けい)” の例文
一種の自然界の元素と呼ぶより外はなかるべし、之を打つとも破るべからず、之を鋳るともけいすべからず、之を抜き去らんとするもくすべからず
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
糢糊もこたる暁色げうしよくの中に藍鼠あゐねずみ色をした円錐けいの小さい島の姿が美しかつた。山麓に点点てんてんたる白い物は雪であらうと云つて居たが、望遠鏡で望むと人家じんかであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
わが艦隊はりゅうの尾をふるうごとくゆらゆらと左に動いて、彼我の陣形は丁字一変して八字となり、彼は横に張り、われは斜めにその右翼に向かいて、さながら一大コンパスけいをなし、彼進み
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
びかけると、ひとりの手から、黄色い閃光せんこうが三かくけい放射ほうしゃされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是より風流の道大に開け、人麿赤人よりくだつて、西行芭蕉の徒、この詩神と逍遙するが為に、富嶽の周辺を往返して、けいなくざうなき紀念碑を空中に構設しはじめたり。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)