“仰向”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
あおむ59.5%
あおむけ13.7%
あふむ11.6%
あおむき3.6%
あをむ2.1%
あふむけ1.8%
あおの1.5%
あふの0.8%
あうむ0.5%
あほの0.5%
(他:17)4.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“仰向”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸27.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語8.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)3.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
仰向あおむけになって鋼線はりがねのような脚を伸したり縮めたりして藻掻もがさまは命の薄れるもののように見えた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ある時は大悲閣だいひかくへ登って、即非そくひの額の下に仰向あおむきながら、谷底の流をくだの音を聞いた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仰向あおむけに寝ながら、偶然目をけて見ると欄間らんまに、朱塗しゅぬりのふちをとったがくがかかっている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
仰向あおむけに寝て、両方のひじ蒲団ふとんに支えて、あのくらいの本を持ちこたえているのにずいぶんと骨が折れた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「‥‥」かの女は矢張り無言で、少し仰向あふむき加減にそツぱうを見てゐるらしく、然しからだは全體に顫へてゐるのが見えた。
一寸ちよつとかげどうかられたかたちで、むねらした、かほ仰向あふむけに
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
書生の指さす所を見ると、犬小屋から大分離れた、庭の芝生に、一人の女が、青白い月光に照らされて、仰向あおむきざまに打倒れていた。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
即ち、当夜の主人公たるD外務大臣が、胸部をピストルで打たれて、椅子からすべり落ち、床の上に仰向あおむきに斃れていたのである。
外務大臣の死 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
死骸しがいはなだ水干すゐかんに、都風みやこふうのさび烏帽子ゑばうしをかぶつたまま仰向あをむけにたふれてりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
がツくりとして仰向あをむけのさびし素顏すがほべにふくんだ、しろほゝに、あをみのさした、うつくしい、いもうと
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ロミオ頭髮かみのけ掻毟かきむし仰向あふむけたふれてなげく。此時このときおくにてたゝおと
仰向あふむけ轉倒ころばっしゃらう、なァ、いと」とふと、阿呆あはうどのが啼止なきだまって、「あい」ぢゃといの。
ほとんど無意識に両手をひろげた、私の袖へ、うつくしい首が仰向あおのけになって胸へ入り、櫛笄くしこうがいがきらりとして、前髪よりは
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
密閉した暗室の前に椅子が五脚ばかり並んで、それへ掛けたのが一人、男が一人、向うの寝台ねだいの上に胸を開けて仰向あおのけになっている。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大理石なめいしのごとくされ、仰向あふのくや
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
方丈の中央まんなか仰向あふのきにね伸びて、眠るともなく醒むるとも無くて在りしが、さて、夜に入りて雨の音しめやかに、谷川の水音弥増いやまさるを聞くに付け、世にも不思議なる身の運命
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仰向あうむけど寂しくぞあらむ正覚坊かくしどころもきららかなれば
真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
むらのはづれには「けんぽなし」といふもあつて、たかえだうへ珊瑚珠さんごじゆのやうな時分じぶんには木曽路きそぢとほ旅人たびびとはめづらしさうに仰向あうむいてきましたが、そのればべられてうまあぢがしました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
心細き事を思ふては干場ほしばの傘のかげに隠くれて大地だいぢまくら仰向あほのしてはこぼるる涙を呑込みぬる悲しさ
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふり仰向あほのいてはんけちに顔をぬぐふさま、心よわげなれどれもこんな物なるべし、今から帰るといふ故郷ふるさとの事養家のこと、我身の事お作の事みなから忘れて世はお縫ひとりのやうに思はるるも闇なり
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
返事へんじはなくて吐息といき折々おり/\ふと身動みうごきもせず仰向あほのきふしたる心根こゝろねつら
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
真から改心して下さらねば心元なく思はれますとて女房打なげくに、返事はなくて吐息折々に太く身動きもせず仰向あほのきふしたる心根のつらさ、その身になつてもお力が事の忘れられぬか
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くるまに乗つてすぐ牛込へかへつて、それなり書斎へ這入つて、仰向あほむけに倒れた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女が仰向あほむけになる、
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まくらならべ、仰向あをむけになり、むねうへ片手かたてちからなく、片手かたて投出なげだ
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其時そのときはこの時雨榎しぐれえのきえだ両股ふたまたになつてるところに、仰向あをむけ寝転ねころんで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
不意をくらった相手は「うッ」とうなると、うしろへよろめいて、仰向ああむけにどたんとたおれた。すると意外なことが起こった。かれの頭部がはずれて、ころころと向うへころげたのであった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
さすがに、みかども、みなの気もちを汲んで、どういって一トことでもなぐさめてやったらよいか、それすらも見つからぬお立ちまどいの容子だった。その龍顔も、やや仰向あおに、しばし暗然としておられた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉原でも日本橋でも何処の川通りだって、荷足の仙太と云やア随分名代なでえの無鉄……ナニ誠にそのきつい人だと云って誰でもおめえさんは知ってやす、いつか五十軒で喧嘩の時に、お前さんが仰向あおのけに寝て、サア殺せと仰しゃッた時は誰もてなかったとね
仰向あおむい蒼空あおぞらには、余残なごりの色も何時しか消えせて、今は一面の青海原、星さえ所斑ところまだらきらめでてんと交睫まばたきをするような真似まねをしている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ねぶりがたき秋の夜は胸に抱いてまぼろしの面影をも見んと、このやうの數々を並べて男なきに涙のこぼれるに、ふり仰向あふのいてはんけちに顏を拭ふさま、心よわげなれど誰れもこんな物なるべし、今から歸るといふ故郷の事養家のこと
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
面白いのはこの足数も踏むに連れて、沿道の人家や立木やが次から次へと眼の前に幻となつて展開する事で、五雲は仰向あふむきになつて、
さうして金縁きんぶち眼鏡めがねを掛けて、物をるときには、あごまへして、心持こゝろもち仰向あほむくせがあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうして、其そばまくらいて仰向あほむけに倒れた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
悦。……腰うちかけて、身はなかば仰向あをむきなれば、
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
(まだあるか、)と仰向おあおむけに起きた、坊主の腹は、だぶだぶとふくれて、鰯のように青く光って、げいと、口からなまぐさい息を吹いた。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五月躑躅さつきの葉蔭に、学生服の少年が咽喉のどから胸許むなもとにかけ真紅まっかな血を浴びて仰向おあむけにたおれていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ありゃあお前、弓矢じゃねえぜ、うんにゃ、矢は矢だが、背後から抱きすくめて手でこじりこせえたもんだ。その証拠を言おうか。仰向おうのけの胸に直に立った矢が、見事二つに折れてたじゃあねえか。手で無理をしねえかぎり、矢が折れるってえ道あねえ。