“懐中”のいろいろな読み方と例文
旧字:懷中
読み方(ふりがな)割合
ふところ88.1%
かいちゅう5.9%
くわいちう1.3%
ポケツト1.3%
ぽっぽ1.0%
ポケット0.7%
かみいれ0.3%
くわいちゆう0.3%
ここ0.3%
ふっくら0.3%
(他:1)0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“懐中”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸21.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語8.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
軽輩の若党らにしては、懐中ふところが重過ぎると思われたのですが、ほかに詮議の仕様もないので、先ずそのままに済みました。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのとき青年の懐中ふところから、コロコロと平べったい丸缶まるかんのようなものが転げ出て、みぞの方へ動いていった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もこの事を態々わざわざ鉄屋に聞かねばならぬと云うのは、実はその時私の懐中かいちゅうに金がない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼は仏壇の中へ布施を入れて置こうと思いだした。彼は懐中かいちゅう紙入かみいれを探って銭を出し、それを鼻紙はながみくるんだ。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
其上そのうへ午餐を断つて、旅行するにしても、もう自分の懐中くわいちうあてにするわけにはかなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ナントおつ出来でかしたではござらぬか、此詩このし懐中くわいちうしたれば、もんたゝいておどろかしまをさんかとは思ひしが
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
そののぼせた容子ようすを見てゐたエルマンは、懐中ポケツトからハンケチを取り出して、そつと額の汗を拭いた。
肥つた男は、それを受取るなり、懐中ポケツトにしまひ込んだ。そして相変らずすぱすぱけぶりを吹かしてゐた。
「路銀は、他人様の、懐中ぽっぽに、あずけてあるんだ。のう、庄公、いやあー、目出度めでてえ、こうなりゃ、意地だあ」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「だが懐中ぽっぽに、せめてもう二十ルーブリあったらなあ、」と、ノズドゥリョフは語を継いだ。
新しく土を埋めたらしく柔らかくなっている竹片を紙にくるんで懐中ポケットへ入れると台所の方へ歩いていった。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
『あいつが戸棚の鍵を取ろうと書記の懐中ポケットへ手を突き込もうとするといつのまにか縛ってあった腕の縄を解いていたんです。……だから泡食って突いたんです』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
……バタリ……と床の上に何か落ちる音がした。それは副院長の手から、床の上の暗がりに辷り落ちた、茶革の懐中かみいれの音に相違無かった。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうして夫人の懐中かみいれを奪って、このへやに帰って、その懐中かみいれを寝床の下に隠してから、知らぬ顔をして便所に行かれたのでしょう。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どうせ飛び出すのだ、何しろ訪ねて見ようと銀之助は懐中くわいちゆうを改めると五円札が一枚とあと小銭こせんで五六十銭あるばかり。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
忠太郎 金なら懐中ここにござんす。いざとなれば肌につけた、金百両に手を付けます。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
そこで上りかまちに腰をかけて懐中ふっくらからその貰うた指環をば出いて、てのひら中央まんなかへ乗せて、タメツ、スガメツ引っくりかやいておりますと、背後うしろからヌキ足さし足、覗いて見た親父おやじが、大きな拳骨で私の頭をゴツウ——ンと一つらわせました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
不景気だ、不景気だ、こう口癖のように言いながらも、小諸の商人が懐中ふところうちの楽なのは、私が銀行に巌張がんばっているからだ。町会の事業でも、計画でも、皆私の意見を基にしてやっている。小諸が盛んになるも、衰えるも、私の遣方やりかた一つにあるのだ。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)