“悚然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぞっ45.8%
しょうぜん16.8%
ぞつ15.9%
ぞっと9.3%
しようぜん4.7%
ぞツ1.9%
ぎょっ1.9%
ぞつと1.9%
ぎよつと0.9%
りつぜん0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
の消えたその洗面所のまわりが暗いから、肩も腰も見えなかったのであろう、と、うたがいの幽霊を消しながら、やっぱり悚然ぞっとして立淀たちよどんだ。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ、机の前の壁に、細い紙片かみきれが貼りつけてあった。丈八は、何気なくその文字を見て、悚然しょうぜんと、もいちど両掌を合せて伏し拝んでしまった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ばれた坂上さかがみは、こゑくと、外套ぐわいたうえりから悚然ぞつとした。……たれ可厭いやな、何時いつおぼえのある可忌いまはしい調子てうしふのではない。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「何より不気味だね、衣類きものの濡れるのは。……私、聞いても悚然ぞっとする。……済まなかった。お染さん。」
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
読み到りて当時を追想すればうた悚然しようぜんたらずんばあらず、しかも今之を誌上に掲載して、昔日の夢を笑ふが如き、けだし天の幸のみ。碧梧桐附記。
牡丹句録:子規病中記 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
理窟は別として、人間の生活慾は、牛肉を快喫する動物性はあツても、人間の感情は、ただ一片の同胞の筋肉を見ても悚然ぞツとする。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
八階でエレベーターを降りて、自分の事務室の方へ一歩踏み出した私は、悚然ぎょっとして、其処へ立ち止まってしまったのです。
おもひながら瓜井戸うりゐど眞中まんなかに、一人ひとりあたまから悚然ぞつとすると、する/\とかすみびるやうに、かたちえないが、自分じぶんまはりにからまつてねこはう
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、またいまきず一昨日をとゝひ昨夜ゆうべ怪我けがをしたものとはえぬ、綺麗きれいえて、うまれつき其處そこだけ、いろかはつてえるやうなのに悚然ぎよつとした。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われは悚然りつぜんとして四辺あたりを見たり。小親は急に座をちしが、きぬすそかかとにからみたるに、よろめきてハタと膝折りたる、そのまま手を伸べて小窓の戸とざしたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)