“ポケット”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
衣嚢58.6%
衣袋17.2%
懐中6.9%
隠袋6.9%
衣兜3.4%
3.4%
隠し3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
手巾を出して顏の汗を拭き乍ら、衣嚢ポケットの銀時計を見ると、四時幾分と聞いた發車時刻にもう間がない。急いで盛岡行の赤切符を買つて改札口へ出ると
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
盤得尼が出て行ってしまうと、法水は衣袋ポケットから一枚の紙片を取り出した。それには、次のような文字が認められてあった。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
新しく土を埋めたらしく柔らかくなっている竹片を紙にくるんで懐中ポケットへ入れると台所の方へ歩いていった。
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
「なに札は大丈夫だ。ほかの紙片かみぎれと違って活きてるから。こうやって、手でさわって見るとすぐ分るよ。隠袋ポケットの中で、ぴちぴちねてる」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
学円 (がぶがぶと茶をみ、衣兜ポケットから扇子を取って、あおいだのを、とかざして見つつ)おお、咲きました。貴女あなたの顔を見るように。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平一郎は片方の手をズボンのポケットに突込んで、右手で和歌子の手を握っていた。微かな温かみ、その温かみこそ僅かに秋の夜中の寂寥と冷気とから二人を元気づけていた。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
ただ満足そうに心から嬉しそうに幾分憔悴やつれの見える頬にえくぼうかめていられるばかりであった。そして黙ってチョッキの隠しポケットから小さな金時計を出して眺められていた。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)