なり)” の例文
たちまち、縣下けんか豐岡川とよをかがは治水工事ちすゐこうじ第一期だいいつき六百萬圓ろつぴやくまんゑんなり、とむねらしたから、ひとすくみにつて、内々ない/\期待きたいした狐狸きつねたぬきどころの沙汰さたでない。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女房も女房なり亭主も亭主也、男女同権也どだんじようけんなり五穀豊穣也ごこくほうじようなり、三銭均一也せんきんいつなり。これで女房が車からりて、アイと駄賃だちんを亭主に渡せば完璧々々くわんぺき/\/\
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
李克りこくいはく、『たんにしていろこのむ。しかれどもへいもちふるは、司馬穰苴しばじやうしよぐるあたはざるなり』と。ここおい文矦ぶんこうもつしやうす。
中にも『喫茗雑話』から抄したものは、漁村の撰んだ抽斎の墓誌の略で、わたくしはそのうちに「道純いみな全善、号抽斎、道純そのあざななり
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ホノルル・ブロオドウェイの十仙店テンセンストアで、ぼくは、あかのセエムがわ表紙のノオトを買いました。初めて、米国の金でした買物、金五十仙なり
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
私は学校の帰途、その店頭に立って「ああ、ほしいなあ」とは思ったが、あたいくと二円五十銭なり。無論、わたしの懐中ふところにはない。
一日一筆 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
子ども遊びにかきなど切り刻みて、呼んだり呼ばれたりすることなりとあるが、これは呼ばれごとでなく、うばごとの方から出ているかと思う。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この篇は世の宗教的経験深き人に示さん為めにはあらずして心洵まことに神を求めて宗教的生活に入らんとする世の多くの友にすゝめんとてなり
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
いにしえ曾子そうしのいわく「もって六尺の孤を託すし、以て百里の命を寄す可し、大節に臨んで奪う可からず、君子人か君子人なり」と。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
狐狸こりのわざにはあらず。からにしたものは三ぺいなり。うま、留守ばんにあずけおく。こんど通過の折まで、よく草を喰わせてやしおくべし。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北固山はそう韓世忠かんせいちゅう兵を伏せて、おおいきん兀朮ごつじゅつを破るのところたり。其詩またおもう可きなり劉文りゅうぶん貞公ていこうの墓を詠ずるの詩は、ただちに自己の胸臆きょうおくぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
佳き文章とは、「情こもりて、ことばび、心のままのまことを歌い出でたる」態のものを指していうなり。情籠りて云々は上田敏、若きころの文章である。
「受送達者支倉喜平を市ヶ谷刑務所につき取調べたるに別紙符箋之通り死亡せし旨田辺看守長より申出につき送達不能、依って一まず及返還候なり
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
桂次けいじいまをる此許こゝもと養家やうかゑんかれて伯父をぢ伯母をばといふあひだがらなり、はじめて此家このやたりしは十八のはる田舍縞いなかじま着物きものかたぬひあげをかしとわらはれ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ余の多く知る処にあらざるなり。余は唯かくの如き配合、此の如き布局よりして、実に他国の美術の有せざる日本的音楽をき得ることを喜ぶなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その間じゅう、若い頃も年とった今も、僕はあんたから、年額五百ルーブリなりの、乞食こじきも同然の捨扶持すてぶちを、ありがたく頂戴ちょうだいしているにすぎないんだ。
通知人川上万吉は被通知人に対して有する金弐万五千円の債権を今般都合にり荘田勝平殿に譲渡しそうろうに付き通知候なり
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
奪ひ取りしに相違なしと御檢使けんしへ長庵より申立たるに依て夫道十郎召捕めしとられ御吟味中牢死仕つりしなり長庵儀は其朝は前夜より不快ふくわいにて弟十兵衞の出立を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鰐皮わにがわの紙入れ一個。その内容は百円札七枚、十円札二枚、五十銭札五枚。一銭銅貨二枚。計七百二十二円五十二銭なり。岩形圭吾と印刷した名刺十三枚。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
羞悪しゅうお懺悔ざんげ、次ぐに苦悶くもん懊悩おうのうもってす、しょうが、回顧をたすものはただただこれのみ、ああ実にただこれのみなり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「コノ者、農奴ヨリ出世ノ身ニカカハラズ、農民搾取ノ本尊元凶タル段、不埒ふらちニツキ、梟首申シツクルモノなり
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
金が簡単に出来るようになったら、今日一もんめ十何円なりという金が、一匁一銭也位になるでしょうから、いくら金がドンドン手に入っても仕方がないでしょう。
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
未熟みじゅくながらも妾が代りて師匠となりいかにもして彼が望みを達せしめんと欲するなり、汝等が知る所にあらくこの場を去るべしと毅然きぜんとして云い放ちければ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
我等は再び今十六日深夜二時貴家書斎に現わるべし、しかして西側の壁に朱色の証拠を残すべし、もしこの事を警察に告ぐる時は一家残らず惨殺すべきものなり
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
然るにアンジョの中にルシヘルと云へる者、インテリゲンシヤ(知)におごつて慢心を起し、人の生くるはパンのみによるなりと言ひ、己れを拝さんことを衆に勧む。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
が、それはくもとしてこの額面の正札が、驚くなかれ、金六十八円なりとある。イクラの前借を申込んだか知らぬが、多分この正札の額よりも少なかったろう。
将来どんな境遇になっても友情に変りはないと云っているけれども「親密々々こはこれ何のことの葉ぞや」「いつはりのなきなりせばいかばかりこの人々の言の葉うれしからん」
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
女大学の訓練を受けたモハンの女房が良妻であるか、そして、左様さような良妻に対比して、日本的な悪妻の型や見本があるなら、私はむしろ悪妻の型の方を良妻なりと断ずる。
悪妻論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
右親族決議によって我ら隠宅へ居住の上は前記の件々を確守し、後日に至り異議あるまじく候なり
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
釋尊、八幡のうまれ替りとや申さん。日蓮は凡夫なればよくしらず。これしかし、日蓮がまゐらせしゆゑなり。さこそ父母ふぼよろこ給覽たまふらん。誠に御祝として、餅、酒、鳥目てうもく貫文くわんもん送給候畢おくりたまひさふらひぬ
頼まるるも宮が心なりと、彼は可憐いとしき宮を思ひて、その父に対するいかりやはらげんとつとめたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
近頃井上通泰、熊沢蕃山くまざわばんざんの伝を校正上本せしを見るに、蕃山の詞に、敬義を以てする時は髪をくしけずり手を洗ふも善を為すなり。然らざる時は九たび諸侯を合すとも徒為といのみと有之候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
一周することなれどもその間には第一ベース第二基第三基等の関門あり各関門には番人(第一基は第一基人これを守る第二第三みなしかり)あるをもって容易に通過することあたわざるなり
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
終戦後の僕の感想は、「夢かと思ひなさんとすればうつつなり、現かと思へば又夢のごとし」
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
男は越中ふんどし一本、女は腰巻一枚、大の字なりになり、鼻から青提灯あおぢょうちんをぶら下げて、惰眠をむさぼっている醜体しゅうたいは見られたものではない。試みに寝惚ねぼけ眼をこすって起上った彼等のある者をつかま
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
そうですな。ええ百二十七町四段二畝歩せぶなりです。ところがこれっぱかりの地面をあなたがこの山の中にお持ちになっていたところで万事に不便でもあろうかと……これは私だけの考えを
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
○本朝文粋ぶんすゐあげたる大江匡衡まさひらの文に「天満自在天神或は塩梅於天下てんかをあんばいして輔導一人いちにんをほだうし(帝の御こと)或月於天上てんしやうにじつげつして臨万民まんみんをせうりんすなかんづく文道之大祖ぶんだうのたいそ風月之本主ふうげつのほんしゆなり
ただちにハイ街の家へ駈け付けてみると、はたしてベシイは、同家屋根裏に取り付けられた金一ポンド十七シリング六ペンスなりのブリキの浴槽の中で片手に石鹸を握ったまま、冷く固くなっていた。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
御殿山ごてんやま。七十日目ごろさかんなり房総ぼうそう遠霞えんか海辺の佳景、最もよし。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
前いへる場所などに鬻ぐは江戸市中に遠ざかりし所ゆゑ残れるなり
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
足許を見詰めて二人あるくなり
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
我名は里のなぶりものなり 翁
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
切符ひとり金二十五円なり
計 二両三十銭なり
毒もみのすきな署長さん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これもつ相持あひぢする、ぜいなり伊尹いゐん(九七)はうり、百里奚りけい(九八)りよる、(九九)みなつて其上そのかみもとめしところなり
むまじき事なりおとろふまじき事なりおとろへたる小生等せうせいらが骨は、人知ひとしらぬもつて、人知ひとしらぬたのしみと致候迄いたしそろまで次第しだいまるく曲りくものにそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
おもふに、ゑがける美人びじんは、ける醜女しうぢよよりもなりつたく、かん武帝ぶてい宮人きうじん麗娟りけんとしはじめて十四。たまはだへつややかにしてしろく、うるほふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此には仮りに之れを問ふの要なしとして、更に疑ふべきは、日本国民は果して真に快活楽天なる国民なるかといふこと是れなり
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
右のうち吹針には武技ぶぎをもって試合することを、また遠駆けには相手方、騎乗きじょう徒歩かちいずれにても随意ずいいたるべきものなり
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
他のやつは皆へたくそなりとののしり、また、頬被ほおかぶりして壁塗り踊りと称するへんてつも無い踊りを、だれも見ていないのに
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)