“真蒼”のいろいろな読み方と例文
旧字:眞蒼
読み方(ふりがな)割合
まっさお88.9%
まつさを7.2%
まさお2.6%
まッさお1.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
驚いてあとを見送っている閭が周囲には、飯や菜や汁を盛っていた僧らが、ぞろぞろと来てたかった。道翹は真蒼まっさおな顏をして立ちすくんでいた。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
目覚しいのは、そこに生えた、森をあざむくような水芭蕉で、沼の片隅から真蒼まっさおな柱を立てて、峰を割り空を裂いて、ばさばさと影を落す。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
第一その金三郎の顔色が一通りではないのであった。まるで死人のそれの如く真蒼まっさおに変じているのからして、何か事情のあるらしく考えられた。
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「まア!」と言って妻は真蒼まっさおになった。自分は狼狽あわてふたつの抽斗をき放って中を一々あらためたけれど無いものは無い。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
真蒼まっさおになって、身体からだのぶるぶると震う一樹の袖を取った、私の手を、その帷子かたびらが、落葉、いや、茸のような触感でいた。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この時ふと、戸外そとで犬の吠える声と、門を叩く音が聞えた。ヒーヴリャは急いで駈けだして行つたが、すぐに真蒼まつさをな顔で引つ返して来た。
彼は母と友人に送られて、頭に氷嚢ひようなうをつけて入場したのであつたが、第一の課目を終へて出て来たときには、顔は真蒼まつさをになつてゐた。
花が咲く (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
豆小僧はとぼけた顔で答へました。しかし豆和尚さんはなか/\承知しません。しきりに問ひ詰めますから、豆小僧はとう/\真蒼まつさをになつて泣き出しました。
豆小僧の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
東京神田の駿河台に大きな病院を持つてゐる広川一氏といふ医学博士がある。芸者の噂でもすると、顔を真蒼まつさをにして怒り出すといふ、名代の堅蔵かたざうである。
らうとすると、うつる、つまうつる、もすそ真蒼まつさをみづがある。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見渡せば、見まわせば、赤土の道幅せまく、うねりうねりはてしなきに、両側つづきの躑躅の花、遠きかたは前後をふさぎて、日かげあかく咲込めたる空のいろの真蒼まさおき下に、たたずむはわれのみなり。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見渡せば、見まはせば、赤土の道幅せまく、うねりうねりはてしなきに、両側つづきの躑躅つつじの花、遠きかたは前後をふさぎて、日かげあかく咲込さきこめたる空のいろの真蒼まさおき下に、たたずむはわれのみなり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
辿たどる姿は、松にかくれ、草にあらわれ、坂にしずみ、峰に浮んで、その峰つづきを畝々うねうねと、漆のようなのと、真蒼まさおなると、しゃのごときと、中にも雪を頂いた、雲いろいろの遠山とおやまに添うて、ここに射返いかえされたようなおきみの色。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴嬢の目と二郎が目と空にあいし時のさまをわれいつまでか忘るべき、貴嬢はかすかにアと呼びたもうや真蒼まさおになりたまいぬ、弾力ばね強き心の二郎はずかずかと進みて貴嬢が正面の座に身を投げたれど、まさしく貴嬢を見るあたわず両のたなごころもて顔をおおいたるを貴嬢が同伴者つれの年若き君はいかに見たまいつらん。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
吉里は一語ひとことさないで、真蒼まッさおな顔をしてじッと平田を見つめている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
ト聞くと文三は慄然ぶるぶると震えた、真蒼まッさおに成ッた……暫らくの間は言葉はなくて、唯恨めしそうにジッとお勢の澄ました顔を凝視みつめていた、その眼縁まぶちが見る見るうるみ出した……が忽ちはッと気を取直おして、儼然きッかたちを改めて、震声ふるえごえで、
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)