“衣嚢”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かくし67.5%
ポケット20.5%
いのう6.0%
ポケツト2.4%
ポーシュ1.2%
ぽけつと1.2%
ポツケツト1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「時に、私はあなたに宛てた添書を貰って来たのですが。」そう言ってチチコフは、衣嚢かくしからプリューシキンの手紙を取り出した。
衣嚢ポケットにあるのをでたらめに掴み出して、使小僧の鼻の先に突き出した。手に何を掴んだのかまるで覚えがなかった。見ると、千フランの紙幣だった。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
××もまた同じことだった。長雨ながあめの中に旗をらした二万トンの××の甲板かんぱんの下にも鼠はいつか手箱だの衣嚢いのうだのにもつきはじめた。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あいちやんはうさぎ襯衣チヨツキ衣嚢ポケツトから時計とけい取出とりだして、面白おもしろさうにそれをいてしまうなんてことを、れまでけつしてたことがないわとこゝろ一寸ちよつとおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
身装みなりも、それに準じて、スマートとはゆかないまでも、一応、さっぱりした見かけをしている。スフ入りはスフ入りだが、膝も丸くなっていないし、衣嚢ポーシュもたるんでいない。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
菊池君は両手を上衣の衣嚢ぽけつとに突込んで、「馬鹿な男だなあ。」と吃る様に云ひ乍ら、悠々と「毎日」を去る。そして其足で直ぐ私の所へ来て、「日報」に入れて呉れないかと頼む。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
御金おかねは」と云つた。見ると、あひだにはない。三四郎は又衣嚢ポツケツトさぐつた。なかから手摺てずれのした札をつかした。女は手をさない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)