静寂しゞま)” の例文
旧字:靜寂
丁度その時、兄のセザレウ※ッチのき初めた曲は、ショパンの前奏曲プレリュウドだつた。聴衆は、水を打つたやうな静寂しゞまの裡に、全身の注意を二つの耳に蒐めてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
えいツ、おうツ! えいツ、おうツ! と、あたりの静寂しゞまを破つて、凜々たる声が聞えてゐた。竹刀の音もなく、ひとりの懸声ばかりが澄み徹つて響いてゐた。
「学生警鐘」と風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)