“形”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたち37.1%
かた24.7%
なり22.6%
がた6.9%
かたちづく1.5%
かたちづ1.1%
けい0.9%
すがた0.7%
あら0.6%
あらは0.4%
あらわ0.4%
かげ0.4%
つく0.4%
さま0.2%
カタ0.2%
カタチヅ0.2%
かたど0.2%
かっ0.2%
がたち0.2%
ぎょう0.2%
つき0.2%
やく0.2%
カタチ0.2%
ガタ0.2%
フオーム0.2%
ポーズ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やがて大きなつめでひっかくようなおとがするとおもうと、はじめくろくもおもわれていたものがきゅうおそろしいけもののかたちになって
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さてかたばかりの盃事さかずきごとをすませると、まず、当座の用にと云って、塔の奥から出して来てくれたのがあやを十ぴきに絹を十疋でございます。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
としてはおおきなものよ、大方猪ン中の王様があんな三角なりの冠をて、まちへ出て来て、そして、私の母様おっかさんの橋の上を通るのであろう。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わかい女が持出した、金蒔絵きんまきえの大形の見事な食籠じきろう……がたの菓子器ですがね。中には加賀の名物と言う、紅白の墨形すみがた落雁らくがんが入れてありました。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
当時江戸に集っていた列藩の留守居は、宛然えんぜんたるコオル・ヂプロマチックをかたちづくっていて、その生活はすこぶる特色のあるものであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自から一貫の理想をかたちづくりたれば、其理想する紳士も、其理想する美人も、其理想する英雄も、有り/\と文学上に映現し出でたり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
一種の自然界の元素と呼ぶより外はなかるべし、之を打つとも破るべからず、之を鋳るともけいすべからず、之を抜き去らんとするもくすべからず
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
正装した源氏のすがたを見て、後ろのほうを手で引いて直したりなど大臣はしていた。くつも手で取らないばかりである。娘を思う親心が源氏の心を打った。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
意は内に在ればこそ外にあらわれもするなれば、形なくとも尚在りなん。されど形は意なくして片時も存すべきものにあらず。
小説総論 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その脊はくつがへりたる舟の如し。忽ち彼雛鷲はいなづまの撃つ勢もて、さとおろし來つ。やいばの如き利爪とづめは魚の背をつかみき。母鳥は喜、色にあらはれたり。
「およそ人心じんしんうちえてきのこと、夢寐むびあらわれず、昔人せきじんう、おとこむをゆめみず、おんなさいめとるをゆめみず、このげんまことしかり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
向うに狗児いぬころかげも、早や見えぬ。四辺あたりに誰も居ないのを、一息のもとに見渡して、我を笑うと心着いた時、咄嗟とっさに渋面を造って、身をじるように振向くと……
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
諸君は今日こんにちのようなグラグラ政府には飽きられただろうと思う、そこでビスマークとカブールとグラッドストンと豊太閤ほうたいこうみたような人間をつきまぜてひとつ鋼鉄のような政府をつく
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
狐などのしわざにやと思へば、かく荒れ果てぬれどもと住みし家にたがはで、広くつくせし奥わたりより、はしの方、稲倉いなぐらまで一一七好みたるままのさまなり。
意義の根柢になる表象は、「身」と「カタ」とが聯関してゐるのだが、其がそつくり、ひつくり返つてゐるのではない。
日琉語族論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
語をかへていふと、形体的内容と実質的内容とによつてカタチヅくられたる集合概念を抽き出すといふ所に興味は存するのである。
和歌批判の範疇 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
村落むらがぽつり/\と木立こだちかたどつてほかには一たいたゞ連續れんぞくして水田すゐでんつらぬいてみちはるかとほく、ひつゝいたやうな臺地だいちはやしのぞんで一直線ちよくせんである。かれかつ其處そこあるいたことはあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「私は今までにないほどの男にかける呪を作ろうと思ってるんですもの、わら人形に針をうつ様なやにっこいんじゃあないのを……呪——好い響をもった言葉でいいかっこうの字だ事」
お女郎蜘蛛 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そのかたちにも種々しゆ/″\かはつたのがあつて、なががたちやなぎかたちのようなものや、三角形さんかくけいのものや、またふたつのあしのついたもの、そのあしながくなつてゐるもの
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わざ理合りあいとは、車の両輪、鳥の両翼。その一方を欠けば、そのこうは断絶される。わざおもてに表れるぎょうであり、理合りあいは内に存する心である。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
うしろつきも、罎と鎌で調子を取って、大手を振った、おのずから意気の揚々とした処は、山の幸を得たほこりを示す。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妾の相手やくのホセに扮する谷村という人は、こうした仲間のうちでは謹直な人でしたが、妾たちが稽古をはじめる最初の日から妾に対して心を動かしていることが妾にはわかりました。
華やかな罪過 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
ねこ、(中略)人家ジンカチヒサキケモノヒトトコロナリ。温柔ヲンジウニシテヤスク、マタネズミトラフレバフ。シカレドモ竊盗セツタウセイアリ。カタチトラ二尺ニシヤクラズ。(下略げりやく
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
(これについては卑見もあるけれど、論が多端にわたるのをさけて後にいふことにする。)やさ男やさガタというても、まだ全くはやすといふ語の意を去りかねてゐるのはおもしろい。
用言の発展 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
或る宗教のフオームかゝはり、或る道義のシステムなづみて人生を批判するは、詩人の忌むべき事なり。
情熱 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
申分の無いポーズで、話して歩いている間中、私に腕をい込んだり、私の肩へ手を置いたり、私の胸へよりかかったり、絶えずコクコクうなずいて、私の話へ合槌を打ったり、同情して眉をひそめたり
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)