々しい静寂しづけさを破る必要がなかつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
葉かげの水面みのも銀色ぎんいろ静寂しづけさる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
デュアック お二人のおいでなされますあの静寂しずかさの中からは、ただお二人のお名だけが、落ちる露のように、落ちてまいります。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
何か囁いてはいるらしいが、この初夏の名月の夜の、あたりの静寂しずかさを破るまいとしてか、その話し声はしめやかであった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
のんどりとして静寂せいじやく田畠たはたには、つち湧出わきでて、装上もりあがるやうなかはづこゑ
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空色そらいろしづむ内陣ないぢんの闇ほのぐらき静寂せいじやくに、
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
……水鶏くひなはしるか、さら/\と、ソレまた小溝こみぞうごく。……うごきながら静寂しづかさ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
斯ういふ静寂しづかな、世離れたところに立つて、其人のことをおもひ浮べて見ると、丁度古蹟を飾る花草のやうな気がする。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
えいツ、おうツ! えいツ、おうツ! と、あたりの静寂しゞまを破つて、凜々たる声が聞えてゐた。
「学生警鐘」と風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
聴衆は、水を打つたやうな静寂しゞまの裡に、全身の注意を二つの耳に蒐めてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
散るとなく、心の熱も静寂じやうじやくくゆりに沈み、
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
静寂じやうじやくふかみにうめく夜の色。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
頼母が網行燈をひっさげて、座敷牢から立去った後は、闇と静寂さびしさばかりが座敷牢を包み、人気は全く絶えてしまった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吾は聴く、夜の静寂しづけきに、したたりの落つるをはた、落つるを。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
相変らず静寂しんとしている。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
試みは失敗らしく、数分間は静寂せいしゅくうちに流れた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)