“懐中”のいろいろな読み方と例文
旧字:懷中
読み方割合
ふところ87.3%
かいちゅう6.5%
くわいちう1.2%
ポケツト1.2%
くわいちゆう0.9%
ぽっぽ0.9%
ポケット0.6%
かみいれ0.3%
ここ0.3%
ふっくら0.3%
ふところうち0.3%
ポケットマネー0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ええ、驚かしゃあがるな。」と年紀としにはない口を利いて、大福餅が食べたそうに懐中ふところに手を入れて、貧乏ゆるぎというのをる。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれは、懐中かいちゅうから、スケッチちょうして、前方ぜんぽう黄色きいろくなった田圃たんぼや、灰色はいいろにかすんだはやし景色けしきなどを写生しゃせいしにかかったのであります。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ナントおつ出来でかしたではござらぬか、此詩このし懐中くわいちうしたれば、もんたゝいておどろかしまをさんかとは思ひしが、夢中むちう感得かんとくなれば、何時いつ何処どこにても、またやらかすとわけにはかず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
銀行家だからといつて、まさか金塊を懐中ポケツトに入れてゐる訳でもありますまいから、一億円の金塊は恰度ちやうど三尺立方のかさがあります。
神事じんじをはれば人々離散りさんして普光寺に入り、はじめ棄置すておきたる衣類いるゐ懐中くわいちゆう物をるに鼻帋はながみ一枚だにうする事なし、かすむれば即座そくざ神罰しんばつあるゆゑなり。
だからお勢みたようなこんな親不孝なもんでもそう何時までもお懐中ぽっぽあすばせてもおけないと思うと私は苦労で苦労でならないから、此間こないだあたしがネ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
彼は机の前に腰をかけて、懐中ポケットからパイプを取り出し机上にあったマリーランド煙草の箱の封を切ってそれを詰めてかしながら、何やら手紙を書き初めた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
そうして夫人の懐中かみいれを奪って、このへやに帰って、その懐中かみいれを寝床の下に隠してから、知らぬ顔をして便所に行かれたのでしょう。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
忠太郎 金なら懐中ここにござんす。いざとなれば肌につけた、金百両に手を付けます。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
そこで上りかまちに腰をかけて懐中ふっくらからその貰うた指環をば出いて、てのひら中央まんなかへ乗せて、タメツ、スガメツ引っくりかやいておりますと、背後うしろからヌキ足さし足、覗いて見た親父おやじ
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
不景気だ、不景気だ、こう口癖のように言いながらも、小諸の商人が懐中ふところうちの楽なのは、私が銀行に巌張がんばっているからだ。町会の事業でも、計画でも、皆私の意見を基にしてやっている。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その費用のうちの半分、どうかしたら三分の一位は、私の懐中ポケットマネーから出ましたが、あとは何処から出たのか、まるで見当が付きません。