“衣”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
きぬ43.5%
ころも24.1%
ぎぬ7.2%
6.7%
きもの6.7%
ごろも2.4%
2.2%
1.3%
0.8%
もの0.8%
(他:26)4.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
役署の穀倉こくそうは開かれ、奪いとった金やきぬは山をなし、良馬二百余頭も、一ヵ所につなぎ出された。宋江はこれの半分を梁山泊へ輸送させ、
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肌着の上にちやくす、いろきぬの類、好によりていろ/\あらむ。袖は友染か、縮緬か、いづれ胴とは異なるを用ふ、裏なき衣なり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貞丈雑記ていぢやうざつきに、湯を召さするに常のきぬの上に白き生絹きぎぬそのしろき生絹のを、湯巻ともいまきともいふなり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
クリストは又或時はやむを得ず奇蹟を行つた為に、——或長病ながわづらひに苦しんだ女の彼のころもにさはつた為に彼の力の脱けるのを感じた。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
末路まつろしめして、滅亡めつばうてうあらはすので、せんずるに、へびすゝんでころも
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また外部から見るといかにも凛々りりしく、ころもかんに至り袖腕そでわんに至り、鬼とも組打ちしそうな風采ふうさいをなしていても
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
五つぎぬぎ、金冠をもぎとった、爵位も金権も何もない裸体になっても、離れぬ美と才と、彼女の持つものだけをもって、粛然としている。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「錢形の親分にお願ひして、何とかお冬のぎぬが干してやりてえ、あの女は、そんな大それたことの出來る女ぢやねえ——つて言ひますぜ」
「銭形の親分にお願いして、何とかお冬のぎぬが干してやりてえ、あの女は、そんな大それたことの出来る女じゃねえ——って言いますぜ」
婆さんがものを脱ぐんだろう、三途川さんずのかわの水でも可い、末期に一杯飲みてえもんだ、と思いましたがね、口へ入ったなあ冷酒の甘露なんで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同書二巻十五章、元日の条にいわく、この日皇帝以下貴賤男女皆白色をる、白を多祥として年中幸福をけんとこいねがうに因る。
その骨相を看れば、座主ざすは俄に畎畝けんぽの間より登庸し來りて、これに武士もののふの服をせしにはあらずやと疑はれぬ。
楚に薛崑せつこんという者があった。小さい時からりこうで、姿容きりょうがよかった。六つか七つの時、青いきものを着た婆さんが来て、
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女は年のころ十七、八で、あおい袖、あかもすそきものを着て、いかにもしなやかな姿で西をさしてしずかに行き過ぎました。
「若い奥様ができたと思ってくださりゃいいじゃないの、それでも、しいて名が聞きたいなら、私はいつも、この緑のきものを着ているでしょう」
緑衣人伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
花見ごろもに赤手拭てぬぐい、幾千という江戸の男女が毎日花見に明かし暮らします。酒を飲む者。踊りを踊る人。伽羅きゃらを焚いてぐものもある。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから何日か後の月夜、姫君に念仏をすすめた法師は、やはり朱雀門の前の曲殿に、ごろもの膝を抱へてゐた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
やっと腰の痛みがうすらぐと、少年がまず最初にしたことは、変装のやぶれごろもの下にかくして、肩からさげていた小さなズックのカバンに、ソッとさわってみることでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
貞丈雑記ていぢやうざつきに、湯を召さするに常のきぬの上に白き生絹きぎぬそのしろき生絹のを、湯巻ともいまきともいふなり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
田端もまた延焼せんことをおそれ、妻は児等こらをバスケツトに収め、僕は漱石そうせき先生の書一軸を風呂敷ふろしきに包む。
る時は自らくわふるい、または自らぬいで人夫に与え、つとめて平気の顔色がんしょくを粧いたりしも
なろうものなら、その手は、帝のおんのすそにすがりついて、なおこと御諚ごじょうをと、おせがみしたかったに違いあるまい。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またまとい給う銀紗ぎんしゃのおんから、藍田らんでんの珠の帯やら白玉はくぎょくのかざりにいたるまで、光燿こうようそのものの中にあるおすがただった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
櫻萌黄さくらもえぎに山吹色の下襲したがさね、背には胡籙やなぐひきて老掛おいかけを懸け
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ついでに、脇差のこうがいをぬらし、びんの乱れをなでつけて、紋を直した落着きは、こんな場合にも、さすが尾張の御曹司おんぞうしです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼を思ひ是を思ふに、身一つにりかゝるき事の露しげき今日けふ此ごろ、瀧口三の袖を絞りかね、法體ほつたい今更いまさら遣瀬やるせなきぞいぢらしき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かれが着馴れた普化宗ふけしゅうの三を脱いで、ちょうど、花から青葉へ移るころもがえのしおに、黒奉書の軽い着流しとなったのも、ひとつは、阿波の詮索せんさくをのがれる当座の変装である。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ホ、ホ、ホ、ホ、そういうたとて、名古屋山三なごやさんざや政宗どの程な晴れ着でもない、ただあかがついていぬというだけのもの
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これ、やかましいお話は後ほどになさらぬか。そして、早く御方様を連れて、おめしもの、お風呂の支度など、急がねばお体にさわりますぞえ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
潘金蓮はんきんれんは、おろおろと膝の上のいかけものを床にいて、西門慶の前へ立った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次は八月の一日で、江戸時代になつても、吉原の遊女は、八朔ハツサクコロモがへと言うて、白衣シロムクを着た。
あゝ、何時になつたら、したてたコロモを、お肌へふくよかにお貸し申すことが出来よう。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
あゝ、何時になつたら、したてたコロモを、お肌へふくよかにお貸し申すことが出來よう。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
尾張にタヾに向へる、尾津ヲツの崎なる一つ松、あせを。ひとつ松 人にありせば、大刀けましを。キヌ着せましを。一つ松、あせを(景行記)
日本文章の発想法の起り (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
完了の助動詞の「ぬ」、「ヌマ」「ヌク」「ヌシ」「キヌ」などの「ヌ」は「奴」の類の文字で書いて、前の「怒」の類の文字では書かず、別の類に属する。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
そうして、「キモ」「キヌ」の「き」に(甲)類の文字を用いるに対して、「むらぎも」「ありぎぬ」の「ぎ」に(甲)類の文字を用い、「キリ」の「き」に(乙)類の文字を用いるに対して
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
床板ゆかいたのあいだから生え出している草をたんねんにむしりとり、四つの窓には四人の防水をカーテンのかわりに掛けた。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
巴里パリイは七月の中頃から曇天と微雨とが続いて秋の末方すゑがたの様な冷気にたれも冬を着けて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
言葉は何を言っているのか分からないような黒ん坊の奴隷が客の給仕をしましたが、どうしても私にはこの世の悪魔としか見えませんでした。そのうちのある人びとの着ている晴れなどは、帝王の晴れ衣にも間に合いそうな立派なものでした。かのクラリモンドについては、いろいろの不思議な話が伝えられていますが、その愛人はみな怖ろしい悲惨な終わりを遂げているようです。
引廻して前にて結び、これを帯に推込おしこみてほのかに其一端そのいつたんをあらはす、きれと帯とに照応する色合の可なるものまた一段、美の趣きあるあり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夜は眞暗だつたのだ。——黒いきれで眼かくしされてゐるやうに暗かつた。見ると、そのなかに、然し眼をひよいと疑ふ程に、鱗光が、ひらめいた。その次にすぐ、力強い、水をたゝきつける音が起つた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
軍鶏しゃもの赤毛をおつむにのせて、萌黄もえぎ木綿のおべべをきせたお獅子ししの面を、パックリと背中へ引っくり返して、ほお歯の日和ひより下駄をカラカラ鳴らし、
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くろべべかえて
風ふき鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼の男は承知して、うわぎをぬいではこの上にかけ、物を怨むような所作しょさをしていった。
偸桃 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
きっぱなしの屋根裏の竹にからんでからを脱ぐ拍子に滑り落ちたのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
蛇がからを脱ぐ如く、人は昨日きのうの己が死骸を後ざまに蹴て進まねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
酒の香、きねいろあやみだれうかぶ、——
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かかる着用にて、炎熱の日に畑に出でたるには、炎熱と厚着の為めに全身は暑さを増すのみならず、汗出でて厚く着重ねたる木綿ぎものは汗にて流るるが如きに至るを以て、おのずから臭気を発して、一種の不快を覚ゆると其くるしさとにて、一日いちじつには僅に三四時間の労働に当るのみ。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
次に投げ棄つる御けしに成りませる神の名は、煩累わづらひ大人うしの神
こゝも仕舞しまへばねへや、からつきりんなそでのぺら/\した
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ここにその后、あらかじめその御心を知りたまひて、悉にその髮を剃りて、その髮もちてその頭を覆ひ、また玉の緒をくたして、御手に三重かし、また酒もちて御衣みけしを腐して、全きみそのごとせり。
すなはちみその中によろひし、弓矢をばして、馬に乘りて出で行きて、忽の間に馬より往きならびて、矢を拔きて、その忍齒の王を射落して、またそのみみを切りて、馬ぶねに入れて、土と等しく埋みき
「そして、白いのはおめしものも、ですけど、降り積る雪なんですって。」
銘苅子メカルシイと言ふ人は、水浴中の天女の「ギヌ」を匿して、連れ戻つて宿の妻として、子を二人までなさせた。
信太妻の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
……ねえ、あなた、ベルナアルさんは立派な白衣僧ペール・ブランになったのでしょうね? 真白いローブを着て、橄欖オリーブの実の数珠を持って歩いていられるのでございましょうね?
葡萄蔓の束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)