“なり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナリ
語句割合
服装17.6%
14.7%
11.9%
9.7%
姿7.1%
扮装4.5%
3.4%
3.3%
身装2.2%
2.1%
(他:171)23.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
叔父の事にしては、家がうならうと、妻子が甚麽どんな服装なりをしようと、其麽そんな事は従頭てんで念頭にない。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「なぜって。——可哀想かわいそうに、そんなに零落れいらくしたかなあ。——君道也先生、どんな、服装なりをしていた」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四角なかに、円い蟹、「生きて居る間のおの/\のなり」を果敢はかなく浪の来ぬ間のすなあとつけたまでだ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まだいとけなくて伯母をばなる人に縫物ならひつる頃、衽先おくみさきつまなりなどづかしう言はれし。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此には仮りに之れを問ふの要なしとして、更に疑ふべきは、日本国民は果して真に快活楽天なる国民なるかといふこと是れなり
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
二の酉也とりなり上天気也じやうてんきなり大当おほあたなりと人の語りくがきこ申候まうしそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
場合が場合、土産も買はず、荷物も持たず、成るべく身軽ななりをして、叔母の手織の綿入を行李かうりの底から出して着た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ひろ子は、来たときのままのなりで、紺絣のモンペをつけ、さきの丸まっちい女学生靴をはき、東に向って進む座席にかけていた。
播州平野 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
友仙の紅葉眼に殘りて、捨てゝ過ぐるにしのび難く心殘りして見返れば、信さん何うした鼻緒を切つたのか、其姿なりどう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
面目めんもく此樣こん姿なりで、背後うしろければなんもつかずにました
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
画家えかきというものは、面白い扮装なりをしているもんですね。」と、お銀は山内のよろよろと帰って行った後で言い出した。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そぼうな扮装なりの、髪はぼうぼうと脂気の無い、その癖、眉の美しい、悧発りこうそうな眼付の、何処にも憎い処の無い人でした。
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
娘や家内は浴衣がけてゐるといふに、これはまた尚だ木綿の黒紋付の羽織に垢づいた袷で、以前の通り堅くるしいなりをしてゐた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
い月夜なんぞに来ると、身体からだあおい後光がさすように薄ぼんやりしたなりで、樹の間にむらむら居る。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たま姫樣ひめさま御出生ごしつしやうきもへず、るやさくらむなしくなりぬるを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
上野のおなり街道を横切ってくる小川に添った片側かたがわ町の露地で、野暮にいえば下谷の源助店げんすけだな
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
教えなかったのは私はこんな尾羽おは打ち枯らした貧乏くさい生活をしているのに柳沢はいつも洒瀟こざっぱりとした身装なりをして
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
お島はその身装なりで、親しくしているお顧客とくいをまわって行った。その中には若い歯科医や弁護士などもあった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
聖なる門のなりよき強き金屬かね肘金ひぢがね肘壺ひぢつぼの中にまはれるときにくらぶれば 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
一時を快くする暴言もつひひかもの小唄こうたに過ぎざるをさとりて、手持無沙汰てもちぶさたなりを鎮めつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
折角せつかくお美乃が嫁入りするんだぜ、そのなりで高砂やアでもあるめエ。——これで間に合はなきや、又何んとかするぜ」
なりは至つて粗末で、黒つぽい袷の上に、何やら羽織つて居ります。女と見破られ度くなかつた爲でせう。
「拙者もこんななりをして、浪人どもの捜索と、腕の利いた同志を探しに歩いている。よい所で行き逢った、早速壬生へ行こう」
「よろしい、この人のあとをつけてみよう、自分は笠をかぶって、酒屋の御用聞のなりをしているのだから、勝手が悪くはない」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
隻眼隻腕の白衣びゃくえの浪人、うしろに御殿女中くずれのような風俗なりの女が、一人つきそって、浪人が、木枯しのような声できくには、
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「だアれ!」と直ぐに声がして、つづいて隣部屋から現われたは、風俗なりで解る、女役者であった。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
学生風でも、サラリーマン風でも、成るべくその家の人々が案内を知らぬ方面で、その令嬢が好きそうな風采なりをして接近する。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
前後あとさき七年ばかりの間、内端に打解けたような、そんな風采なりをしていたのは初めてかと思う。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
衣服なりもこっちから云って上げた通りでしたか。黒の中折なかおれに、霜降しもふり外套がいとうを着て」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よご手拭てぬぐい肩にして日当りのよき場所に蹲踞しゃがみ、悠々然とのみ衣服なり垢穢きたなじじもあり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今の東京はうぬぼれの大競争場である。あらゆるおめかしの大品評会場である。大抵の風姿なりをしても驚かぬ程、その競争は激烈である。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「見すぼらしい風姿なりをしてはならない。」とお葉はその時思ひながら、少しも悲しいことはなかつたのであつた。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
義男は片手で戸棚から夜着を引き下すと、それをはすつかけにり延ばして、着た儘の服裝なりでその中にもぐり込んで了つた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
灰色はひいろにねむつてゐるのを、近所きんじよ女房かみさんらしいのが、しろいエプロンのうすよごれた服裝なりで、まだ二時半前やつまへだのに
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なぜなら、今そうやってひざまずいたなりは、神に対し、仏に対して、ものを打念うちねんずる時の姿勢であると思ったから。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は倒れながらに敵の腕を取って、一旦は膝下しっか捻伏ねじふせたが、なりに似合わぬ強い奴でたちまち又跳返はねかえした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
『マアお上がんなさいな、今日こんにちはどちらへ。』お神さんは幸吉こうきち衣装なりに目をつけて言った。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
此人は衣装なりつくらず外見みえも飾らずごく朴実律義で、存魂ぞつこん嬢様に思込んでゐたがちつとも媚諛こびへつらふ容子を見せなかつた。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
みんな天鵞絨びろうどや絹や毛皮にくるまつた素晴すばらしいなりをしてゐるのだ。
私は見た。晴着はれぎを着た、女中のやうななりをした、お内儀かみさん風の、まだ若くて大層縹緻きりやうのよい、髮と眼の黒い、活々いき/\とした顏色の女だ。
呼声よびごえから、風体なり恰好かっこう、紛れもない油屋あぶらやで、あのあげものの油を売るのださうである。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「いま出ていった提灯の連中は何者ですか。立派な風体なりをしていたが、真逆ここまで入ってきたわけじゃないでしょうね」
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これが突込つっこんだなりで有るんでがすが、そっくりお両方ふたかたの紋が比翼に付いて居るてえのは何うも妙で
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半「そんな事を云ってもいかんよ、悪事を平気な泥坊とはいいながら、目をまわしたなりお蘭さんを此の本堂の下の石室いしむろの中へ生埋いきうめにしたね」
蒲留仙 五十前後のせてむさくるしいなりをしている詩人、胡麻塩ごましおの長いまばらな顎髯あごひげを生やしている。
長者には八人の子があった。某日あるひ其の長者の家へ、穢いなりをした旅僧が錫杖を鳴らしながら来て手にした鉄鉢をさし出して、
長者 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
男「わっちは斯んな胡散うさん形姿なりをしてえるから、怪しい奴だと思おうが、私は伊皿子台町にいる船頭で、荷足の仙太郎という者です」
形姿なりを見るとごく不粋ぶすいこしらえで、艾草縞もぐさじま単衣ひとえに紺の一本独鈷いっぽんどっこの帯を締め、にこ/\笑いながら
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかれはかれ吝嗇りんしよくなるのではなく、扮裝なりなどにはまつた無頓着むとんぢやくなのにるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「いえ、王子で着換へたのは女形のあつしだけで、あとは六部や虚無僧や巡禮だから氣が強いわけで、あの扮裝なりで淺草から繰出しましたよ、へエ」
大きな体躯なりをしてながら、道具だうぐちつともおぼえやアしねえ、親の恩を忘れちやアまんぞ。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
とチョコ/\と来た者は妙な男で、もと東京の向両国むこうりょうごく軍雞屋しゃもや重吉じゅうきちと云う、体躯なりの小さい人でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は大の字なり凝然じっとしたまま、まぶたを一パイに見開いた。そうして眼のたまだけをグルリグルリと上下左右に廻転さしてみた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その真下の固い、冷めたい人造石の床の上に、私は大の字なりに長くなって寝ているようである。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
子供のくせに気取った容姿なりをして、小風呂敷を抱えた様子が、いかにもこまっちゃくれているが、よく見るとそれは甲州の山の中できんを探していた忠作でした。
「有難う存じます、こんな失礼な容姿なりで……」
漸々田本で中食をあつらえていると、側にいる客は年齢としごろ四十一二になる女で、衣裳なりは小弁慶の衣物きものに細かい縞の半纒を着ている商人体あきゅうどていのおかみさん
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一同は寒気かんきを防ぐために盛んに焼火たきびをして猟師を待っているとしばらくしてなの字浦の方からたくましい猟犬が十頭ばかり現われてその後に引き続いて六人の猟師が異様な衣裳なりで登って来る、これこそほんとの山賊らしかった。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「まあ、どうかしましょう。——身長なりばかり大きくってばかだからじつに弱る。あれで団子坂の菊人形が見たいから、連れていけなんて言うんだから」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
元気のいい、身長なりよりも大きな声で、いつも廻って来る居酒屋の小僧が、怒鳴っていた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)